「おつかれさまでしたぁー」
「おつかれで〜す♪」
わたしたち3人は、朝5時から3時間の生放送を終え、ようやくスタジオを出た。
「あー疲れた〜。ねぇ、ミハルさんは今日これから仕事あるの?」
3人のなかで一番背の高い綾夏(あやか)せんぱいが、こちらを振り向きながら問い掛ける。
「んーと…たしか」
ミハルと呼ばれたわたしのとなりを歩く女性がごそごそと手帳をひろげていると…
「おつかれさん!アキちゃん今日もかわいかったね〜」
背後からいきなり肩をぽんとたたかれて、わたしは思わずびくっとする。
『おめざめヴィジョン』のディレクター、藤田さんだ。
「ちょっと〜マサヤくん、それセクハラよ!アキちゃん怖がってるじゃない」
「藤田くん、アキちゃんいじめてばっかりいないで、たまには綾夏やウチにもかまったらどうなの〜?」
「別にいいだろ、オレとアキちゃんの仲じゃん…
…っていうかなんでディレクターのオレにタメ口なわけ?」
「だってあたしら同期じゃん」
「ウチは一コ上」
間髪入れず答える2人。
「…ふふふ、あとでどうなるか覚えとけよ?あ・野村さん、あなたたちがもうちょっと
アキちゃんみたいにおしとやかになったら相手してあげますよ。じゃあね、アキちゃん♪」
2人には捨て台詞を残し、わたしには笑顔で手をふりながら、藤田さんは去っていった。
「まったく…あいつ早く出世したからって最近調子に乗ってんのよ!」
「まあまあ…っと、これからの予定だっけ?午後からクイズ番組の収録ね〜」
ずっと右手に持ちっ放しだった手帳を見ながら、ミハルせんぱいが言う。
「そっか〜、あたしはこれからロケなんですよー、はぁ…
あのディレクターいっつもあたしに変なことばっかやらせるんだから!この前なんかねー…」
……綾夏せんぱい、最近はいつもこう。ここしばらく体当たりのロケや、
アナウンサーなのにお笑い番組のコントに出演させられたりと無茶な仕事が多く、
ひどいときにはドッキリをしかけられたりもして、ちょっとストレスがたまってるみたい。
それで、朝のスタジオからアナウンサー部署までのこの帰り道が、
いつの間にか綾夏せんぱいのグチ吐き場になっちゃった。
…せんぱい、だいじょうぶかな―…
「…てわけ。まったく、あいつらあたしたちアナウンサーをなんだと思ってるのかしら!!
ねぇ、アキちゃん?」
「―…えっ!?あっ、あぁ、はぃ…」
「なぁに、アンタまた話聞いてなかったの〜?」
突然名前を呼ばれてうろたえるあたしの顔を、ちょっといじわるな笑みを
浮かべながらのぞき込むミハルせんぱい。
「あ、い・いいえ、そういうわけじゃ…」
「まったく、そういう風にビクビクしちゃうから、さっきみたいにちょっかい出されるのよ〜。
アキちゃんみたいなかわいい娘はとくにいじめられやすいんだから…。」
とあきれ顔の綾夏せんぱい。
「うぅ…すいません…」
「ま、ウチらがアキちゃんのこと守ってあげるから安心してね〜♪」
わたしのアタマをなでながらミハルせんぱいは言うけど、
“せんぱいたちだって、わたしをからかって楽しんでるくせに―…”
なんて本音はとてもじゃないけど口には出せなかった―。
お昼すぎ―わたしは1人、社屋の渡り廊下を歩きながら
さっきのせんぱいたちの言葉を思い出していた。
―そんなだからアキちゃんはいじめられちゃうのよ―
…ふふっ、ほんとにそうかもね。たしかに昨日の夜だって、それに――。
「…失礼します、わたしです」
会議室のドアをノックしてすぐに入る。部屋の中は真っ暗だったが、その中に“彼”はいた。
「遅かったね。誰かに見られてないかい?」
「す、すみません…だいじょうぶだと思います。」
彼は立ち上がると、ドアの前へ行き鍵を閉めた。
「まぁ見られてもいいんだけどね…オレは」
―ドクンッ…
彼に視線を向けられて、心臓の鼓動が、呼吸が、少しずつ速くなっていく。
自分の身体が、この人のモノだと言うことを思い出していくみたいだ。
「クスっ…かわいいね。こっちにおいで」
彼に手をひかれ、イスの前に連れていかれる。
「…じゃあ始めようか」
「はぃ………藤田ディレクター」
「おい…2人きりのときはなんて呼ぶんだっけ?アキ」
ふだんのおどけた感じからは想像もできないくらいの冷たい声に、身体が震える。
「ご…ごしゅ、ご主人さまです…」
やっとの思いで言葉をしぼりだすと、彼のトーンは元に戻った。
「よし、いい子だ…じゃあ見せてよ。キミの“衣装”」
彼の言葉をすべて理解しているわたしは、そっとワンピースの裾をつかむと、
ゆっくりとそれを上げていった…。
だんだんとあらわになっていく白い太股。そしてそのさらに上には…ピンク色の下着。
本来、女性の大事な部分を覆い隠すべきそれは、透けていた。
パンティーの奥の肌はもちろん、わたしの薄めのヘアまでしっかりと確認できるほどに。
「なんだ…すっかり濡れてるじゃないか、奥までばっちり見える」
「ちっ、違います!これはもともと…あぁんっ!」
言いかけたとき、いきなりパンティーの中心部を触られ、言葉が続かなくなる。
「ほぉらやっぱり…本当にアキはインランだな」
――気付いていた。本当は、もっと前から濡れていた。あふれだすものが、太股を伝うほどに…。
「あっ…ち、ちがいますぅ…んっい、いんらん、なんかぢゃ、んあっ」
「こ〜んなにココ濡らしといて何言ってんだよ?今日もずっと“入れてる”くせに…」
その言葉に、わたしは思わずピクッと反応してしまう。右手をぐちゅぐちゅと蠢かせながらも、
彼の視線は確実にわたしのパンティーから伸びている一本のピンクのコードに注がれていた―。
…それは、とても小さな音だったが、わたしには聞こえていた。
朝自分の家を出たときから……番組で天気を伝えていたときも……
廊下でせんぱいたちとじゃれあっていたときも……そして、この部屋に入った瞬間も――
それは小さすぎて他の誰にも聞きとれないのかもしれないが、
わたしは、わたしにだけははっきりとその音が聞こえていた。なぜなら―
――ヴヴヴヴヴ……
携帯電話が振動するかのような音―それはたしかに、わたしの“中”から鳴っていた。
「だ、だってぇ…ん・ご主人さまが、ウチでるときに、ぁんっ!
こ・このローターいれてこいって…あっ、ぁあっ、んああああっっ!!」
朝からずっと緩やかな刺激を与えられ続けたせいもあり、
わたしは彼の指によってあっけなく達してしまった。
膝ががくがくして立っていられなくなり、座っている彼にしがみつく。
「おいおい、もうイッちまったのか?昨日の晩といい、少しはこらえろよ…」
彼はわたしをそっと床に下ろすと、それまで組んでいた脚を少し開く。
「…でもまぁ、ちゃんと言うこときいたんだ。アキにごほうびやるよ」
イッたばかりでぼう然としていたわたしだが、次にやるべきことははっきり理解していた。
身体を起こし彼の前にひざまずくと、ゆっくりと彼のズボンに手を伸ばしていく――。