「ふ・・・・うっ!・・は・・・ぁ・・」
その小柄な身体にしては大きめの膨らみをブラの上から揉みしだいていた左手が、もどかしげに
布をずらして白く細い指を内側へと滑り込ませた。僅かに膨らみの先端が露出する。赤みを増し、はち
切れそうな勢いで尖っていた。
指先がその頂点に触れる。
「――――・・っっ!」
祥子は声に出さず息を詰めた。息を詰めながらも乳首をなぶる指先は執拗な動きとなって行く。
「くぅ・・ぅん・・・・はぁっ・・」
詰めていた呼吸はやがて悩ましげな吐息に変わる。
その間にも祥子の右手は脇腹や臍の周りに指先を這わせていたが、徐々に下へと移動し腰骨や
内腿を円を描いて撫ぜ回し始めた。彼女は微かに腰を浮かし、左右にくねらす。そして指はより
激しく動き、内腿の奥、下着に包まれた秘所へと迫りつつあった。
「あ・・・はぁ・・あぁぁ・・・」
左手はブラを完全に押し上げ、小さな手には余る肉に指を食い込ませながら、先端の赤い芽を
人差し指と中指で挟み、強く摘み上げていた。
口からは今までよりも明瞭とした声が漏れる。
不意に指先が下着の上から秘芯の中央をすっとなぞった。
「おはよー」
「はよっ」
「ういっす」
「よお」
朝、駅を出て学校方向へ数分も歩くと、登校して来た生徒達の交す挨拶がそこらで聞こえる様に
なる。勿論、先生である祥子への挨拶も。
「あ、舟瀬先生おはようございまーす」
「ふなやんおっはーっ」
「おはよっ!」
追い抜きがてら元気な声を掛けて来た女子に祥子はこれまた元気に挨拶を返す。全ての生徒が
先生に挨拶するとは限らず、面識のない者や急いでる者はそのまま通り過ぎて行くのだが、祥子は
普段の快活な性格で受け持った生徒から男女を問わず人気を得ていた。
「ほらほら、こんな時間に缶コーヒー片手でのんびり歩いてたら遅れちゃうよっ」
「遅れちゃうよって、それ言ったら先生だってヤバいっしょ?」
「そう言えばそうね、アハハハ・・」
そうこうしてる内に学校の塀と正門が見えて来た。しかし、それまで早足だった彼女の歩みは
急にたどたどしいものとなる。代りに動悸が早鐘を打ち、呼吸の乱れるのが自分でも分かった。
(松岡くん・・・・・松岡くん松岡くん松岡くん・・)
昨日の今日である。
校門をくぐろうとしているその男子生徒の姿に、祥子は人知れず頬を紅潮させた。
「・・い・・・おいってば!」
「ん?・・・ああ、おはよ」
「おはよじゃなくてさ・・松岡、今日もボケてんのかよ」
「ん・・悪い」
「確かにお前、いつもボケてるけどさ、最近のはひど過ぎねーか?」
「うん・・・」
「てか、まだ迷ってんのかよ。あれ」
「・・・」
松岡明太は校門を入った所で後ろから声を掛けて来た3年2組の級友に図星を指され、再び
黙り込んだ。ここ何日か、彼には思い悩んでいる事があり、今朝の登校中もずっとその事に
ついて考えていたのだ。
「今日び、女だってもっと度胸あるってのに」
「ん・・・」
級友の呆れた様な物言いにも松岡は殆ど反応を見せず、物思いに耽りながら歩いている。
「お前がシャキッとしてなきゃ上手く行く話も上手く行かないだろ?・・大丈夫だって、こーゆー
話は勢いで押し切っちまえば何とかなるんなんだ。女なんて単純でその場の流れに弱いんだから
――」
「――“女なんて”、なあに?」
「え?・・わわっ、フナたんっ!?」
「誰がフナたんよ」
いつの間にか二人の後ろまで来ていた祥子に突っ込まれ、それまで演説を奮っていた級友は
慌てふためいた。
(やっぱり・・・松岡くん、元気ないよ・・・)
彼の様子がここ数日おかしい事は、祥子も気付いていた。彼女は彼のクラスの副担任であり、
国語の授業も受け持っている。加えて普段の面倒見良さげなイメージからも、彼女が彼に何が
あったのか尋ねるのは違和感なく受け止められるだろう。
しかし、昨夜の事がある。
彼を思い浮かべながら一際激しく乱れた夜。松岡の顔を直視したら不自然に顔を赤らめ、声が
上擦ってしまいそうだった――それ以前に、直視出来ないかもしれない。
祥子が躊躇っている間に、松岡へ彼と親しい男子生徒が声を掛けて来た。何を喋ってるのか
良く聞こえなかったが、やはり松岡の最近の様子についての話だった。そして、松岡にやはり
何か悩みがあったのだと知った。
(自分を前に出さないで、色々考えちゃう子だから・・・)
それだけ直面する迷いや悩みも尽きない。祥子の胸が痛んだ。自分の秘めた感情が露になる
のを恐れるばかりで大事な物を見落とす所だった。
(こんな時、彼の力になってあげなくちゃ・・私は先生なんだから)
そして彼は彼女にとってただの生徒ではない。
まずは詳しく聞こうと二人へ近付く。松岡の背中を間近にして再び鼓動が激しくなるのを感じた
が顔には出さずに済みそうだ。
男子生徒の声が聞こえる。
「女なんか単純だから――」
この年代の少年特有の知ったか振りだったが、今の祥子には妙に癇に障った。
(彼は真剣に悩んでるんだから・・・適当な偏った知識、吹き込まないでよっ
・・・“私の”松岡くんに)
「――“女なんか”、なあに?」
「わあっ、フナたんっ!?」
半ば自分の世界にいた松岡も祥子に視線を向けた――彼女の心臓は今にも破裂しそうだった。
何か今日はプロクシ規制かかったりして…orz
あまり切り良くないけど今日はもう寝ます。
なかなかえちい場面に移れんな・・その分、表の態度と内心とのギャップで
萌えを狙いたいのだが…
「い、いや・・ほら松岡、今日びの度胸あるシャキッとした女性の一例だ」
「ふうん?単純で流され易い女の一例じゃなくて?」
「ううっ・・・そ、そうだ松岡。お前、フナた・・舟瀬先生にも相談してみろよ」
ぼんやり祥子と友人のやり取りを眺めていた松岡は、急に話を振られて戸惑いを浮かべた。
舟瀬祥子。彼のクラスの副担任で国語の授業も受け持つ若い女性教師。ただ若いだけでなく、
ショートカットの似合う年齢以上の童顔と分け隔てのないカラッとした気さくな振る舞いで、
あまり年の離れてない少女の様にも見える。
「そうそう、松岡くん最近何だか元気ないよね。何か心配事でもあるの?」
何気ない風を装いながら祥子は尋ねた。
リスの様なくりくりっとした目で顔を覗き込まれて松岡は言葉に詰まる。
「ええっと・・・」
口ごもる内に彼の頬に赤みが差してくるのが祥子にも見て取れた。その表情が妄想の中の彼と
重なり、自制しつつもそそられ疾くものがある。
そんな祥子の内心と別に松岡は松岡で迷っていた。自分の悩みは舟瀬先生とかのアドバイスを
貰うと良いものかもしれない・・・だけど、こんな所で気軽に口に出せる事でもない。
「いや・・やっぱり、何でもないです」
「何だよ、だらしねーなー。先生、コイツね・・」
「や、やめろって」
「そうよ。松岡くんにとって朝から人前で言いたくない事かもしれないでしょ?」
そう諌める祥子だが、やはり松岡が悩みを自分に打ち明けてくれなかった事はとても残念に
思っていた。
ただの教師である自分は生徒に深く踏み込む訳には行かない・・生徒を思いながら淫らな行為
に耽る自分は「ただの教師」としての信頼にも値しないのかも知れない。
そんな後ろ向きな思考も頭を横切る。
(でも、私は、松岡くんが・・・・)
いけないと考えていても、想うのを止める事までは出来ない。
「そうかもしれないっすけどね・・」
ともあれ、追い詰めないのが最優先。祥子は慎重に続く言葉を選んだ。
「・・でもやっぱり、一人で悩んでいるより誰かに打ち明けた方が良い時だってあると思う。
私で良ければいつでも相談してね」
それだけ言うのが限度だった。
「はい・・・ありがとう、ございます・・」
松岡は羞みつつも、いつものホワっとした笑顔を彼女に返して来た。
(ああ・・・・っ)
瞬時に胸の奥が甘く疼き、昨夜散々弄んだ箇所が熱を帯びて来る。彼の顔を正視出来なくなり
そうだった祥子はそうなる前に二人から視線を外し歩き出した。
「さっ、そろそろ急がないと本当に遅れちゃうよっ」
「ったく、ヘナヘナ笑ってるし。お前もフナたんの10分の1はシャキっとしてればなあ」
「ん・・・悪い」
(謝らないで・・松岡くんはそのままで良い・・・そんな松岡くんを私は好きになったの・・
好き・・好きなの・・松岡くん・・・)
背後で聞こえる会話にもどかしい気持ちで一杯になりながら足を進める祥子。
そんな祥子の後ろ姿を見つめていた松岡が国語準備室の彼女を訪れたのは、一日の授業が
終わったその日の夕方だった―――
「ひゃ・・・・ひゃんっっ!」
背骨へと抜ける刺激にビクンと身体を弓なりにのけぞらせたが、右手の指は止まらない。
秘芯は既に潤っていて、それを包む下着も湿っていたが、指で押え、揉みほぐした所からは
新たに彼女の液体がぐじゅぐじゅと音を立てて染み出して来て、指にまとわり付く。
「や・・・やあ・・っ、こんな音・・ぬるぬる・・は・・ずか・・し・・い・・・よぅ」
ここは、彼女の独り暮らしの部屋のベッドの上。誰が見ている訳でもない。にも関わらず、
祥子は自分の身体の反応に羞恥で顔を紅潮させた。
羞恥に悶えながらも手の動きが止まる事はない。上からは呼吸に伴い断続的に上がる声が、
下からは多分に水気を含んだクチュクチュという音が聞え続けていた。
「はふ・・・ああ・・もっと・・・もっと、来てえ・・・」
祥子は眉根を寄せ、物足りなさそうに呟きながら、下腹部から下着の中へと右手を差し入れた。
湿った布に透けるショートヘアーの髪と同じ明るい栗色のやや薄い茂み、白い指先はそれを掻き
分けて秘芯の端にある小さく控え目な、それでいて熱を持つ突起に到着した。
「――きゃんっっ!――い・・ぃぃっ・・・っ」
「いいようっ、気持ちいいっ!は・・あ・・来てっ!もっと、来てえっ!」
祥子は胸の左手も下着の中へと入れた。そのまま腰をもぞもぞ動かして下着を下ろそうとする。
愛液をたっぷり吸収した布は彼女の腰を離れ、膝上の辺りで止まった。露わになった栗色の茂みと
蜜を滴らせた花。その上を両手の指が艶かしく動いている。
羞恥と快感で紅潮した彼女の顔。その目は夢の中にいるかの様に虚ろだった―いや、実際に夢の中にいるのだろう。
彼女の羞恥はここにいない誰かの視線に対するものであり、更なる快楽もその誰かに求めるものだった。
溢れて脚や手元に絡み付く蜜をそのままに、陰唇をこね回し、肉芽をつつき、撫で、摘む。
絶頂が近付く中、祥子は息も絶え絶えに呟いていた。
「お願い・・・先生、もうダメ・・・ゴメンナサイ・・先生なのに・・アソコをこんなにして、
欲しがってるの・・お願い・・来て・・・・・松岡くん」
その名前を口にすると同時に祥子は二本の指を最早十分すぎる程熱く柔らかく潤った膣口に
滑り入れた。沈められた指が強く奥へと誘われるのを感じ、また、体の奥深くに快感が満ちて
いくのを感じた。
「松岡くん・・・あ・・ああぁ―――っ」
「ん・・・ふうっ・・」
奥へ誘い込もうとする膣内の動きに逆らって指を第一関節の所までゆっくり引き抜くと、摩擦と
喪失感とがない混ぜになったやるせない快感が全身に響く。
「や、やあ・・・・・はうんっ!」
再び根本まで二本の指を埋め込み、祥子は深く息をつく。
始めはゆっくり、やがて激しいテンポで彼女の指は出し入れされた。中で動かし引き抜かれる
度に、それまで以上に分泌された熱い液体は指を伝って激しく溢れ、シーツの染みを広げた。
もう片方の手はクリトリスを擦り続けている。彼女の絶頂は間近だった。
「松岡くんっ、先生、もうイッちゃう!ダメっ・・ダメよ、イイのっ、気持ちイイの!松岡くんの
・・オ・・チンチンが・・・先生の奥まで届いてるのぉっ!来て!もっと奥まで来てえっ!もっと
激しく突いてえっ・・・先生をメチャクチャにしてえっ!先生のアソコ・・グシャグシャに、
掻き回してえっ――!!」
既に液まみれの白い指はバシャバシャと水を弾く様な音を奏でていたが、突然、彼女の長い
叫びと共に、指の隙間から一挙に多量の蜜が迸り宙を舞った。
「松岡・くんまつ・・おか・・く・・・ああ――、あああ―――っっ!!」
「はあ・・・はあ・・ああ・・・・ああぁっ・・・」
指を根本まで埋め込んだまま顎と上半身をのけぞらせ数回びくびくっと震えた後、身悶えして
行為の余韻に浸る祥子の脳裏に「また、やってしまった」と自責の念が浮かぶ。
自分の担当生徒を思い浮かべての自慰。中学教師である彼女の、自分の決して表に出せない
想いと欲望が露になる一瞬。
「こんなこと・・いつまでも続けてはいけない、よね・・・」
あえぐ息で彼女は呟いた。24才の彼女は校内の教師の中は一番若かったが、それでも意中の
少年とは10近い年齢差がある。
「どうして・・・まつおかくん・・なんだろ・・生徒、なのに・・まだ、15才なのに」
恋に陥る事に「何故」という疑問は意味がない―とは使い古された言葉だが、今の祥子が
そう開き直るには少々重過ぎるかもしれない。
目を閉じてその少年の顔を思い浮かべる。目立ってルックスが良い訳でもなく、いつもホワっと
笑っている。呑気でお人好しだと言われている・・でも、何かをする時はいつも一生懸命で・・・
時折見せるひたむきな顔・・・
「松岡く・・ん・・」
思い出しただけで、再び体の奥が熱く、込み上げて来る。