「こーんばーんわー♪」
ガタガタ、と窓が開く音に私は眼を覚ましました。
生ぬるい風と、人とは違う気配が部屋に入ってくるのがわかります。
というか、この声は……またきましたか、この人…いえ、このサキュバスは。
「何の用ですか、イリア」
はあ、とため息をついてベッドから上半身を起こします。
先ほど飲んだアルコールが程よく頭を揺らしています。
気持ちよさを感じながら、私は目の前にいる怪異に視線を向けました。
眠り賭けを起こされて少々不機嫌ですが……
「何の用って、ねぇ?」
きまってるじゃない、と続け、イリアは着ていた長いローブに手をかけました。
プラチナブロンドの髪がなびき、瞬く間に一糸纏わぬ裸体を晒します。
すらりと伸びた足、小ぶりな胸、引き締まったウェスト、小さなお尻。
「……」
なぜこの人(?)は抵抗無く人前で脱げるのでしょうか……ああ、
人外には人の常識など通用しないのですね。
「ふふん、やっぱ見とれちゃうでしょ?」
「いやぜんぜん」
私はピクリとも反応しないムスコを確認し、彼女に向かってそう言いました。
だって、ねぇ?
普通サキュバスというのは豊満な肉体を持ち、色香を振りまいて若い男性から精を吸収する。
そういう定説が、イリアにはまったく無いのです。
なんというか、スレンダー。いえ、それなりに胸はあるのですが。
確かに綺麗だと思います。しかし、私の好みではないのです。
「なっ!?この千人切りのイリアルアの裸だよっ!勃たないなんて
不能者かホモ野郎だけよっ!!」
「ずいぶんな言い草ですね。単純に好みではないだけです」
「好み云々ッ!?それを凌駕するのがわたしたちなのに!!」
「ああはいはい。私は明日仕事ですので寝かせてもらいます」
携帯の目覚ましをオンにして布団にもぐりこみました。
さーて、明日はお得意様巡りですからね……ぐぅ。
「わっ、ちょっとちょっとぉ!せめて一発ぐらいしてもいいじゃないよぉ!」
……ん、ん〜…すうすう……
「う〜!んじゃ勝手にやっちゃうからね……っとと」
……ん?
「……うわ、やっぱ…お、おっきい…ていうか歌麿?」
なんか…股間がスースーします…
「すご、やっぱり今までで一番おっきい……ん、やば…」
あ、なんか…柔らかくてあったかいものが……!?
「んちゅ、じゅるる……お、おいすぃー!?」
「なにやってんですかっ!!」
某お笑い番組ゴチ風に私の局部を舐めて歓声を上げやがってますよこの淫魔は!
「いやだってだって!ちゅるるぅ……あぁ、おいしぃ……」
説明になってませんし…
股間に顔うずめたまま恍惚の表情浮かばされても……気持ちいいですけど。
さすがに好みではないとはいえ、私も成人男性。
局部を美しい女性に舐められて何も感じないはずがありません。
「んふふ〜♪ねえねぇ、勃ってきたよん?」
意地悪く私のペニスを摘みながら笑っています。
まあ、気持ちいいのは事実ですが……どうも、私の意思を無視してやっているのが
気に入りませんね。
「男性の正常な反応です。貴女の言葉を借りるならこんな事をして勃たないのは
不能者かホモ野郎だけですよ」
さらりと流します。イリアはこういう挑発に乗りやすい性格のようですしね。
「あ、あんだってー!?」
…いや、案の定ですね。
私のペニスをつかみながら眉を逆立ててます。あー、怒ってますね。
「にゃろう…絶対イかせてやルー!!」
「う、わっ!?」
イリアは口を大きく開け……一気にペニスを根元までくわえ込みました!?
「ふ、んっ。ちゅうぅぅ…じゅ、るるっ」
―――!?
「か、は…」
脳髄を揺らす快楽、背骨が下半身と同化したように痺れが走りました。
こ、れが…淫魔の与える快楽です、か……最初の時と、は、桁が……
「ぺちゅ…ん、ふうぅぅ」
意識が快楽の波に飲まれそうになる寸前、イリアは口を離して陶然とした笑みを
浮かべて私を見ました。
「んふ〜、ね、どうだった?」
先ほどの男を惑わす笑みではなく、底抜けに無邪気な笑みで私を見ています。
正直、魂の先をつかまれたような快楽で腰が砕けそうですが…私は気を入れて
普段どおりの表情を浮かべます。
「…まあ、気持ちよかったのは認めます」
事実私の一物は天を突かんがごとく聳え立ってます。
それを見てイリアは「うたまーろ!」とか似非外国人風なことを言ってましたが。
まあ事実、私の男性器は日本人どころか欧米人の平均すら超えているらしいですからね。
「ふふん、素直じゃないねぇ♪」
…あー、お見通しですか。
というか、
「貴女のも、もうこんなになってますよ?」
勝ち誇っているイリアの股に手を這わせます。
そこはすでに性交が可能なほどに濡れていました。
「んー、さすがに濡れちゃったか〜」
…辱めようとしたのですが、なんでもないように切り替えされました。
流石はサキュバスというわけですか。
「ま、手間省けていいよね。ちゃっちゃと精気わけてもらうよん♪」
先ほどの快楽のおかげで腰が砕けたままの私を仰向けにベッドに寝かし、
その上に腰を下ろしてきました。
「ふふ、お客さん初めてかしらん?」
「どこの風俗嬢ですか貴女は」
ちなみに私は経験あります。とはいっても3人ぐらいですけど。
「だーいじょぶ♪おねぇさんにぜんぶまかせて、ね?」
「百年以上年上の貴女をお姉さんと言うのは無理があるかと。というか
見た目は私のほうが年上でしょう。精神年齢も」
「……えぇい!問答無用ッ!!ふ、んっ!」
「―――!?」
ずるり、という感触が私のペニスを覆います。その後、信じられないほどの
うねりと締め付け、温かさが性器に纏わりついて……!!
「んあっ!は、ふぅ―――……」
な、なんなんですかこの、快感は……!?
いままで性交してきた女性とは比べ物にならない快楽、一瞬でも自制を無くせば
その瞬間に射精をしているでしょう……
必死に左手に爪を立てて堪えます。痛みが快楽を和らげるのを期待してですが。
「あ、うぅんっ!お、っきすぎ、るよぉ…」
この快楽を与えているイリアはというと、騎乗位のまま私の股に座り込んでいました。
腰を動かす余裕なんて無いのでしょう、必死に私のものに慣れようとしています。
「――ッ!」
それは私も同じです。動かなくても膣の内壁が私から精を搾り取ろうと蠢いています。
「あ、ぁ、ぁ、んぅん…」
その細やかな快感すらイリアには辛いのでしょうか、か細い声を上げて視線を宙に浮かべています。
その表情は先ほどまでの小悪魔的な表情ではなく、とても―――美しく見えました。
「ひあっ!?」
たまらず無意識のうちに腰を跳ね上げました。
ほんの僅かな上下運動、それだけで私の快楽は頂点まで昂ぶり、
「んあぁぁあぁ――――!!!!」
イリアもまた絶頂に達しました。
「ん、くっ…」
一瞬遅れて私も絶頂を迎え、イリアの中に精を放ちました。
「は、あ……んぅ―――おいしぃ…」
恍惚の表情で私の精を感じているイリア。
「あんっ…これで当分は大丈夫かな……ッ!?」
腰を上げて私のペニスを抜こうとしたイリアの手をがっちりと掴みました。
「え、え?あのー、も、もういいんだけどなー?」
「……私はこの程度で満足できないのですが」
一度精を放ったはずのペニスはいまだ硬度を一定に保ってます。あと2、3回は
性交を行えそうですね。
「えー!?でもでもこれ以上やったら命ヤヴァイよ!?」
「それは後で考えます。それよりも―――気を入れてくださいね、その気にさせたのは
貴女なのですから」
先端まで抜けかけたペニスを、イリアの腰をつかんで一気に秘所の最奥まで貫きました!
「ひはあああぁぁあぁぁあっ!!!!!」
ずん、ともどん、ともつかない音を立てて私の腰とイリアのお尻がくっつき合いました。
その勢いでまたイリアがイッたようですが、そんなことは関係ありません。
見た目どおり軽いイリアの腰を掴み、腕力だけでイリアを浮かし、
「はあぁ……」
重力を使って最速で腰を叩きつけます!
「〜〜〜〜〜〜っっっっ!!」
ぶちゅ、と液体がこぼれる音とともに完全に私とイリアは密着しました。
またイリアはイッたようです。凄まじい締め付けが私のペニスを襲ってきました。
しかし私は一度出したらとことんまで遅漏になるのです。この程度ではまだ絶頂には
いたりません。
「はっ、ふっ、あ、ひっ、んうぅっ―――!!」
ひたすらイリアの秘所を貫き、時には腰をグラインドさせて、時には体位を変えて、
イリアの体を貪ります。
「や、やあぁっ!もう、だめ、ダメ、こわっ、れ、ちゃうぅっっ!!!!」
「―――ッ!私ももう、イキますよっ!」
後背位でイリアを犯していた私は挿れたまま正常位に戻し、さらに深く腰を打ち付けました!
「翔、翔、だめ、もうだめぇえぇぇっ!!」
「んっ、くうぅっ!!」
私はイリアの体を思いっきり抱きしめ、深く口付けを交わしながら彼女の中へと精を放ちました。
「あ――は、あぁぁ……」
イリアも同様に私の体を抱きしめて絶頂を迎えました。
脈動するペニス、そこから今までに無いほど大量の精を放っていることがわかります。
「あぅ……おいしい、よぉ…」
上の空で私の精を感じながら、イリアはくたりと脱力して――
「ん……むにゃ――」
眠りました……私に抱きついたままで。
「……あー、イリア。できるなら離してください」
「ん〜ん〜、やー」
というかまだ貴女の膣内に入っているのですが、内も外も完全に捕まえられてしまいましたね…
私は心地よい柔らかさに包まれながら、やれやれとため息をつきました。
……あー、そうでした。自己紹介がまだでしたね。
私の名前は鳥尾 翔。ごく平凡な会社員です。
ただ――
「んふ〜♪」
人でないモノに少々好かれやすい会社員です。
続く?