「自殺するの?自殺するくらいだったら…」  
その声を僕は  
いじめに耐えられなくなり、その日死ぬつもりで居た深夜の学校の屋上で聞いた。  
 
帰りに一階のトイレのカギを開けておいた僕は、そこから忍び込み屋上に上がった。  
教室で首吊りも考えたが、飛び降りの方が早く終わりそうだった……  
そう考えて金網の登ろうとした僕に彼女が声を掛けた。  
 
黒髪のストレートをなびかせた黒衣の女性。  
「自殺する位なら、私に君をくれない?」  
年齢は二十前半くらいに見える。  
「僕を……」  
夜の暗闇の中、恐ろしいほどに存在を主張する白い顔。  
「そう…私には君が必要なの」  
彼女の黒い髪の隙間から赤い瞳が見えた気がした、  
そして呪いのような彼女の言葉が僕をその瞳に引き込む。  
「あの人を私たちが手に入れる為に……」  
もう僕には彼女の声は聞こえていながら、聞こえていなかった。  
僕は霧がかった思考の中で自分が頷いた事だけが解った。  
 
うなずいた僕に彼女がゆっくりと近づいてくる……  
 
ひたり…  
 
そして、彼女の冷たい手がゆっくりと優しく僕の頬を撫で、  
そのまま僕の顔を引き寄せ唇を合わせ、  
そのままの状態で呟く  
「死を選ぶ程の貴方の闇を…私に頂戴」  
意味の解らない言葉……  
「せめて、快楽のうちに眠らせてあげるから……」  
にも関わらず、僕はその言葉…そして、彼女の行動に抗う事が出来ないままに…  
いや、抗う事を含む…全ての思考を放棄したまま、彼女のなすがままに唇を貪られるように犯される。  
「…くっ…ん」  
やがて、彼女の甘い息が僕の呼吸が苦しくする頃、  
 
ぴちゃ…にちゃり  
 
わざと音を立てて僕の口内に彼女の舌が侵入してくる。  
「く…んんっ…うん」  
彼女の甘い息と温かく柔らかい舌に荒々しく口内を侵される感触に僕は背に震えを感じる程の快楽を感じ膝に力を入れていられなくなって座り込む。  
「あ…」  
崩れ落ちる僕の唇から彼女の唇が外れ、そこで初めて彼女が艶のある声を僅かに漏らす。  
 
「ふふ…さ、立って……」  
彼女はへたり込んだ僕と同じ目線にまで体勢を沈ませ僕にそう優しく言葉をかける。  
僕はその言葉に誘われるままにフラフラと立ち上がると、  
彼女はすでに大きく膨らみズボンを押し上げる僕自身に頭の高さを合わせ、  
ゆっくり器用に片手を僕の服に差し入れ腰から胸までを優しく愛撫しながら、もう片手でズボンのチャックを下げると限界にまで達した僕自身を取り出し、  
それを掴むとゆっくりと唇とそこから這い出た赤い舌を使い、くびれの部分や裏を刺激し、先から洩れた滴を嘗め取っ手ゆく……  
「あうぅぅ…くぅ」  
すでにいつ達しても僕は可笑しくなかった。  
苦しくなる呼吸に併せて洩れる声だけが、霞んだ僕の意識が感じられる快楽以外の全て……  
もはや、時間の概念すら僕には存在しなくなって居た。  
「あうっ」  
そんな僕に今までの緩やかな感覚を一瞬で打ち破る鋭さが襲った。  
「うぐ…はあっ……ん」  
彼女が僕自身を口の中に…先を喉の奥に当たるほどに飲み込むと同時に、僕の体をまさぐっていた彼女のしなやかな指が僕の後ろの穴を突き破ったのだ。  
それも一度に3本もが無理やりにその穴を広げながら……  
「あぐ…ぅう…くふ…」  
本来ならそれは恐ろしい程の痛みであるはずなのだろうが、  
僕にはそれさえも、背筋に…延髄に…そして、脳にしびれるような快楽として全身に震えを催す。  
「駄目よ…倒れちゃ…」  
僕を飲み込んだまま、彼女はその美しい声をくぐもらせて倒れそうになる僕を残った腕で腰を支え囁き、  
口の中の僕を吸い上げ、嘗め回し、甘噛み、責めあげ、  
同時に、僕の後ろの穴を征服したままの三本の指をうねらせる。  
「あ……あ…ああっ…あーーー」  
ついに耐え切れなくなった僕の意識を白い光が霞を吹き飛ばすように包み、  
あとには……  
…闇……  
黒い…黒い……闇……  
 
もう…僕はどこにも存在して居なかった……  
 
 
「次は今朝、遺書とともに発見された意識不明の少年ですが、  
 少年からは薬物などは検出されず……」  
平和な土曜日の午後、  
TVのニュースは相変わらずに暗い話題を喜んでショッキングに放映している。  
「これ近く…ですよね?」  
まったりと本屋家のばあさんが遥々、名古屋から(しかし、伊勢名物のはずが何故に名古屋に……)こっちまで冷蔵便で送ってくれた赤○をかき氷に乗せた氷○福をつつく手を止め、TVを見ていたベアトリスが呟く。  
「ん?そう言えば近いな」  
特にそのニュースに興味のない俺はこし餡と共に氷を口に放り込み、襲いくる頭痛を楽しみつつ更に一気に頬張り、  
「溶けるぞ?」  
と、ベアトリスの手が止まったまま音もなく上に乗ったこし餡に包まれた餅が氷に沈んでいくベアトリスの器をスプーンで指す。  
「あっ…はい」  
彼女はオレの指摘でようやく再び、氷をつつきだす。  
それを確認したオレはふとTVに目をやり、  
「また、近くの公園では同じ高校の4名の少年が意識不明で発見され…」  
先ほどの関連がどうとかと続くTVの音を聞きながら俺は、  
確かに珍しい事件かも知れないけど…程度にしかその時は思わなかった。  
 
あれからか?  
ベアトリスの様子がおかしいのは……  
時々、考え事をしている。  
「…なにか悩みでもあんのか?」  
「なんでも有りません!」  
しかも、その事を質問させない。  
彼女はこちらに来て以来、なにをどうやったのかオレと同じ高校のに通っている。  
クラスまで一緒の上、担任曰く、従兄弟の近くの席の方が良いだろうと隣の席だ……  
嬉しいんだけど、お約束過ぎやしませんか?  
その学校の帰り道、口を開いたオレの言葉を強く一言で否定すると、  
彼女は口を閉ざしたままオレの横を歩く。  
四六時中、一緒にいる相手。  
しかも、ソレが好きな女性となるとさすがにオレもこの態度はこたえる……  
そんな彼女に歩調を合わせ歩きつつ、オレは天を仰いで呟いた一瞬の事だった。  
「…困ったモンです」  
「本当にね、こう天使様のガードが堅いとね」  
オレの呟きに答えるように聞こえた女性の柔らかい声、  
そして、  
オレの横を抜けて行くベアトリスの光の槍。  
そして、制服の背を破り現れている彼女の大きな白い翼。  
…久々に見たけどやはりベアトリスの翼は綺麗だ…  
ってそんな場合じゃない……  
「いきなり酷いわね」  
そして、槍の穂先を身をかわして避けたらしい女性。  
黒い長い髪…黒い服…  
手には黒い…もやが形になったような縄…いや鞭か?  
そして、背には……  
彼女がベアトリスと対極であることを象徴するかのように黒い大きなコウモリの翼があった……  
 
「問答無用?  
 相変わらず天使様方はお厳しい事で」  
槍の間合いの外に出た黒い服の女性は緊張した面持ちで槍を構えたままのベアトリスとは対称的に髪をかき上げいかにも余裕といった態度で言葉を発する。  
それに対してベアトリスは無言で槍を構え直し答える。  
…というかこの状況……  
幸いにも人通りが無いが、そこからの家の窓から見られたり……  
しかも、先ほどのベアトリスの一撃は当たってもいない黒い服の女性の脇から後ろの家のブロック壁が大きく穿たれに大破している……  
…オレ、襲った時はあんな武器じゃなかったんだが……  
いやいや…それより、  
…オレは壁の弁償なんぞ出来んぞ……  
まして、向こうの女性の方はこの槍の破壊の跡を見ても余裕…  
10中8、9対抗手段がある。  
つまりほっとくと被害が広がる…  
「この状況…目立ちませんか…?」  
そう言うとオレは、  
三十六計逃げるにしかず、その場を離れようとベアトリスの手を取るが、  
現状ではベストと思われるオレの提案もベアトリスに手を払われ無言で却下される。  
「…そちらのわからず屋さんは場所を変えてはくれないでしょ?」  
黒い服の女性のその言葉にオレはベアトリスの表情を覗きみる。  
…そこには初めて見る彼女が居た。  
言葉が無かった……  
まるで表情のない…ただただ氷の冷たさを思わせる厳しさのみを持った美貌を持った存在としての彼女……  
「先に帰っていてくれませんか?」  
その彼女の口からオレに向かって半ば予想してた言葉が出る。  
…しかし、今目を離したらどんな惨事が起こるか……  
オレが居ても止めれる気は微塵もしないが……  
「それはないんじゃない?  
 私は彼に用事があるって貴方も判っているんでしょ?」  
 
…また…というか、やっぱりか……  
ええ、どうせオレが悪いんですよ……  
なんだかやる気が無くなるのをオレは感じつつもベアトリスの手を慎重に抑え、  
「…で、用ってのは?」  
黒い服の女性に話しかける。  
「悪魔に話しかけるなんて!!」  
後ろでベアトリスが抗議しているが、これ以上暴れられるのは面倒だ。  
今がしか車を穿った時は大した音がなかったお蔭か、まだギャラリーも居ないが、これ以上はどうなるか分からん……  
オレは効果があるのか判らないが、ベアトリスを安心させる為に手を握ってやる。  
「ふ〜ん、天使と行動している割に貴方って柔軟なのね」  
黒い服の彼女は軽く微笑むと、  
「私の名前はオリビア・トーデスウァタイル、かってそこの彼女たちに創世記戦争において負けた者たちの一人です」  
彼女の声は凛と張ったベアトリスとは逆に柔らかく染み入るように届く。  
「名前より用件を簡潔に頼むぜ…ベアトリスを怒らせたくない」  
彼女はオレの言葉を聞き、  
「やはり呪は聞かない…」  
と呟く。  
同時に握っていたベアトリスの手から緊張が微かに薄れるのを感じる。  
なるほど…彼女の言葉自体に力があるらしい。  
「ベアトリスがオレが話す事自体を諌めたのはそういうワケか……」  
そんなオレの言葉を無視し未だ槍を構えるベアトリスとは対象的に、  
彼女…オリビアは柔らかい表情を崩さずに軽く長い黒髪をかき上げ言葉を続ける。  
「もっとも効くわけがないんだけどね。  
 で、本題なんだけど」  
その時、初めてオレは彼女の瞳が赤いことに気がついた。  
 
「私と一緒に堕天しましょう。  
 先の天使長様しかり、強大な天使は強大な魔と成りえます。  
 増して神の一人子である人に転じる事を許された貴方は  
人と同じく光と闇の両儀性を備えています」  
…そう来たか……  
要するにあれだ…勧誘ってわけだ。  
…となるとオレの回答は決まっている。  
それを言葉にする為に  
「断ります!」  
一瞬、意識がオリビアと名乗った彼女に向いた瞬間。  
再び、ベアトリスが飛び出す。  
…なんでオタクはそう攻撃的になってしまったんだ……  
初めてあった時はもっと柔らかった気がするんだがなあ……  
 
いや、感慨にふけっている余裕はない…止めないと……  
そうオレが思った時、すでに二人はベアトリスの槍をオリビアが鞭で逸らしたところであった。  
「すごいでしょ?  
 死のうとする程に人を追い込んだ心の闇から造ったのよ」  
オリビアは槍を逸らした鞭を軽く振るう。  
道路がえぐれ、彼女の左右のブロック壁が崩れる…  
「やっぱり…あの意識不明の人たちは貴方が…」  
ベアトリスが槍を構え直し呟く。  
「当然でしょ?幾ら受肉して十全の力が無いからってなんの準備もなく貴方の槍に挑むのは御免だわ。  
 苛めっていうのね?被害者と加害者どちらも良い材料になってくれたわ」  
 
オリビアの説明の間にも順調に破壊活動が進んでいる。  
…しかし…あのニュース以来ベアトリスの様子が変だったのはそれを予想してたってわけか……  
だったら、オレだって無関係じゃないんだし相談くらいしてくれたって…  
…そもそも、こうベアトリスが攻撃的なのって、もしかしてオレの事信じてないからじゃないのか?  
なんか考えたら段々、腹が立ってきた。  
 
オレは二人の攻撃を避けながら近くに歩いて行くと、  
路駐してある車がベアトリスの槍で穿たれ大破し、わずかにベアトリスの動きが止まった隙にそのベアトリスの腕を掴んで二人の間に割って入り、  
「…っのくそだぁきゃあどもっ(このくそ田分けどもっ)!!」  
思いっきり叫んでやる。  
すっきりした…と、それで終わったら仕方ないな。  
まずは…  
「そっちの黒いのっ!!  
 答えはNO、さっさとその鞭の材料になった人をなんとかして帰れっ!!」  
オレは緊張状態でいきなり怒鳴られ唖然とするオリビアに要点だけ的確に伝えると、  
掴んだベアトリスの腕をそのまま強引に引っ張り、そのまま急ぎ帰路につく。  
野次馬集まって来たのか、ざわざわとにわかに騒がしくなる気配を背に感じながら。  
 
 
「ったく…」  
家についたオレは自室にベアトリスを連れ、座らせる。  
もちろん、説教のためだ。  
さすがにこんな事が度々あって貰ったら困る。  
「オレが怒っているの判る?」  
オレは彼女と向かい合って座り、真っ直ぐ彼女の目を見据えて質問する。  
「…ええ」  
「なぜ怒っているのかは?」  
「…私が予想してたのに黙っていた事でしょうか?」  
彼女がオレの視線を避けるようにうつむいて答える。  
「たしかにソレもある。  
 …が黙っていた原因の方が問題だ。  
 ……オレの事、信じてないんじゃないか?」  
だから、オレが何が何か解らない間に事を片付けようと問答無用でオリビアを攻撃した……  
状況を理解したオレは誘惑に乗ってしまうかも知れないから。  
「…それは…」  
ベアトリスが言葉に詰まる。  
どうやら、そうだったらしい……  
「そりゃあ、オレは…怠けモンだし適当だって自覚してるよ」  
都合の良い話だろうけど…それでも、彼女が好きだって気持ちだけは信じて欲しかった。  
表現し難い感情がオレを苛つかせる。  
「…でも…貴方、初めて会った時以来…愛してくれてない……」  
彼女が絞り出すような小さな声で、最後はほとんど聞こえないような声で言う。  
 
「え?」  
思わず、オレはいままでの憤りの毒気が一気にその言葉に抜かれたオレは思わず間抜けな返答をしてしまう。  
「言葉でさえくれない……」  
「いや…それは…男はほいほいと言えることでは……」  
完全にすでに立場的に押されているオレはしどろもどろに答える。  
「それに…抱いてくれない……」  
いや、待て…この家の主で自称冒険家でヨーロッパの方の大学に考古学で客員教授として招かれて単身赴任の伯父は居ないが、妹が家に居るんだし、そうそうとは出来ない…  
よね?  
オレは同意を求めるようにベアトリスに笑顔を向けてみる。  
……が、効果はないようだ……  
「私の体…嫌でしたか?  
 貴方より背が高いのが駄目だったのですか?  
 痛がったからですか?」  
…どうやら、彼女は自信が無かったんだ……  
…だから、オレの気持ちを信じられなかった……  
 
だったら…  
彼女に解らせなければならない。  
オレはベアトリスじゃなきゃ駄目だって事を……  
 
そう決心しオレは腕を延ばしベアトリスを抱き締め、  
「あ……」  
寸刻前の決心は何処へやら…  
愛していると言おうとしたんだけど、言葉が出ない。  
嗚呼…軟弱者……  
オレは赤面したまま、酸欠の金魚のように口をぱくぱくし必死に声を絞り出す。  
「あ…アイシテイルよ」  
嗚呼…駄目人間……  
声が裏がえってしまった。  
バツの悪いオレは失敗を誤魔化すように彼女の口を塞ぎ、  
キスをする。  
これなら言葉が出なくても良い。  
オレはそのまま口付けたまま彼女を抱き締め、彼女の制服の上着をまくり上げ、  
そこに腕を入れ背に回すと少々手間取りながらも彼女のブラジャーのホックを外す。  
支えを失った白い布で出来たソレはゆっくりと重力に引かれ、  
まくり上げた制服の間から隠すべき真っ白なささやかな膨らみとその頂点に存在する白色に近い桃色をゆっくりと露にしながら落ちる。  
…正直、うまく外せて良かった…いくら初めて外すからってドジったら格好がつかない……  
そんな緊張のため、  
オレは彼女と合わせた唇が合わせただけで何もしていなかったのを思い出し、  
彼女の唇を自分の唇で押して、その感触を味わう。  
 
オレは彼女の唇の弾力を自分の唇で楽しみながら、  
強く吸い…そのまま、舌を彼女の唇の裏に滑り込ませ歯茎をなぞるように嘗める。  
何回目のキスだったか、たしか5回目か……  
さすがに慣れ鼻で静かに呼吸しながら、長く長く彼女の口の中にオレの気持ちを込めて刻む。  
 
その間にオレの右手は彼女の胸だけでなく、背や脇など上半身全てを愛しさを込め愛撫して行き。  
左手で彼女のスカートの脇のチャックを下ろすと、そこから腕を入れ彼女の太股を…そして、ショーツの上から彼女の大切な部分を愛撫していく。  
 
前回は初めてだったし、ただ自分のオレは愛を押し付けただけだった。  
だが、今回は彼女の全身にオレの気持ちを刻まなければならない。  
言葉でうまく言えない分、彼女の全てがオレは愛していると…  
ベアトリス以外の女性じゃ駄目なんだとしっかり教えてやる必要がある。  
 
やがて、ショーツに上からでも解る位に彼女が潤って来たと感じたオレは一度彼女を放すと、  
ズボンとトランクスを脱ぎ捨てすでに限界まで大きくなった自分自身を取り出す。  
 
すでにオレは、彼女と一つになりたくて仕方なかった。  
それは自制など利かないほどに……  
…が、まだ大切なことが残っている。  
「ベアトリス…その…あの……」  
「…どうかしましたか?」  
先ほどからのキスと愛撫で軽く達したのか、彼女は潤んだ紫色の瞳をオレに向ける。  
「あ…その、足を…開いてくれないか?」  
「え?」  
前回も今回も今までオレ任せだった彼女が初めて促される彼女からの行動に戸惑いの声を上げる。  
「…見たいんだ…ベアトリスの全てが……」  
決してオレの言葉は滑らかに出てはいないが、愛してるの一言を言えなかった時よりはマシな程度には言葉が出た。  
そんなオレの言葉にベアトリスは目を伏せ戸惑いながらゆっくり足を開き答えてくれる。  
脱げかけたスカートをオレはゆっくりとまくり上げと、その下にあるショーツを少しづつずらし、  
彼女の金色の淡い茂みとその下に隠れた彼女の大切な部分をゆっくりと撫でる。  
「あ…ああっん」  
彼女のソコはすでに充血し鮮やかなピンク色をしていた。  
オレは初めてはっきり目の当たりにするソコの構造をしっかり把握しながらあます所なくオレの指の感触を刻み込んでいき、  
そして、オレにも彼女の感触を刻み込んでいく。  
 
「愛しているよ…ベアトリス」  
そして、充分に彼女を愛撫し一つになろうと体を起こし彼女を抱き締めたオレの口から、  
驚くほど自然にあれほど苦労した挙げ句に失敗した言葉が出てくる。  
心のそこから素直に湧き出してくる言葉だ。  
そして、  
「成さん…私も…愛しています」  
「もしかして…初めてオレの名前呼んでくれた?」  
今、彼女の口から名前を聞いて気づいたが最初の確認の時以外、彼女はオレの名前を呼んでくれていなかったんだ……  
オレはそんな事も気づかなかったのか……  
無意識だろうけどとっくに彼女はオレにサインを送っていたのだ……  
自分がオレの名前を呼んで良いのかさえ迷っていたんだ…  
オレはそんな彼女への愛しさが一層強くなり、強く強く彼女を抱き締め一つになった。  
 
まだ、ベアトリスには二回目とはいえ痛みがあるらしい……  
オレの背に回した彼女の腕に力が一瞬入り、同時に彼女の眉間に苦悶のしわがよる。  
オレは抱き締めた腕の力を少し抜き、彼女を優しく抱きゆっくりと腰を回すように馴染ませる。  
前はそんな気遣い出来なかった……  
そんな反省もこめ、ゆっくりゆっくり優しく行う。  
「んっ…あんっ」  
とたんにベアトリスが反応した声をもらす。  
その声に誘われる絶頂感にオレは必死に耐え、少しづつ少しづつ円の大きさを大きくし、前後運動を加えていく……  
すでに散々の愛撫で達しかけていたオレ達はそれだけで二人で同時に絶頂に向かっていってしまう。  
「あんっ…成…さんっ」  
「ベアトリスっ!!」  
オレ達は初めて最も大切な人の名前をお互いに確認し心に刻みながら達した。  
 
 
−・ー・ー・エピローグ・ー・ー・ー  
あれから3日…  
ベアトリスとオリビアの破壊活動は結局、テロの可能性?  
などとワイドショーにずっと取り上げら続けて大事になってたり、  
オリビアの鞭の材料にされた意識不明者の内、2名が目覚めその二人はオリビアに襲われた時の記憶が無かったり、  
ベアトリスの話ではオリビアはあくまで心の闇を抜いただけで、精神の一部が抜き取られたショックで意識を失ってただけらしい  
…つまり、ストレスとか破壊衝動を抜かれて良い奴になるんだそうだ……  
悪魔がそんな事をするのは妙な気もするが、まあこの件は結果オーライだろう。  
 
そして世間の話題は原因不明の二件の話題で持ち切りだった。  
幸いにも、オレやベアトリスの関連はどうやら疑われていないらしいが、それにしても疲れる……  
 
そして、四日目……  
 
「はあ…まだ世間様はあの話題なんだよなあ」  
家を出た途端にため息が飛び出す。  
「すみません」  
横に並び家を出たベアトリスが最近、ようやく自分の行為が大事になったと気づきオレに向かって頭を下げる。  
「いいよ…反省してくれたんならさ…」  
うなだれたベアトリスにオレは無理やり笑顔を作って答える。  
「いや、そう簡単にゆるしちゃ駄目でしょ?」  
……?  
いきなり横から入ってきた声にオレとベアトリスは顔を合わせる。  
「大体、天使っていうのは融通が利かないのが良くない」  
……オリビア  
偉そうに横から講釈をたれる悪魔にオレは呆れる。  
余裕はないっ!!  
オレは急ぎ隣のベアトリスを抑える。  
案の定、彼女はすでに槍を構えていた……  
 
「ジーベンビュルグさん?教師に暴行は良くないんじゃないですか?」  
オリビアはそんなベアトリスに全く動じることなく、  
人指し指をたててからかうように笑う。  
そして、  
「簡単には諦めませんよ。  
 だって…私たちを恐れずに怒鳴った彼かっこよかったんですから」  
そうクスクスと笑いながら、オレたちの学校の方に去っていく……  
「って…おい…教師ってもしかして……」  
オレは一瞬横切った嫌な予感を口に出すが、  
いや、今はそれより  
「ストップ!!ストップっ!!  
 オタクは反省したばかっじゃねえのかっ!!」  
そんな彼女を槍を構えたまま追いかけようとするベアトリスをオレは必死で押しとどめる。  
彼女を押しとどめながら、オレは予感した……  
……オレのまったりの日常はしばらく帰って来ないのかもしれない……  
その予感に怠け者のオレは目の前が暗くなるような感覚を覚えた。  
 
 

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