あの日のあの娘がどこの誰だかわからないから、オレはソレを初恋と認めたのに
迂闊にも、そうだオレは迂闊にも、あの時オレ自身が発した言葉の意味を取り違えたりするもんだから、こんなややこしい思いに息も絶え絶え身もだえするはめになったのだ。
――バイバイおねえちゃん――
まさかそれが本物の”お姉ちゃん”を指示するなどと誰が思うか。
だってオレにはれっきとした実在の姉がいるし、いるからには自他共にシスコンであると認めるところのオレは、その残り香をたらふく吸って生きているわけで、
存分に、それもふんだんにお姉ちゃん成分を享受し倒してお腹いっぱい。おっぱいいっぱい。まさかいまさら増えるなんてーのは
「お釈迦様でも予想できねー……」
もうすぐくだんの鼓子姉ちゃんが風呂からあがる。すると本物の方の桃葉姉ちゃんが仕事から帰ってきて、ただいまもいわずに脱衣所に特攻。
チャリンコ通勤でパンパンになったふくらはぎを揉み解し、熱気たっぷりのストッキングを脱ぎ落としてうがいに洗顔、する頃には実は本物であったと判明したところの鼓子姉ちゃんがリビングに入ってきて、
本物の方の桃葉姉ちゃんのために、すわお手伝いと濡れた髪を肩のタオルで拭いながら味噌汁を温めなおすのであるが、その時客観的にはテレビを見ているように映るはずのオレの背後を、シャツとぱんつでいったりきたりするからたまらない。
「ゆきひこはテレビがスキナノ?」
という時の本物になった方の鼓子姉ちゃんは、ひきとられたばかりの子犬みたいな純真さで首をちょこりとかしげるのだが、まさかオレがテレビを見ている時はアナタの乳首に恋焦がれている時ですなどというわけにもいかないから、
「ははは、そうだよ。今この国ではこのタレントさんがトレンディなんだよ」
と、その人生の大部分を赤道直下の多島国で暮らしたこの人に教えてあげるのである。
風もないのに流れる金色の髪。鼻先で果物をぎゅーってやられたみたいに甘ったるい、南国の香り。
今一つ鼓子姉ちゃんがオレの実姉だと認めがたいのは、無垢すぎて罪なこの髪だ。
さらっさら。ちょびっとだけ、本当にいじらしい程度に肩口でゆるく癖がついた黄金、こんなもの、ハゲが多勢を締める父方の遺伝子が、率先して集団自決しなければ生まれるべくもない、奇跡。
血が混ざったのは戦争前というから、オレは鎖国明けでテンション上がりまくったご先祖様に、絶対頭が上がらない。参ります、墓。
「姉ちゃん、味噌汁泡吹いてるよ」
「うーはゥ!シマッタことだわ!!」
うーはぅ。多島国に由来する、変な方言。いやんとか、いやですわまったく、の意。
この国の言葉も、お箸の使い方も、見事に忘れて帰ってきた彼女は、なぜか味噌汁の作り方だけはキッチリ覚えていて、一日6リットルくらい平気で作る。
オレは
ただただ彼女の頭を褒めて撫でたいがために、それら大量の味噌汁を涙と共に飲み込むのであるが、さすがに最近、お医者さんから「今はまだ若いから血管が柔らかいけど……」みたいなことをいわれて本気で悩んでいる。
だって彼女の髪の毛はいいにおいがするのだ。だって彼女のほっぺたは柔らかいのだ。
どの道高くなる一方の血圧なれば、死して悔いなし。飲んで吸ってポックリ逝って……
「ソウだゆきひこ!きゃべつをとってクダサイ」
「えー、ったくしょーがねーなー」
などと抜かしつつ、オレの視線は黄金の産毛を焼き尽くすかのごとく、鼓子姉ちゃんの素肌を嘗め回すのである。
ぱんつぱんつ、白い尻白い尻白い尻、ぱんつ
「はい姉ちゃんぱん…きゃべつ」
「アゥ、ありがとゆきひこ」
だが渡さない。
オレはこの時ばかりは生粋の悪魔となって、きゃべつのはしをはっしと握り締める。何事かと眼を見開かす鼓子姉ちゃんはそんな無防備なところもアホほど愛らしく。
直ぐに意図に気づいて笑顔になる瞬間などは、富士の初日の出を拝む登山客の尻を、順番に見境なく蹴り飛ばしてやりたくなるほど美しいのだ。
「渡シナサイゆきひこ…!!」
「ふふふ、いやだといったらどうする…!?」
「わーたーすーのー……!!」
そのはしゃぎようといったらどうだ
今時のすれたガキには永久に理解できまい。
ただオレが頭上に掲げたきゃべつに、後一歩手が届かない。たったそれだけのことに、腹よじらせて笑ってくれる。喜んでくれる。そんな人のありがたさ。
このコンクリートジャングルの魔界都市で、こんな純粋培養天然太陽な笑顔を見せつけられて、自分のハウスダストまみれの血液を憂わない人間があろうか。
「イジワルー…!!」
鼓子姉ちゃんが背伸びをする度、栄養過多の乳がたぷたぷ揺れる。
先端が
しばしば擦れていくのは故意なのか故意でないのか。
オレはきゃべつに感謝した。一つにはこうした機会を与えてくれたこと。そして一つには、目の前で飛跳ねるこの姉を、思いっきり抱きしめてしまわないよう両手を封じてくれたこと。
「仲いいな」
「だぁぉあおおあぁjヵjぁjぁじゃえあとj;えtじゃ!!!――桃葉姉ちゃん!!」
「トッタ!!」
きゃべつ目線で説明すると。
突然現れた本物の方の姉であるところの桃葉姉ちゃんにビックリしたオレが、思わず掲げていたきゃべつを胸元辺りまで下ろし、チャンスとばかりに渾身の力をこめた鼓子姉ちゃんの二の腕が、勢い余って振りぬかれてきゃべつは中空。
滞空時間は永遠にも思えたが実際は一瞬だったろう、あとはよそわれるのを待つばかりの味噌汁にホールインワン、ぐわんと回った鍋はあまりにも無慈悲なこの星の重力にいざなわれて落下。
逆らおうとしたのがまずかったのか、オレは微妙にその鍋をなんとかしようと手を伸ばしたせいで、飛び散った味噌汁をモロに浴びたのである。熱いヤツ。
○
「ほら脱ぎな、洗うから」
「いいって…やっとくよ」
「いいからもう、……まったく」
脱衣所にて、奪われたTシャツはじゃぼじゃぼ水ですすがれる。
夜であるがゆえに生活音は水の音のみ。すすぎの達人桃葉姉ちゃんは、鼓子姉ちゃんよろしくシャツとぱんつ姿である。
オレはもちろん、ジーパンを脱ぐフリをしつつもローアングルからその引き締まった脚を眺めるのだが、こんなことが可能になったのも鼓子姉ちゃんのおかげか。
元々桃葉姉ちゃんは、24にもなって高校の時から着ている野暮ったいパジャマを愛用していたのだ。それはそれでよいものがあるのだが、そこへもっての鼓子姉ちゃんの襲来。
異文化は己を見つめる鏡であるといった人がいる。
保守傾向の強かった桃葉姉ちゃんは、自由と太陽を我が物にする鼓子姉ちゃんを見て己に問いただしたのだろう。ついには生まれてこの方意地でも使おうとしなかったルージュにと手を伸ばし、刃を研ぐ術を覚えたのである。夜もぱんつで歩くのである。
ぱんつ、そうぱんつにも、レース的なものが増えた。
悪いことではない。
黒曜石のようにキレイすぎる黒髪、それを惜しげもなく、短刀のように短くそろえた襟元。眼鏡だけはコンタクトが怖くて外せなかったが、それで色気が失せるどころか切れ味が増している。
さすがといっていいだろう。まったく持って鼻が高いと、オレは桃葉姉ちゃんの尻の割れ目をつるんと撫でる。もちろん、頭の中で。
「ひゃぅ…!な、なにをするんだゆきひこ?」
「は!?……違うんだ姉ちゃん、オレは頭の中だけのつもりだったのに…」
「ゆきひこ……」
きゅっきゅっ、という音を最後に、あたりが静かになった。
「ゆきひこ」
「はい姉ちゃん」
「やはりこういう格好がまずかったのだろうか。…その、もしもお前の劣情をいたずらに刺激しているのであれば、今日限りこういうのは……鼓子にもいっておく」
「そ…そんな!?」
脳天から焼き串をぶっさされたが如く。絶望という名の漆が、オレの血涙を吸ってよく映える。
それはまさしく、ありうべからざる神罰の一撃であるといえた。
楽しみが、唯一の楽しみが、人生の潤いが。
「ゆきひこ」
「はい姉ちゃん」
「私たちは姉弟なんだ」
「はい」
「こういうのは、あんまりいいことじゃない」
まじめ〜な眼が。マジメな話なんだぞっと、念を押している。両肩に置かれた手の平が、水で濡れて冷たい。
「まってよ桃姉!仲のいい姉弟ならお尻つるんくらいやるよ」
「え…?」
「桃姉は意識しすぎてるんだ!昔はもっとあんなことやこんなこともさせてくれたじゃないか!!」
「ゆ、ゆきひこ……?で、でもあれは私もよくわかってなかったし……お前もそろそろお姉ちゃん離れをしないと……」
「離れる!?離れるってなにさ…さては男でもできたなコンチクチョウ!!」
「ゆ、ゆきひこ……!?」
何をしようと思ったわけでもない、オレは両肩に乗った桃姉の手首をはっしと掴んだ。
だがそこは桃姉、さすがは合気の達人である。
狭い脱衣所で宙を跳んだオレは、どこに身体をぶつけることなく、一回転してふわりと着地。技を喰らった事実すら、オレから奪っていったのだ。
「落ち着くんだゆきひこ…お前は今が大事な時期だし…勉強して来年こそはいい大学に……」
「バ…バカにしたな!オレが今実質社会の構成員にすらなれない未熟者であることを暗にバカにしたな!!」
「ち、違うんだゆきひこ!待ってくれ!!」
オレは走った。走って逃げた。
途中何事かと顔をだした鼓子姉ちゃんを、無視してしまったこともオレの良心を酷く傷つけたが、そういうのも全部丸ごと、忘れるように布団に潜った。
○
大幅にはしょると
あれから、不貞寝を決め込むオレの部屋に鼓子姉ちゃんがやってきて、オレと桃葉姉ちゃんの仲介役をかってでた。
おずおずと枕元に現れた桃葉姉ちゃんは、しきりとオレを傷つけた発言について詫びるのだが、オレとしてはなんら悪いことをしていない桃姉がなんで謝るのか理解できず、なんだか人間のやさしさにつけ込む観光地の下卑た猿みたいに自分が見えて、居心地が悪かった。
居心地が悪いから部屋からでていってもらいたく、オレはオレがいかに汚らしい恥ずべき人間であるかを言って聞かせるのであるが効果がない。
ならば見るがいいベットの下に隠されたコンビニ袋の中のぱんつの山を。姉陵辱モノのエロゲーを。オレはついに、己の醜悪な性癖について吐露したのである。
「オレは猿にも劣る劣情で、実の姉を己の性のはけ口にしたのさ。笑えばいいよ、罵ってくれ、豚を見る眼で蔑んでくれ」
「いいんだゆきひこ」
「え…!?」
「お前がいくらダメな人間でも、役立たずの穀潰しの落伍者でも、それでも、それでも私の弟なんだ」
「桃姉…!!」
いくらか傷ついたが、それはまあ事実だから仕方がない。仲間はずれにされたとでも思ったのか、抱擁の輪に鼓子姉ちゃんも入ってきて、懲りないオレはそのにおいや体温をむさぼったのである。
結果からいえば全てがなしくずし的に上手く回って、3人は仲直りよろしく一緒のベットで眠ることになった。あまりにもファンタスティックな展開はオレの脳を夢漬けにし、両手が、揉ませろ揉ませろとうずいている。
明日からのことは考えなかった。今はただ、最大限にこの夜気を満喫するという、それだけが心を占めた。
○
「……………ぁっ…ぅ!」
くすぐったがりの鼓姉を黙らせながらまさぐるというのは困難な仕事だった。
指が触れただけでピクリと跳ね、声だけはあげないようにとするものの、くつくつと腹を折って笑っている。その背中を撫でながら
指の腹を
股の隙間に差し入れる。鼓姉の後頭部が、髪のにおいに浮かれていたオレの鼻っ柱を叩き潰した。
ゴメンと言おうとする鼓姉を制して、性器をなぞる指の数を増やす。くちびるがもう目の前にある。触れても拒否はされなかった。磨いたばかりの白い歯が覗いて、その奥に舌が見える。
歯磨剤のにおいがして、そのにおいをずっと近くでかいでいたら、潰された鼻に雫がついた。
鼓姉の悪気のない舌が、その雫を掬いとる。
「ゆきひこ……」
「鼓姉……声だすと…桃姉が起きる……」
その一言は効果的だった。
鼓姉は、カーテン越しの月明かりしか光源がなくとも、羞恥にサッとほほを染めたのが見てとれる。オレから顔をそらし、恨めしげに下腹部を攻める指を押し返す。もちろんオレは、そんな力のない抗議を受け入れるつもりなどなかった。
指の先に、染入るような感触があらわれる。
指でこねると、明らかにぬめりがあるのがよくわかる。そのぬるつきを使い、濡れた布地越しに鼓姉の粘膜を刺激すると、耐えかねたように自らを責めるオレの左腕にしがみついてきた。
極めて調子に乗ったオレは、空いた右手を反対側の桃葉姉に伸ばす。ギチギチのちんこが、ベットと下腹の間で行き場を失っている。
「ゆ、…ゆきひこ…お前…」
「桃姉……声だすと、鼓姉ちゃんに聞かれちゃうよ……」
これも効果があった。
強い抵抗はない、だが鼓姉とは違い、決してオレの顔を伺おうとはしない。背を向けたまま過ぎ去るのを待とうというのだ。
たわわに実った乳の先を、右指3本でゆっくりさする。摘みとるようにさする。シャツ越しに、その生地の摩擦でもって乳首の横腹を責めても、あくまで無視を決め込もうとする桃姉の、洗ったばかりのうなじを舌でなぞる。
「……っ!…ん…」
そのままだ液まみれの舌で、耳朶の中を丹念にねぶる。このまま無視するなら顔中よだれまみれにするよ的なことを囁いたら、泣きながら振り返った。
さすがにこれにはオレも戸惑う。
やり過ぎたか、今すぐ自殺すべきか。だが桃姉は、ゆっくりとくちびるをひらいてキスを求める。
怒ったわけでもないという、悔しいわけでもないという。ならばうれしいのか、そういうことでもない。なんだかよくわからないが、よくわからないから泣くしかないのだ。
「キスして…ゆきひこ」
それは形容しがたい感触だった。
この人は、なにもオレとキスをするために姉として生まれたわけではないのだ。普通に生きていればしなくても良かったこと。そこに踏み込むことへの、不安。
「桃姉……初めて?」
「……うん」
「キスも…?」
「……うん」
それからまた桃姉は泣きだしてしまった。
肩越しに白い手が伸びて、桃姉の頭を撫でる。鼓姉だった。
なんだかよくわからないが、みんなでキスをした。3人で舌を交ぜあわせるというのは変な感じだったが、そこそこ変なことをしたほうが自然に思えた。
○
そういえば昔、今と同じようなことをしたことがあった。
だから鼓子姉ちゃんは連れて行かれるはめになったのだ。
○
鼓姉は苦悶の表情の中で笑って見せた。
押し戻そうとする膣の肉が、鼓姉が吐く息と共に柔らかくなる。また少し奥に進んだ。
「動いていいよゆきひこ……」
「ん…」
鼓姉の下腹に力がこもる。気づいたようにまた抜ける。シャツを下にひっぱって、陰毛だけは隠そうとするのは、恥ずかしいからか、痛みをごまかすためか。
強張った鼓姉の眉間に、桃葉姉がキスをする。やがてくちびる同士が磁力を持ったようにくっつきあって、スキマから月光を湛えただ液がこぼれた。
オレは鼓姉の、突っ張るような右手をゆっくり握る。接合部がよく見える。それに気づいた鼓姉があわてて脚を閉じようとするのだが許さなかった。膝頭を軽く舐め、ちょっと噛む。
「ひゃぅ!!…な、ナニ…?」
「ん?鼓姉…足弱いの?」
宙に浮いた足先を、捕まえて口に含む。鼓姉は飛跳ねて、あまりにも陽気な声で笑いだした。
「や…やっ!!……ひぅ…ヤメテ…!!んー…!!ンー!!!」
暴れる鼓姉を、桃葉姉が押さえ込む。桃姉のぱんつが目の前で揺れて、思わず手を伸ばしたら、これがくったりと湿っている。
「…ん!……ゆ…ゆきひこ…?」
右中指で、湿ったぱんつを僅か下にずらす。肛門が見えて、そこからこもっていたにおいが溢れでる。相変わらず腰は動かしていた。鼓姉の膣の中で、オレのちんこは硬度を増しただろう。
びゅくり、と
盛大に跳んだ精液はそこらじゅうを白く濁す。収まる勢いはない。
オレは一度、鼓姉のシャツの裏地で亀頭を拭い、残りを搾ると、そのまま尻を向けた桃葉姉に怒張をあてがう。鼓姉の破瓜の血が、桃姉の膣液と混ざった。
「……っあ!!」
抱き合った2人を、上からにさらにかぶさるように抱く。ないまぜになった2人の汗のにおいに幻惑され、潰されあったおっぱいとおっぱいの間に手を差し込むと、やわらかすぎてなにがなんだかわからなかった。
自分の快感をむさぼるように腰を振ったら、途中何度か性器が外れて、桃姉が気遣うような顔をする。
自分の方がよっぽど切羽詰っているはずなのに。
結局オレは、桃姉がそうしろというままに、彼女の中に射精した。
○
さて
それからというもの、盛りのついたオレを止められる者はいなかった。例えばある日、鼓姉が、一念発起して料理を一からマジメに勉強しようと台所にこもっている最中
「……んっ!…ぁ、……ゆき…ひこ…ぉ…やぁ…」
その無防備な白い尻を、悪魔じみたオレの右手が撫で回す。鼓姉は身体をよじってさすまいとするのだが、残念ながらオレの指は人より長く、どう動いても性器の後端をなぞっていく。
裸にエプロン。残念ながらオレの魔手から貞操を守るにはあまりに貧弱な装備といえた。
「ふぁ…!…ん、んっ!!…」
諦めた鼓姉が、僅かに尻を突きだすようにして、濡れそぼった性器をさすりやすいようにするのだが、そんなときに限ってオレは冷蔵庫の中の牛乳を飲んでいる。
「ゆきひこ…!!」
鼓姉が本気でイラっとするのはこんな時ぐらいであった。手に包丁を握っているからそこまでバカにするわけにもいかず、すねたようにそっぽを向く鼓姉の、ほほにキスをしながら挿入する。
「ぁ……!ぁっう!!…んんん!!」
それまでに散々嬲っているから、絶頂に至るのは早い。鼓姉は終始とろんとした表情で膣をこする肉茎を感じ、後は彼女が下腹に力をこめるだけの体勢を作ってあげれば達するだろうと見てとれた。
「んん…ぅぁ!!…ぁ…ぁ!」
ぶるぶると、鼓姉の筋肉が強張るのがわかる。抱き寄せると、力の抜けた鼓姉の頭がもたれかかってくる。髪のにおいをかぎながら胸を揉むと、甘えるような声が返ってくる。
まだ射精してない、耳の中でそう囁くと、鼓姉はずるずると床にへたり込んで、オレの肉物をゆっくりと咥え込んだ。
あるいは桃葉姉が仕事から帰ってきて、いつものように風呂場へと直行した時
「ゆきひこ…!…やだ…そんなの…」
洗濯機の上に組伏せられた桃葉姉は僅かな抵抗を試みるのだが、弟の眼が獣じみた充血をしているのを見ると諦めて、されるがままになった。
湿ったら性器より恥ずかしい、腋の下。足の指の間。
そんなとこから率先して口に含んでいくオレを見て、桃姉は恥ずかしいというよりは申し訳ないというような顔をするのだが、その顔こそがオレをつけあがらせるのだと、訥々と語ってみたがやはりよくわからないという。
「ゆきひこはその…ん!…ぁ、…変態…なんだろう?」
「へ…変態とは何だ桃姉!変態というのはな…こうしてこうして…!!」
「やっ!…ちょ…ゆきひこ…!」
桃姉は最初なにをされたのかわからなかっただろう。そりゃあそこは生殖とはまったく関係ないところなのだ。一日のにおいが、溜りに溜まった尻の穴。
わずかに粘ったそこを、だ液をまぶして舌をでねぶる。
「ぅゃ…!…ゆ、ゆきひこ…や…やだ…!!」
うひゃぁとかうにゃぁとか、散々暴れまわる桃姉を静めるにはしばらくかかった。
最終的に、鼓姉はもうちんこまでいれちゃってるんだよとウソをついたら、今はまだ舌だけ、といわれて耳を疑った。