「あっ、あんなところに!シスター!!」
「……」
「シスター!修道院を、資産丸ごと売ってしまったというのは本当なんですか!?」
「……あなたたち、知ってたの…本当よ。何もかも売ってしまったわ」
「そんな!これから私たち、どうすればいいんですか!」
「どうするもこうするもないでしょう。自分の人生なんだから、好きなように生きなさい」
「嘘なんでしょう?修道院なんですよ、そんな簡単に売れるわけがないじゃないですか!」
「何度聞いても同じよ。私、つくづく疲れちゃったのよ。教会も修道院も、お金儲け主義のこの世界に」
「……みんな、大丈夫よ。シスターは禁治産者だってことにすれば、売買は無効になるわ」
「それはだめ。肉体も精神も異常はないわ。お医者様から診断書も取ってある。
もうあなたたちがどれだけあがいても、法律的に動かないようにしてあるのよ……ぐはっ!!」
「あんたなんか……あんたなんか死んでしまえ!!」
「……それでもまだ、資産を取り戻す方法は一つだけあるわ」
「何ですそれ?どうするんですか?」
「売却先との取り決めで、全ての手続きが終わるまでに、私が不慮の事故で死亡した場合は、手続きは中断する」
「あんた一体……?」
「私たちを犯罪者にする気なんですか!?」
「まさか、あなたたちがそんなことをするとは思ってないわ。絶対にそうだと信じればこそ、決めたことだから……ぐううっ!!」
「本当にそうかどうか、証明してやる!」
「うぎぎぎっ……」
「ちょ、ちょっと、何をバカなまねを……」
「……大丈夫よ、シスターは自殺したのよ……首つり自殺を……」
「そ、そうよ、じ、自殺したのよ。シスターがいけないのよ」
……これでいいんだわ……これが裁きです……神父様……今、そちらへ参ります……
「………や、やめてー!!」
「!?」
「目を覚ましてみんな!!私たちが何をしようとしてるか、わかってるの!?何なの、私たちは!?」
「…………うっ……わ、私は……なんてことを……」
「……くはあ、はあ、はあ……」
……神父様、申し訳ありません……結局、自らに裁きをつけることはできませんでした……