「なぎさちゃん、今日は良かったよ!これからも頑張ってね」
ディレクターさんだ。
「あ、ありがとうございまーす…お疲れ様でーす」
わたし、春河なぎさはデビューしてもうすぐ半年。
まだわからないことだらけだけど周りの人達に支えられながらなんとかやってきてる。やっと仕事が楽しくなってきた気もする。
「ちなみさん、おつかれさまです!」
「あっ!なぎさちゃんおつかれ〜」
彼女は同じ事務所の先輩のちなみさん。
この世界に入ってからかなりお世話になってる。わたしのお姉さん的存在だ。
「へぇ〜…それは災難だったわね」
「はい…も〜すごく災難でした」
時々こうやって仕事で大変だったことを話したり芸能界のことなどを聞いたりしてる。
「そういえば、なぎさちゃんって今恋してる?」
ちなみさんからの思わぬ質問にわたしは飲んでいたお茶を吹き出しちゃった。やばい!
「へぇ!?こ、恋なんかわたしにはまだ速過ぎですよ!」
顔の前で手をぶんぶんと振って必死に否定した。
(この子、リアクションが昭和ね…)
「そうかな〜♪」
イタズラっぽくちなみさんが笑う。
「なぎさちゃんぐらい可愛いとそのうち男がよってくるよ〜気をつけてね♪」
「…そ、そうなんですかね?」
確かに中学高校って女子校だったから、いつかは恋をしたいなって思ってたけど今は仕事の事で精一杯で、恋をするなんて、まだまだ先のことだろうな〜
それに男の人ってよくわかんない…
ちなみさんと別れて、わたしは明日も仕事なので自分の家へと帰ることにした。
最近仕事ばかりで疲れちゃったなあ…
こんなの人生初めてだよ…すっごく眠い…
うち帰ったらすぐ寝よぉ…もうすぐつく…ねむい…
―ビーッ!!―
へ?何の音かな?
「あぶない!!」
あ、車だ…やばい!誰か――
その時はもうダメだって思ったの。
でもその時誰かの手がわたしの腕を掴んで引っ張った。
「…大丈夫…ですか?危ないっすよ」
ついさっきまでわたしが置かれていた状況を理解すると、腰が抜けてその場から立てなくなっちゃった。
二十歳で死ぬところだった…良かった…
「大丈夫…じゃないか。落ち着くまで…大丈夫ですよ」
わたしの命の恩人は優しく言うとわたしが落ち着くまでずっと側にいてくれた。
ようやく落ち着いてきた。な、なんとか歩ける!
「も、もう大丈夫です〜家すぐそこなんで…」
「そうですか。えーと、じ、じゃあ気を付けて下さい。あと…お仕事頑張って下さい」
どうやらわたしのこと知ってくれてるみたい。
「はい!ほんとっーにありがとうございました!」
わたしは助けられてホッとしたのと、わたしのこと知ってくれてた嬉しさで自然と笑顔になっていた。
優しそうな人だったな…
また逢えたらいいな…
おいおい。
ちょっと待ってくれよ。
人が目の前で道路に突っ込んでっただけでも大事件なのに助けた人が芸能人て…
最近人気出てきたっぽい春河なぎさって人だ。深夜にテレビ見てたらその可愛いさに目を奪われた。
こういう人が人気出るんだろうなとその時漠然と思った事を覚えてる。
それがまさか目の前に…助けられて良かった…
しかも可愛い過ぎだろ!なんだ最後の笑顔は!あれ見て惚れない男がいたら教えて欲しい。
これまで普通の人生を送ってきた。
いつか恋人もできて結婚もする…いや、できるのか?とかそんなこと思ってた。
勿論その恋人とやらは出来たとしても一般人なわけで。
芸能人と付き合うなんて、俺にとっては妄想の世界の出来事でしかなかった。
でも彼女の笑顔を見た瞬間、“可愛い”から“好き”になってしまった。
俗にいう一目惚れというやつか。
っておいおい。
待てよ。
彼女は芸能人だ。
たぶんこれからもっと人気も出て、売れっ子になるだろう。
そんな人を本気で好きと思ったって、時が経てば経つ程辛くなるだけだろう。そうだそうだ。
そんなことを考えながら、この夜何本目かもわかんねぇ缶ビールを口に運んだ。
ちくしょう…
また逢えねぇかな…
あれから何日かが過ぎた。
よくあの道を通るけどあの人には、まだ逢えない。
またわたしが危ない目にあったら、ヒーローみたいに助けに来てくれるのかな…?
そんなことを考えてたら、見覚えのある姿が見えた。
はっきり見た目を覚えてたわけじゃないけど、雰囲気で“あの人”だってわかった!
「あの―…」
「はい……あっ!」
やっぱりそーだ!
「あの…この間はほんっとーにありがとうございました!おかげで助かりました!」
「あ、いえいえ当然の事したまでですよ」
「いや、そんなことは…あ、ところでもしかして…わたしの事わかります?」
「あ、はいわかりますよ、よく見ますよ」
嬉しい。
やっぱ頑張ってみるもんだなあ。
「じゃあこれで」
彼が帰ろうとする。
でもなぜかこのまま帰しちゃいけないような気がした。なんでかはわからないけどね。
せめて名前だけでも聞かなきゃ!
「すいませーん!」
「はい?」
「名前…教えてください!」
「あ、多村優亮っていいます。よろしくお願いします」
そう言って彼は丁寧におじぎをした。
すごい礼儀正しい!
わたしも深々とおじぎをして、彼と別れた。
「ゆうすけさんか〜なるほど…」
また逢いたいな。
それからゆうすけさんとお家が近所からか何回か逢うようになった。
最近のクイズは難しいとか美味しい食べ物の話とか普通の話だったけどわたしにとっては楽しくて、癒される時間で。
帰り道に彼と逢うのが楽しみになっている自分に気が付いた。
「お疲れ様でー…あっ、なつみちゃんもおつかれさま!」
ちなみさんと一緒にいる彼女は私の同僚の峯村なつみちゃん。すっごく可愛い子です。
「あっなぎさちゃんおつかれ〜この後空いてる?」
「うん。空いてるよ〜」
「じゃあ三人でご飯食べに行こっ!ちなみさんが美味しいお店連れてってくれるって」
「本当に!ぜひ行く〜」
私が行くと言った瞬間二人が目を合わせてにやって笑ったような気がしたけど…ま、いいか。
「かんぱーい!」
やっぱ仕事の後の一杯はいいね〜
はっ!オヤジくさいぞ!ダメだ!
「なぎさちゃん」
ちなみさんの声が聞こえる。
「はい?」
向かい側を見てると二人がなんかニヤニヤ笑ってる。
え?なに?怖いよ二人とも。
「あなた…最近恋してるでしょ?」
え。
なにそれ。
確かに逢うのが楽しみな人はいるけど……
ってこれが恋なのかな?
そんなこと考えてる内にも二人の追いはぎ?は続く。
「最近仕事中もいきいきしてるもんねー」
うっ、なつみちゃんまで。
取りあえず言い返さなくちゃ!
「な、なんでわかるんですか!」
「あら?やっぱりそうなの?」
………ハメられた。
「まあいつもと様子違ってたから怪しいなとは思ってたんだけどね」
うう…酷いですお二人さん。
「で、どんな人なの?」
当然逃げられるはずもなく、全部話しちゃった。
「ふーん。なるほどね〜」
「はい…」
「それは恋ね!」
そんなビシッと指差さないでください…
「じっとしてるなんてなぎさちゃんらしくないよ!デートにでも誘っちゃいなよ!」
「そ、そんな〜」
結局あのあと二時間くらい恋について教えられました…
ちょうど明日はお休みだし、誘ってみようかな…
デートじゃないよ。食事だよ。
よし、電話だ!
「もしもし…」
「あ、もしもし。お疲れ様ですー」
「あ、お疲れ様です。あの…明日…おひょ、お食事にでも行きませんか?」
噛んじゃった。
「はい。いいですよ…ええ!?」
「だめですか?」
「いや、ていうかもう是非なんなりと!」
良かった…
よし。
食事だからね。
なに着てこう…
え。
何これドッキリ?
カメラないよね。カメラは。
どうやらないみたいだ。
いや〜それにしても食事だなんてしかも向こうから。
彼女と二人で食事か…こりゃ緊張で食事も喉を通りそうにねぇよ。
取りあえず仕事高速で終わらせなきゃな…
よし!頑張っか!
「でねぇ〜しょーなったらですねぇ…あれが○◇△※%…」
「…ちょっと飲み過ぎじゃねぇ?」
優亮さんとの食事で、わたしはかなり酔っ払ってしまった。
最初は楽しく食事をしていました。
で、ちょっと調子にのってつい飲み過ぎちゃいました。
わたしの悪いくせです。
あたまがぼーっとします…
と、取りあえず時間も遅いから、いえにかえらなきゃ…
「う、うひまで、送ってって、くださいよぉっ…」
「ええっ!…わ、わかったよ…」
やっぱり優しいひとだなあ。
そして彼に支えられながらようやくおうちにつきました。
鍵を開けてすぐにソファに倒れ込みます。
水を貰うと少し落ち着きました。
彼も一安心したようです。
「全く…飲み過ぎちゃ駄目だよ…」
「すいませぇん…」
「いいよ。…………じゃ、これで」
そう言って彼は立ち上がって帰ろうとします。
「さ、ささようなら〜」
うう…気持ち悪い…
何も考えられないよう…
やっと酔いが冷めてきた。
やっぱり帰って欲しくなかったな…
一人だと寂しいや…
ソファーに仰向けになりながらわたしは優亮さんの事を考えていた。
最近、仕事中でも考えちゃうよ。
やっぱり、わたし優亮さんのこと…
そっと自分の胸に手を添える。
心臓の音が大きく聞こえて、体がなんか熱っぽい。
「んっ…」
服の上から胸を揉みはじめてみると、あま〜い刺激がわたしに襲いかかる。
気持ちいいよぉ…
止まんなくなっちゃうよ…
「あっ、んうっ…」
服の下から手を入れて、わたしは直接胸をいじくりだす。
だんだん気持ちよくなってきて、おかしくなってきちゃった…
「ああっ!…っん!…お、おっぱいきもちいい…」
誰かに聞こえてませんように。
ち、ちくび固くなっちゃう…
からだが…あついよ…
わたしの手はなにかに導かれるようにパンツへと伸びる。
その上からなぞってみるとすこし湿っている。
なぞる手を少しずつ速めていく。
「あっ、んん、はあっ…んうあっ…」
もっと、もっと気持ちよくなりたい。
そう思った時には、わたしの手はもうパンツの中に入り、わたしの“なか”をかき回していた。
「はあんっ!…や、やば…んっ!す…ごいよ…」
だめってわかってるのに、声がどんどん大きくなっちゃう。
くちゅくちゅとやらしい音とわたしの喘ぎ声が部屋中に響き渡っていた。
「あっ、んやっ…も、もうダメぇっ!」
もう限界…
「んあっ…ゆ、ゆうすけさんっ…んやああああっ!」
好きな人の名前を叫びながら、わたしの頭の中は真っ白になった。
さっきはすごく気持ち良かったな…
やっぱり、ゆうすけさんの事考えてたからかな?
日ごとに考えることが多くなってきてるもん。
もう我慢できない。
わたしは…ゆうすけさんの事が好き。
この気持ち伝えないと、絶対後悔する。
後悔だけはしたくない!
そして私は彼に電話を掛けた。
「明日、家に来て下さい。絶対ですよ!」
ふう。
緊張するなあ。
冷や汗が出ちゃって、落ち着かないなあ。
もうすぐ来るかな?
ーピンポーンー
ひゃ〜。
来ちゃったよう。
落ち着けわたし。
「は〜い」
「おじゃまします。昨日急に呼ばれたからびっくりしたよ」
「あ〜うん…ごご、ごめんね〜」
「?」
「まあ、いいから上がって!」
「それで話って…」
きた。
「あ〜う〜え、え〜とね…」
「顔真っ赤だよ?」
「う…ま、待って」
「ゆっくりでいいから…ね?」
よし。言うぞ。
勝負だ!
「…道路に飛び出しそうな所助けてもらって、それから会うようになって…その中で優亮さんの人柄に触れていく内に…この人と一緒にいれたら楽しいし、嬉しいって思ったんだ。
だから…もし良ければ私と付き合って下さい!」
言っちゃったー
「ほ、本当に?」
「うん」
「俺でいいの?」
「うん…あなたの事が大好きです。」
この間が凄く長い時間に感じる。
「………俺でいいなら…よろしくね。」
やった〜
気持ち伝えて良かった…
「へへ…なんか照れるな。ってか一瞬夢かと思った」
「へえ〜♪」
「…こんな可愛い人と付き合えるなんて、夢にも思わなかった」
「も、
「でも今まで本当大変だったよ…」
「ん?なにが?」
「自分を押さえるのが。何回襲っちゃおうと思ったか…」
「…………………」
「あ、いや冗談だよ、冗談!」
「……ていいよ。」
「へ?」
「今なら…襲ってもいいよ。」
「………………!」
固まっちゃった。
まあ、いいか。
「今日、泊まってってね…」
恥ずかしいけど、優亮さんになら…
「…………………」
(どうする俺?)
「ん、んっ…」
優亮さんの舌がわたしの口の中に押し入ってくる。
その舌で口をかき回される度に、わたしはどんどんおかしくなっていく気がした。
「次はこっち…」
そう言うと彼はわたしの胸へと手を伸ばす。
「あ…うんっ」
優しく、そして時に強くわたしの胸を弄んでいく。
「ううっ…あんっ」
時々指が乳首に触れる。
その度に体に電気が走ったみたいになる。
その反応を見た彼が、乳首をひねったり、指で弾いたりしてわたしを責め立てる。
「…んあっ…うあ…きもちいいよぉっ…」
わたし今どんな顔しつるんだろう。
やらしいことになってるかなあ?
更に彼はわたしのおっぱいに吸い付いてくる。
「…んああっ!…そんなふうにしたら…おかしくなっちゃうよっ…」
「もう遅いよ…」
「そ、そんなぺろぺろしちゃ…やばい…」
「俺も…なぎさの顔みてたら…やばい」
そう言うと彼は手をわたしの下半身へ向かわせる。
「んくっ…もう…」
もうわたしのそこは、ぐしょぐしょですっかり濡れちゃってる。
「すげー濡れてるよ…」
「は、恥ずかしいよ…」
指で優しくなぞられるとじわじわと気持ちよくなってくる。
でもそこから中々激しくしてくれない。
次第にもっと激しくして…って思ってくる。
「あ……あっ」
「なに?」
うう…わかってるくせに…
こういうとこ子どもっぽくていじわるだ。
でも…もう…早くしてほしい。
「も、もっと、激しくし、て?」
「…わかった」
軽く笑みを浮かべると指をわたしの“なか”に入れてくる。
「…んんっ!あ、うあんっ!」
もうとろけちゃいそうだよ…!
「やらしい音、してるよ」
言われた通り、部屋にはくちゃくちゃという音しか聞こえない。
自分で聞いてて恥ずかしい…
「ひゃうっ!…あ、ほんとにっ、はずかしいからっ…」
どんどん手の動きが速くなる。
「あ…もうイッちゃうよ…んっ…あ、イク…ああああっ!」
わたしは優亮さんの手によってあっけなくイカされちゃった。
「怖い?」
「ちょっとね…でも優亮さんとならあまり怖くない…」
「嬉しいな…じゃあいくよ」
「……んっ!」
痛い…
「大丈夫か?」
わたしは優亮さんの手をギュッと握って痛みに耐えた。
しばらくすると痛みが薄れてきて、気持ちよくなってくる。
こんな気持ちいいの…?やばい…!
初めての感覚に意識が飛びそうになる。
「あっ、あっ、…ひゃうんっ…んっ」
ーーエッチって、こんな気持ちいいんだ。
「かわいいよ…」
彼はそう言いながら、またわたしの乳首を弄びだす。
「ああっん、おっぱいもしたら…らめぇ…んあっ…」
もう喋る余裕なんかない。
今わたしに出来るのは、動くたびに喘ぎ声を出すことだけ。
「ああっん!あーっ!も、もうイッ…」
どんどん激しさが増してきて、お互いもうやばいみたい。
「くっ…俺もそろそろだっ…」
「うあんっ!…い、いっしょに…」
彼の手を握るわたしの手にギュッと力が入る。
「んっ……!」
「あうっ…や…イクっ…んああああっ!」
静かに達した彼とはちがってわたしは大声を上げて意識を手放した。
ーーずっとこの人といっしょにいたいーー
ーーゆーくん、大好きだよーー
ゆーくんなんて言ったら、怒るかな…?
「いや〜普段とは違ったなぎさが見れて楽しかったよ」
「や、やめて、恥ずかしいよう//」
してる最中は全く感じなかったけど…振り返ると…恥ずかしい…
「ゆ、ゆーくんがなんか、すごいから…」
「ゆーくん?」
「あ、そーだ!審査の結果、これからゆーくんって呼ぶことにしました!」
(審査って何だ審査って。しかもそんな満面の笑みで言うな)
「ま…いいか」
「あー照れてる照れてる♪」
「ちがっ…」
(本当に不思議な子だ。一緒にいると自然と楽しくなる。そういうところに惹かれたのかな…)
「えへへ〜♪」
「ん?」
「ずーっと一緒だよ?」
「…はいよ」
「…大好き。」
「…こっちも。」
おわり