「はい」  
という声という声と同時にオレの口元に朱色の箸に挟まれたモヤシと豚肉の炒め物が運ばれる。  
因みに箸を握っているのはオレじゃない。  
妹だ……  
よんどころない事情から、利き手を怪我しているという事にしてから続く我が家の食事風景だ。  
オレの手を見た妹は「下手に右手で不器用に箸を使われてこぼされても困る」だのと言って強引にオレの世話を焼き始めやがった。  
最初はすぐ腕も直るつもりだったから黙って妹のやりたいままにさせておいたが、正直この状況が続くとベアトリスの視線が痛い気がしてくる……  
天使はどうか知らないが、多分、恋人のこの状況を快く思う奴は居ないと思う。  
かといって肉類の臭いが駄目な菜食主義のベアトリスに頼むと、肉好きのオレまでしばらく草食にならざるをえない。  
ならば別に妹の下らない意見を却下して、自分で食べれば良いんじゃないか?  
多分、誰もがそう思うだろう。  
オレもそう思う。  
……が、残念なことにオレは情けない兄貴世界ランカー確実な妹を怒らせるのが恐いという駄目兄貴である。  
結局、オレはその日もベアトリスの目を気にしながらも、妹を無碍にすることが出来ず夕食を終えてしまった。  
 
夕食のあと、自室に戻り一人になったオレは、漫画雑誌を読むでもなく片手に弄びながらごろ寝し、  
「まずいよな…」  
呟く。  
オリビアを助けた時の一件も有るし、ぶっちゃけ  
「いつベアトリスに見限られてもおかしくないような気がする」  
「いつ、どころか未だに三下り半突き付けられておらぬことが奇跡であるな…」  
「うぉっ」  
オレは思考の途中で突然、背後からかけられた声に驚き思わず声を出す。  
「大袈裟じゃな」  
そのオレの反応に愉快そうにカラカラと笑いながら、オレの反応に対して背後の声はコメントする。  
「ベリアス……  
 気配も無く他人の部屋に立ち入らないでくれよ」  
オレは振り返りながら声の主に軽く無駄な抗議をする。  
そう、あくまで無駄な抗議でしかない……すでにオレは諦めて辞書からプライバシーという文字は削除している……  
そんなオレの心情をまったく気にかけてくれる様子もなく、  
「ところで茶は出ぬのか?」  
相手はベッドに腰をかけながら、図々しい事この上ない事をぬかしてくれる。  
「メンドイから嫌」  
せっかく自室でまったりしてるんだから、茶を煎れる程度の作業だけでも動きたくない。  
オレは正直に簡潔に答える。  
 
「うまい茶を煎れてくれば、機嫌が良くなって悩める青少年に余が直々に相談に乗ってやるやも知れんぞ」  
うまい茶ってところが、果てしなく図々しい……  
ベアトリスを愛称で呼ぶところを見ると色々と彼女について知ってそうなんだが、知っているからと言って良いアドバイザーになるとは限らない。  
むしろ、悪化しそうな予感がビンビンする。  
相談にあまり意義が無いと判断したオレは、  
「ほったっといて下さい……」  
と答えると、床にごろりベリアスからそっぽを向きごろ寝する。  
「ぐっ」  
ベリアスに背を向けた瞬間、ごろ寝したオレの背中に鋭い痛みが走る。  
蹴りが入ったらしい。  
「余は茶が飲みたいと言っておるのだ」  
蹴った足でそのままオレの背中をぐりぐりとしながら、低く押さえた静かだが迫力のある声で  
「はやく煎れてこぬか」  
と続ける。  
いろんな意味で弱いことの哀しさを噛みしめながら、オレは背の痛みから逃れるために仕方なく、立ち上がるとお茶を煎れに部屋を出た。  
 
15分後、  
結局、お茶を煎れたオレはベリアスと向かい合って妙なひよこを型どった形の和菓子をお茶受けにお茶をすすっていた。  
 
「貴公は何をやらせてもうまいのう」  
役に立たなくても愚痴れば少しは楽になるかもしれない。  
そう思ってお茶を飲みながら、話したオレの話を聞き終わったベアリスはお茶を一口口に含み、それを味わうとお茶受けをかじると一息つく。  
因みに二杯目だ。適当に煎れた一杯目は口もつけてもらえずにオレの頭にかけられた。  
「…それはどうも」  
オレ適当に相づちを打ちながら、自分の分を口に3分の1ほどの欠けらになった自分の分を放り込む。  
その欠けらが丁度、喉を通ろうというタイミングを見計らったかのようにベリアスは次の言葉を紡ぐ。  
「女性を口説くのもな……」  
「ぐほっ…うんぐ」  
一旦、話題を変えてからの、その不意打ちの言葉に喉にひっかかりかけた欠けらをオレは無理やりお茶で流し込み飲み込み、  
「口説いた覚えはあまり無いんだけど」  
開口一番に極めて冷静を装ってその言葉を否定した。  
「冗談だ」  
その様子は逆に雄弁にオレの慌てを語ったらしく、ベリアスは前言を冗談としつつも、オレの様子を見て満足そうに微笑む。  
 
「しかし…な」  
また一口、ベリアスはお茶を飲み。  
言葉を続ける  
「オリビアのことならばともかく…  
 妹に関してトリシアは何も言えんからのぅ」  
「はい?」  
意味が判らず出たオレの言葉を無視して、勝手にベリアスは言葉を続け、  
「トリシアは真面目だし、何より自分の気持ちを殺す子じゃからな……」  
最後にオレに言うというより何か独り言のように呟くと、残ったお茶を飲み干し立ち上がろうとする。  
 
「ちょっ、タンマっ!」  
ベリアスがお茶の最後の一口を飲み干す前に呟いた言葉が気になり、オレは思わず立ち上がり窓から出ようとする彼女の小さな手を握って止める。  
「なんじゃ?」  
オレに手を握られ止められたベアリスは振り向きながら問うてくる。  
どうやら、聞けば話してくれる気はあるらしい。  
「いや…なんで妹に対してベアトリスは何も言えないんだ?」  
普通、余程じゃなければ妹がどうこう文句は言わないだろうし、  
その言葉は特に気にする事じゃない。  
……はずだけど、妙に気になったオレは彼女にそう聞いてみた。  
「どうしても聞きたいか?」  
「まぁね…」  
「で…あるか」  
「でありますとも」  
やけに念を押すな、そう思いながらオレは彼女と言葉を重ねる。  
「では教えてしんぜよう。  
 なに、大した話でない」  
と前置きした彼女は、ちょこんとその場に座るとコホンと咳払いをして、  
「貴公の妹は神から反逆した兄を追い落とした褒美に、人である間の貴公に唯一の特別として側に居れるはずの許しをもらっておる。  
 結ばれることのない兄妹そのかわりの特権、しかも神の許可付き。  
 本来はここに居らぬはずの上に、天界では貴公を奪ったトリシアは文句は言えると思うか?」  
……って?  
「ちょっ待て、となると美迦も……?」  
オレの口から生じた疑問が即座に言葉として出る。  
「ふむ、貴公と同じだ」  
その疑問の意を解したベリアスは、その問いかけに頷く。  
 
「はあ…」  
またそのパターンか……  
芸がないってのは良くないなぁ。  
思わず、ベリアスの言葉に頷きながらオレの口からため息が洩れる。  
「ところで」  
そんなオレの疲れた心情とは真逆に弾んだ声でベリアスが話を続ける。  
「悪魔は天界の秘密を教えるのに代償を貰うわけだが?」  
「へ?」  
彼女の口から出た代償という、予期せぬ言葉に間の抜けた声が漏れる。  
「当然であろ?  
 余は聞きたいかとしっかと確認しておるぞ」  
オレの予想外を無視し、ベリアスは言葉の通り当たり前だという風体で、下からこちらを見下ろすという器用なポーズを取っている。  
 
その自信有りげな様子は、肝心な部分が説明不足だとか道理の通る余地が感じられない……  
オレは仕方ないから、代償とやらが何か聞いてから逃げるなり、ベアトリスを助けに呼ぶなり何なり考えよう(それにしても、逃げるだの助けを呼ぶだのしか具体的な選択肢が無いのは情けない……)と考え、彼女に聞いた。  
「…で、代償って?  
 ちょっと聞いただけなんだから、地獄行きは無しだぜ」  
「む…ぅ」  
さすがに冗談のつもりで言った言葉に残念そうに唸る彼女の様子に不安になる。  
「おいおい…さすがにそりゃ図々し過ぎだろ?」  
「わ…解っておるわ!余を馬鹿にするでない!」  
オレの突っ込みに過剰に反応する所が余計に怪しい…  
が、いつまでも引きずっても仕方ないので、改めて聞き直す。  
「じゃあ、なんだ?」  
 
「ふむ…それなのだが……な」  
オレの言葉にそれまでの態度を一変させ、彼女が小さな顔をうつ向かせて口ごもり始める。  
その彼女らしからぬ態度に怪訝に感じ、声をかけかねたオレの手が唐突に彼女の小さな手に握られる。  
「ど…どうしやあした?」  
彼女のその行動に反応して反射的にオレが呟いた声に顔を上げ、ベリアスが口を開く。  
「余を愛でよ」  
「な…何を急に?」  
「急ではないわ、たわけ…  
 再会してからずっと…余は貴公に気持ちを隠してはおらぬ……」  
唐突な言葉に聞き返したオレに彼女は呟くと、唇をきゅっと結んで再びうつ向いた。  
その言葉を聞きよくよく記憶を巻き戻すと、確かにそうかもと思う。  
最初に会った時などは、いきなり唇を奪われている。  
オレはうつ向いた彼女を改めて見た。  
その姿はいつもの小さな姿に無駄に威厳を漂わせた魔王でなどでなく、告白への返答に脅える普通の少女のものであった。  
「ベリアス?」  
その普段との差異に、彼女の存在を見失いそうになったオレはそれを確かめるために彼女の名を呼び、思わず握られた彼女の手を引き寄せそうになるが、オレの動きはそこで止まる。  
「解っておる。貴公が好いておるのはトリシアだからな……  
 解っておるのだ…だが、余は貴公の短い人としての時間が終わればもう会えぬかも知れん……  
 それどころか次、会う時は敵味方やも知れん…だとすれば、余は今しか思いを遂げられない…そう思うと……」  
彼女の声は最後の方は小さく消え入りそうだった。  
「……ベリアス」  
その彼女のか細さが不安になったオレは彼女の言葉が終わる前に、握られた手を引き寄せそっと抱き締めてしまっていた。  
「わ」  
その行為にに驚いたのか、彼女に口から小さく声が洩れる。  
 
「小っちゃいんだな」  
つい思いもよらず動いてしまったことに動揺したオレの口から誤魔化すように取り留めにない言葉が出る。  
「……小さいと駄目か?」  
その言葉を、彼女はおずおずとオレを見上げて不安そうなままに聞き返してくる。  
好みとしてはオレはお姉さん属性なのだが、  
「いや、そんな事はない」  
自然と流されるまま、彼女の不安を否定する答えが口から出る。  
その言葉を聞くや否や、  
ベリアスはにこりと微笑むとするりとオレの腕の中から抜け、顔は赤いままながらも今までの態度を一変させ、胸を張り  
「ならば、余に全て任せるが良い」  
と一言言うと、オレを抱き締め返してきた。  
そして、  
「おい…」  
その行動に反応し、声を出す間も無いオレの目の前にストレートの紫色の光沢のある髪が迫ってきて、  
小さなベリアスの唇がオレの唇に重ねられた。  
「うん…んん…」  
ベリアスの薄めだが、ひたすら柔らかい唇はそのまま何度もオレの唇についばむように重ねら離れる。  
 
彼女の顔が僅かに離れことで視界が開け、今の彼女の状況が目に映る。  
なんだか妙にふわふわした抱き心地だと思ったら、彼女の背にコウモリのようなベアトリスやオリビアと比べると体の大きさに比例するのか随分と小さな羽が生え、  
ぱたぱたと羽々たいて彼女とオレの身長差を埋めていた。  
「……可愛いなソレ」  
 
ベアトリスやオリビアのように人間の大きさ相応の翼と違い、  
ディフォルメされたようなベアリスの小さな羽に対する率直な感想が洩れ、  
その言葉に反応した、ムスっとした表情でオレの顔を睨み口を開く。  
「余を馬鹿にしておらんか?」  
「いや、そんなことはないよ。  
 ただ可愛いなって思っただけで」  
「この姿では仕方ないか…」  
彼女の自分の言葉に対するオレの答えを聞くと、ため息と同時に呟きを吐き出し、  
「ならば、その体に認識を改めさせるしかあるまい」  
ため息の時に下を向いた彼女の赤い瞳が再びオレを見据えた時にギラリと輝いたかと思うと、  
彼女はふわりと自分の体を浮かすと再びオレの唇を奪った。  
 
それは先ほどのついばむような優しいキスでなく、  
深い深い唇の柔らかい感触を自在に弄び、歯茎をなぞり、  
舌を絡め唾液をすする濃厚な貪るような口付けが何度も繰り返される。  
「…ぅん…くうっん」  
彼女の熱い吐息が熱い口内をくすぐる度に、それに従って頭に血が登り興奮が高まっていく。  
 
その興奮に突き動かされ、オレが彼女の口付けに応え始めると、  
それを待っていたように、今度はオレに抱きついていた彼女の手がオレのシャツの中に入り込み背中をまさぐり始める。  
「…ぅ…おいっ」  
背中を柔らかく這う指の感触は、オレが自分がされることに慣れてない事を差し引いても異常なほどオレの神経を甘く刺激し興奮を引き出していく。  
その刺激に驚き思わず唇を離し抗議するオレにベリアスは、  
「余は見た目で誤解されておる認識を改めさせると申したであろう?」  
とその反応に満足そうに微笑み、  
三度、自分の唇をオレの唇に重ねるとまくり上げたシャツを片手で器用に脱がし、  
その間にも彼女の残った手はオレの体を這い回りその通った道に甘い刺激を刻み込んでいく。  
 
その甘い刺激が序々に自分のものにうずうずと溜まっていくのを感じて、これはマズイ…このままでは、決定的に主導権をベリアスに握られてしまう。  
そんな物は自分には無いと思ってた男としてのプライドか、  
それとも自覚は無いけど、素性が素性だし悪魔に対して反発でも有るのか、  
とにかく何とかせねばという焦燥感をオレが感じ始め、こちらからも手を出さねばと火照り鈍くなった手を動かし彼女の腰に手を回そうとした時。  
「……こ…こんなに大きいのか……?」  
と、オレのGパンに手をかけた彼女の口から洩れた声に気構えていたオレの気合いが抜ける。  
だって…悲しいけど、修学旅行の風呂などの経験からオレの大きくない…むしろ小さいとは自覚している……  
それに対してその反応。  
 
その声の後、彼女の手がそれまでオレをリードしてたとは思えないほどにたどたどしくなりズボンを半ば下ろした状態で、  
「……ごくり」  
と息を飲むと止まってしまう。  
「もしかして…はじめてなのか?」  
その様子に違和感を感じたオレが女に問いかけると、  
「違うぞ!」  
彼女は慌てて否定し、  
「…ただ、男は……」  
と少し小さな声で付け足す。  
「……女性経験は豊富ってことですか……」  
張ってた気持ちをスカされたせいか、止めのオチがついた所で特に面白いわけでもないのに言葉とともに笑いがこぼれる。  
 
「わ、笑うことは無いではないか……  
 単に男のモノがそこまで大きくなるとは思っておらなんだから不意を突かれただけで……」  
ベリアスは本気で自信があったのだろう、  
それだけに予想外に対する動揺が声にありありと出ている。  
ここで、予想外のことは起こるもの…と余裕ぶっこいてくれれば海兵隊隊長並の風格が出るのだろうが、残念なことに魔王様にその余裕は無いらしい。  
などと、下らないことを考えていたのが顔に出ていたのか、  
「貴公以外の男が相手では余は嫌であるから、なれば可愛い女の子を愛でるしかあるまい!!」  
ついにキレたのか、ベリアスは少し強めの語調で何が何だか解らない論理を展開し、  
止まっていた手を再び動かすと、一気にオレのズボンを引き下ろしオレを左腕を押さえながら押し倒す。  
 
「……これを入れるのだな」  
オレを押し倒したベリアスは、オレの太股のあたりに跨り腰を降ろすと、その体制のままトランクスの縞模様の布地でテントを作っているモノを乱暴に取り出し、  
それを握ったまま残る手で、自分の胸元の黒いレースに手をかけボタンを外すと胸元を大きくはだけた。  
その動作を見ながら、オレは太股にずんと乗った彼女の重さに不意に不安を感じた。  
彼女は初めてでその重さがモロに挿入にかかる騎乗位でしようとしているのだ。  
「まさか、このままするつもりじゃない……よな?」  
経緯的に女性優位な体勢にしたい気持ちは判るが、それでも心配になって滑るように出たオレの言葉に、  
ベリアスは微笑みで答え、オレの手を掴むとまだ固さの目立つ膨らみかけの胸へ誘う。  
が、顔は微笑んでいてもその目は笑ってない。  
どうやらオレが心配の言葉をかけたことで余計にご機嫌を損ねたらしい。  
 
オレはそれ以上は口をつぐむ事にして、  
せめて感じててくれれば少しはマシになるだろうと思い、  
彼女の胸に誘われた手を動かしはじめる。  
軽く触れた指がぷにゅんとめり込み、彼女が声を洩らす。  
「や……ふぁん」  
小ぶりな彼女の胸は乳房こそないが肌の柔らかさに、更にふくらみかけの固さを残した心地よい弾力を兼ね備えていた。  
 
更にオレは指先を立て、爪の先で彼女の右胸の表面を滑らせた。  
桃色に染まった白い肌に爪の後を追うように白い筋が着いて行きそして、その白い筋はすぐになめかましく赤く変色していく。  
「はむぅ…くぅ……」  
彼女はオレの爪が滑り引き出す快楽に、洩れる声を息と共に飲み殺し、  
「…その調子でしっかり奉仕を…んっ続けるが良い……  
 ぅん…代わりに今、余が……」  
唐突に腰を上げ、押しつけるように座っていた為にぐっしょりと濡れ彼女のゆでたまごのようなつるりとした無毛の秘裂を、  
半ば露出するほどにずれた白いショーツを彼女はその細い指で横にずらし完全に秘裂を露出すると、それを興奮しいきり立つオレのモノに押し当てる。  
くちゅり……  
と二人の粘液が触れ合う音がし、同時に  
「…っん」  
「…くぅ…ん」  
二人の息を飲む音が重なり、  
その音が完全に沈黙した瞬間、彼女は  
めり…みぢみぢ……  
と音が響くほど、無理やり体重を一気にオレのモノで自分を刺し貫く。  
 
「…ッ」  
一気におこなわれた無理な挿入に、オレのモノは狭い彼女の内壁にこすれ余った皮はめくれあがり、彼女の中の処女を引き裂いた時にひっかかり尿道が左右に引かれめくれ先端に鋭い痛みが走り、オレは反射的に奥歯を噛みしめる。  
しかし、彼女に比べたら全然マシだ。  
「はぁ……ぁっ…あっあ…あぁ…っう」  
見上げた視線の先に映った彼女は、一気に奥まで刺し貫かれた苦痛に、  
紅潮した頬に脂汗をしたたらせながら、叫びそうなのを歯を食いしばり必死に耐えるが、呼吸のために食いしばった歯が緩む度に声が洩れ出ている。  
その様子に  
「もう、や……」  
つぐんだはずのオレの口から「もう、止めようか?」という言葉が出かかるが、  
オレは度重なる学習からそれよりも彼女に負担の大きいこの体勢を何とかしようと、上体を起こし彼女の脇に腕を回し羽の付け根の下で抱き支え、腰を引き繋がりを浅くする。  
 
「っ…くっあっ」  
その時に、抜かれるモノが破れ絡みついていた彼女の膜を再びえぐり、それに反応して彼女の口から苦悶の呻きが洩れる。  
オレは苦悶の呻きが洩れたその口を優しくキスで塞ぎ、  
ゆっくりと両腕に抱き締めた彼女の身体を抱き上げ、加減が調節できる彼女が下になる姿勢に変えていく。  
「ぅうう…ぅんっ」  
その動きを察したのか、こんな状況にも関わらず腕の中で彼女はキスで口を塞がれたまま抗議の呻き声をあげる。  
しかし、さすがに痛みで力が入らないのか抵抗に力がこもっていない。  
オレはその抵抗にならない抵抗を無視すると、そっと彼女を横たえゆっくりと腰を動かしはじめた。  
 
まず入り口近くまで戻したモノで彼女の呼吸に合わせてゆっくりと少しつづ動かして、強引に引き裂かれオレを迎え入れたため開き切らすに痙攣する入り口の襞を撫でるように刺激していく。  
「あぁ…ぅん」  
さすがに性感自体は発達しているのか、  
彼女はそれに簡単に反応し、彼女が声を洩らすたびに純潔の血のぬめりに更に粘度のある潤いが滑るオレのモノ絡み着いてくる。  
その潤いを潤滑油にオレはゆっくりと再び彼女の中にモノを押し戻す。  
「っあ…っん!」  
再び中をえぐられる感触に彼女の口から苦悶が洩れる。  
オレはその声の度に、彼女の痛みを紛らわせるために動きを止め口付けし、みみたぶ、首筋、鎖骨と唇と舌を這わせる。  
「ぅくん…はぁぅん」  
その愛撫に彼女が甘い吐息を吐き、身体から力が抜けた瞬間を見計らい注挿を再開する。  
 
「はぁ…あん」  
彼女のつぶつぶがモノの頭を刺激する天井、吸い付くような奥、襞が絡み着く入り口、そして、痛いほどに締め上げる全体。  
あっけなく終わりそうになる自分を抑えながら注挿を繰り返すと、  
ようやくに彼女の声が、痛み以上の快楽を感じ始めたことを表し甘さを含み始める。  
「ふあぅん…あああっ…くぅん」  
注挿のたびに強くなるその声は、モノに与えられる温かい感触以上にオレを刺激し、あっさりと耐えられる限度を超えてしまう。  
「…っもう」  
オレは食いしばった歯の隙間から、辛うじてそれだけの言葉を短く押し出し、抜く間もなく彼女の中に果てた。  
 
 
ー・ー・ー・エピローグ・ー・ー・ー  
 
彼女の中に放出し、そのままの姿勢で荒げた呼吸を整えるオレの口をそっと彼女の唇が塞ぐ。  
口内に甘い彼女の熱い息が彼女の荒い呼吸に合わせて強く吹き込まれ、それに誘われるようにオレは彼女の口内に舌を伸ばした……  
「ーーーーーッ」  
瞬間、オレは彼女に、口の中に進入し舌を噛みつかれ声にならない叫びを上げることになった。  
ワケが判らず慌てて舌をひっこめ唇を離すと、彼女は落ち着いたままわざわざ服装を整えて立ち上がり、オレを見下ろし、  
「余に全て任せよ、と言ったはずであるな?」  
と不機嫌そうな目でオレを睨み、言葉を続ける。  
「余のことを思いやって故にそれで許すが、その代わり次こそは余の好きにさせるのだぞ」  
オレは彼女に見下ろされ、その威圧感に思わず頷きそうになる寸での所で聞き捨てならない言葉が混じっているのに気付き聞き返す。  
「次?」  
その一言に、彼女はあっさりと  
「当然であろう?  
 一度とは言うてはおらんし、余はずっと貴公を思い続けて来たのだ、まだまだし足りぬ」  
その言葉の通り、当然という態度で答えた彼女は  
「ちょっと待て…」  
と口を開いたオレを無視し、反論は聞かないとばかりに窓から身を乗り出すと小さな羽をパタつかせ夜の闇へと消えて行った。  
(もっとも隣の家に帰っただけだろうけど)  
 
……相談して問題解決どころか新たな問題を作ってしまったオレを残して……  
 
 

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