翌朝、翔太は朝食を済ませて歯を磨く。  
「翔太、時間は大丈夫?」  
「あぁ、全然問題ないよ」  
(これが有るから……ね)  
と言いつつ、時計はチャイムが鳴るまで残り数十分となっている。  
ゆっくり紅茶を飲み干すと、玄関前でランドセルをしっかりと背負い、  
「行って来ます!」  
「はい、行ってらっしゃい――」  
(遅刻しそうならば、このボタンを押さざるを得ない!)  
母の言葉が一種の合図だった。  
それは、時を止めるボタンを押す合図。  
今、翔太以外の何もかもが停止される。  
玄関を出て目的地の学校へと歩き出す翔太だったが、走る事はなかった。  
「時は止まっている…焦る事は何一つない」  
そして翔太を待っていたのは朝から行列を作るオタク達。  
彼等の姿は何か執念を抱いているようにも思えた。  
オタク達の先には発売の新作ソフト。  
(毎回思う…この人達の収入は何処から?)  
しかし、そんな事を知る必要はないだろう。  
小学校が見え始めた頃、見覚えのある背中が見えた。  
同じクラスメイトであり、昨日の放課後に声を掛けてきた友人である。  
名前は新崎卓也、かなりのゲームマニアである。  
「急げよ卓也!……なんてね」  
当然、翔太の声など聞こえる筈もない。  
時計の御蔭で翔太は難なく登校する事が出来た。  
教室について自分の席に着く。  
すると、何食わぬ顔でポケットに仕舞っていた懐中時計のボタンを押す。  
再生される教室の風景。  
クラスメイト達もいつの間にか教室にいた翔太に話し掛け、翔太自身も自然に答える。  
友人達との話も一区切りついた、そんな時、  
「翔太君、おはよう」  
「おはよう……結衣」  
翔太の隣の席に座り、「何とか間に合った」と汗を拭う一人の女子。  
その結衣の胸はクラスメイトと比べて平均より大きい。  
(ちょっとだけ…良いよね?)  
翔太はボタンを押して時を止め、結衣の胸を触ってみた。  
翔太の初の行為に笑顔で触られている結衣。  
それは良い触り心地に違いなかった。  
 
(な…何やってるんだろう…僕…)  
 
突如、翔太の中に罪悪感が芽生えた。  
そんな自分を最低な人間だと思ってしまった自分が此処に居た。  
 
(少しくらいなら…良いよね?)  
 
スカートを捲ると、そこには結衣の下着を覆い隠す黒のスパッツ。  
翔太は恐る恐るスパッツの上から結衣の尻に触れた。  
ゆっくりと揉んでその感触を味わう翔太。  
 
「ハァ…ハァ…!」  
(や…柔らかい!)  
 
クラスメイトが居る中で、翔太は結衣の下着をスパッツと共に脱がせる。  
目の前には性器を翔太に見せながら笑顔で立ち尽くす結衣の姿。  
翔太は初めて女性の性器を目にした。  
 
(卓也が見てたAVでは確か…)  
 
翔太は過去に卓也が友人達と一緒に兄のAVを見ていた事を思い出し、  
 
(あむ……)  
 
秘所から割れて見えたヒダの部分に口付けを交わす。  
独特な匂いと結衣の汗の匂いが融合し、翔太の性欲を誘う。  
一応、舌で舐めてみると、一滴が翔太の口内に零れ落ちる。  
一滴は糸を引いてゆっくりと翔太の舌で吟味された。  
 
(身体は感じているのか?……可愛い…)  
 
暫く秘所を秘芽ごと舐め回してしまい、本来なら時間は数分経過している。  
自分は夢中になり過ぎた。  
 
(好きだよ……結衣さん)  
 
独自のちょっとした勉強法だと考え、下着とスパッツを正確に穿かせると、翔太は結衣の唇に口付けを交わした。  
それは好意から芽生える長い接吻。  
 
(いつもこんな感じなのかな……僕みたいな男の人は…)  
 
幼い頭に疑問を乗せて翔太は再び懐中時計のボタンを押す。  
再生されたような結衣と言葉を交わす翔太。  
そんな自分が白々しいと思った。  
せめて、彼女をこの力で護ってあげたい。  
話していく内に意識が強くなっていくのを感じた。  
 
「皆、次はあの体育だよ〜〜!」  
 
その生徒の一言に教室はざわめきを立てる。  
ざわめく者達の表情はどれも嬉しくない顔付きばかり。  
中でも女子全員が怯え、その中には結衣も曇った表情を見せる。  
そう、彼女達が嫌がる訳、それは体育教師である溝田、通称助平ゴリラであるから。  
近寄る旅に女子の首筋に吹き付けられる鼻息、構えを正すと言い訳しながら身体をベタベタと触る変態教師。  
普通なら、クビになっていてもおかしくない。  
しかし、証拠も無く、生徒達の言う事が理解されない為に白紙になってしまう。  
翔太は女子全員が怯えながら教室を去り、残った男子全員が着替える中で決意を固める。  
(セクハラが相手なら、この時計を使わざるを得ない…)  
首に掛けていた懐中時計を着替える際、体操服の内側に忍ばせる。  
 
着替えを終えた男子全員は廊下で待機していた女子全員と入れ替わりに運動場へと向かう。  
運動靴へと履き替えて到着した翔太達を待っていたのは、  
「遅いぞ男子!…罰として運動場2週、走れ!」  
(ちきしょう…溝田の野郎!)  
(喋るな…聞こえるって!)  
助平ゴリラの溝田による運動場走り。  
男子生徒全員が恨みで声を潜め合い、グラウンドを走り切る。  
その頃には当然女子全員が体操座りで待機しており、溝田の顔は清々しい仮面を被っている。  
無論、その仮面の下で妄想が膨らんでいる事は言うまでもない。  
今日の体育は隣のクラスと合同でドッジボールだった。  
隣のクラスの体育を勤めるのは女性である為に、翔太達から見れば「羨ましい」の一言に尽きる。  
「お前等、準備運動だ!」  
「はい皆さん、広がって下さぁい」  
(来た、この時を待っていた!)  
溝田と女性教師の号令にそれぞれが散開して一定の間隔を空ける。  
「準備運動、始め!」  
(よし、溝田が動いた…!)  
準備運動で勿論、溝田が進むルートは翔太のクラスの女子生徒。  
遠くから見ていても、溝田が女子の足に触っているのが分かる。  
指導を言い訳に身体に触れ、その若い素肌の感触を楽しむ溝田に腹が立った。  
そして、そのルート上には翔太が好意を抱く結衣の姿が在る。  
溝田が他の女子の身体に触れた刹那、翔太はシャツの内側に忍ばせた懐中時計のボタンを押す。  
何もかもが止められた時間、歩いているのは支配している翔太だけ。  
翔太は目標の溝田に迷う事なく接近し、彼のジャージを思い切り脱がした。  
(よし、これで……うぇぇぇぇ!?)  
脱がされた溝田のジャージから現れたのは、もっこりとしたパンツに覆われた股間。  
その勃起は翔太にとって、かなりのグロテスクな物。  
余りにも大きな股間に慌てて尻餅を着いてしまう翔太であった。  
(溝田の前で体操しているのが結衣さんじゃなくて…良かった)  
溝田の前で体操しているのは、クラス一に給食を御代わりして食い荒らす太った女子。  
とにかく厳しい表情で勃起しているのが公になれば、幾ら無実を訴えても溝田に勝ち目はない。  
(結衣さん…)  
翔太は戻る前に体操の形で怯えた表情をする結衣の唇に口付けする。  
ブルマ姿の結衣さんは翔太にとって妙に興奮した。  
(急いで戻ろう……僕の手で溝田に天誅を下すんだ…!)  
 
そして時は再び動き出し、女子の悲鳴が一斉にグラウンドに響き渡った。  
騒ぎを聞きつけて駆けつける学校の警備員。  
パンツ姿で勃起している溝田を見れば、誰が見ても変態である。  
溝田に言い逃れる事は二度と出来ない。  
訳の分からない表情で混乱しながら溝田は警備員二人の手によって連行された。  
休み時間では、自分の監督としての未熟さに嘆く校長の姿が在った。  
今度、新しく体育教師を就任させるらしく、その声に再び嫌がる者達も居た。  
しかし、今度新しく就任される教師は女性という事で、一件落着となった。  
授業も全て終わり、下校しようとした際に結衣に声を掛けられる。  
 
「学校裏庭の倉庫に一緒に来てくれる?」  
「うん…分かった」  
 
下校は結衣と一緒の形になり、二人は学校の裏庭の使われていない倉庫へと足を運ぶ。  
倉庫に入ると結衣は鍵を内側から閉めて、翔太を強く抱き締める。  
 
「翔太君…私と付き合ってくれない?」  
「え…い…良いの?」  
「うん、色々したいから…ね?」  
 
まさか結衣から告白してくるのは予想外だったが都合が良い。  
そう、翔太のズボンのファスナーに手を掛けて下ろすと、小学生なりの未熟の肉棒が露になる。  
快感は上下に扱かれるだけで上昇する。  
結衣の笑顔で興奮した股間は彼女の口内へと持ち込まれる。  
 
「あう!…あ…あぁぁぁぁ…!」  
「ふぁ…んふ…っ…翔太君も男の子だもんね…可愛い…」  
 
当然素人な訳だが、初めて味わう舌の感覚は例え難い。  
二人だけの空間で舌によって鳴り響く水音。  
中で行われている未成年の秘め事。  
翔太は今されている行為がフェラチオだという事を知っていた。  
というのも、卓也が休日でよく愚痴にしていたから。  
彼女が出来たら、させる予定らしい。  
 
(させる……か、引かれるだけだろう?)  
翔太が考えに耽る中で、彼の奉仕行為を突然止めた結衣は股を大きく開く。  
スカートの中から現れたのは下着ではなく、紺のブルマ。  
「あ…あれ?…パンツはどうしたの?」  
「勿論下に穿いてるよ、それより…触ってみる?」  
彼女はブルマをパンツと共に横へと傾ける。  
桃色の性器、それは男の子である翔太には無い身体の一部。  
翔太は息を呑み、ゆっくりと開かれた秘所に手を伸ばす。  
「ひぅ!…ふぁ…っ!」  
「濡れてるね…結衣さん…」  
翔太は興味津々に挿入した指先で秘所を上下左右に掻き回す。  
翔太に調べられる結衣は小学生の身に在りながら、乱れる姿はまさに淫乱。  
喘ぎ声を防ぐ為に接吻しながらの作業となる。  
「舐めてみて、私が翔太君にしたように……ね?」  
「うん……こうかな?」  
「そ…そう……よ…!」  
結衣の奥から溢れる蜜は彼女自身と同じく、独特で新鮮な味がする。  
翔太は一心不乱に彼女のクリトリスを含めた秘所を舌で堪能した。  
「も…もう……だめぇぇぇぇ!」  
次の瞬間、彼女の身体が急激に震えだし、悶えたかと思えば疲れ果てた目をした。  
不思議に思った翔太は結衣に異変が起こったのかと思い、心配そうに声を掛ける。  
「どうしたの、大丈夫!?」  
「うん…ちょっとイッちゃったみたい…」  
「イッた?……なるほど」  
翔太は聞き慣れない言葉に悩むが、再び卓也の愚痴によって意味を知る事が出来た。  
人は絶頂に近付くと、必ずイッた等という卑猥な言葉を使うのだと。  
暫くして呼吸を整えると、再び秘所を大きく左右に開かせて翔太を手招きする。  
「翔太君のチンチン、私の嫌らしいココに挿れて欲しいな♪」  
「え……!?」  
待ち遠しい顔で翔太の挿入を待ち構える結衣。  
初めて見る彼女の淫乱振りに翔太の心は揺さ振られる。  
同じクラスメイト同士という、止めようという今更な考えも過ぎった。  
(くっ……!)  
(翔太君のエッチ――)  
しかし、翔太の性欲は自分を抑え切れずに彼女をマットの上に押し倒す。  
挿入によって破られる秘所の処女壁。  
最初は痛がっていた結衣も徐々に表情が少しずつ変化していく。  
膣内の壁で摩擦される翔太の肉棒が、先程の快感を取り戻して限界に近付いた。  
翔太は好きな結衣の中で一つの卒業を迎えた。  
「私……またイッちゃうぅぅぅぅ!」  
「ゆ、結衣……!」  
 
絶頂時に跳ねる様な反動で中から現れる勃起した下半身。  
初めて尿道から溢れた自分の精液を垣間見た。  
まさか自分の身体から白い物体が出るとは思ってもいなかったから。  
無理もない、彼自身は自慰した事すらないのだ。  
「ふぅ…ぁ…はぁ……凄く濃いね……精子♪」  
「精子……」  
制服にこびり付いた液体をティッシュで拭き取るが、やはり少しばかりシミが付いてしまう。  
「これで拭いて、濡れてるから」  
「有難う、翔太君!」  
彼がポケットから差し出したのはウェットティッシュ。  
これならシミも残さず拭き取れるに違いない。  
残ったウェットティッシュで秘部の全体を綺麗に処理して、ビニール袋に捨てる。  
「いつの間にか夕方になっちゃったね?」  
「親も心配してるから、今日はこの辺で帰ろうよ」  
「そうね、それと―――」  
彼女は倉庫を後にする際、再び翔太の唇に口付けする。  
それは今後から翔太の恋人として生きる者の誓いでもあった。  
 
「明日から、また宜しくね♪」  
「あ……うん…!」  
校門を前に二人は別れ、翔太は夕焼けの下に下校する。  
帰宅すると、母から声を掛けられた。  
何やら慌しい表情をして、指された指先はテレビ。  
どうやらニュースの内容にあるらしい。  
「大丈夫だった?…翔太のクラスってこの人が担任なんでしょ?」  
ニュースの一面は、パンツ姿で授業と行う体育教師で飾られた。  
責任問題について追求される面も有った。  
布で身体全体を隠してカメラのフラッシュに焚かれる溝田の姿。  
質問される住民は皆口を揃えて「するような人には思えなかった」と口にする。  
しかし、それも今日で潰えた。  
溝田を潰したのは今麦茶を口に含んでいる少年、翔太なのだから。  
だが、翔太の顔は何処か調子が悪い顔つきを見せた。  
一杯麦茶を飲んでは次の麦茶をコップに注いで口にする。  
(何故だ…あの行為以来、喉が渇く……)  
「飲み過ぎないでよ?」  
「分かってるよ、母さん……」  
溝田に裁きを下した少年、翔太は千鳥足で台所を去り、自分の部屋で休息の時間に入った。  
 
 

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