俺の相棒は犬である。  
 ――こう言うと大抵の輩は俺の職種を猟師か何かと勘違いする。  
 ただの犬ではないのだ、俺の相棒は。  
 
「――ご主人様、右です!」  
「大丈夫だ、見えてる!」  
 手に力を込め、狙いを定める。  
 しなった弓が僅かに軋み――瞬間、矢が放たれた。  
 感じる、確かな手応え。  
 木々の間隙を猛烈な速度で駆け抜けた矢は、狙い違わず目標へと到達する。  
「ぐああっ!」  
 足を射抜かれ、目標の男が転び倒れる。  
 急いで起き上がろうとした男の視界に、ゆっくりと影が差した。  
「動かないで。手を上げて」  
 若く凛々しい女の――俺の相棒の声。  
 地面に転がる男の背後で、彼女はその得物である斧槍を構えていた。  
 男は痛みに脂汗を流しながら、ゆっくりと声に従う。  
 上げた両手が縛られ、男の動きが封じられる。  
 それを確認して、俺は二人の側に立った。  
「盗んだ貴金属は?」  
「これです」  
 差し出された皮袋を受け取って、俺は彼女を改めて見た。  
 愛用しているらしい若草色のベストと深緑のパンツに包まれた、適度に鍛えられ、太くはないが細くもない身体。  
 そこから僅かに視線を上げると見えるのは、彼女の端正な、やや作り物めいた美しさを持った顔。  
 その上では、被られたハンティングキャップが栗色の髪を半分以上覆い隠している。  
 ――ふと気付けば、サファイアのように青い、円らな瞳が真っ直ぐにこちらを見つめていた。  
「どうかしました? ご主人様」  
「いや、何でもない」  
 視線を足元の男――小汚ない格好の盗賊に戻し、  
「こいつを担いでくれるか。俺には少し厳しい」  
 そう頼むと、彼女は頷き、  
「分かりました、ご主人様」  
 迷いなくそう答えた。  
 
 
 盗賊と盗品をまとめて街の自警組織に引き渡し、約束の報酬を受け取って、俺と彼女は宿に戻って来た。  
「はー、どっこいせ、っと」  
「お疲れ様でした」  
 爺臭い声と共にベッドへ腰掛けると、彼女は微笑みながら隣に腰掛けた。  
「ああ、お疲れ様」  
 こちらも微笑みでそう返し、一つ伸びをする。  
「お茶、淹れますね」  
「頼む」  
 再び立ち上がった彼女は、まずハンティングキャップを取った。  
 中から現れた、栗色毛と頭の左右両側から垂れる大きな耳が窮屈な帽子からの解放に震え、すぐに落ち着く。  
 
 その下、彼女の背と尻の境目辺りから生えているファーマフラーのような尻尾も、同じ動きをしていた。  
 犬人。 ――そう彼女は呼ばれている。  
 錬金術によって生み出された、人と犬の間の者。  
「〜♪」  
 鼻歌を歌いながら、彼女が小さな台所に立つ。  
 視界にあるのは、まるで指揮棒のように振るわれる尻尾。  
 彼女の身長に合った、程よい大きさと形を保つ尻。  
 少しだけ括れた腰に、やや肩幅のある鍛えられた背中。  
「……」  
 闘いの時、汗一つ流さずに隣を駆ける彼女の真剣な横顔。  
 お疲れ様でした、と労ってくれる微笑み。  
 普段の――俺の傍にいて、俺の言葉を聞くのが幸せと、そう言った――その声と笑顔。  
 不意に、そして無性に、そんな彼女を今日こそ俺の手で淫猥に乱れさせたいと思った。  
 彼女の背中に抱き付き、首筋に顔を埋める。  
「ひゃ、な、なんですか? ご主人様」  
 いい匂いだ。自然の匂いがする。  
「シたくなった。ヤろう」  
「な、なにをですか?」  
 質問に答えず、頭半分ほど大きく、俺の行動に無抵抗な身体をベッドまで引き摺り、押し倒す。  
「お、お茶の準備が……」  
「もういい。ヤろう」  
「ですから、なにを」  
「セックス。あるいは交尾」  
 既に俺の手は彼女のパンツを脱がしに掛かっている。  
 彼女が抵抗する様子はないが、顔には戸惑いの表情。  
「そう言われても…… ボク、まだ発情期では……」  
「でも抱きたい」  
「はぁ……」  
 分かりました、との言葉が返って来るが、彼女の戸惑いの表情は消えない。  
 構う事なくパンツをずらし、ベストを押し上げた。  
「んっ……」  
 ベストの内から零れ出る乳房。  
 上向きでも綺麗なお椀型を保つそれは、見ているだけでも情欲を誘う。  
 ゆっくりと触れる。  
「は、ぁ……」  
 彼女の緩やかな吐息。  
 円を描くようにこね回し、乳首を撫で、たまに擦る。  
「ん…… は、ふぅ……」  
「勃ってきたな」  
「当たり前です…… んっ!」  
 乳首を軽く捻った瞬間、びくりと身悶える彼女。  
 その反応に気を良くし、彼女の下腹に手を這わす。  
「んんっ……」  
 人間とは違う、豊富で柔らかい陰毛の感触。  
 その向こうに息づく淫裂は、まだ湿り気すら帯びてはいない。  
 
「うー、まだ続けます?」  
「当然」  
 答えながら、彼女を四つん這いにさせる。  
 慎ましく閉じた陰門と、僅かに色素の沈澱した菊門。それに加え、神経質そうに小さく揺れる尻尾がさらけ出された。  
 徐に、その尻尾を掴む。  
「ひゃう!」  
 再び痙攣するように身悶える彼女。  
 小さく笑いながら、彼女の急所である尻尾を扱く。  
「あ、ああ、あッ……」  
 先端から根元へ。  
 優しくと強くを繰り返し。  
「くぅん……!」  
「良くなってきたか?」  
「ん…… まだ、あまり」  
「そうか」  
 鼻に掛かった声が出始めるようになったものの、その淫裂はようやく僅かな湿り気を帯びたばかり。  
 尻尾の根元を持ち、片手で強く扱きながら、空いた片手を陰門に伸ばす。  
「んぁっ、はぁ……」  
 陰門全体を手で包み、淫核に触れるようにして揉みほぐす。  
 徐々に増す湿り気と彼女の吐息混じりの声。  
「ひ、ぅ…… ねぇ、ご主人様…… まだ、続けます?」  
「嫌なのか?」  
「そうでは…… くんっ、ひぅっ、ないんです、けど」  
 ふるふる、と尻尾の先端を震えさせて訊く彼女。  
 彼女の目を見る。  
 不安と不満を足して割ったような色がそこにはあり、快楽の色は微塵もない。  
「なんだか…… 足りません。もう、止めていいです?」  
「駄目」  
 身体は感じていても心が感じていない。  
 発情期でない彼女が交わりの時に見せる態度だ。  
「あっ、ふぅっ、んん…… そ、んなぁ」  
 非難の言葉を上げるが、決して抵抗する事はない。  
 淫裂を弄る手を離す。  
 僅かに糸を引いたが、それだけ。  
 一定以上に濡れる気配がない。  
 尻尾を扱くのを止めず、顔を陰門に近付ける。  
「う、ひぅ…… ご主人様、息が、お尻に……」  
「気持ち悪いか?」  
「い、え…… ひんっ……!」  
 嫌がっている訳ではない事を確認し、淫裂に舌を伸ばす。  
「あ、ひッ!」  
 僅かに分泌された愛液を掬い取るように、淫裂全体を舐め上げる。  
 次いで淫核を吸い、奥の穴へと舌を突き込む。  
「あっ、あひっ、んんっ、ああっ……!」  
「どうだ?」  
「あ、んっ…… ん、んんっ」  
 ふるふる、と首を左右に振る彼女。  
 痩せ我慢ではないかとも思ったが、一瞬だけ覗いた彼女の目は未だ快楽を伴ってはいなかった。  
 
 しばらくの間、執拗に淫裂を舐め回す。  
 しかし、徐々に彼女の声は小さくなり、声の伴わない喘ぎと僅かな身悶えだけに。  
「ん、んんっ…… んぅ」  
 やはり、これでは埒が開かない。  
 舌を抜く。  
 唾液と愛液の混合液が糸を引き、彼女の太腿に垂れた。  
「ご主人様……」  
「難しいな、やっぱり」  
「あぅ…… 申し訳ありません」  
 顔を離し、指で彼女の淫裂を割り開く。  
 それなりに濡れてはいるものの、まだ挿入には足りない量だ。  
 対し、俺の愚息は既に痛いほどに勃起していて、そろそろ抜かないと辛い。  
「ご主人様…… ボク、口でしましょうか?」  
「すまん。頼む」  
 彼女の申し訳なさそうな提案に乗り、愚息を彼女の眼前に差し出す。  
 両手で愚息を持ち、亀頭に舌を当て、頂点とエラを二、三度往復させてから、彼女は愚息を咥えた。  
「ふ、ん…… ちゅ、ん」  
「う、ぉ……」  
 犬人特有のザラザラとした舌が愚息を締め上げるように這い回る。  
 亀頭全体を包んだかと思えば、エラの外側から内側を通り、汚れを根こそぎ舐め取っていく。  
「ちゅ、れろ…… ん、ふぅ」  
「く、ぬっ、うぉ……」  
 このままでは長く持ちそうにない、と思った俺は、視線を彼女の青い目から逸らした。  
 上体を俺の太腿に預け、愚息の突き出す股に顔を埋める彼女。  
 その下半身は半脱ぎのまま胴よりも高く突き出され、なんとも扇情的な格好になっている。  
「ぷは…… ご主人様、そろそろイきます?」  
「う、あ、ああ……」  
「分かりました。このまま中で出して構いませんから」  
 そう言って、再び愚息に口付ける彼女。  
 その行為はどこまでも事務的で、殆ど興奮していないのがはっきりと分かる。  
 彼女の感情をよく現す尻尾もあまり動いていないのが、その証拠と言えた。  
 当初の目的を逸れ、彼女の提案に流されるまま、不意に強い射精感を感じる。  
「っ…… く、出る!」  
「んっ……!  
 どくり、と。  
 彼女の口内で響く、精の脈動。  
 それに伴って、こくこくと上下する彼女の喉。  
 脈動が終わり、彼女は最後に残った精液を吸って、口を離した。  
 白い糸が糸を引いて、彼女が離れる。  
(なんだかなぁ…… 俺……)  
 男としての敗北感を味わいつつ、お疲れ様でした、と言って身支度を整え始める彼女の尻を見つめる。  
 
 ファーマフラーのような尻尾。  
 何とかして、発情期以外でそれを淫欲の為に激しく振らせてみたい。  
 かと言って、発情期以外で彼女の胎に愚息を挿れるのはかなり厳しい。  
 濡れが根本的に足りない上に、膣の締まりが凄まじいからだ。  
 少なくとも、勃起した男性器が入る広さではない。  
(何かいい手は……)  
 先程の行為を思い出す。  
 感じていない訳ではない。ただ性の快感に対する耐性が強くなっているだけだ。  
「……ちょっと待て」  
「はい?」  
「こっちに来て、四つん這いになって尻を出して」  
 そう言うと、彼女は不思議そうな表情をして指示に従う。  
 無抵抗に差し出される、形のいい尻と柔らかな毛並みの尻尾。  
 俺はしばしの間、それを眺め――  
「……確か、ここはまだ使った事無かったよな」  
 ――そう言って、俺は彼女の菊門に指先を当てた。  
「ひあッ!?」  
 彼女がぶるりと震える。  
「ご、ご主人様、なんでそんな所……」  
「だから、まだ使ってないなぁ、と」  
「つ、使うって……! ひうッ!?」  
 軽く指先を入れる。  
 不浄の門を弄られる感覚に、彼女がまた震えた。  
「感度はいいみたいだな」  
「あっ、ひ、ううぅ…… や、やです、ご主人様……」  
「何が」  
「そんな所ッ、汚い…… ひんッ!?」  
 彼女の抗議を無視して更に指を入れる。  
 括約筋の激しい締め付けと共に、腸壁が異物を押し出そうと指先に当たる。  
「汚くなんかないよ」  
「で、でも…… んんっ!」  
 指を引き抜く。  
 僅かに濡れた指先の匂いを嗅ぐと、つん、とした鼻を突く匂いがする。  
「ちょっと臭うな」  
「だ、駄目ですッ……! 匂いなんか嗅いじゃ……!」  
「でも、これもお前の匂いだ」  
 人差し指全体に唾液を付け、更に彼女の淫裂から僅かに残る愛液を掬い取る。  
 たっぷりと濡れたそれを、再度彼女の菊門に当てた。  
「行くぞ」  
「ひ…… ちょ、ちょっと待――あ、あああッ!」  
 僅かな水音と共に、一気に第二関節までが彼女の中に沈んだ。  
 悲鳴と共に彼女の身体が痙攣し、尻尾が総毛立つ。  
 軽く関節を曲げると、ぬるぬるとした腸壁が指先を包んだ。  
「はっ、あ、やだ……! ご主人様、抜いて、抜いてください……!」  
 指を曲げ伸ばしする度に、彼女は悲鳴を漏らし、尻尾を震えさせる。  
 だが、決して実力で抵抗しようとはしない。  
 
 それがとても彼女らしい。  
「ねぇ、ご主人様、お願いですから……」  
「奥まで挿れるぞ」  
「え、ええ!? や、止めてくださ――ひいッ!?」  
 ずぬり、と。  
 そんな形容しがたい音と共に、俺の人差し指が完全に彼女の排泄孔へと埋まった。  
「は、あ、う……」  
 息切れた悲鳴と共に、彼女の上体が肘の支えを失ってベッドに落ちる。  
 そんな彼女に笑みを浮かべ、きつい孔に指を押し込みながら掻き回した。  
「ふ!? ひぃ! あ、あ、あ、う!?」  
「どうだ?」  
「やだ…… 助け、て、ご主人、様ァ……」  
 己を責めている相手に助けを求める彼女。  
 そんな彼女に、俺は今までにない苛虐心を感じていた。  
 指の攪拌運動を止める。  
 指先に絡み付く腸液の感覚に、気分が高揚する。  
「少しはほぐれてきたかな」  
「ひ、ぅ……?」  
 僅かに焦点の合わない瞳でこちらを見る彼女。  
 俺はその濁った瞳に笑みを返し――中指を突き込んだ。  
「――ッ!?」  
 強引に孔を拡げる。  
 腸壁が空気に晒され、腸液が一筋、陰門に垂れた。  
「は、ぅ……!? な、にを……!?」  
「二本。お前の尻の穴に入った」  
「ひ、う……!?」  
 
 声にならない声で鳴き、彼女の瞳に涙が溢れる。  
「痛い、です…… それに、気持ち、悪い……!」  
「我慢しろ」  
「え、ひぃ……!?」  
 増やした指で運動を再開する。  
「やだ、やだ、ご主人様……! ボク、おかしく……!」  
「大丈夫だ」  
 指先で腸壁を擦り、穴を割り開いて、限界まで抜き、突き込む。  
 腸液は瞬く間にその量を増やし、立派な水音すら立てるようになった。  
「やだ、やだ、やだやだッ……!」  
 彼女は頭を振りながら、必死に排泄孔への凌辱に耐える。  
 その動きに合わせ、犬耳が揺れ、尻尾は逆立ちながら僅かに振られていた。  
 指を三本に増やす。  
 腸液で溢れる孔は、容易に三本目を飲み込んだ。  
 彼女は、気付かない。  
「そろそろ、頃合か」  
「ひいいッ!?」  
 ぬぽり、と。  
 これまた形容しがたい音を立てて、三本の指が引き抜かれる。  
 半開きになった排泄孔。  
 そこへ、回復し、再び勃起した愚息を押し当てた。  
「ひッ……!?」  
「挿れるぞ」  
「う、嘘、嘘ですよね……? ゆ、許してくださいぃ! そんなの、ボク、壊れちゃいます!」  
 怯える彼女。  
 俺は彼女に微笑みかけ、  
「前の発情期の時、俺も許してって言ったけど、許してくれなかったよな」  
 彼女の顔が絶望に歪む。  
 同時、俺は愚息を彼女の排泄孔に突き立てた。  
 
「あ、ああああああぁぁぁッ!?」  
 亀頭が括約筋を潜り、竿が周囲の肉を巻き込みながら彼女の直腸へ押し込まれる。  
 本来、排泄にのみ使われる穴に、異物が逆流する感覚。  
 たまらず、彼女は絶叫を上げた。  
「はっ、はっ、ひ、は……」  
 腹に重くのし掛かる異物の存在感に、彼女が苦しげに息をする。  
「苦しいか?」  
「はっ、はひ、ご主人様、ボク、こわ、壊れるッ……!」  
「そうか」  
 でもな、と続け、  
「まだ半分しか入ってないぞ?」  
「ひッ!?」  
 彼女の犬耳にそう囁いた瞬間、尻尾は跳ね、身体が震えた。青い瞳には恐怖の色が宿る。  
 かちかち、と歯の根が震え、当たる音。  
 そんな彼女の様子に満足し、俺はゆっくりと愚息を根元まで収めに掛かった。  
「あ、あ、あッ、ひ、ぐ、あ、ああッ!」  
「っ、きついな」  
 竿が少しずつ彼女の中に消える度、重い悲鳴が上がる。  
 彼女の括約筋が凄まじい締め付けで肉棒の侵入を拒み、中の腸壁は既に侵入した肉棒を包み、俺に強い快感を与えてくる。  
 長くは持ちそうにないと見て、愚息に体重を掛ける。  
「あ、あ、あ、あッ! ひふっ、はっ、はひ……」  
 彼女の悲鳴が止まり、激しい呼吸音にとって代わる。  
 長い時間を掛けて、俺の愚息は彼女の直腸に全て収まっていた。  
「よし、頑張ったな」  
「はっ、ふ、は、はひ……」  
 目を白黒させながら答える彼女。  
「ご、主人様ァ…… お腹、が…… ボクの、お腹がァ……」  
「大丈夫だ」  
「は、ひッ…… う……」  
 彼女の頭を撫でながら、接合部を見遣る。  
 皺が限界まで伸び切った菊の中心を貫くように肉棒が突き立ち、その少し上から生える尻尾がビクビクと震えていた。  
「動くぞ」  
「はひ……?」  
 彼女の腰を掴み直し、前後運動に備える。  
 一息吐いて、腰を引いた。  
「あひいぃぃぃぃッ!?」  
 ずるり、と腸液に塗れた竿が排泄孔から引き抜かれる。 彼女の裏返った悲鳴と共に、強い快感が俺を襲う。  
「っ…… ふっ!」  
「んああああっっ!?」  
 そして間髪入れずに突き込む。  
 腸液のお陰で肉棒は難なく再侵入を果たし、彼女の尻と俺の腰が勢いよく打ち付け合った。  
 ずん、と彼女の内臓に響く衝撃。  
「か…… ひッ……!」  
 声にならない悲鳴と共に、尻尾が跳ねる。  
 
 一拍置いて、また腰を引き、  
「ふぁひうッ!?」  
 また突き立てる。  
「かはッ!?」  
 二度の悲鳴に二度の痙攣。  
 何故か無性に面白くなって、俺は単純なその前後運動を繰り返した。  
「はひッ!? ぐ、んッ! ひあッ! ふひっ、はぁん!」  
「お?」  
 一瞬、鼻に掛かった喘ぎが聞こえた気がした。  
 前後運動を止める。  
「気持ち良かった?」  
「ひぅ…… お腹の、中、ぐちゃぐちゃで、わからない、ですぅ……」  
 要領を得ない、嗚咽混じりの返答。  
 仕方なく、確かめる為に腰を動かす。  
「あああッ!」  
 引いて。  
「ひはッ!」  
 押し込む。  
「ひぁんっ!」  
 引いて。  
「ぐ、ひぃッ!」  
 押し込む。  
 悲鳴の声色からある程度の予測を得る。  
「抜いた時、気持ちいい?」  
「わからない、です……」  
 少しばかり戸惑うような返答。  
 予測を確信に変える為に、一息で愚息が抜け落ちる寸前まで腰を引く。  
「ひッ、ああああッ!?」  
 抜かれる竿に腸壁が名残惜しそうに絡み付き、腸液を散らせて離れる。  
 まるで、肉棒を彼女が排泄したような光景だった。  
 そして見た。  
 抜いた瞬間、尻尾が激しく振られたのを。  
「――気持ちいいんだな?」  
「そ、んなコト…… ない、っひッ、ああああッ!?」  
 確認の言葉を否定する彼女に、再び肉棒を逆流させ、排泄させる。  
 悲鳴に混じる快感の声。  
 それを認識すると同時に、俺は前後運動を再開した。  
「ひ、ああ、はひッ! んあッ、ひあ、ああああッ、ふあッ!」  
「く、おっ……」  
 括約筋がぎちぎちと愚息を締め上げる。  
 その向こう、直腸では熱い壁が亀頭や竿を包み、ほどよい刺激を与えてくる。  
 ぶちゅ、ぶり、ぐち、ぶりゅ。  
 擬音にすると非常に間抜けな音が、俺と彼女の脳内に響く。  
「っ、く、出すぞ!」  
「ひッ、やめっ、やめてくださいッ、おねが――っっ!?」  
 不意の射精衝動に逆らわず、俺は彼女の排泄孔に根元まで愚息を収め、精の脈動を開始した。  
「あッ、あ、ああああぁぁぁ……」  
 彼女の弱々しい悲鳴が尾を引く。  
 同時、その身体が痙攣し、尻尾も逆立って――くたり、と脱力した。  
 しゃああ、という放水音。  
 僅かに黄色い小水が彼女の淫裂から噴き出し、シーツに染みを作る。  
 
「ひァ…… み、みないで、くださ……」  
「失禁しながらイくんだな。しかも初アナルで」  
「う…… ひぅ……っ、ぐすっ、うぅ…… もう、いやです…… ゆるして……」  
 排泄の為の孔で肉棒を咥え込み、精液を注がれ、そして涙を流しながら哀願する彼女。  
 それを認識して、普段の凛々しい彼女の姿が脳裏に浮かび、今の弱々しい姿と重なって消える。  
「ひっ、あ……!?」  
 驚きの声。  
 俺の愚息はたちまちに硬さを取り戻し、彼女の直腸を押し拡げる。  
「ま、まさか……」  
「二回目、行くぞ」  
「ひッ……! やだ、もういやですッ! ボクのお腹、めちゃくちゃになっちゃいます!」  
「本当に嫌か?」  
「はい、はいッ!」  
 彼女は頭を振って、必死に答える。  
 そうか、と答えながら、俺は眼下で揺れるモノを掴まえた。  
「はひッ!?」  
「じゃあ、これはなんだ?」  
 掴んだのは尻尾。  
 先程から――少なくとも、精を注ぎ終わった後からずっと、行為を喜ぶかのようにパタパタと振られていた。  
「さっきから嬉しそうに振られてるんだが」  
「ひ、え!? う、嘘!?」  
 手を離す。  
「うそ、うそ、止まって、止まってッ……!」  
 彼女の意思を裏切るように、尻尾は喜びを表現する。  
「ほら、やっぱり悦んでいるじゃないか」  
「ちがうっ…… ちがうんです……」  
「違わない」  
 彼女の垂れた犬耳に口を寄せ、言葉を囁く。  
「お前は。発情期でもないのに。初めてのケツ穴で男を受け入れて。精液を注がれて失禁しながらイく――淫乱で変態なメス犬なんだ」  
 一句一句、確認するように。  
 彼女の脳を堕としに掛かる。  
「ちが、ぅ…… ボクは、ボクはッ……」  
「だから、違わない。アレを見てみろよ」  
「ぅ……?」  
 俺と彼女の視線の先。  
 部屋に備え付けの大鏡が、彼女の姿を鮮明に映し出していた。  
 快楽の色に染まって潤んだ瞳と惚けた顔。  
 程よく火照った身体。  
 肉棒を咥え込んだ尻。  
 悦びに振られる尻尾。  
 シーツに出来た黄色い染み――  
「ひ、あ…… あれ、ボク……?」  
「そうだ。発情期でもないのに初アナルでイったメス犬――お前だよ」  
「あ、あぁ……!」  
 彼女の声が震え、同時、その身体が痙攣する。  
 
 自分の姿を認識しての絶頂。  
 俺は目的の達成に深い笑みを浮かべ、彼女の腰を手に取った。  
 
 
「――ひっ、あ、あッ、あ、ひんッ……!」  
 間抜けな肛虐音と甘い悲鳴の二重奏の中、彼女の身体が上下する。  
「っ、ぐ、イくぞ……!」  
「ひ、あ、あ、ああああッ!」  
 放出と同時、彼女の身体が沈み込んで止まる。  
 三回目の射精。  
 彼女はびくびくと震えながら、俺の身体に軽く身体を預ける。  
 その視線は、真正面の鏡に映し出された彼女自身に向けられている。  
 背面座位で尻穴に男を受け入れ、淫らに溺れる一人の犬人。  
「あぅ…… ん……」  
「よし、次で最後だ。動いて」  
「は、い…… ご主人様……」  
 虚ろに答え、自ら腰を動かす彼女。  
 今や彼女の排泄孔は完全な性器となり、腸液と精液を溢れさせながら、彼女に快感を与え続けている。  
「ひんっ、ああッ、あ、あ、ふあッ、あひッ!」  
 本当に壊れたのではないかとも思える、激しい喘ぎ。  
 彼女がぎりぎり正気を保っているのは、鏡に映るその瞳に宿る光から分かるのだが。  
「あっ、ひあ、んんっ、あ、あ、あああッ……」  
 初アナル、そして普段の彼女とは思えない乱れように、どうしても不安を覚える。  
「っ、ふぅ、大丈夫、か?」  
「あ、はぁっ、あ、あ、ひあ、ん、あッ……」  
 返事はない。  
 そこに一抹の不安を覚えつつ、沸き上がる射精衝動に身を任せる。  
「あ、あああああぁぁぁぁ……」  
 四度目の精を直腸で受け、彼女は震えて絶頂に達する。  
 十分に満足した俺は、彼女の排泄孔から愚息をゆっくりと抜き取った。  
「ひ、ぅ……」  
 腸液と精液、彼女の汚物に塗れた愚息が抜け落ち、彼女の尻に穴が開く。  
 拡げられた括約筋はなかなか元には戻らず、ピンク色の腸壁を晒している。  
 不意に、僅かに茶色に染まった腸液と精液の混合液が、どろり、と垂れた。  
「は、ん…… ご主人様ァ……」  
「大丈夫か?」  
「ボクの、おしり…… こわれて、ません……か?」  
「ああ。大丈夫。壊してない」  
「あ…… よかっ、た……」  
 呟くようにそう言って、ベッドに倒れ込む彼女。  
 静かな寝息を立て始めた彼女の隣で、俺もまた眠りに就いた。  
 
 自分の望まぬ肛虐を受け、嫌がりながらも決して実力で抵抗しようとはしなかった彼女。  
 犬人である、俺の相棒。  
 自分勝手だが…… 俺は彼女の事が大好きだ。  
 
 
 後日。  
「ゆうべは おたのしみでしたね」  
 と言って送り出してくれた宿屋の主に顔を真っ赤に染めながら、彼女は俺の隣を歩いていた。  
「――で、どうだった? 初アナルの感想は」  
「う……」  
 約五回。それが彼女が初めての尻の穴で絶頂に達した回数だ。  
「ご、ご主人様が鬼畜だという事がよく分かりました」  
「発情期のお前を真似しただけだよ」  
「人のコトを淫乱で変態なメス犬だとか…… ボクはそこまで酷い事は言いませんっ」  
「初アナルで五回もイったメス犬の何処が淫乱で変態じゃないのか聞きたいもんだが」  
「――っ、知りませんッ!」  
 顔を真っ赤に染めたまま、そっぽを向く彼女。  
 ちらり、と俺は彼女の尻に目を遣る。  
「……っ、何がおかしいんですか!?」  
「いやいや、すまん」  
 言わない方がいいだろう。  
「今度また可愛がってやるからな」  
「っ、要りません!」  
 彼女が駆ける。  
 俺はその背中で振られる尻尾を見ながら、小さく笑いを零した。  
 
 

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