「やあ、お嬢さん。ご機嫌はいかがかな?」  
いかにも芝居がかったしぐさでボスが私に呼びかける。  
「レディーのもてなし方がなってないわね。女性には優しくしなさいとママに教わらなかったの?」  
全身の苦痛をこらえながら私はボスを挑発する。ここで弱みを見せれば彼らの思う壺だからだ。  
だが、そんな私の態度に怒るでもなくボスは凶悪な笑みを浮かべる。  
―そういうことか―私は悟った、彼は私を弄ぶ為にここに来たのだ、と。彼にとって私はていのいい暇つぶしの玩具にすぎないのだ。  
「私としたことが、これは失礼した、ミス・スパイ。それでは、私自ら心からのもてなしをさせていただこう。オイッ、このレディーを降ろして差し上げろ」  
ボスの指令で、私は三角木馬からようやく解放されることになった。  
ドサッ  
男達は私を担ぎ上げ、乱暴に地面におろした。あまり丁寧とはいえない扱いに思わず顔をしかめる。私は後ろ手に縛られたまま、ボスの前まで引きずり出された。もはやモノとして扱われている事実に私は唇をかみしめる。  
ボスは私の目の前でしゃがみこんだ。私の顎を掴み、醜悪な顔を私の眼前に突き出してきた。  
「まったく、お前は馬鹿な女だ。素直に言うことを聞いておけば痛い目を見ないですんだものを」  
「…」  
「そんなにお前のいる組織が怖いのか?言うことさえ聞けば口裏を合わせてお前に悪いようにはさせないことも出来るし、お前に少しの手柄を与えてやることすら出来るのだぞ」  
私はおかしかった。この男は私をそんな風にしか見ていないのか、ずいぶんと見くびられたものだ…。  
 
「組織が怖い?手柄を与える?貴方馬鹿?私は貴方のような人の人生を奪って生きていくダニみたいな人間が嫌いなだけよ」  
「ふんっ!商品の女共のことか?あいつらこそこの世に生きる価値の無いダニ共だ!」  
「…!なんだと!」  
「あいつらは自らの本分を忘れ、金の為だけに生きてきた奴等だ。金の為なら平気で身体を売り、善良な市民を騙す。存在自体が社会のゴミの人間の屑だ!」  
怒りで身体が震える私に、ボスはさらに話しかける。  
「俺は存在価値のないあの虫ケラ共に存在意義を与えてやっているだけだ!奴等が表社会から消えることで多くの市民も助かるのだ!いい事ずくめじゃないか。俺のやっている事は慈善事業だ。あのくそ虫共にとってもな―」  
ぺっ  
いい気になって演説している男の顔に私は唾を吐きかける。もう、我慢の限界だった―。  
 
「…ッ!貴様」  
顔にかかった唾をぬぐいながらボスは怒りの声を上げる。  
「慈善事業だと?己惚れるな!」  
捕らわれの身であることを忘れ、私は怒鳴る。私の怒りは止まらない、この男は…、この男は人間を何だと思っているのだ―!  
「悪いことをしていたから、その人を食い物にしていいと言うのか!慈善事業の名を出せば連れ去られた女の子の家族や友人の悲しみはどうでもいいのか!まったく、反吐が出るわね。貴方の言っている事は下衆の論理よ!」  
義憤に駆られ、私は怒りの声を出す。だが、ボスは冷ややかな目で私を見下ろすだけだ。  
「馬鹿な女だ。…どうやら己の立場を身体に教えるしかないようだな!」  
言うやボスは鼻息も荒く私の身体に覆いかぶさってきた。そのまま両の手で私の乳房を乱暴にもみしだく。  
ボスの意図は明らかだった―。私を陵辱するつもりなのだ。  
「やっ、止めろぉーーー!!!」  
牢獄に私の絶叫が木霊する。何とか男の手から逃れようと私は身をくねらせて暴れようとするが、全く身体が動かせない。悔しいが薬のせいで抵抗する力がないのだ。  
 
「くくく、くやしいか?メス豚。どうやら薬のせいで抵抗出来ないみたいだなぁ」  
「くっ…。や、止めなさい…」  
私の声を無視して、ボスは私の乳房を弄びながら私の顔をベロベロと舐める。私はイヤイヤをするように顔を振って逃れようとするが、ボスは舌に唾液をたっぷりとつけて私の顔を犯し抜く。  
く、臭い―ひどい口臭で鼻が捻じ曲がりそうだ。  
「ヒヒヒ、どれ、本格的にかわいがってやるとするか」  
そういうや否や、ボスは私の股間に左手を伸ばす。  
クリッ  
これまでとは明らかに違う手つきだった。ボスの左手はスパイスーツ越しに私のクリトリスをつかみあげ、コリコリとこね回す。一方、右手の方も私の乳首をつまみ上げ、刺激を与えていた。  
「ふっ、口で言う割にはたいしたことないのね。そんなことじゃ私は満足させられないわよ、坊や」  
「くくく、そんなことを言っていられるのも今のうちだ。あの薬はただの脱力剤じゃない。お前のようなメス豚を調教するための媚薬でもあるのだよ!」  
「なっ、なんだと!くっ、ひゃうっ?!」  
ズキーン!  
唐突に私の身体を快楽の電流が駆け巡る。それは乳首と股間から発せられ、私の脳内を焼き焦がす。  
 
異常な程の感度だった。私はようやくあの薬の本来の役目を知った。極度に感覚を上げるあの薬は、通常の何倍もの快楽をもたらすのだ。「商品」の少女達もこの薬を使われているのだろう、彼ら好みの身体にするために。  
「ふんっ、どうやら効いているようだな」  
クリッ  
「ひぁあっ!」  
ボスの指先が触れるたびに私の身体がエビのように反り返る。  
「どうだ?感じているのだろう。この淫売が!」  
「ちっ…、ちがう…。私は…、感じてなどいない…」  
ボスの言葉を否定する私。目を瞑り、私は必死に快楽に抵抗していた。  
「ほう?ならこれはなんだ?んん?」  
そう言うやボスは左手を私の眼前に突き出した。  
ボスの左手は濡れていた。指の間を粘液の糸が張っている。  
「そ…、それは汗よ」  
「くく、見苦しい言い訳は止めろ。これはお前の本気汁だ。お前は感じているんだよ!この俺の手でな!」  
「そ、そんなこと無い…!ッ!アッ、アッ、アァン!」  
「ははは、スパイの癖にかわいい声を出すではないか。ほら、もっと鳴け!」  
「ヒィイ!アンアーー!!」  
私の意志とは裏腹に、身体はボスの愛撫によって快楽の虜になっていく。乳首とクリトリスは膨れ上がり、股間からは愛液がスパイスーツ越しに垂れて来る―。  
 
「ヒヒヒ、身体は正直だなぁ!すぐにヒィヒィ言わせてやるぞ!メス豚ァ!」  
「くっ…。たとえ貴方が私の身体を汚そうとも、心まで汚すことは出来ない!」  
私はボスに抵抗の意を告げる、それは私自身に対する叱責でもあった。だが―。  
「はっ!やせ我慢は身体に毒だぞ!」  
そう言うやボスは私の乳首とクリトリス、両方を絶妙な強さで刺激した。  
「ヒィイイイーー!!!!」  
私はたまらず目を見開き、一際大きく身体をのけぞらせながら悶絶してしまう。  
「ははは、さっきの威勢はどうした!えらそうな口をきいた割には愛液をこんなにたらしおって。このメス豚が!」  
―あぁ、意識が飛んでいく―  
自分の無力に絶望しつつ、私は官能の炎に身もだえする。  
「くくく。どれ、そろそろ俺のものを入れてやるか」  
「あぁ、イヤッ」  
ボスは自分のペニスをまろび出す。赤黒いそれは隆々とそそり立っていた…。  
 

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