「今月も厳しいなあ・・・はあ」  
ルーマニアっぽい所から、迫害を逃れてきた魔女・・・と言えば物々しい  
が、今ここでため息をついたのは、家賃二万五千円の安アパートに住む、  
比較的人畜無害な魔女だった。その名をマリーといい、当年とって十二歳  
の、世にも珍しいチビッコ魔女である。マリーは、ジャパニーズドリームを夢  
見てこの国にいる。郵政民営化に伴う規制緩和で、宅配業務に自らが闖入  
・・・否、参入し、会社を興す夢を──  
 
「もっと、宅配の仕事をこなさなきゃ・・・でも」  
マリーは日本に来てから、空飛ぶホウキを使った宅配便の仕事をしてい  
る。彼女は魔女なので、それごときは朝飯前・・・と言いたい所だが、若干  
事情があって、仕事があまりはかどらないでいた。それは何故かというと、  
「魔女でありながら・・・ホウキにまたがって空を飛ぶと、あそこが濡れちゃ  
うなんて・・・魔女失格だわ!」  
そう、マリーは人一倍敏感な女を持っていた。魔女の定番アイテムの空飛  
ぶホウキをまたぐと、股間に甘い疼きを感じてしまうのである。これは、彼女  
が迫害を受けた故郷で受けた、マゾとしての調教に端を発している。  
 
「敏感なんだよなあ・・・」  
部屋の片隅に立てかけたホウキを見るマリー。すると、それだけで股間が  
熱くなってくる。あの某きれが、自分に甘い愉悦をもたらせてくれると考える  
だけで、たまらない気持ちになってしまうのだ。  
「慣れることって、出来ないのかしら」  
ホウキを手にとり、またがってみる。呪文は唱えずとも、ホウキはマリーの  
言うことなら何でも聞いてくれる。しかし、これがやっかいなのだ。  
 
「飛んで」  
マリーの命が発せられると、ホウキは易々と宙に浮いた。すると当然、  
彼女の足は床から離れ、ホウキの柄は少女の股間へ食いつく。  
「ううッ!」  
ジーンと熱いざわめきが、マリーの割れ目を襲った。それと同時に、彼  
女の脳裏に故郷で受けた辱めの数々が浮かんでくる。  
(可愛いマリー。わしのコックをしゃぶるんだ)  
(やめて、おじさま)  
マリーは、故郷では幼い娼婦の扱いだった。魔女狩りと称し、彼女が住  
んでいた村では、毎夜のごとく男たちがマリーの家へ押しかけ、いわれ  
のない陵辱にあけくれた。昼間は善人の顔を持つ者も、夜が来ると変貌  
する。誰も彼も皆、マリーの体を求めて狂ったのだ。  
 
(私、魔女だけど、誰にも迷惑かけてないわ。ママと二人で静かに暮らし  
ているだけ。それなのに、どうしていじめるの)  
(それが決まりだからさ。魔女は悪いやつなんだ)  
(よして!私、何も知らないわ。何も悪い事なんかしていない!放して!)  
(駄目だよ、マリー。言う事を聞かないと、縛り上げるぞ)  
男たちは決まって、マリーを縄で戒めた。その上、獣の如き欲望は彼女  
の母親にも向けられたのである。そうしてマリー母子は、共に尻を並べて  
犯された。  
 
(ああ!娘は、マリーはどうかお許しを!まだ、子供です!)  
マリーの母は、自分はともかく子供には慈悲を!と叫んだが、その願いは  
聞き入れられなかった。男たちはむしろ、母親の目の前で娘を嬲り者に  
することを愉しんでいるようだったと、マリーは記憶している。  
 
(ああ、ママ・・・)  
(ああ、マリー・・・ママを許して・・・)  
マリーは可愛いぬいぐるみを置いた、自室のベッドで男たちを迎え  
入れた。そのすぐ隣では、彼女の母親も群がる男たちの辱めから  
抗えきれず、なすがままになっている。男たちは入れ替わり立ち代  
わり、母子の間を行き来した。特に、マリーの場合はその幼い体が、  
男たちのあさましい欲望をそそってしまう。  
 
(子供のくせに、なんていやらしいんだ)  
(誘ってやがるぜ。さすがは魔女の子だ)  
ベッドへ押さえつけられ、衣服を剥かれたマリーは、男たちの嘲りに  
何の反論も出来ずに犯された。陵辱は破瓜に始まり、マゾへの調教  
へと続く。それは、長い道のりであった。  
(どうして、男の人はこんな事をするのかしら)  
天井から縄で吊られたマリーは、男たちの辱めに身悶えしながら、よ  
くそう思ったものだ。鞭やロウソクでの責め。アナルセックス。そして  
輪姦・・・マリーはそれらによく耐え、また従っていった。それらを経て、  
幾年かの月日が流れたとき──  
 
『調教済みのチビッコ魔女』  
 
という、ちょっと危険な香りのする少女になったのである。  
 
その甲斐あってか、マリーはホウキにまたがると、己の体に刻まれた  
マゾの部分を覗かせてしまう。ホウキは、調教された時に乗った三角  
木馬や、体に打たれた縄を思い出させてしまうのだ。  
 
「イクッ!」  
忌まわしくも淫らな過去の記憶と現在がクロスし、股間への責めも助け  
となってマリーは達した。と、その時である。彼女の割れ目に食いつくホ  
ウキが、『イク』と『行く』を聞き間違えたのは。  
「あ、あれれっ?キャーッ・・・」  
ゴーッという凄まじい音と共に、マリーの体はアパートの窓を突き破り、  
あっというまに空の上へ。どうやらホウキが、行けと言われたと勘違いし、  
外へ飛び出したらしい。それも、マッハ2を超える猛スピードで。と、なれ  
ば、当然アパートは・・・・・  
 
「キャー!あたしの部屋が!」  
すでにマリーは雲上の人ならぬ、魔女。振り向けば彼女が住んでいた  
アパートはその衝撃で崩壊し、灰燼と化していた。安普請だったが、なに  
より家賃が安かった。日用品もすべてあそこにある。しかし、マリーはあ  
そこには帰れそうにない。帰れば、アパート崩壊の犯人として、お縄にな  
ってしまう。  
「イクの意味が違う!」  
バカバカとホウキに八つ当たりをするマリー。しかし、相手は物言わぬ  
ホウキ。いくら彼女が怒っても、粛然としている。  
「うわーん!また、一からやりなおしだあ!」  
帰る場所も無くした魔女の嘆きを、この日は街のあちこちで聞く事が出来  
たというのは、後日談。ってことで、おしまい。  
 

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