冬の雪山は文字通り雪の山となる。  
都会などにまれに降る霙(みぞれ)やどこか濁ったような雪とは違い、純粋な雪。  
パウダースノーなんて呼ばれたりもするそれは、実は気象的要因だけでは降らない。  
ちゃんと、それを使役し、操り、そして制御する者がいるのだ。  
もっとも……そんな話を信じる「人間」はいないだろうが。  
 
 
「……むー」  
11月を向かえ、ついに雪が本格的になってきた山で、腕を組んでいる少女が一人。  
頬をぷうっ、と膨らませ、まるで漫画で登場人物が怒っているかのような顔だ。  
いや、そう見えるのも不思議ではない。なぜなら、彼女は本当に怒っているからだ。  
彼女……白い着物を身に纏い、その裾を太股あたりまで捲り上げているその女性。  
肌は足元に広がる雪のように白く、その髪もまた同様に白い。  
目を瞑り雪の絨毯へと身体を投げ出せば、雪と区別がつかなくなってしまうかもしれない。  
そんな彼女……さつきは、怒り心頭の状態であった。  
もっともついさっきまでは、自分の家で、声を殺して泣いていたのだが。  
「いくらなんでも……遅れすぎじゃないのよぉ!!」  
彼女は、とある男性と、とある日時に会う約束をしていた。  
本来ならその日に、彼女の元にその男性――――日山徹の事だ――――が来るはずなのだが。  
約束の日時は11月20日。しかしこの日は、すでに22日の昼を過ぎている。  
しかし見て分かる通り、彼女の元に徹は現れていない。  
それに、彼女は腹を立てて、今まさに大声を上げたというわけである。  
「もうっ、徹なんか……」  
先程からぶつぶつと呟いていたが、その不機嫌そうな表情が、突然変わった。  
「あ……もしかして……」  
何か重大な事に気づいたらしく、次は不安の色がどんどん強くなっていく。  
「徹に、徹の身に何かあったんじゃ……それで、ここにこれないんじゃ……」  
ずいぶんと都合のいい発想かもしれないが、そんな事を気にしている余裕は今の彼女にない。  
たちまち、さつきの頭の中はその考えでいっぱいになった。  
どんどんと悪い妄想……もとい、考えが膨らんでいってしまう。  
 
すでに十分が経過したかという頃。  
相変わらず、さつきは頭を抱え込んでいた。  
ちなみに、彼女の中ではなぜか徹は刑事になっており、犯人に腹を撃たれて殉職している。  
もちろん決めゼリフは「なんじゃこりゃああーーー!!」である。松田○作である。  
あまりにもブッとんだ考えながら、さつきにはそれが間違いに感じられないらしい。  
顔は青ざめ、ぶるぶると身体が震えている。  
「あ、あわわわわわわわ……」  
さっきからそれしか口から漏れていない。目も点になっている。  
こんな調子で大丈夫なのだろうか。  
ようやく意識が現実に戻って来たのか、点だった目に生気が戻って来た。  
そしてさらに自分の考えがあきらかにおかしいことに気づいたのか、意を決したように握り拳を作っている。  
「そうよ!確かめなきゃ!」  
どうやら、彼女は徹の元に自分で赴く気らしい。  
「徹が本当に太○にほ○ろのように殉職しちゃってるのか……確かめなきゃ!」  
目的が間違っている気がする。というより、もっと根本的な間違いに未だ気づいていない。  
徹が会った時はこんなキャラだっただろうか。いや、単純に見えてなかっただけかもしれない。  
「……とはいっても」  
力強く握っていた拳が開かれ、きっ、となっていた表情が困ったようになる。  
「私、徹がどこにいるのか知らないじゃない……」  
そんなことにも気づいていなかったのか、とでも言いたげに、自分に対して溜め息をつく。  
もっと大きな間違いに、いい加減気づいて欲しいものだが。  
傍観者のそんな一途な思い空しく、彼女はまたその問題に頭を抱えた。  
さつきは相当急いでいる。  
なぜなら、このままでは、逃げる犯人を(中略)てしまうからだ。  
……重ね重ね述べるが、これは彼女の思い込みである。最初に気づくべき間違いである。  
「はぁ〜あ。……あれ?」  
もう一度溜め息をついて下を向いた瞬間、さつきの視界に重要なものが飛びこんで来た。  
彼女の手首に付けられ、正確に時間を刻むそれ―――――腕時計である。  
下界、つまり人間との接触を自分から行おうとはしない彼女が、そんな近代科学の結晶を自力で  
手に入れられるはずはない。  
 
これは、徹が、さつきと再会を誓った際に、自らが戻ってくる証として彼女に渡したものである。  
あれ以来、さつきは片時もその腕時計を外す事はなかった。  
見た事もない物への珍しさもあったが、それよりもずっと強い気持ちがあった。  
それは、その腕時計が、徹からの贈り物だという点にある。  
三ヶ月という短い(もっとも、彼女にとってはいままでのどんな時間よりも長く感じたようだが)期間であれ  
自分が想う人と離れているという事実は、予想以上に重かった。  
ゆえに、さつきはそれを少しでも和らげようと―――あるいは、徹への想いの強さからか―――常に  
肌身離さずに持っていた、というわけである。  
その時計が、悩んでいた彼女に、意外な突破口を与える事となる。  
 
「ふ、ふふふふふふふふ……」  
突然、怪しげに笑い出すさつき。  
うつむいているため前髪で目の辺りが隠れているので、より不気味である。  
というより、こんな唐突に笑う事自体が不気味そのものである。ついに壊れたのだろうか。  
「ふふふふふふふ……」  
誰かいるわけでもないのに笑い続けるさつき。それは一向に止む事がない。  
そしてしばらくして、またも唐突に口を開いた。  
「妖としての力を持ってすれば、徹の居場所を探る事など造作もありません……フフフフ……」  
なんだか、どこかで聞いた事あるような風だが、まあ間違いではない。  
別に縮退砲を撃ったりするわけではないが、相当の自信があるようだ。  
おもむろに腕時計を鼻先に近づけ、くんくんと匂いを嗅ぐような動作をする。  
そして、目の前の空を眺めるように視線を遠くへ向けると、そのまま黙ってしまう。  
まるでその意識自体が空に漂っているような表情ですらあったが、しばらくして眉がピクリと動いた。  
見つめていた空の方向とはまったく逆の、東の方向へその視線を移した。  
またどこか遠くを見つめているような表情になり、しばらくの時が建つ。  
おもむろにさつきが、ゆっくりと大地を蹴り上げた。  
本来なら、一旦はその身体は宙に浮くが、すぐに大地へその足を踏みしめる事になる「はずである」。  
だが、彼女は雪女、つまりは妖ということになる。  
蹴り上げた足と浮いた体が大地に戻る事はなく、さつきは、ふわりと、空へと飛んでいった。  
ただ一つ、大切な人に会いたいという気持ちを、その胸に持って。  
 
 
行き交う人、建ち並ぶ高層建造物、道路を走る車、垂れ流される音楽や映像。  
これらを以って「都会」というのであれば、ここは都会である。いや、大都会といってもいいだろう。  
日本という一つの先進国の中心にして、おそらくもっとも高度な発展を遂げた街。  
現在進行形で発展を続けるそれは、もはや誰にも把握できないほどの巨大な、一つの集合体なのかもしれない。  
そのはるか上空。  
本来なら「そこ」にいるはずのないモノが、そこにいた。  
それは、一人の少女である。  
白い着物、まさに雪のように透き通る……以下省略。  
その少女……さつきは、ついに自分の目指していた場所に辿り着いたのである。  
「ふう、意外と早く着けたな〜」  
雲の隙間から、はるか下の町並みを眺めながらさつきが呟いた。  
実質、山からここまで10分かかっていない。  
山のある街からこの街へ車を使って移動するならば、おそらく4、5時間はかかるだろう。  
身体を前に―――下に、という表現が正しいかもしれないが―――倒し、地面へと下りていく。  
物体が落下するような猛スピードではなく、ふわり、ふわりとゆっくりと降下する。  
「よっと」  
あっという間に地上30m程度まで到達すると、体勢を立て直して、そのまま地面へと足をついた。  
何の衝撃もなく、やはりふわりとした感触で地上に降り立つ。  
「ふぇ〜、なんかすごいなぁ〜」  
素っ頓狂な声を上げて、自分の周りの風景を眺めた。  
40年、あるいはそれ以上人間界にまともに下りていない彼女には、都会は物珍しいどころの騒ぎではない。  
天を突くようにそびえる、見たこともない建造物。  
何かの力で道路を走る、鉄の塊。  
自分が見た頃とは全然違う、人々の服装。  
街自体が発する、様々な音楽や、聞いた事もないような音。  
「なんだか、すごい変わっちゃってる……」  
感心するように、そして、どこか寂しそうに呟くさつき。  
戸惑いの色も、もちろん彼女の心の中にはあった。  
自分を中心にして広がっている空白。  
自分を見ている人々の白い目。  
 
「……あれ?」  
さつきはようやく、周りの異常に気づいた。  
あきらかに、自分に対して警戒、もしくは、それに近い感情をもった視線が浴びせられている。  
「あ、あの……私の顔になにか、ついてます?」  
ぎこちない笑みを作りながら、出た言葉がこんなものである。  
自分がまだ、もっと大事なことに気づけていないのに、まず彼女は気づかなければならないだろう。  
 
 ざわ……  
        ざわ……  
 
周りの人々が静かにざわつき始める。決して、アゴが尖ったりしているわけではない。  
「え?え?」  
頭の上にハテナマークが増え続けるさつき。彼女は未だ理解できていないらしい。  
「あ!分かった!」  
一人明るい声を出しながら、手のひらをポン、と叩いた。  
「この服装か〜、たしかに、今着物の人っていないもんね」  
にこにこしながら言う。彼女はやはり天然なのだろうか。それとも単に世間知らずなだけなのだろうか。  
どちらにしろ、さつきの出した答えは間違っている。ある意味ではあっているが、もっと大きな理由がある。  
「それなら……えいっ、と」  
どこかの魔女っ娘のように、その場でくるりと一回転する。もちろんウィンクとかをしながら。  
すると、いつのまにかさつきの服装は、あの白い着物ではなく、普通の服になっていた。  
共通点があるとすれば色だけで、見た目は全然普通の女性となった。  
だが、どんなに見た目を普通にしようと、それを目の前でやられては意味がない。  
人々のざわめきはさらに強くなり、その分視線の痛さも強くなった。  
「あ……れ?」  
てっきりこれで問題が解決すると思っていたらしく、さつきの頭にハテナマークがまた一つ浮いた。  
「うーん、なんでかな?」  
次は何がおかしいのだろうかと思案し始めるさつきであったが、相変わらず間違いには気づかない。  
さつきは、ようやく人々の話し声に耳を傾ける事にした。  
 
「なんなんだよあの娘……」  
「テレビか?」  
「てゆーか今のなに?どうやったの?」  
「おい、頭おかしいヤツなんじゃねえか?」  
「いきなり空から降ってきてマジビビッたし」  
 
 
「……あ」  
ついに気づいた。  
目の前に突然、見た事もない少女が空から降りてくれば、誰だって奇異の目で見るものである。  
おまけにどういう原理かも分からない、まるで魔法のような(実際にその類だが)事をされては  
奇異どころか、恐れすらも感じるのが人間なのである。  
妖という超常の存在を認めようとしない、人々のエゴから生まれたその間違った心。  
それを持たず、妖や、その他の超常の存在とふれあえる人間などほとんどいない。  
だからこそ、日山徹という人物は、非常に稀であり、また希有であるのだ。  
(ど、どうしよ〜。どう言い訳すればいいのかわかんないし……)  
いまさらおろおろするさつき。行動が2テンポほどずれている。  
「なあ、警察呼んだ方がいいんじゃねー?」  
「え!?」  
誰かが発した言葉に、さつきが驚きの声をあげる。  
まずい、今ここで騒ぎを大きくしてしまっては、徹を探せないかもしれない……。  
それどころか、山へ戻る事すら出来なくなるかもしれない……。  
そんな不安が、さつきの心の中によぎる。  
かといって、この状況を脱出できるいいわけを考えられるわけでもない。  
まさに絶体絶命、四面楚歌の状況。……そこに。  
「あの〜!」  
さつきではない、別の女性の声が人だかりの中からした。  
「!?」  
さつき自身も、そしてその周りの人々もその声の方向に目をむける。  
それがさつきにとって、意外な、そしてかなり突然な、助け船となった。  
 
 
騒ぎの少し前。さつきが下りたった場所の近く。  
そこにある小さな雑貨屋から、三人の男女が出てきた。  
女性が二人、男性が一人であった。  
男性は両手に物凄い荷物を抱えており、かなりつらそうに歩いている。  
一方、一人の大人びた女性は、その男を尻目ににこやかな表情で先を歩いている。  
もう一人の幼い女の子は、男の隣にいて、不安げな表情で男の様子を見つめていた。  
「ちょっ…ちょっと待て!」  
男が、自分の先を行く女性に半ばヤケ気味に声をかけた。  
「はい?」  
女の方は、どうしたのかという表情で、男の方に振り向く。  
「なんで俺だけこんな荷物が多いんだよ!少しは持ってくれよ!」  
「あらぁ……ごめんなさい。私、気づかなくって」  
「……姉さんわざと?それとも素なの?」  
大人びた女性を、女の子は「姉さん」と呼んで、ちょっと毒の入ったツッコミを入れた。  
「え?わざとって、何の事かしら?」  
まったく理解していない姉の様子に、女の子ははぁ、と溜め息をついた。  
「いいから早く持ってくれって!耐え切れねえよ」  
男がかなり必死そうに声を上げる。そろそろ限界らしく、脂汗が出てきていた。  
「ええ、ただ今。……あら?」  
男の背よりも高く積まれた荷物の、一番小さい物に手をつけた瞬間、女性が突然視線を動かした。  
「ん?どうしたんだ……!」  
「姉さん、これ……」  
男も「何か」に気づいたのか、表情が鋭くなった。  
女の子も鋭い表情のまま、姉に話し掛ける。  
「どうやら、そうみたいね」  
「でも、敵意のような物は感じられない……どういうことだ?」  
男が呟いた。  
「分かりません……。ともかく、行ってみます」  
「え、おい、ちょっ……わわわわっ!」  
荷物に手をかけたまま女性が駆け出したせいで荷物のバランスが崩れ、男は下敷きとなってしまった。  
 
「こっちの方からするわね」  
信号を急いで渡り、道を的確に進んでいく。まるで、何かに引き寄せられているかのように。  
「あ、あれかしら」  
女性が辿り着いた所にあったのは、かなりの人だかりだった。  
すぐに駆け寄り、集まる人々の隙間を縫って先へ進もうとする。  
「す、すいません……通してください、ん〜っ」  
半ば強引に通っていき、その人だかりの中央が見えるくらいまで前に進んだ。  
「あの子ね……」  
女性の視線の先にあったのは、おろおろしたままのさつきその人であった。  
 
 
「あの〜!」  
時は再び声のした時間へと戻る。  
「!?」  
驚いたさつきが、声のした方向へ視線を向けた。人だかりも自然と視線をそちらに向ける。  
そこにいたのは、一人の女性であった。  
女性が、自分の前にできた、通り道を足早に進む。  
「……どうも」  
その女性はさつきの目の前まできてにこりと微笑み、お辞儀をする。  
「ど、どうも……」  
つられて、さつきもお辞儀をした。その時である。  
「あ!あんなところに、木馬ことホワイトベースが!」  
突然女性が空を指差し叫んだ。人々の視線が一気にその方向へと集中する。  
しかし現代にそんなものはもちろんない。  
「んだよ……あれ?」  
人々が視線を女性の方へ戻した時には、すでにそこに人の姿はなかった。  
女性だけでなく、そばにいたさつきもである。  
「あ、あれ?」  
驚いた人々が周りを見渡したが、その姿はどこにも見当たらなかった。  
しばらくすると、人だかりは消え、みな何処かへ去っていってしまった。  
 
「……ふぅ、危なかったわぁ〜」  
人だかりのあったところからかなり離れた場所。  
そこに、消えたはずの女性と、さつきの姿があった。  
きょとんとしているさつきと、額の汗を安心したように拭う女性の様子は、まさに正反対である。  
「これで安心ですね」  
「え、えっと……」  
「あ、そんな、お礼なんていいんですよぅ。私が勝手にやったまでのことですからぁ」  
「え?いえ、だから、その……」  
噛み合わない会話が続く。  
さすがのさつきも、かなりの天然の女性には困惑している。  
……そこへ。  
「はぁっ、はぁっ……おい!勝手に行っちゃうなって!おかげで荷物に潰され……アイタタ」  
「ちょっと姉さん、何してるのよ!町中で自己移送(一般で言うテレポーテーション)使わないでよ!」  
先程の、女の子と男が走って来た。  
「仕方ないじゃない、そうでもないとあの状況は……」  
「言い訳なんて見苦しいわよ、姉さん」  
「……うう」  
自分よりもずっと小さい女の子に一蹴されてしまう女性。  
「あ、あの……」  
さつきが困惑したまま口を開いた。そうでもなければ、このドタバタコントだけで日が暮れそうだったからだ。  
その声で初めてさつきの存在に気づいたのか、男と女の子はさつきに視線を向けた。  
「姉さん、もしかして……」  
「ぐすん、ぐすん……いじめられた〜、ぐすん……」  
「ちょっと、姉さん……」  
「いじめられちゃったよぅ……ぐすん」  
「ね・え・さ・ん!!」  
堪忍袋の尾が切れた女の子が叫ぶ。  
「は、はいっ!?」  
その場で「の」の字を書きながら落ち込んでいた女性が、思わず萎縮する。  
「いいかげん怒るわよ姉さん……」  
 
「あのぅ!ちょっとすいません!」  
今度はさつきが叫んだ。  
それでも女の子と女性は気づかない。  
「姉さんはなんでいつもそう単純なのよ!仮にも姉でしょう?大人でしょう?」  
「な、何よぅ。あんなこと言ったら誰だって落ち込むじゃないのよ」  
「そこが子供だって言うのよ!お願いだから苦労かけさせないでよ姉さん……」  
女の子が溜め息をついた。  
すると、女性がぷうっ、と頬を膨らませる。  
「私子供じゃないもん……大人だもん……お酒飲めるもん……」  
ぶつん、という音が女の子からした気がした。  
「どうしてそう落ち込むのよ!」  
「だァァ!もうおまえらうるせえぇぇぇ!!!」  
沈黙を守っていた男もキレた。  
「あの娘困ってんだろうが!いつまでもガキみたいな喧嘩してんな!」  
さつきを指差しながらまくしたてる。  
男の剣幕に、女の子と女性は黙ってしまった。  
「ごめん、困らせちゃって。失礼だけど、君、名前は?」  
ようやくまともに会話できる人物の登場に安堵しながら、さつきが答える。  
「あ……さつき、です」  
「さつきか。ああ、俺は柊 卓だ。で、あっちのが……」  
また言い合いになりそうだった二人だが、男…卓の視線に気づき、すぐにやめた。  
「私はレイチェルといいます、よろしく、さつきさん」  
「私が、妹のシルフィです。ごめんなさい、姉が不甲斐ないばかりに……」  
そう言って溜め息をつくシルフィ。レイチェルは相変わらずしょげている。  
「ま、こんな凸凹な奴だけど……とりあえずよろしく」  
「え?あの……」  
さつきが何かを言おうとするが、卓がそれを制し口を開いた。  
「君は……妖だろ?だからなんでここにいるのか、話を聞きたいんだ。いいかな?」  
さつきは卓の言葉に驚いたが、警戒するべき相手ではないと考え、ゆっくりと頷いた。  
 

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