「教祖様、私をお選び下さい」
「いえ、教祖様、是非私を・・・」
「教祖様のお相手は私がいたします」
厳格な聖堂の廊下には沢山の女達・・・それこそ熟れた女性から年も若い少女など幅広い年齢の女達が廊下を歩む一人の男に群がっている。
男はちらりと女達を見たが小さく溜め息を吐くと首を横に振った。
その仕草は男の隣を歩く女性、否、少女なのかもしれない女に向けられての仕草にとられた。
すぐ隣にいる純白のローブに身を包む、髪の長い少女は男に群がる女達を一蹴する。
「皆の者、教祖様はお疲れだ、控えろ」
怒気が篭った声を上げれば女達は今までの騒々しさが嘘のように大人しくなる。
女達は少女には自分達に命令することが出来る立場と知ってのことか。
しかし女達の中に一人、藍色の髪の少女が寂しそうに『教祖様・・・』と呟けば教祖と呼ばれた男はその藍色の髪の少女にやんわりと微笑み、
近くまで寄ると手を伸ばして頬を撫でた。
頬を撫でられた少女は顔を真っ赤にさせて緊張のあまりに固まっている。
固まっている少女から視線を外すと教祖は再び歩み始めた。
己の自室に戻るがために。
無論、教祖の隣には髪の長い少女がいた。