震災でひび割れたアスファルト、崩れた屋根。  
その光景は久志の荒れた心を象ったかのようだった。  
「な…なに、するんですか…?」  
襟首を掴んで壁に押し付けられ、美香は怯えた目をする。  
小柄な身体に、工芸品のような艶のある三つ編み、  
やや憂いを含んだ澄んだ瞳。  
整った容姿と品のある物腰は、どこかの令嬢を思わせる。  
十人が見れば十人ともが、彼女を無垢だと思うだろう。  
 
だが、睨み上げる久志の顔はさらに歪む。  
「やめい…おのれの本性はわかっとんねん」  
久志は少女を締め上げる。  
美香はあどけない顔に皺をよせた。  
「けほっ!こんな…。け、警察をよびますよ…?」  
美香はか弱くうめく。  
その言葉を待っていたかの如く、久志は笑った。  
「ほう、なら呼んでみぃ、困るのはお前やけどな。  
 お前が優夕(ゆう)姉ちゃんにした事は、全部撮ったで」  
「……!」  
ぴく、と美香の目が変わるのを、彼は見た。  
撮ったというのはハッタリだ。  
彼は、美香が姉にすることをただ見守ることしか出来なかった。  
しかし、美香にそれを見破るすべはない。  
 
自分の為に身を削って働き、その挙句に被災で寝たきりになった姉。  
その健気な姉を、この少女はまるで玩具のように扱っていたのだ。  
優夕の女を嬲り、後孔を犯し、尿道までも弄ぶ。  
穴という穴を穢してその心を踏みにじる。  
弟として、またかつて優夕に恋をした一人の男として、  
久志はそれを許すことができなかった。  
美香への報復に生産性があるとは思えない。  
しかし、姉の苦しみをこの何食わぬ顔をした少女にも与えない事には、  
彼の心はおさまらない。  
 
「…なぁんだ。とうとうバレたの」  
急に咳き込むのをやめ、美香は久志を冷たく見下ろした。  
もはや言い逃れはきかないと判断したらしい。  
「それで?わたしを犯すんですか、シスコンさん」  
「な、この…!」  
少女の見事なまでの二面性に、久志はぞくっとした。  
しかし、すぐにその怖れは消える。  
美香の細い脚が、ひそかに震えているのが見えたから。  
 
久志は息を吸った。  
強情な美少女を前に、例えようもなく昂ぶっている。  
「……来い。俺が姉ちゃんの代わりに躾けたるわ」  
久志は美香の手を掴んだまま、バイクへと跨る。  
「や…」  
美香は身をよじったが、大声を出す勇気はないらしかった。  
 
予想はしていたのだろうか。  
優夕の家に連れ込まれても、美香はさほど驚かなかった。  
ただ、襖をへだてて隣に寝る優夕を意識しているのは確かだ。  
「服、脱げ」  
後ろ手に鍵をかけた久志が囁くと、美香は小さな背を震わせた。  
観念したのかブレザーを脱ぎ、ベルトを緩め、靴下をおろす。  
そのたび、ふわりと甘くさわやかな石鹸の匂いが漂う。  
「……っ」  
紐になったショーツのサイドに手をかけ、少女は唇を噛んだ。  
久志が黙ってそれを睨みつけている。  
舌打ちし、ついに少女は最後の一枚を抜き取った。  
 
久志は息を呑む。  
可愛らしい胴にくらべてすらりと細長い手足。  
華奢な身体は小学校高学年のようで、わずかに膨らんだ胸と  
うっすら生え始めた恥毛が変に倒錯的だ。  
久志は美香の白い肌に触れる。  
14歳の美しい少女を手中に収めた事が実感できた。  
 
実のところ、臨時のヘルパーである彼女にとって、  
優夕を弄ぶ写真などさしたる脅威にはならない。  
介護に必要な処置だと言い逃れることが可能だからだ。  
冷静に振り返れば穴だらけの脅し。  
しかし不意をつかれた美香は邪推し、動揺して服を脱いだ。  
もはや少女は逃げ出すことが出来ない。  
後は、後々変な気を起こさぬよう、徹底的に嬲られるだけだ。  
先ほどまで彼女がしていたように。  
 
正面にスタンドミラーを置かれ、少女は目を見開いた。  
鏡には無残な姿が映し出されている。  
木製のリクライニングチェアに押し込められた裸体。  
両脚は胴を挟むようにして頭上の背もたれに結わえつけられ、  
膝もしっかりと肘掛けに縛り付けられている。  
腕まで背中に敷かれているため、ほとんど身動きが取れない。  
そして何より――  
「ほら、アソコも尻の穴も丸見えや」  
久志に囁かれ、美香は殺意を込めて睨み返す。  
彼女の初々しい花弁は真上を向き、部屋のライトに照らされていた。  
「性格に似合わず、綺麗なもんやな」  
久志がしゃりっと茂みを撫でると、少女は身を竦ませる。  
赤貝のような割れ目は柔らかい。  
そして彼の指は、さらにその下――少女の排泄の穴に触れる。  
美香が目を見開いた。  
「お前みたいな悪タレはアナルでしかしてやらん。  
 尻に入れられて、糞ひり出しながら逝くようにな。  
 声出したいんやったら、好きに出せばええんやで?」  
隣の部屋には美香が辱めた相手が眠っている。  
そんな相手にこのような恥辱を見られたいはずがない。  
彼は、そう知りながら意地悪く囁く。  
 
久志は美香のリュックを空け、中身を取り出した。  
彼が目にした事もない道具が次々と姿を現す。  
「こんなエグいもん、姉ちゃんに使っとったんか。  
…全部、お前にも試させたるからな」  
久志は美香の耳元で囁き、彼女の引きつった顔を横目に  
ゴム手袋を嵌め、ローションを垂らした。  
その指が少女の尻肉を掻き分ける。  
「ぅぁ!」  
小さな叫びと共に、少女の頭上で縛られた足の指がぴんと張った。  
 
くちゅくちゅという音が部屋に響きだして、何十分が経ったろう。  
美香は椅子の座部に背を貼りつけたような不自由な姿勢で、  
ぼうっと鏡に映る自分を見つめていた。  
自らのすらりとした美脚が縄目だけを赤くしている。  
その付け根では、薄褐色をした慎ましい蕾が凹凸を繰り返す。  
くちゃっと音がする度に男の指が突きこまれ、静かに抜かれる。  
はじめ冷たかった指がぬるく感じるのは、腸温が移ったからか。  
皺の動きを見ながら、少女は内側の感覚に震えた。  
「はぁっ…はぁっ…」  
最初に比べ、自分の息がずいぶん上がっているのが分かる。  
腋と内腿が汗ばんでいることも。  
 
もう叫びだしたい。  
排泄孔を弄くられるのが、これほど強烈とは思わなかった。  
二本指が蕾を押し広げると、臀部にじわっと痺れがひろがる。  
奥に指先が入っていくと、排便とは違うもどかしさがある。  
そして何より、不浄の穴を穿たれているという事実が。  
いつも排泄のためだけに使う孔が、男の太い指で嬲られている。  
それが鏡にありありと映し出されている。  
そう意識したとき、美香は知らず括約筋を締めていたらしい。  
指の圧迫が急に強まった。  
「んんっ!」  
目を閉じてうめく美香に、久志が指を止める。  
美香ははっとした。  
 
「なんや、お嬢様はお尻弄られて感じるんか」  
きちゃっと音がして、後孔から指が引き抜かれる。  
ローションとは違う真っ白い糸が引く。  
美香は必死に首を振ったが、ごまかしきれるはずもない。  
久志がゴム手袋をとって少女の潤みに指を挿しいれると、  
思わずああっと声を上げてしまった。  
海中のワカメのような感覚が久志の指をくるむ。  
「濡れとんのが自分で分かるか?」  
まだ自慰ですらほとんど触れることのない膣内。  
そこに指を入れられるのが、今の美香には心地よかった。  
 
尻穴をいくら弄られても身体の隅がくすぶるようなものだが、  
女芯を弄られれば炎が身体の筋を通るようで焦点は容易い。  
しかし憎しみをもつ男は、少女に楽などさせなかった。  
膣の感触は、その快楽をわずか教えるだけで消えうせる。  
「1時間のアナル責め、それで頭ボーッとして濡らすんか。  
 なら、もっとすごい事されたらどうなるんやろな?」  
美香は久志の興奮しきった言葉を聞きながら、  
その意味をひとつずつ頭で理解していく。  
そうしなければならないほど、彼女の頭は呆けていた。  
 
鏡の中の愛らしい少女が、男に何かされている。  
腰の下に箱を置いて尻穴をより高く掲げさせられる。  
鈍く光る肛門鏡で、直腸奥の赤い粘膜が空気に晒される…。  
 
 
『やめて、いやぁ!お、お願い、ゆるして…!!』  
包帯にまみれた手足を震えさせ、床を這いずる娘がいる。  
それを上から押さえつけるのは美香だ。  
相手の力ない腰を抱きかかえ、腰につけた長大な張型で刺し貫く。  
『―――-っ!!!』  
娘は首に筋を立てて悲鳴を押し殺し、目を瞑る。  
おそらくは、この瞬間が後ろでの処女喪失だったのだろう。  
浣腸液の残りを潤滑油に、美香は軽快に腰を使う。  
娘はされるがまま、やめて、ゆるして…を繰り返す。  
だが、美香はその尻に跨って犯すことをやめなかった。  
もう無理だという女が最後にはどうなるのか、それが知りたくて。  
 
毎日、毎日、美香は娘を犯し抜いた。  
娘は時に壮絶な表情をみせ、妙な呼吸をするようになっていった。  
美香はその様を見ながら、娘の頭を、身体を巡る快感を想像し、  
また夢中になって女を責め続けた。  
 
 
 (本当は――違ったのかな)  
肛門鏡で開かれた直腸を眺め、美香は思う。  
 (本当は、わたし自身をあの人に投影していた――)  
剥きだしの直腸に長く太いディルドウが突き込まれていく。  
指で弄られ、器具でぱっくりと開いた穴にすら窮屈そうな大きさだ。  
サイズはさながら黒人のそれを思わせた。  
しかし、それはとても柔らかいのだと美香は知っている。  
それを叩き込まれ、女がどういう反応をするのかを。  
 (気に入らなかったのは、可愛らしく優等生ぶってるわたし…。  
  ユウお姉さんは、わたしの憧れる姿だったから)  
 
 
ディルドウは少女の排泄孔で暴れたくった。  
奥深く突き込み、子宮を揺らすかの如く振られ、  
根元まで引きずり出され、腸壁を削るように掻き回されて。  
 
ぐっちゃ、ぐっちゃ、にちゃ、ぐっちゃ、  
抜いて、奥深く挿れてが気の遠くなるほど繰り返される。  
空気が抜ける時には放屁のような音までする。  
美しい少女にとっては死ぬより恥ずかしい。  
だが、肉の中から起こる刺激からは逃れられない。  
『ほーら、凄くいやらしい音がしてるねぇ』  
かつて自分の言った言葉が、耳の中で反響する。  
やがて出たとろみが、さらに濃厚になる感覚に少女は鳥肌を立てた。  
鏡には、肛門にオリーブオイルが注がれる様が映っている。  
次いでいっそうディルドウの動きが激しさを増す。  
 
少女は鏡を見て、ぽろぽろと涙を零した。  
肛門鏡で開かれた直腸は締めることができず、  
オイルに溶かされた軟便が肛門鏡の開口部から、  
ぬるぬるとだらしなく垂れ流しになっている。  
 
「あ、あ、あっ…あ」  
美香はとうとう、小さく喘ぎはじめた。  
 (だめ、身体が…筋肉が、快感に呑まれてる……。  
  おねえさんは、こんなのにずっと耐えてたっていうの?)  
長いディルドウの先が腸奥の窪みをごんごんと突く感覚、  
身体の芯が溶かされたような熱くてぬるぬるしたものを、  
便意もないまま鏡の前で垂れ流す汚辱。  
それらに嬉し涙がとまらない。  
 
とろっと女芯から蜜が垂れたのがわかる。  
絶頂というには、深く広すぎる快楽。  
身体の隅でくすぶっていたものが、今や美香の全てを燻している。  
あとは壊れるような暖かさがほしい。  
後孔を満たし、人肌を感じさせるものが…。  
 
 
目の前の少女が蕩けるのを、久志は見守った。  
彼の男はすでに限界を迎えようとしている。  
少女の発する汗のにおい、涙と涎にまみれた表情、  
美しい身体が跳ね、為すすべもなく排泄しながら悶えるさま。  
それらの情報が五感を襲い、彼の怒張は先走りに塗れていた。  
 
もう、我慢などできない。  
彼は美香の拘束を解いて脚を開かせ、肛門鏡を抜くやいなや、  
最もいやらしさを発する紅孔に猛りをぶち込んだ。  
吸い付くような締まりの輪が亀頭を抜け、それだけで達しそうになる。  
そして奥では、熱くどろどろした肉壁が吸盤のようにへばりつく。  
「ああっ」  
少年と少女が声を上げたのは同時だった。  
彼らは一瞬顔を見合わせ、一瞬の躊躇の後、唇を貪りあう。  
 
「あ、あむ、は…っん」  
美香の口の中は甘かった。  
彼女はぶるぶると震え続ける脚を両手で抱え、怒張を締め上げる。  
まるで、奥へ奥へと導くかのように。  
その少女に全身で魅力を感じながら、久志は悟った。  
自分が怒りを感じていたのは、美香にではない。  
姉に資金面での負担を強い、震災から彼女を守れなかった自分だ。  
「……ごめんなぁ」  
久志は美香の三つ編みを撫でながら、そっと耳元で囁いた。  
美香はその小さな胸を久志に預け、涙を流す。  
「ご、ごめんなさい、ごめん、なさい……!!」  
2人は腰が砕けるほど強く抱き合い、身体を震わせた。  
その手をしっかりと握ったまま。  
 
 
優夕は天井を見つめていた。  
目を閉じ、溜め息を吐く。  
「あの子達、もう少し静かに出来ないのかな」  
口の端に笑みを浮かべる彼女からは、優しくとても寛容な人柄が窺えた。  
 
 
真新しいテレビに、美しい女性が緊縛され責められる姿が映っている。  
木馬のような機械に両脚を吊ったまま載せられて一晩。  
女性は許しを請うて泣き叫ぶ。  
その足元には失禁と見られる水溜り。  
口からは泡を噴き、美脚は恐ろしいほど震えており、限界に違いない。  
しかし責め手はまだ彼女を救おうとはしない。  
「ふふふ…先輩、さすがにつらそうですね。  
 浣腸し続けた後のシビアンは頭が狂いそうですか?」  
そう言った後、さらに機械の回転数を上げる。  
そして画面に響き渡る嬌声…。  
 
「どや、お前もこんなんされてみたいか?」  
ソファに腰掛ける男が、隣に座る女性の肩を抱いて問う。  
彼女は下を向いたまま、顔を赤らめて男にもたれかかった。  
2つの影は、顔を接点に重なり合う。  
「はい…。おねがいします、あなた」  
 
かつて震災のあった街。  
その傷跡は大きいが、人々は、そこから立ち直ろうとしている。  
 
                   
                    THE END  
 

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