生物工学の魔術師  
機械の鬼才  
科学の万能者  
昭和の狂科学者  
など、様々な異名をとった僕の唯一の肉親だった祖父がこの世を去って4年……  
祖父の残してくれた屋敷に一人で暮らす僕に何故かその祖父から今日、僕の17歳の誕生日に手紙が届いた。  
 
「拝啓、積羽(つみは)正樹(まさき)様。  
 まずは17歳の誕生日おめでとう。  
 君がこの手紙を読んでいるという事は既に、私は君を残して逝ってしまったという事だね。  
 本来は私が直接口頭で伝えるべき事だが生前、私が君に伝えられなかった事をこの手紙に託す。  
 この手紙がつつがなく君の手元に届く事を願って。積羽大樹」  
 
そんな文で始まった手紙には古い鍵が同封されていた。  
真実と共に……  
 
「まず謝らねばならない、私は君の祖父ではない」  
僕は……  
おじいちゃんのクローン?  
嘘だ……  
いや…でも、そういえば両親の記憶がない。  
世間では何年か前に羊とかのクローンの成功ってニュースを聞くけど……17年も前に人間だなんて……  
「あの人なら有りえる」  
僕には優しい祖父だったが、屋敷の中にはニトロだの青酸カリだのが転がっていた……  
僕はため息を一つつくと手紙の続きを読んだ。  
「検査の結果、君の体は間違いなく正常である。  
 しかし、不測の事態はおこらないとは限らない書斎の地下に造った実験室の鍵を同封しておく。  
 出来れば、君に私の全ての遺産を受け取って欲しい」  
勝手だなあ。  
要は実験室を残すから、自分の研究成果(遺産)について勉強して問題が起こったら自分で対処しろって事だよな?  
あまりにショックが大きいからか、それとも僕は祖父という人物を知っているからか不思議に取り乱したりしない。  
 
僕は、同封された鍵を握り締めると書斎に向かった。  
 
僕が祖父の手紙にあった地下室に降りると、むせ返るようなホコリの臭いがした。  
部屋には製図用らしき机と、もう一つ普通の机、  
それに本棚が二つ。  
なにげなく僕は本棚から一冊の本を取りパラパラとめくる。  
「手書きだ」  
祖父の書いた物だろう、これでも僕は理系には自信はあっただが、その本は当然ながら僕の高2レベルの自信など通用せずまったく意味が解らなかった。  
だが、それでも僕は引き込まれるように時間がたつのも忘れ一気に一冊読みきってしまった。  
そして、僕はその本を本棚に戻そうとそて、本棚の横に目立たない扉があるのに気づく。  
「まだ奥がある?」  
好奇心につき動かされ僕はその扉を開いた。  
それが自分の出自に対する物なのか、科学者だった祖父(オリジナル)譲りの向学心なのか自分でも判らないが…  
 
扉を開けた僕の目にいきなり飛び込んだのはよく漫画である、いかにもな培養槽……  
「ハハ…これで僕を作ったのかな?」  
やはり現実を確認すると少し動揺する。  
可笑しいわけじゃないのに笑いがこみ上げ、  
膝の力が抜けその場に崩れ落ちる。  
そして、目線が床に近くなったため最初は薄暗い風景の融け込んで気づかなかったが、その横に金属製の風呂にまた風呂を被せて蓋をしたような物がある事に気づく。  
「これも僕の関係品かな?」  
少し自棄気味になった僕はなんとなく気になってそれを開けて見た。  
油圧かなにかだろう、見るからに重そうな金属の蓋は音もなく静かに上に上がって開く。  
 
そして、その中には  
「女の子?」  
僕と同じ年頃の小柄で黒髪を肩に触れるか触れないかの所で切りそろえた少女。  
その少女は綺麗よりも可憐という言葉の似合うまだあどけなさの残る顔立ちでまるで眠っているようだ。  
「…死体?」  
とも思ったがどうやら違う……  
胸の部分が開いていて、そこから機械が覗いている。  
これは……  
「アンドロイドっ!?」  
 
 
翌日、僕は一晩悩み友人に相談する覚悟を決めた。  
と言っても悩みとかの相談じゃない。  
僕の親友に一人、彼女を……あのアンドロイドを動かせそうな心当たりがあったからだ。  
「…やつれたね、成君」  
一日の授業を終え燃え尽きている彼に僕は出来るだけ普通に声をかける。  
「ああ…普通に授業を受けるのがこんなに辛いとは……  
 お前らずっとやってたのか?尊敬するぜ」  
そう言うと成君は机に伏してしまう。  
…それにしても、そんな事で尊敬されても……  
「ところでどうかしたのか?」  
「え?…どうして」  
机に伏したまま僕の顔を見上げた成君に図星を刺されて思わず驚きの声があがる。  
「答えは簡単だよ、ワトソン君。  
 単に君が今日一日挙動不審だっただけさ」  
普段通りだったつもりだけど、やっぱり態度に出てたのかな…  
「そんなに変だったかな?」  
「いや、言うほど変じゃなかったから声かけてくるまで黙ってた」  
…面倒だし  
と成君を小さく付け足す。  
…友人止めようかな……  
ふとそんな考えがよぎるが、いつもの事と諦め本題に入ることにする。  
「ちょっとここじゃ難だから僕の家に良い?」  
「今日は彼が夕食当番なんですけど?」  
「ベアトリス!」  
 
今までだらけていた成君が隣の席から声を掛けられ、バネ仕掛けのおもちゃみたい素早く跳ね起きる。  
ついこの間転校して来た成君の従兄弟でベアトリス・ジーベンビュルグさんだ。  
彼女は背が高い上に金髪、そして有り得ないほどの美人なので目立つ。  
当然、もてそうなのだが、  
転校当初は高嶺の花として、近寄り難く。  
現在は成君とべったりの為に近寄れない。  
そもそも成君以外の男性は拒絶するオーラがある。  
…というか、時々恐い気がする。  
「成君って家事は妹さんに押し付けてなかった?」  
「最近、やり出したんだよ……文句あっか?」  
何故か、成君はそっぽを向いて顔が赤い。  
「まあ、良いや…相談だったな」  
成君はそう言って鞄を持って立ち上がると突然、  
「あ!」  
と叫んで教室の扉を指さす。  
その声に何事かと、教室に居たほぼ全ての人間がつられて扉を見てしまう。  
そして、  
「わりい、ベアトリス今日の当番は頼む。  
 正樹、先にお前ンチ行ってるからな!」  
つられてよそ見をして居た僕が突然、名前を呼ばれて振り向いた時には、  
成君はするりと窓から飛び降り、そして下から  
「痛ってえ、足しびれた!!」  
と声が聞こえ、それに気づいたジーベンビュルグさんが  
「あっ逃げましたね!」  
と叫び成君を追って窓に向かう所だった。  
あわてて僕は窓から下を覗くと、飛び降り騒ぎに騒然とする中を走り去って行く彼の後ろ姿しか見えなかった。  
…ここ三階だったよね?  
成君…君は三階から飛び降りて「足しびれた」程度で済むのか…  
…それよりもそこまでして逃げなくても……  
僕は親友に呆れつつ帰り支度を始めた。  
 
一通り話は聞いた後、例の彼女を見た成君は今、祖父の手書きの本を読んでいる。  
恐ろしいスピードで……  
「驚かないの?」  
「ん?オタクのじいさんの技術にか?  
 確かにスゲエな」  
「いや…そうじゃなくて僕の…」  
「ん?色々あってな…最近は驚き疲れたからな……  
 きちんと戸籍もあるみたいだし不便ないだろ?」  
…そうなんだ、自覚してるのかしてないのか、この人はとことんこだわらない人だった。  
「さて…」  
成君は読み終わった本を置くと、  
「研究内容から言うとサイバネティクス、  
 身体の欠損部分を機械で補う研究なんだけど、同時に生体も使ってベストな組み合わせを模索してたみたいだな。  
 各部品ごとの実験の前に試験的に生体と機械でそれぞれ完全な一人を作ってみたという事らしい」  
「彼女はその機械の方?」  
「そっ」  
軽く答える彼に僕は本題を聞く。  
「…で、彼女は動くの?」  
「ん?」  
成君はその質問を無視するように歩きだすと、彼女をもう一度調べ、その横の棚にある部品を調べる。  
「動かしてどうするんだ?」  
「え?どうって?」  
 
考えてなかった。  
彼女を見て、彼女の存在を知ってから僕は彼女を動かす。  
それだけに何故か執着していた。  
そして、聞かれようやくその意味を考え解った。  
「……同類が欲しかったのかも」  
「家族だろ?」  
ニヤリと笑うと成君は幾つかのパーツを棚から選び、手早く組み合わせると彼女の開いている胸の組み込みそこを閉める。  
驚いた事に閉めた後は触ってもまったく継ぎ目も解らなくなってしまった。  
「おいおい、女の子の胸をそうベタベタ触るなよ」  
「えっ…あ」  
僕は成君に声をかけられようやく自分がしている事に気づき赤面してしまった。  
「正樹くん、17の春か……」  
「馬鹿な事言わないでよ!」  
「さて…あとは動力の水素電池の分解時に必要な糖の補給だけだな。う〜んと濃い砂糖水、いやガムシロップのを溶かした奴の方が良いかな。  
 それを飲ませれば動くぜ。一度、動き出せば器官が働くから以後は普通に甘いものとか食べると思う」  
そう言うと背を向け成君は帰ろうとする。  
「え?もう帰るの?」  
「あとはお前で充分だよ。  
 それから上の書斎にある本、ぱっと見あれで基礎的な知識は充分得られるようだから彼女を動かすなら、しっかり勉強してじいさんの本読めるようになれよ?  
 メンテまでオレはやんねえからな」  
 
 
彼女…小枝(こえだ)さんが動きはじめた日から、一週間がたった。  
貨幣概念など基本的な生活習慣は最初からデータが入っていたらしく、そういう苦労はしなかったが、  
「ただいま」  
問題がないわけじゃない。  
「おかえりなさい、正樹様」  
問題とはこれだ。  
祖父の趣味かな?  
行動というか思考がメイドさんなのである。  
服も祖父が用意していたカチューシャにメイド服とエプロンだし、  
僕の事は様付けだし、  
ご近所の噂になったらどうしようなどと考え、彼女を家から出せない。  
しかし、それもそれで噂が立ちそうだ…いい加減限度だよね。  
「さあ、準備は出来ておりますよ」  
彼女がワラで編んだ買い物袋を下げてなにやら気合いを入れている。  
そう、今日は初めて彼女に買い物をさせる予定なのだ。  
…といってもさま付けで呼ばれるのは困るが、さすがに不安なので僕もついて行くけどね。  
 
「正樹様、ずいぶん車が多いですね」  
当然というか予想通りというか、  
初めて出た外が余程珍しかったのか、些細な質問を連発しその度に「正樹様」を連発してくれた……  
「そんな大声で呼ばれたら、恥ずかしいよ」  
買い物を一通り終えた帰り道でもそれは変わらない。  
「御免なさい。でも嬉しくって」  
そう言うと、彼女は青になった横断歩道を小走りに走ると、  
「正樹さま〜今日の夕食は腕により掛けますよ〜!」  
と振り向いて叫ぶ。  
可愛いよ…可愛いんだけどさあ……  
「…じいちゃんの趣味なのかなあ……」  
僕は恥ずかしさとちょっぴりの嬉しさで周りが見えてなかったのかも知れない。  
「正樹さま危ない!」  
え?  
思わず目の前の視界を確認する。  
小枝が走ってくる。  
信号は青、大丈夫。  
しかし、  
 
キキキー  
 
高い音が鳴り響き、視界の横に何か……  
まさか!?僕は急いで走りだろうとした。  
しかし  
 
ドン  
 
車のブレーキ音に続き何が重い物が何かにぶつかった音が  
耳の中で響く。  
 
背中から落ちたらしくが背中が痛い、  
視界のなんだか見にくい……  
どうやら逆さに転がっているようだ。  
いや、それどころじゃない。  
僕は車にひかれたんだろうか?  
走ろうとして足を上げた瞬間跳ね飛ばされた覚えはある。  
あまりに酷い痛みは感じないというから、死ぬ程大げさな痛みが無いのは当てにならない……  
「正樹様、大丈夫ですか?」  
「小枝さん?」  
えっと…反転した視界に慣れ序々に状況がつかめてくる。  
僕の元居た場所には小枝さんが……  
つまり、小枝さんは僕を突き飛ばして……  
そして、その腕が……  
「あ…ああ…小枝さんの…腕が……」  
小枝さんの前には大きくフロントの歪んだ車、  
そして、歪んだ小枝さんの細い右腕……  
「間に合って良かったですよ、ほら私は100万馬力有りますからこの位なんでもないんですよ〜」  
成君の話では人体への部品移植前提の試作品である小枝さんは人間と同じ感覚があるという…当然、痛覚も……  
それなのに小枝さんは僕の無事を喜び、笑顔を見せてくれる。  
…痛いはずなのに……  
本当なら僕がひかれてたのに……  
僕を突き飛ばして助けて…小枝さんが腕を……  
 
どこをどう通ったか、  
集まってきた野次馬をかき分け、小枝さんは動く左腕で動揺する僕を守るように肩を抱き屋敷まで帰りついた。  
ただ動揺しているだけで何も出来ない僕に何度も何度も  
「心配する事はないですよ〜」  
と笑顔を絶やす事なく励ましながら……  
 
情けない……  
屋敷についた僕は自分の情けなさに泣きそうだった。  
しかし、一番情けないのは  
「大丈夫ですよ〜私は直せば良いだけ何ですから〜  
 それに外装は破れませんでしたから、多分、私の事は誰にも解りませんよ〜」  
直す。  
そう、屋敷に着いた僕は「自分」の情けなさばかり考え小枝さんのことを考えていなかった……  
それが一番、情けない。  
「成君に電話…するよ……」  
僕は無力感に脱力し幽鬼のようにふらふらとたち上がると、玄関脇にある電話の受話器を取りのダイヤルに指を掛け、回す。  
 
プルルル…プルルル  
 
受話器の向こうで呼び出し音が何度か鳴り、  
 
…チン  
 
繋がった。  
 
ツーツーツー  
 
んじゃなかった。  
「小枝さん、何を……」  
電話は小枝さんによって切られていた。  
「私は金刀さんでなく正樹様に直して頂きたいんですよ」  
「えっ?…でも」  
僕には無理だ……  
成君みたいに祖父の本を読んで理解する事すら出来ないのに……  
「知っているんですよ〜正樹様、私を起動させてから、ず〜っと勉強してらしたって、大丈夫ですっ!!  
 正樹様なら出来ますよ」  
勉強してたって言ってもたかが一週間……  
しかし、小枝さんは祖父の人生の集大成。  
追い付けるわけがない。  
小枝さんが僕の修理で取り返しが付かない事になったら僕は…  
「手…どけてよ、成君呼ぶから」  
卑怯だけど僕は僕を守りたいんだ……  
しかし、  
「正樹様以外の方に、私の体をいじらせたくないんです!!」  
いつもニコニコと微笑んで……  
今の今まで、あんな事故の後でもそうだった小枝さんが初  
めて僕に感情剥き出しの大声を上げる。  
…僕は…僕は……  
 
「まずは、損傷を確認するよ」  
僕は結局、押し切られるように小枝さんの修理を始めた。  
地下の実験室で祖父の本から腕の設計図らしきページを探し、  
「肩の付け根から腕部分でメンテとかの為に外れるはず……」  
なんけど…継ぎ目が全く滑らかな小枝さんの肌は、いくら目をこらしてもどこからどこまでがそうなのか解らない。  
「あの…触るよ?」  
僕は緊張しガチガチになりながら手を伸ばす。  
アンドロイドだと自分の言い聞かせても、ほとんど効果はない。  
「…はい」  
肩の付け根を見るために上半身を下着だけになっていた小枝さんが小さく頷く。  
「えっと…」  
僕は両手で小枝さんの肩を探る。  
彼女の肩は二ヶ所ロックがあるのだが、それを同時に押さないと外れない、片方だけ外れても即座に自動で戻る。  
こういう仕組みじゃないと何かにぶつかっただけで外れる危険があるからの処置だろうけど……  
おおよそでしか解らない今の僕はこの仕組みのせいで彼女の腕を外す作業に手間取る。  
 
「御免、小枝さんもう少し我慢してね」  
「いいですよ、ゆっくりで。  
 正樹様の手、冷たくて気持ちが良いですし……」  
そう言えば、小枝さんは暖かい……  
「小枝さんは暖かいよ」  
僕は思わず、呟く……  
「正樹様……」  
不意に小枝さんの肩が下がり僕の手から離れ、上半身を捻り僕の方を向き、  
「…小枝さんっ…」  
僕に口付けをした。  
「そんなに緊張しなくても平気ですよ〜」  
まるで子供に言い聞かせるような語尾を延ばした優しい口調で小枝さんは僕に微笑みながら話しかける。  
そう言えば、事故の直後もこんな口調だったな。  
心配ごととか掛けまいとする時の小枝さんの強がりというか癖かなんだろうか?  
「大丈夫ですよ。  
 きっと僕が直しますから」  
きっと今、一番不安なのは小枝さんだ。  
そう僕を頼っているこの女性(ひと)なんだ。  
僕はこの時、少しだけ強くなれたような気がした。  
 
……30分後、四苦八苦して外した腕と設計図を見比べて自分の無力さを痛感するまでの短い時間の間だけだったけど……  
 
小枝さんの腕はあれだけ苦労したけど大した故障は無かった。  
補助骨格に大きな歪みが出来た分、それが衝撃を吸収してくれて他に影響を及ばさなかったらしい。  
それさえ判れば、それを予備と交換すれば良い。  
 
…調べもしないで成君に修理を頼んだら、僕はこれからも成君に頼り続けていたかも知れない。  
…いや、きっとそうなってしまっただろう。  
そして僕はきっとずっと小枝さんに対して、  
そして自分に対して背を向け自信が持てないままで居続けたんだと思う。  
あの時、小枝さんが必死に僕に修理を頼んだのは、弱っていた僕に立ち直る機会を与えてくれるためだったのだと今は解る。  
 
…しかし、そう簡単にはいかないんです。  
そもそも僕は昼間を学校が有り、作業時間は限られる。  
それでも何とか時間を工面し結局、3週間掛けて小枝さんの腕を修理を続けた。  
 
この間、小枝さんと一緒に居る時間は自然と増えた。  
それまでも彼女との時間がなかったわけじゃないけど、  
片腕でも働くと聞かない小枝さんを僕が支える必要が出て、  
資料整理などで小枝さんは僕を支えてくれた。  
共通の目的とそれに向かう作業は、ゆっくりだけどそれまでより確実に僕らを心の通じ合える本当の家族に育ててくれていた。  
 
そしてようやく今、  
祖父の残した機械で人間らしく見せるコーティングをしている。  
 
「正樹様、有り難う御座います」  
タイマーの数字が減っていくのを見ながら小枝さんが僕に深々と頭を下げる。  
「そんなお礼なんて良いよ。  
 それにこんなに時間が掛かっちゃって僕の方こそ御…」  
「どうかなさいました?」  
「いや…待っててくれて有り難う」  
遅くなった事を御免と謝るつもりで途中まで言った僕は、  
なんとなくここでは御免は合わない気がして途中で言い変える。  
「はい、どういたしまして」  
「うん…」  
そうして笑いあった僕らの唇がまるでお互い言葉にして申し合わせたかのように自然に重なりあう。  
 
僕はゆっくり小枝さんを押し倒すとメイド服のエプロンをずり下げ、ブラウスのボタンを外し胸をはだけブラジャーを外す。  
大きくも小さくもないが形の良い白い乳房があらわれる。  
そして、その上ではすでにピンっと立ったピンク色の乳首はその存在を主張している。  
「…好きです……小枝さん」  
僕は小枝さんを見つけ、一緒に暮らしている間に育った有りったけの気持ちを込めて言葉にする。  
「正樹様……私も好きです」  
「うん」  
僕は小枝さんの返事に頷くと口付けをし、少し悩んだが  
「……ん」  
舌を伸ばし、最初は小枝さんの閉じている歯を開けるために歯茎をこするようになめ、  
そしてそれに反応し緩んだ歯の間に舌をすべりこませ、彼女の口内へ侵入させる。  
「はっ…うん」  
小枝さんも拙いながらも僕の舌の動きに答えてくれる。  
僕は小枝さんの舌の感触、口内の暖かさを楽しみながら彼女の胸に手を伸ばす。  
手の平に心地いい弾性がかかる、僕はその弾性を押し返すように彼女の胸を強弱をつけて揉んでいく。  
「く…っん」  
小枝さんは僕のキスに口を塞がれているため声を出せずに苦しそうに呻く。  
 
「ふう…」  
僕が唇を小枝さんの唇から離すと。  
「あ…ふっ…ん」  
とたんに小枝さんの口から甘いあえぎ声が洩れ出す。  
その声に我慢出来なくなった僕は、小枝さんのスカートをエプロン毎、まくり上げると彼女の白い可愛らしいショーツを脱がせ、  
彼女の大切の部分に顔をうずめ、祖父のこだわりの造り込みに感謝しつつすでに湿ったそこに口付けをする。  
「ひゃっ…」  
小枝さんは一際大きな声上げ、  
「そ…そんな…ダメ……です」  
羞恥から軽く拒絶する。  
「これでも?」  
その可愛らしさに悪戯心を刺激された僕は軽く笑うと彼女の潤いを指にすり付け彼女に見せる。  
「ううぅ…恥ずかしいから、もう止めます」  
僕の指を見た小枝さんは涙目を潤ませ、足を閉じそっぽを向いてしまう。  
「ご、御免」  
僕は恥ずかしさに涙目になっている彼女に胸に締め付けられたような痛みを感じ素直に謝る。  
「うぅ…ただでさえ恥ずかしいんですから…あまり、からかわないで下さいよ〜」  
小枝さんはそれでも納得行かないという感じで愚痴を言いつつも、僕の方を向き直しそっと足を開いてくれる。  
 
僕は彼女と正面で向かい合うと、そっと彼女の大切な部分に大きく起立した自分自身をそのまま正常位で彼女の中に自分自身をうずめていく。  
「あっはぁんっ」  
さすがに彼女には処女膜までは造られてなかったらしく、  
きついながらもスムーズに僕は彼女の奥に進んで行く。  
「ふう…」  
僕は小枝さんの一番奥に到達し、一息つくと……  
「動くよ」  
小枝さんに宣言しゆっくりと動き出す。  
「あっはぁ…やあっ」  
そして往復速度を序々と上げていく、  
やがて、  
「やっ…ん…ま、正樹様…そんなに激し…く…しないで…」  
小枝さんは音を上げる。  
しかし、僕は  
「はっくっ…メイドが御主人様に意見しちゃ駄目じゃないかな…?」  
腰を止める事なく更に激しく小枝さんを求める。  
「そん…な、正樹様…あぅん……ずるい…」  
「くっ」  
激しくし過ぎたかな……  
僕は限界が近いのを感じる。  
「っ…わ、私…もう…」  
小枝さんも限界が近いらしい。  
僕は小枝さんを強く強く抱き締め、  
「正樹様っ正樹様っ…ああっ!!」  
「小枝さんっ」  
僕は小枝さんが僕を呼ぶ声を聞きながら、  
彼女の名を叫びながら、彼女のもっとも奥に僕の気持ちを放った。  
 
 
ー・ー・エピローグ・ー・ー  
「どう?腕、調子良い?」  
夢中になって愛し合っていた間にとっくにコーティングが終わっていた腕を小枝さんに取り付け感想を彼女に求める。  
取り付け自体は今までの苦労がアホらしくるほど至極、簡単であった。  
肩を胴に合わせてやると骨格、動力回路、制御回路などの正しい接続を小枝さんのコンピューターが勝手にしてしまうのだ。  
小枝さんは、そうして付けられた腕を色々な方向に動かし、  
指を一本一本動かして具合を確かめ、そして…  
「はいっ、正樹様の愛情がたっくさん詰まってますから」  
と微笑み、僕に軽いキスをして  
「では、さっそく買い物に行きましょう」  
満面の笑みを浮かべ、僕の手を引いて立ち上がる。  
「正樹様、期待してて下さいね。  
 今夜はあの日作れなかったご馳走を作りますから」  
僕は  
「楽しみにしているよ」  
僕の手を握る彼女に微笑み返し一緒に歩き出した。  
きっと普通の人よりこの先も色々有る。  
でも僕らはぞっと一緒に歩いていくだろう、たった二人の家族だなのから……  
 

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