「このほしがきあまぁぁぁああああい!」
そう言って笑顔を見せる隣家の女の子。
「だろー?」
ふふん、と誇らしげに胸を張る俺。
「じーちゃんが毎年送ってくれるんだぜ!いいだろー」
「いーなぁ・・・。ねぇ、もいっこ頂戴?」
「えー、ダメだよ!さっきのは特別にあげたんだ!」
「けちー」
頬を膨らまし、ジトっとした目で抗議され一瞬たじろいでしまうが、
「ダメなものはダメ!家族の分しかもうないの!」
本当のことを言って諦めて貰うことにした。
「えー・・・。でも、あ、そっか」
残念そうだった表情が一転、何か得心したような顔になると
「じゃあ、お嫁さんになれば好きなだけ食べられるんだね!」
「あなた、お義父さんがこんなに」
妻が俺に実家から届いた荷物を見せてくれる。
「親父も毎年よく送ってくるよなー」
そろそろ来るころだと思っていたが、そのまめな所に思わず苦笑してしまう。
今度礼に孫を連れて帰るか。と思っていると妻は早速そのうちの一つを味見していた。
「お前、本当にそれ好きだなぁ」
少し呆れて言う。毎回俺の倍ぐらい食べるからだ。
「いいじゃない。あの時食べてから大好物になっちゃったんだもの」
美味かったのだろう。最高の笑顔で答えられた。
「食べさせた俺に感謝してほしいね」
「あら、あなたが私に悪戯して泣かせちゃったからくれたんじゃなかった?」
「・・・やなこと覚えてるなぁ」
妻はふふっと笑ってから、それに、と付け加える。
「あなたがくれたから余計に美味しかったのよ。」
照れたように言うのは、もちろん嫁になる!と干し柿目当てで言った女の子である。