―さて、どうしようか?  
 
机の上には「彼」に新しく届けられた包み。  
宛先はメイア修道院のシスターヴァーナ。  
差出し人はミセスカーター。  
それが決まり。  
彼女は今日はこれを持ってきてくれたのだろう。  
 
目の前に横たわるのは穢れを知らないまま神の花嫁となった乙女、シスタールーエラ。  
今は彼の仕込んだ眠り薬で穏やかな寝息をたてている。  
わずかに上下する胸。  
前に戯れに触ったそこは、  
かつて彼の手を導いたあの女よりのものは小振りだったものの、  
かつて思いがけず目にしたあの女のものよりは大きかった。  
貴族の娘なら20歳近くて未婚であればいきおくれたと呼ばれてしょうがない。  
ルーエラは恐らく男性経験など皆無だったのだろう。  
彼の行為に驚いたのか、それ以来彼に近付かなくなってしまった。  
 
一修道女見習いであるはずの、シスターミムザ。  
その正体をルーエラはもちろん、他の修道女達も一切知らない。  
協力者であるシスターヴァーナですらも偽りの情報を鵜のみにしてるだけ。  
真実は誰も知らない。  
シスターミムザが名前と身分を拝借しただけの正真正銘の『男』だということを。  
 
ここでの生活は始めこそヒヤヒヤしたが、すぐに飽きてしまった。  
成長期の最中とはいえ彼はまだ14歳。  
彼が否定しようがまだ幼さが残るのだろう。  
身をすっかり隠す黒衣とヴェ−ルをかぶれば男だと見破る者はなく、  
変声期を迎えてごまかせない声は唖ということに偽った。  
なるべく他の修道女たちとも接点をもたないようにしていたから  
必然的に塔にこもって本を読むだけのつまらない毎日。  
 
そこに飛び込んできたのがルーエラだった。  
年寄りだらけの修道院で年が近いというだけで安心感を持ったのか、  
ルーエラはミムザを気に入ったようだった。  
塔に来てはしゃべるだけしゃべって帰っていく。  
彼も口で返事はできぬものの、なるべく目や表情で返していた。  
彼女の話す生い立ちには同情できるところもあったが、  
女特有の浅ましさが出ることもあり、内心小馬鹿にしてる面もあった。  
だが修道女として黒衣に身を包んでいても、ルーエラが女であることには変わり無い。  
しかも彼女はいまだだれも咲かせた事のない蕾のままの花なのだ。  
手を握る。頭を撫でる。腕を寄せる。肩をたたく。抱き寄せる。  
一つ一つの何気ない動作。  
ルーエラは姉妹同士、女友達同士の感覚なのだろう。  
だが、自分はこんなにも普通の動作なのに、  
その一つ一つにルーエラの『女』を感じてしまっていた。  
 
先程口付けたルーエラの赤い唇はもう乾きはじめている。  
そのからだに向かって手を伸ばす。  
これは危険な遊び。  
ルーエラがもし目を覚ましたら。彼の正体に気付いてしまったら。  
でももうわかっている。  
止められない。  
彼女といることによって、己の中に徐々に徐々にと蓄積されたこの欲求は  
いずれにしても満たさなけらばならないのだ。  
 
蕾はやがて花開くもの。  
花びらの奥に秘められた蜜はどんなに甘いのだろうか?  
 
「ん…」  
黒衣の裾をずらそうとした瞬間、ルーエラが声を漏らし思わず手を引っ込める。  
だが、頭を少し右に動かしただけでその眠りは変わらなかった。  
もう一度近付き、ゆっくりと裾をまくりあげる。  
膝のあたりまでは容易にめくれた。  
現れた足は自分とはあきらかに違うもの。  
筋肉質ではなく、毛も薄く細くよく見なければわからない程度、  
質素な食生活のせいか若干肉付きは悪いが白く柔らかな曲線を描いている。  
もっと見たい気持ちを一度おさえ、  
試しに膝の頭をくすぐってみたがルーエラはされるがまま。  
「ルーエラ?」  
彼の問いかけにも無反応だ。  
かなり深い眠りを誘う薬だったようだ。  
 
さらに裾をたくしあげ、  
今まで服越しのシルエットしか知り得なかった彼女の太ももをあらわにする。  
その付け根には布切れ一枚を盾にルーエラの『女』が守られていた。  
 
布越しでも彼女のそこは温かかった。  
はじめは上からただ撫でるだけ。  
布越しでもわずかに触れる毛の流れ、それは自分の下腹部にも存在するもの。  
だがそこは自分とつくりの違う場所。  
ふっくらとした丘から指を滑らせれば谷。  
指で二つの肉の膨らみを愉しみ、さらに指を沈ませ深みをさぐる。  
見つけたくぼみは布越しに侵入を拒もうとするものの、  
中指の腹を浮き沈みさせていじる。  
温かさと湿りを感じ指のにおいをかぐと、わずかなアンモニア臭に混じる女の蜜のにおい。  
はじめの慎重さはどこへやら、雑に下着を取り払い、足を広げさせる。  
ルーエラの肌の白さとは対照的な茶色の茂み。  
その茂みをかきわけ肉のひだを割り、さらに淡いピンクの陰唇を広げる。  
割れ目に沿って指を上下させ、陰核をこね、膣口を愛撫をするうちに、  
ピンクだったそこは少しずつ充血し赤味を増し、  
指にからむ蜜も少しずつ増えていく。  
指が動くたびにくちゅくちゅと音を立てる。  
気付けば声を殺していたはずの彼の息は荒く、  
彼の股間のものも反応しはじめていた。  
 
胸までまくられた黒衣はすでに着ていないも同然で、  
黒のヴェ−ルと首からぶら下がる銀の十字架だけがルーエラの身分を語っていた。  
あらわとなったふたつの胸の膨らみは彼の手で寄せられ、  
その谷間に彼は己のものをうずめていた。  
赤黒い肉茎が上下するたびにルーエラの白い乳房はこすられて赤くなり、  
肉茎にこすりつけて刺激を与え、与えられていた乳首はぴんと立っている。  
行き来する肉茎の先端には白い液がにじみ、わずかながら摩擦をやわらげる。  
先程まで愛撫を受けていた女陰はまだ蜜を光らせており、ぱっくりとひらいたままのそこは  
今は乳房に預けられている肉棒を待っているようだった。  
やわらかな乳房に挟まれ、ピンクの乳首にこすられ、  
限界まではりつめていた肉茎がビクンと脈打つ。  
白い液がルーエラの乳房から首、顔へと飛び散っていく。  
銀の十字架もあおりをくらって鈍い輝きが失われていた。  
 
彼はことのあともしばらくルーエラにまたがったままだったが、  
そそくさと立ち上がり後始末をはじめる。  
顔やからだに付いた白濁を拭き、着衣も戻す。  
それでもまだルーエラは眠っていた。寝返りひとつうたずに。  
 
ルーエラの眠りを一時間ほど見守って、ミムザは再び部屋をあけた。  
塔の別室で本を読んでいると、ぱたぱたと階段をおりる足音が聞こえる。  
どうやら目覚めたルーエラが帰ったようだ。  
「楽しませてもらったししばらくはいい子でいるか。」  
窓からルーエラを見送りながらミムザがつぶやく。  
「これもあるしね。」  
手にする青い小瓶の中で液体が波打っていた。  
   
蕾は蕾のまま。  
今はまだ咲かせない。  
いまだ咲かない花、だが蕾ながらも魅了する─  
 
 

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