「エロ本の位置がずれている・・・」
七月のある日、秋本信也は自室の書架に異変が起きている事に
気が付いた。彼は、千冊を越える和洋問わずのエロ本コレクター
として名高い高校二年生(違法)。小遣いのほとんどをエロ事に費
やし、今や三面記事の主役にもっとも近い男として、その方面では
活躍中の身である。
「いや、位置がずれただけではない・・・俺のお気に入りが三冊ほど
無くなっている」
信也は、千余冊を越えるエロ本の中から、僅かに三冊が消え失せ
ている事を確かめると、考え込み始めた。
「いったい誰が?」
誰かが自室に侵入し、書物をあさっていったとなると、穏やかでは
ない。だが、信也の家は強固なセキュリティがなされており、部外
からの侵入者があったとは考えにくい。それ以前に、エロ本を三冊
だけ奪っていくような者もいないであろう。
「父さんはエロ本の本場、アメリカへ出張中。母さんは今、北海道で
熊を素手で倒しに行っている・・・と、なると・・・」
ビジネスマンの父と、空手家の母親が家を留守にしている事を頭に
思い浮かべた時、信也は一つの結論を得る。それは──
「由紀め・・・俺様のコレクションを持っていったな」
妹である由紀──が、どういった訳かは知らないが、兄の留守中に
艶本をいくつか拝借していったという事だった。
「困った奴だ。どうせ、興味半分なんだろうが」
おおよその見当をつけた後、信也は由紀の自室へと向かう。玄関に
靴が揃えて置いてあったから、妹の在室は間違いないと踏み、持ち
去られたコレクションの一部の返還を求めるつもりで。
「まだ、中学生のくせに、色気づきやがって。まったく」
自分の事は棚に上げて、裕福な秋山家の無駄に広い屋敷の中を、信
也は歩いていく。同年代の女の子よりもちょっぴりおませで、好奇心が
強い由紀の性格は、信也もよく理解している。だからといって、兄のエロ
本を無断で拝借して良いという訳ではない。
「それ以上に、由紀がエロ本を見てハアハアしてたら、ちょっとやだな・・・」
勝手ではあるが、妹は無垢な存在であって欲しい・・・と信也は願っている。
いずれは他の男のものになろうが、今は可愛い由紀が純情な中学生である
べきだと思いながら、兄はようやく妹の部屋へと到着した。
「入るぞ、由紀」
ノックは無用とばかりに、妹の自室へなだれ込む信也。兄ゆえに、なんの
遠慮があろうかと、問答無用でドアを開けた──は、いいが・・・
「はあッ!あんッ!」
天蓋のついたクイーンサイズのベッドの上に、妹はいた。が、しかし、それ
を確かめた兄、信也は次の瞬間、度肝を抜かれてその場に立ち尽くす。何故
ならば、無垢でいて欲しいと願った妹は、シーツの波間で一糸まとわぬ女体
を揺らし、両足を大きく開いてその中心部を指で弄び、嬌声を上げていた・・・
手っ取り早く言うと、由紀は自慰の真っ最中だったのである・・・
「がび〜ん!百メガショック!」
信也は言うなり仰け反って、由紀の自室ですっ倒れてしまう。無理も
ない、可愛い妹の自慰という衝撃的なシーンを目撃してしまったのだ。
「きゃあ!お、お兄ちゃん?」
今度は、由紀の方が驚く番である。兄が自室へやってきたと知り、目を
丸くして飛び起きた。余談ではあるが、彼女の枕もとには三冊のエロ本
が散らばっており、信也の推論を裏付けた形となっている。もっとも、兄
はもうそんな事はどうでも良くなっているみたいだが。
「由紀が・・・オナニーを・・・う〜ん・・・」
「お兄ちゃん、しっかりして!」
ショックのあまり、半ば意識を失った兄の元へ駆け寄る妹。素っ裸にも
関わらず、由紀は倒れた信也を抱き起こすと、
「ま、まだ、イッてないから安心して、お兄ちゃん!」
何が安心なのかは分からないが、取りあえずは兄を安堵させるべく、
のたまった。恐らく、混乱の為に放たれた妄言の類と思われる。
「俺、死ぬかと思ったよ」
「ごめんなさい、お兄ちゃん・・・」
信也は妹のベッドの上で仰臥し、自分の顔を心配そうに覗き込む由紀を
見て、ちょっとだけ嫌味を言う。それだけ、妹の自慰シーンは衝撃的だっ
たのだ。事実、心臓は今も早鐘のように高鳴り、脈打っている。しかし、
問題はここからであろう。兄として、自慰姿を目撃された妹がどれほど気
まずい思いをしているかが推察され、今後の兄妹関係にも影響が出る事
は必須と思われる。そこで、信也はなるべく平静を装おうと決め込んだ。
「きょ、今日の夕飯は何にしようか?由紀」
「不自然すぎよ、お兄ちゃん・・・」
慮ったつもりだったが、信也の読みは裏目に出た。この場でそんな
気遣いの仕方は無いでしょうと、由紀も呆れ顔。
「そ、そうだな・・・某ゲーム名人も言っていたが、オナニーは一日一時
間だって・・・由紀も・・・ははは・・・もう、大人なんだな」
いよいよ混乱する信也を、由紀は頬を赤らめつつ見遣る。自慰を指摘さ
れた事が、恥ずかしいようだ。
「お兄ちゃん・・・あたしの事・・・汚らしいって思う?」
ぼそり・・・と由紀が呟いた。中学生にして、淫らな指使いに溺れていた自
分を貶めんとばかりに、悲壮感を漂わせている。すると信也は──
「千を越えるエロ本コレクションを持つこの兄に、お前を汚いと罵れと言う
のかい?」
そう言って、妹の手を優しく取った。一応は、兄としての慈愛を以って。
「お兄ちゃん・・・」
信也の言葉に、由紀の頬がいっそう赤らんだ。ぽうっと憂いを含んでは
いたが、兄の言葉に救いを見出したらしい。
「オナニーくらい、誰だってするさ。気にするな、由紀」
妹の顔に血の気が戻ってきたと見て、信也は更に言葉を繋いだ。こんな
時、回りくどい言い方は必要無い。何と言っても二人は兄妹で、心が通い
合った肉親なのである。
(何とかまとまったな)
信也は心の中で呟いた。まあ、しばらくは妹も恥ずかしがろうが、時間が
経てばきっといつもの二人に戻れる。そう思っていた。が、しかし・・・
「お兄ちゃん!」
唐突に──あまりにも唐突に、ばんっと体を弾ませ、ベッドの上に寝転
んでいる信也の上へ、由紀は覆い被さっていった。何か、思いつめてい
た物を爆発させ、思いのたけをぶちまけるかの如く。
「ゆ、由紀!どうしたんだ?」
妹の裸体に覆われて、信也はおののいた。自分の取った行動に、間違
いでもあったかな?なんて、思いながら。
「あたしは・・・由紀は、汚い子なの!」
兄の体へ縋りつくように身を寄せ、由紀は泣いた。泣き、また、女体を震わ
せてもいる。
「何を言うんだ・・・お前は・・・」
「ううん!あたしは・・・汚らしい・・・いやらしいメス犬なの!」
汚くなんかない・・・そう言おうとしていた信也の言葉を留め、由紀は自身を
貶めた。その意味を、兄はまったく別の理解をする。
「さっきも言っただろう?オナニーなんて、誰でもする・・・」
妹は自慰を見られて、むずがっているんだな──信也はそう思った。しかし、
次の瞬間──
「違う!あたしは・・・もう・・・処女じゃ・・無い・・の」
由紀は自分が無垢では無い事を告げ、ぽたぽたと大粒の涙を零したのである。
「な、何だって?」
妹の告白を聞いた信也は驚愕のあまり、固まってしまった。まるで、その場に
打ち付けられたかのように、体が動かない。
「お兄ちゃん・・・聞いて・・」
囁くように──そして、自身へ問い掛けるようにして、由紀の独白が始まった。
それを信也は、妹に体をまさぐられながら聞く事となる。
「あたしの初エッチは・・・小学校六年の夏・・」
信也のズボンに手をやりながら、由紀は語り始める。
「相手は、担任の先生・・・好きだったの、すごく」
妹の淫靡な囁きを、信也はうわの空で聞いていた。己の股間へ由紀
の手が這わされているのに、微動だにしていない。ショックのあまり、
放心状態になっているのだ。
「先生ね・・・アパートに呼んでくれたの・・・あたしだけ。そこで・・一日
かけてゆっくりと・・・女にして貰った・・丁寧に、優しく・・」
ひりつく室内の空気が由紀の肌を刺し、過去の、痛みにも似た体験
が、少女の体を艶かしく浮かび上がらせている。この間に、信也のズボ
ンからは、半勃ち状態の男根が引っ張り出されていた。
「わあ・・・お兄ちゃんのおちんちん、大きいね」
由紀が手にした兄の男根は、完全にいきり立っていない今でも、二十セ
ンチに迫ろうかという逸物。妹という立場を忘れたのか、由紀は信也の
股間へ頬を寄せ、微笑をたたえながら独白を続けたのだった。
「先生とは・・・一年間続いたの。塾に行くふりをして・・・アパートで毎日の
ように・・・」
舌を丸め、兄の男根を愛撫する由紀。途切れ途切れの言葉が、事実を
裏付けしているようで、信也の心を引き裂いていく。
「や、やめろ・・・由紀」
震える手で妹の頭を股間からどけようとする兄。だが、力ないその有り様
では、今の状況を変える事は出来そうに無かった。
「学校を出てから先生とは疎遠になっちゃったけれど・・・その代わり、あ
たしは中学校に入ってすぐ、素敵なボーイフレンド『たち』を見つけたの」
信也の抗いを無視し、由紀は更に驚愕するような事を言い出した。目に
妖しい輝きを持たせ、まるで成す術ない兄を嘲笑うかの如く。
「うふふ・・・あたし、ちょっと不良っぽい男の子たちに目をつけられてね・・・
何か、目立ってたみたいで・・ちょうど、あたしも先生と離れて、少しやけに
なっていたかも」
由紀の手中に収められていた男根が、鎌首をもたげ始めていた。ぐぐ、と
力を漲らせた雁の部分が、淫蕩な予感を感じ取って、切なく粘液を漏らす。
「男の子たち・・・あたしが処女じゃないって言って、すごく不思議がってた。
ああ、あの時の事を思い出すと・・・たまらなくなるの」
淫らな過去に思いを馳せ、由紀は自ら女を慰めるべく指を蠢かせた。先ほど
兄、信也に見せつけた自慰とは比較にならないほどの、艶かしい動きで。
「お兄ちゃん、信じられる?たくさんの男の子と一度にするとね・・・もう、逃げ
場なんてないの!胸も、アソコも・・・お尻の穴までも弄られるのよ」
兄の男根が先走りに泣くのを見て、由紀は笑った。それを確かめた信也は、
絶望感と共に妹を哀しく見つめる。由紀は──妹は、何故こんな事を、と。
「男の子たち・・・って言っても、ほんの十人くらいとしか付き合っていないけど、
お兄ちゃんほどおちんちんの大きい人はいなかったわ」
ぺろりと舌なめずりをしながら、由紀は信也の上へ跨った。否、信也の男根
の上に──である。
「最近はみんなもあたしに飽きちゃってきて、普通のセックスはしないの・・・
大抵、誰かの家へ行って縛られたりしながら・・・ああ、そう。お外でエッチする
事もあるのよ。すごくスリルがあるんだから」
兄の男根を逆手に持ち、由紀は息を荒げていた。もう、兄妹のよすがは互い
の性器と性器の間に出来た、僅かな隙間だけ。それも、由紀が腰を落として
しまえば、すぐにでも消え去ってしまう、陽炎のようなか細い物でしかない。
「最初にセックスした男の子たち・・・ね、よく自分の後輩なんか連れて
きて、あたしとセックスしろって言うのよ。ふふ・・・まあ、あたしは別に
拒まないんだけれど。でも、笑っちゃうわよ。後輩の子たち、きちんと
順番を待って、セックスして帰るんだから」
由紀が膝を使って、ゆっくりと腰を下ろしていく。性交し慣れた女の園は
すでに花開き、艶かしい肉のフリルもあからさまとなっていた。この荒淫
な妹は、兄の男根を迎える準備をすでに済ませているようだ。そして、
ついに由紀は──
「クッ・・・ウウッ・・・す、すごいね・・お兄ちゃんの・・コレ・・入り口が目いっ
ぱい開いちゃって・・・恥ずかしくなってきた」
はあっと唇からため息を零し、兄の男根を自分の中へ招き入れてしまった。
「ああ〜・・・すごい・・・かも。ふうッ・・ため息が出ちゃう・・・」
背を若干反らし、由紀は信也の男根を胎内へと埋めていく。そして、突き出
した腰を小刻みに震わせ、禁忌の交わりを持った事に狂喜した。
「まだ、話は終わってないから・・・お兄ちゃん、楽しんでね」
両手を頭の上で組み、腰を使う由紀。目を閉じ、女体を揺すって淫靡な性交
を心行くまで楽しむつもりらしい。それに対し、信也は魂を抜かれたように
動けないでいた。ただ、
「由紀──」
それだけ言って、自分の上で夢中になって腰を使う妹を見つめ、涙を流した
のである。
夜が深まっても、兄妹の禁忌姦は続いていた。僅かに違っているのは、始め
兄の上に跨っていた妹が、這いつくばって犯されている事。
「ひいーッ・・・お、お兄ちゃん、すごくいいッ!も、もっと激しくして!」
兄の野太い肉筒に深々と女芯を貫かれ、女の喜びに狂い悶える由紀。
ベッドに張られたシーツは二人の淫液で濡れ、まるで飲み物でも零した
かのよう。
「由紀、由紀!」
妹の尻に乗っかりながら、信也は何度も果てていた。妹姦の間中、兄は
愛しい存在から忌まわしい告白を聞き続け、愛憎入り混じった焔を燃え上
がらせていく。もう、彼自身、何度放精したのかが分からないが、記憶に
あるのは妹が複数の男と肉の交わりを持ち、聞くに堪えない荒淫に耽溺
して来たと言う事実だけ。しかも、娼婦のような扱いを今も受け続けている
という──
「トイレって呼ばれてるわ、あたし」
兄の子種を膣内で何度か受け止めた時、妹は笑って言った。その顔を見
た信也は、男根を萎えさせる事無く、また由紀を犯していく。いや、そんな
告白を耳にする度、際限無く妹の女を犯していける気がする──それは、
今尚滾っている己の男根が、証明してくれていた。
「お・・・お兄ちゃん、あたし・・・が、他の男の子にセックスさせてる・・・って
聞いて・・・どう思う?」
「悔しいに決まってる!」
ぐちゃぐちゃと生肉が擦れ合う、あの男女間のいやらしい音の中で、兄妹
は戯れにも似た言葉遊びを交わす。この場合は、妹が兄を翻弄する形だ。
「う、うれしいわ・・・だったら、もっと・・・お兄ちゃんに・・やきもち焼かせたい・・
もっと、男の子たちとセックスしなくっちゃ」
「そうはさせるか!」
妹の挑発に、兄は熱くなって更なる禁忌姦へとのめり込む。今や、信也は
由紀の性奴に近い立場となった。
「うふふ・・・実はね、お兄ちゃんの部屋から・・・エッチな本を持って
いったのは、あの本が精液臭かったからよ・・・お兄ちゃん、きっと
オナニーに使ったんでしょ?あたし、鼻が利くから」
「うっ・・・そうかもしれない」
「あはは!あたし、お兄ちゃんの精液臭いエッチ本見てオナニーする
と、すごく楽しくなったわ。だって・・・」
男根が女肉に馴染み、由紀は目を蕩けさせっ放しだった。兄がこれほ
どまでに自分を愛してくれた事も、女心を満たしてくれている。そして、
「・・・好きだからね」
語尾が切れた後の言葉を繋ぎ、妹は兄の目を見つめた。肩越しに、顔
だけをひょいと向き直り、由紀と信也は目で結ばれたのである。すると、
「俺もだよ」
這わせていた妹の体を抱きかかえ、兄はそうっとキスをした。重ねた唇
はぎこちなかったが、それでも他人同士で紡ぐ愛よりも、ずっと結びつき
が強い。まさに、血を分けた兄妹ならではの、甘い口付けだった。
「うんッ・・ああ、お兄ちゃん・・舌を吸ってェ・・・」
由紀がもっと深い口唇愛撫を求め、濡れた瞳で誘うと、
「ああ・・・俺の由紀・・」
信也はそれに応え、兄妹姦のただれた交わりに溺れていったのであった。
おしまい