木下ユウジの家に携帯から電話をすると、3回目のコールで女が出た。  
「あの、木下さんのお宅ですか?私、ユウジ君の担任の相田マリと申しますが」  
「はい…」  
覇気のない小さな声だった。母親にしては幼稚な気がする。  
「…ユウジ君のお母様でいらっしゃいますか?」  
「はい」  
電話先の女が今度は幾分はっきりとした返事をする。  
「今日私がそちらへお邪魔するという事は?」  
「…ユウジから聞いております」  
どこか要領を得ない母親の声に、かすかな不安と苛立ちを覚えていたマリだったが、その答えに一先ず安堵する。  
「そうですか。駅につきましたので、あと20分程で伺います」  
「はい、お待ちしております」  
教師になって3年目。マリが初めて担任を持ったクラスのキノシタユウジは、危険な少年だった。  
まだ高校に入学して3ケ月もたたない内から、周囲と女生徒がらみのトラブルをいくつも起こし、授業を受けることも殆どなく、このところでは登校すらしなくなっている。  
とうとう今月の職員会議で、彼に退学を勧める事が決められたのだった。  
マリは担任として、その勧告を彼の母親にしなければならない。  
気の進まない任務であったが、担任としての責任上誰かに任せる事は出来ない。  
教師といえども、マリはまだ自身が生徒でいた方が似合うような容貌をしていた。  
緩いパーマをかけた薄茶色がかった髪を後ろで1つに束ね、白いスーツの上下を身につけていたが、髪を下ろしてキャミソールに着替えた方がよほどしっくりするだろう。  
携帯をバッグにしまいながら浮かない顔のまま、接する機会の少なかった彼の顔を思い出そうとする。  
まだ彼が朝のHRに出席していた頃、教壇から出欠をとる自分を小ばかにしたような、また下から舐め上げるような視線を投げかけて来た少年。  
毎朝その視線にぞっとしていたものだった。  
光の入りずらい駅から外に出ると、夏の陽射しが容赦なく彼女を照りつける。  
眩しさに顔をしかめながら、それでもマリは一度深呼吸をしてから気力を奮い立たせて彼の家へと歩き出した  
 
木下ユウジの家は、何軒も同じデザインが並ぶ建売住宅の中にあった。  
あまり手入れされているとは言いがたい草が生い茂る狭い庭を通り過ぎ、インターホンを押すとすぐに扉が開く。  
陽射しに慣れた眼にはやけに暗く映る玄関に、木下ユウジがTシャツとジーンズという姿で立っていた。  
「…こんにちは。木下くん」  
曲がりなりにも教師と生徒という間柄なのだから、もっと威厳のある態度を示したかったけれど、マリの口調はまるで  
人見知りをしている少女のようなものだった。  
自分は教師には向いていないのかも知れない。  
こういう場面に立ち会うたびに、マリはそう思い落ち込んだ。  
「…入れば?センセイ」  
木下ユウジはあのぞっとするような視線をマリに投げ、自分は  
さっさと暗い家の中へと消えて行く。  
自分から訪問の約束を取り付けたことも忘れ、マリは逃げ出した  
い思いにかられたが、何とか自分を  
励ましサンダルを  
脱ぎ室内へと足を踏み入れる。  
居間には母親がいる筈だ。  
彼女がなるべく常識の通じる人である事を願いながら、マリは  
彼が入って行ったドアに手をかける。  
「…?」  
テレビと小さなテーブルが置いてあるだけの居間には、誰もいなかった。  
「センセイ、そこに座ってよ」  
「…あの、お母様は?」  
「茶菓子忘れたっつって、そこのコンビニまで行ってる」  
その言葉を聞いて、動悸が早くなるのをマリは感じた。  
彼は気にした風もなく、居間と繋がっているキッチンの冷蔵庫から麦茶を  
グラスに注ぎテーブルに置く。  
「すぐに帰って来るからさ。そんなに怯えないで座ってよ、センセイ」  
からかうような口調にマリは自分を取り戻し、意識して表情を引き締め座布団の上に腰を下ろす。  
木下ユウジも座ったので、狭いテーブルを挟み向かい合うような格好になってしまう。  
少し見ないうちに髪が大分伸びていた。それで出来る陰影のせいか、頬の肉が削げて見え、余計に  
顔の雰囲気を陰のあるものとしていた。  
「木下くん、もう大体わかっていると思うけれど、お母様にお話する前に伝えておくわ。職員会議でね  
あなたの退学勧告の話が決まったの。でもね、まだ絶対退学しなければいけないわけじゃないのよ?  
もしあなたがその気なら、先生いくらでも力になるから、今日までの生活態度を改めて欲しいの」  
母親と話をする前にこういう時間が持てて、かえってよかったとマリは思った。  
苦手な生徒ではあったが、自分が担任となった以上は責任を持って何とか高校を卒業させてやりたいと思っていた。  
じっと視線を逸らさずに聞いていた木下ユウジがふいに笑い出す。  
「…木下くん?真面目に」  
聞きなさい、と言おうとした言葉は遮られる。  
「茶菓子だって…だっせえの」  
彼の陰のある眼はそれを含んだまま、ぎらぎらと輝き出していた。  
おかしくて堪らないといったように、身を折って笑い続ける彼をマリは呆然と見ていた。  
「木下くん、何を」  
「あいつにあんたが来ることなんて言ってねえよ。いくら待っても夜中になんないと帰って来ねえから」  
「…何言って…さっき電話で確かめたんだから…」  
「ああ、あれ?マユミだよ、3組の。さっきまでいたんだけど、俺が追い返したの。あいつ何でも俺のいう事聞くんだぜ」  
言い終わらないうちに、マリはバッグを掴み部屋から飛び出そうとする。  
「おっと」  
「きゃっ…」  
その行動を予測していたかのように、易々と腕を取られ居間の床に組み伏せられてしまう。  
拍子に後頭部をぶつけ、衝撃に一瞬頭の中がぼんやりと霞む。  
そんなマリを歪んだ笑いを湛えた眼で見下ろしながら、木下ユウジは囁く。  
「仲良くしようよ、センセイ。俺がその気ならいくらでも力になってくれるんでしょ?」  
「…放しなさい…バカな真似はやめて。今ならまだ、何もなかった事に出来るわ」  
精一杯の威厳を湛えた眼で訴えるマリの言葉を相手にもせず、彼は続ける。  
「年上の女とやってみたかったんだよね、俺。…センセイも楽しもうよ」  
眼が慣れた今でも、やはりこの家の中は薄暗かった。  
暗い密室で、マリは自分の教え子から、自身が危険な罠にかけられた事を知った。  
 
「暗くて静かなとこだろ?ここら辺り昼間殆ど家に人がいないんだよ。だからセンセイ、声出してくれていいから」  
まさに誰か助けてという悲鳴を上げようとしていたマリを挫くように、そう告げてからユウジは組み伏せた女を、獲物を眺めるような満足気な目つきで眺めた。  
「でもあんまり騒いだら」  
夏だというのに冷たい手の平が、マリの細い首筋に巻きついた。  
思わずヒッという怯えの声が口をつく。  
「首締めちゃったり、自分のパンツ口に突っ込んだりするよ。そんなの嫌でしょう?」  
言い聞かせるように告げられる。それだけの脅しで、マリはもう恐怖で身じろぎも出来なくなっていた。  
見開いた眼に涙が滲み、歯の根が合わずカチカチという音が漏れる。  
ユウジはマリの耳朶を舌で舐め上げる。身体の下の小さく柔らかい獲物が身体を震わせる。  
マリは25歳にして、処女であった。大学の頃、同じサークルの先輩に片思いをし続け、それが実らなかったあと恋をした事はなかった。  
可愛らしい容姿をしているので、ちょっかいをかけて来る男は少なくなかったが、マリの心を動かすような者はいなかった。  
女慣れしたユウジの舌に耳の穴を舐めまわされ、初めての刺激にマリの肌に鳥肌が立つ。  
「あっ…んっ…」  
「お、可愛い声。センセイ、感じやすいんじゃん」  
そう言いながら、彼は彼女のブラウスの釦に手をかける。  
「やめて…お願い…」  
「そんな事言っても、ちょっと耳を舐められた位であんな声出してるんだからさぁ」  
胸を庇おうとしたマリの両腕をとり、頭の上で押えつける。片手で釦を次々と外し、あらわになったレースのあしらわれた白いブラジャーをしげしげと眺める。  
「清楚でいいんじゃない?イメージ通りで。じゃあ乳首の方はどうかな」  
「いやっ、誰か、いやーっ!!」  
先ほどの警告を忘れ、マリは大声で叫んだ。裸にされてはもう逃げられないと思った。これが抵抗できる最後のチャンスだと。  
 
「んうっ」  
直後大きな手の平で口を塞がれる。  
もう片方の手は両腕を抑えたままだ。全体重をかけて圧し掛かられ、顔を近づけられる。  
何とか身を捩ろうとしたけれど、それも叶わなかった。  
「今のはちょっとまずいよ、センセイ。まあ、何回もやられたらの話だけどね」  
一回位の悲鳴なら誰も動きやしないよと暗く笑い、恐怖に見開かれたマリの眼を覗き込む。  
両手首を押えつけていた方の手を離し、そのままマリの晒された白い腹へと伸ばす。  
「!」  
ユウジの握りこぶしが臍の辺りに当てられ、柔らかい腹にほんの少し沈み込む。  
それは手加減されたものだったけれど、マリはその圧迫感に息を詰まらせる。もし本気でそこを殴られたら。恐怖に気が遠くなる。  
「声が出せないようにする方法なんて、いくらだってあるんだよ。センセイ。わかった?」  
ユウジはマリに返事を求めていた。  
口を塞がれたまま、マリが頷く。  
「もうあんな声出さない?」  
「……」  
「出さない?」  
拳に少しだけ力が篭る。  
マリはゆっくりと頷いた。直後ぎゅっと閉じられた眼からは涙が一筋流れた。  
 
「何か調子狂うんだよな」  
ユウジが呟く。  
頬に伝った涙を人差し指でなぞりながら、マリに問い掛ける。  
「センセイさあ、もしかして処女?」  
図星をつかれてマリは身体を固くする。  
「どうなの?」  
やっと唇にあてがわれていた手が放される。マリの唇は彼女自身の涎でべとべとになっていた。今自分はどんなに哀れな顔をして、この生徒を見ているのだろう。そう彼女は思った。  
声が出せるようになったとは言え、違うともそうだとも言えるわけがない。彼女は沈黙し、呼吸の音だけが響いた。  
「なわけないか、センセイ可愛いもんな。そんな顔してやりまくってんだろ?」  
嘲笑うように言い捨て、ユウジはマリの背中に手を回し、下着のホックを外す。  
「やめてっ!」  
マリは木下ユウジの肩に縋りつくようにして上半身を守る。  
「し、処女なの…」  
「え、まじ?」  
誰にもあえては伝えたことのない事実だった。  
それを言わざるを得なかった悔しさと恥ずかしさに、マリの顔が真っ赤に染まる。  
「何で?」  
そう聞いて来た木下ユウジは、心底驚いているようだった。  
その眼にまだ子供らしさを感じ、マリの胸に希望が広がる。  
「すごく、好きな人がいたの…ふられちゃってから、まだずっと、失恋中なの」  
もうプライドを捨てるしかなかった。マリは自分の弱さを見せ、ユウジの情けに縋ろうとしていた。  
「あっ…」  
次の瞬間、きつく抱き締められていた。  
「センセイ、可愛い」  
「や…木下くん…お願い、放して」  
「やだ」  
マリは後悔した。自分の発言はユウジを正気に返らせるどころか、その欲を煽り立ててしまったようだった。  
 
「色々教えて貰おうと思ったんだけど、教えてあげるよ」  
息苦しくなる位に抱きすくめられ、男の匂いと人肌の温かさに、不覚にもマリは頭がぼうっとする。  
ユウジは身体から力が抜けた彼女の肩から、ブラジャーの紐を外す。  
「ぁあっ…」  
悲痛な声を上げる女を再び床に押し倒しながら、露になった少し小ぶりだが形のいい胸を手の平につつみ、もう片方の乳首を口に含む。  
「あっ…木下くん…やぁっ…」  
両手で頭を押し戻そうとするけれど、胸から伝わる刺激に力が入らない。  
ユウジはマリの乳首を舌で味わうように転がしたかと思えば、下方からざらっと舐め上げ、もう片方の乳首も親指と人差し指でコリコリとつまむ。  
「…あああっ…」  
マリの両乳首は、痛みさえ感じる程に固くしこっていた。胸を執拗に愛撫され、ユウジの下でマリは気付かぬうちに腰をくねらせ始める。  
「気持ちいいんだ?おっぱいだけでいっちゃう勢いだね、センセイ」  
「違っ…気持ちよくなんかないっ…」  
屈辱的な言葉に正気に返ったのか、涙の滲んだ眼でマリはユウジを睨んだ。  
「そういう事いうと、確かめちゃうよ」  
「ええっ…い、いやっ…」  
またも両手首を頭の上で押えつけられ抵抗を封じられる。ユウジの手の平はマリの白く平らな腹を確かめるようになぞりながら、ゆっくりと下方へと降りて行く。  
白いタイトスカートの中に手を入れ、薄手のストッキングに包まれた内腿を撫でる。反射的に閉じられたそこに手の平を挟まれた格好になり、苦笑する。  
「そこをどんなに閉じても、こういう事はできるって知ってた?」  
「やめ…んぅっ…」  
一旦彼女の股から手を抜き、再び今度は中指だけを沈める。  
マリのそこは熱く、ストッキング越しだというのにたっぷりと蜜を滲ませていた。  
「ヌルヌルしてるよ、センセイ。何で?」  
「や、やめ…やめ…んんっ…あああ」  
どんなに両脚に力を込めても、そこの筋を縦になぞるように往復する指を止めることはできなかった。  
 
抵抗しながらもマリはまた腰をくねらせ、声を上げずにはいられなかった。  
身体中が熱を持ったように熱い。  
ユウジの指は止まらない。  
抑えきれない快感の小波が彼女を襲い、すぐそこに大きな波が押し寄せようとしていた。  
だが次の瞬間、彼女自身をまさぐっていた指が止まる。  
マリの身体に、出口を無くした熱が重くたまる。  
「あ…」  
彼女は熱に浮かされたような視線を、ユウジに投げる。  
口には出さなかったが、どうして?とその眼は問うていた。  
「やりずらいよセンセイ、ちゃんと脚を開いて」  
「な…」  
「もっとして欲しいでしょ?」  
「そんな…もう許して…いたっ…」  
しこった乳首をきつくつまみ、ひねられる。  
「脚を開いて、センセイ」  
快楽と痛みを巧みに使い分け、ユウジは経験のないマリを堕とそうとしていた。  
「木下くん…いたいよ…」  
涙目の訴えも教え子には聞き入れられない。敏感な所に少しずつ力が加えられていく痛みに、マリは観念したかのようにゆっくりと脚を開いて行く。  
「あっ…」  
その隙を逃さずに、ユウジはマリの足首を掴み、大きく開かせる。  
「いやぁぁぁ…お願い、みな、見ないで…っ」  
マリは反射的にバネ仕掛けように上体を起き上がらそうとしたけれど、それよりも素早く尻を抱え上げられ、膝を折り曲げる体勢にされてしまう。  
まだ下着とストッキングに守られているマリのそこに、ユウジの視線が注がれる。  
 
「センセイ、すげえよ。やらしーかっこ」  
彼の眼は、教室で教壇に立つマリを舐め上げるように見ていた時と同じ色を湛えていた。  
腰の辺りでたわんでいるスカートはそのままに、ストッキングを素早く脱がせる。  
「んうっ…き、木下くん…うそ、や…」  
ブラジャー同じ白い下着のクロッチの部分はべったりと染みができ、マリ自身の形と黒い茂みを浮き上がらせていた。   
布越しに縦になぞると、滲み出る蜜で熱くぬるぬると湿っている。  
「すごいよ、センセイ。下着の上からでもこんなになって」  
「ひっ…ぁあ…」  
つぷと彼女の核が摘まれる。鋭い快感が下半身から脳天まで一直線に突き抜ける。  
「こんなパンツはいてても意味ないよね」  
「いや…だめだよ、お願い」  
弱々しい哀願に耳も貸さず、木下ユウジは彼女のツルツルした手触りのショーツをゆるゆると降ろして行く。  
「ああっ…」  
マリは両手で顔を覆って、絶望の声を漏らした。  
今マリのそこは、完全にユウジの眼に晒されていた。  
淡い茂みに縁取られたそこは、全体的に小作りで、ピンク色の襞が誘うように水気を含んで息づいていた。  
今までの執拗な愛撫によって核はぷっくりと膨れ上がっている。  
 
「可愛いじゃん…普段はあんまりしないんだけど、センセイ処女だからね。舐めてやるよ」  
言うなりユウジは、マリの脚の付け根へと顔を埋める。  
充血して固くなった芽を尖らせた舌先でつついて、まだ誰も受け入れたことのな狭い穴に差し入れる。  
「ぁああっ…うそ、ああっ…いや」  
先ほど核を摘まれた時に感じた刺激が、休むまもなく身体中を駆け巡る。マリはもう声を上げずにいられなかった。  
ユウジは次から次へと溢れてくる愛液を、襞を掻き分けるようにして舐め取った。  
二人きりの部屋に、ぴちゃぴちゃという水音が響く。  
信じられない。  
こんなに、こんなに恥ずかしいことをするなんて。  
今まで誰とも、こんなことをするなんて考えられなかった。想像もつかなかった。  
大好きだった先輩とだって、こんなこと…。  
「んん…っ…ん」  
ユウジはわざと音を立てるようにマリのそこを舐めまわし、太腿を撫で、尻の弾力を楽しんだ。  
マリは白い身体を真っ赤に染めて、腰をくねらせる。  
「センセイ、我慢しないで、いっていいからね」  
いく?  
うそよ…私…私は、教師なのよ。  
生徒にこんなことをされて、達してしまうなんて。  
そんなこと絶対に…。  
「あっ…」  
マリの思考はそこで途切れる。  
ユウジの舌は容赦なく、マリを快楽へと追い詰めていく。  
彼女は無意識に太腿でユウジの頭をはさみつけ、彼の頭に指を差し入れる。  
もう、ダメ…  
「ああ…あ…あぁぁっっあ…」  
何度も押し寄せる快感の波に、全身を小さく痙攣させながら、マリは教え子の手によって、生まれて初めての絶頂を迎えていた。  
 
 

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