【神父様助けて!】  
 
 
中世ヨーロッパ。  
不安定な魔導の力は廃れ、人々は未来への希望を科学に委ね始めた時代。  
 
春から夏への入り口。  
ある晴れた昼過ぎ。  
 
小高い丘の上に建つ、小さな教会。  
そこから二人の姉妹が出てくる。  
姉が神父に丁寧にお辞儀をする。  
「では、神父様。明日はお手数ですが、よろしくお願いします。」  
神父と呼ばれた30過ぎ程の男も、帽子を手に取り笑顔で応える。  
「いやいや、こちらこそですよ、デイジー君。共にドロシー君の誕生日を祝いましょうぞ。」  
祝いの主役たる妹は、両手をブンブンと振りながら声を上げる。  
「神父さま〜!明日よろしく〜!」  
「うむ。楽しみにしてますぞ。」  
そして姉妹は仲良く家路につく。  
姉、デイジー。  
妹、ドロシー。  
神父は二人の後姿をじっと見つめていた。  
 
姉妹の手には様々な食材の入った買い物籠。市場からの買出しの帰りである。  
明日は妹の12歳の誕生日。  
妹は「大人の仲間入り!」と言いながら跳びはねる。  
そんな妹の成長を見る姉は、もし両親が生きていたらどう喜んだだろうか、と逡巡する。  
そしてすぐに、無いものねだりをしたことを自嘲する。  
自分には妹がいる。それで十分ではないかと。  
妹は一昨年、原因不明の呪いで生死の境を彷徨っていた。  
それを救ってくれたのが先程の神父である。  
三日三晩に渡る解呪の儀によって、妹は命を繋ぎとめた。  
そして今や、そんなことがあったとは信じられないほどにまで元気を取り戻している。  
ピョンピョンと飛び跳ねる度にフレアスカートがヒラヒラと捲くれ、パンティがちらちらと露見する。  
姉は微笑みながら「大人はそんなはしたないことしません」と言って諌める。  
一応、人通りや民家が見えてくるところへ行けば自重するようだから、強く言う必要もない。  
妹は頬を膨らませて「お姉ちゃんだって4つしか違わないじゃん!」と拗ねてみせる。  
「4つ『も』でしょ。」  
「明日になったら3つになるもーん!」  
そんな、微笑ましいやりとり。  
 
法律上においてのみ、12歳にして大人と呼ばれる世界。  
無論、二人はまだまだ子供であるし、世間も同様にしか見ていない。  
徴兵制の時代に無理矢理制定されただけの、大人と子供の境界線。その名残り。  
滑稽な話である。  
あまりにも現実から乖離しているからこそ、逆にセレモニーとして成り立つほどだった。  
 
・・・。  
 
家路の途中、姉は妹の首筋にひどく汗が滲んでいるのを見て声をかけた。  
はしゃぎ過ぎたせいだろうかと思ったが、様子の変化が急すぎる。  
さっきまであんなに跳び回ってたというのに。  
「どうしたの、ドロシー?」  
妹は額から首筋にかけてびっしょりと汗をかいていた。  
「お、お姉ちゃん・・・、お、お・・・・・・おしっこしたい・・・・」  
「え?そんな・・・なんでさっき言わないのよ。」  
デイジーは振り返り、先ほど出てきたばかりの教会に目をやる。  
尿意はそんな突然湧いてくるようなものではないはずなのに。  
「戻っておトイレ借りる?」  
「ん・・・でも、なんか恥ずかしいし・・・」  
ドロシーはモジモジと恥ずかしそうに応える。  
そんな妹に、姉はあきれたように言う。  
「ジュース4杯もおかわりする方が恥ずかしいと思うけど?」  
「やーん!だって美味しかったんだもん!」  
その直後。  
「あーんもうだめっ!」  
ドロシーはそう言って買い物籠を放って、草むらの方へ入っていった。  
辺りをぐるっと見回した後、慌しくスカートを捲くり、その下のパンティを下ろす。  
 
「こ、こらっ!はしたないっ!・・・・・・あっ!」  
デイジーは咎めようとするが、同時に自分にも『同じ欲求』が湧いていることに気付く。  
(そんな・・・私2杯しか飲んでないのに・・・)  
・・・等と考えている間に下腹部からのシグナルは一気に強まっていく。  
(あっ!そんな、なんで突然!?あぁもうダメっ!)  
デイジーは慌ててロングスカートを腰まで捲くり上げる。  
恥ずかしい格好であったが、着衣のまま漏らすわけにもいかなかった。  
妹とは道を挟んで逆側の草むらへと足を入れる。  
籠を置き、パンティに手を掛ける。  
(あー!出ちゃう出ちゃうっ!)  
ようやっとパンティを膝まで下げ、腰を下ろす。  
それとほぼ同時に、恥ずかしい液体が恥裂から豪快に噴出した。  
 
――ジョボボボッ!・・・・ショワワワワワワワワワー・・・・・・  
 
最初の勢いが余りにも強かったために、少女自身が驚いて一瞬止めてしまったほどだ。  
足元では小さな池がみるみる内にその面積を広げていく。  
もわもわと湯気まで立っている。  
青空の下での排尿行為など何年ぶりだろうか。  
デイジーは恥ずかしさの余り直視できなかった。  
目を閉じたまま、じっと全部出切るのを待つのだった。  
 
生理的欲求からの開放にほっとしていた、その時。  
 
――ペチャッ!!  
 
「えっ!?」  
 
突然だった。  
何かが足元で跳ねるような気を発した直後、デイジーの下腹部にベタリと張り付いた。  
慌ててスカートを大きく捲り上げる。  
その下の、自らのデルタゾーンを覗き込んで驚愕する。  
「ひいっ!?」  
緑色で、ネバネバとした奇妙な半液状の物体が、うねうねと蠢いている。  
その下には自らの薄い茂みが透けて見える。  
そして、妙に生暖かい。まるで生きているかのような――  
「な、なにこれっ!?」  
それとほぼ同時に。  
 
  「きゃぁぁーーーー!!?」  
 
「!?」  
道を挟んだ反対側の茂みから、妹の悲鳴が聞こえた。  
「いやぁーっ!おねぇちゃーん!!おねぇちゃん助けてぇーー!!」  
「ド、ドロシー!?どうしたの!?」  
「あうぅぅっ!!ひぃっ!?いやぁー!!入ってくる!!入ってくるぅーっ!!」  
妹の異常事態を察した姉は、自分のことは後回しにして駆け出した。  
 
パンティは膝の上あたりに残したまま、小足で駆けつける。  
下腹部を覆うように張り付く緑色のモノが至極気持ち悪いが、そうも言ってられない。  
「ドロシー?どうしたの?・・・・・・ひっ!?」  
妹はお腹を押さえたまま草むらの中で倒れていた。  
フレアスカートは捲くれ上がり、パンティを下ろしたまま。  
ツルツルの無毛の恥部が丸見えになっていた。  
そしてそこには姉と同じく、緑色で半液状のモノが纏わりついていた。  
「いやぁっ!!入ってくる!!そんなとこダメっ!いやぁーーー!!!」  
「ドロシー!?」  
妹がしきりに『入ってくる』と訴える。  
一体、何が、何処へ?  
いや、この状況ならば少なくとも『何が』かは分かりきっている。  
この緑色の奇妙なモノだ。  
では『何処へ』か?  
しかし、妹の切迫した声は、そんな考察を許すほど余裕があるものではなかった。  
妹は緑色の液体に手を伸ばす。  
姉もすぐに同じところへ手を伸ばして、二人掛かりで振り払おうとする。  
 
――ヌルリ・・・  
 
嫌悪感を誘う、不気味なヌメリ気を帯びた感触だった。  
液体と固体の中間のような、不思議な弾力も感じられた。  
 
「スライム・・・?」  
 
古い物語の中に出てきた架空の生物に、そのような名前の奇妙な魔物がいたのを思い出す。  
いや、今その名前について考えている場合ではない。  
デイジーはスライムを掴んで引き剥がそうとする。  
だが表面のヌメリ気のせいで、すぐにスッポ抜けてしまう。  
スライム自体も一定の形が無いのか、指の隙間から逃げられてしまう。  
 
「あーん!!助けてぇーーっ!!どんどん入ってくるぅーー!!」  
まただ。また『入ってくる』と言っている。  
ということは、スライムは先ほどからずっと何処かへ侵入し続けているということ。  
「ど、どこへ?」  
思わずそう聞いたデイジーに、ドロシーは絶望的な目で応えた。  
 
 
 「お、おしっこ・・・おしっこの・・・・・・出るとこ・・・・‥あうぅっ!!」  
 
 
「・・・!」  
一瞬、妹の言っている事が理解できなかった。  
常識的な読解力ではその意味を察し得なかった、と言うべきか。  
それでも理解せざるを得ない。  
文字通り、尿道口を犯されているということ。  
信じ難い事。  
信じたくない事。  
だが直後、姉はそれが事実であることを強制的に認識させられる。  
 
――ズニュッ!!  
 
「ひぃっ!?」  
 
スカートの中で、下腹部に何かが突き刺さるような違和感を感じて、姉は恐怖の声を上げる。  
 
――ズルッ!ズルッ!ズルルッ!  
 
「ひぃっ!!ひぃっ!!入ってくるぅーー!?」  
 
確かに、『入ってくる』という以外に表現のしようが無かった。  
本来ならば一方通行の、かつ液体しか通らないはずの細い配管。  
そこへ、スライムが細い触手のようなものを伸ばし、ズルズルと押し込んできたのである。  
というよりも、スライム自身が形を変えながら尿道口へ侵入してきている、と言うべきか。  
「ひぃっ!?ひぃっ!!いやぁーー!!気持ち悪いっ!!気持ち悪いぃっっっ!!」  
なんというおぞましさ!  
尿道管の存在など、例え排尿中であっても意識することは殆ど無い。  
そこを、粘り気のあるスライムが、本人の意思を無視して逆流してくるのである。  
尿道の内壁を、グリグリと擦りながら軟体生物が駆け上ってくる。  
侵入者を押し返そうと括約筋に力を注いでも、抉じ開けるように広げ返されてしまう。  
それも、元の太さ以上の幅へと、強引に。  
屈辱の尿道拡張。  
「ひぃぃぃっ!!」  
青空の下、恥も外聞も無く、スカートの中へ手を入れて尿道口を直接押さえる。  
にも関わらず、どんなに強く押さえても侵入は止まらない。  
中腰のままガクガクと身悶える。  
「ひぃぃ・・・・いやぁ・・・・いやぁっ!!」  
「お姉ちゃん!?お姉ちゃん!うそぉっ!?お姉ちゃんまで?いやぁーーっ!!」  
姉が自分と同じ言葉を発したためだろうか、妹も事態を認識した。  
姉もまた、自分と同じく尿道口を穿たれているのだと。  
「あぁぁ・・・お姉ちゃん・・・お姉ちゃぁん・・・・・・・・」  
ドロシーにとって、デイジーは姉であると同時に母親のように頼れる存在でもあった。  
その姉が、なす術なく翻弄されている。  
「ひぃっ!!いやぁーーっ!!だめぇっ!そんなとこっ!入ってこないでぇぇっ!!」  
デイジーの悲鳴で、ドロシーはどうしようもない絶望的な現実を認識させられるのだった。  
姉妹の悲鳴も空しく、スライムによる尿道逆流責めは容赦無く続くのだった。  
 
「お姉ちゃん・・・・もう・・・ダメッ!もう入らないよぉっ!!」  
「あぁ、ドロシー・・・・あうぅ・・・・私も・・・・もう・・・・入らないのに・・・・・」  
膀胱の許容量限界に近づくと、逆流の勢いも弱まり始める。  
それでも少しずつ少しずつ、少女の懇願を無視するように押し入ってくる。  
――ズルッ・・・ズルッ・・・・・・・ズルッ・・・・・・・・・・・・・・・  
まるで、『まだ入るだろう?もう少しくらい入るだろう?』とでも言いたい風に。  
「ひぎっ・・・・・うぐぐっ・・・・・・んぐぅ・・・・・・・・・・・・」  
「はうぅ・・・・・・・くぅ・・・・・・んん・・・・・・・・・・・・・・・・」  
二人の声が呻き声に変わった辺りで、ようやくスライムの侵攻も収まった。  
「・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」  
「・・・・・っ、・・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」  
長距離走を終えたばかりのように荒い呼吸を繰り返した。  
 
・・・。  
 
やがて、多少の落ち着きを取り戻した姉が思案する。  
デルタゾーンにはまだ大量のスライムがこびり付いている。  
何度か振り払おうと試みるが、暖簾に腕押しだった。  
他に策は無いだろうかと思案する。  
そして思いつく。  
(・・・これ、押し出せないかしら?)  
外から引っ張れないなら内から押し出せないか?と。  
おしっこをするように腹圧で押し出すこと考える。  
少々恐ろしい気もしたが、うまくいけば妹も助けることができる。  
意を決した姉は腰を下ろし、尿道の力を緩める。  
しかし、音沙汰無し。  
さらにお腹に力を入れて、膀胱を絞りにかかる。  
だが、これでも効果無し。  
スライムだけでなく、本来そこに収まっている黄色い液体まで出て来ない。  
「う、うそ・・・嘘よね?おしっこ・・・おしっこも出ない・・・出せないなんて・・・」  
姉は酷く狼狽した。  
先程は排尿の途中で押し留められてしまったので、まだタンクには本来の液体が残っている。  
それすらも出せない。  
一体、いつまで?  
まさか、一生?  
目の前が真っ暗になる。  
倒れそうになるが、かろうじて踏みとどまる。  
 
(どうしよう、こんなの、私にはどうしようもないわ・・・)  
この世の物とは思えない、まるで化け物のようなモノ。  
(お医者さんでも手に負えないんじゃ・・・)  
それでも他に手は無いと考え、妹に声をかける。  
「ドロシー、辛いかもしれないけど、お医者さんへ行きましょう。」  
しばらく放心していた様子の妹も、姉の声でそっと身を起こす。  
「う、うん・・・あぅぅ・・・・・」  
自分と同様、妹も苦しそうな声をあげるが、化け物相手ではどうしようもない。  
二人とも、パンティは脱いでポシェットに仕舞った。  
そのまま穿いたらスライムの粘り気でべっちょりと汚れてしまうからだ。  
そよ風がスカートの中へ無遠慮に入り込み、敏感な部分をくすぐってくる。  
特にドロシーの方は捲くれやすいフレアスカート故、気が気でない。  
スカートを押さえながらヨタヨタと歩き始める妹に、姉が肩を貸す。  
自身も膀胱を酷く圧迫されており辛いが、妹を思えば何とも無い。  
・・・と思いたかったが、さすがに現実は容赦無い。  
一歩あるくごとに、擬似的な尿意が意識を揺さぶる。  
(ん・・・くぅっ!)  
もし、突然おしっこが漏れ始めたらどうしよう?  
服を下ろす暇など、とても無いだろう。  
人前だったら最悪だ。  
妹と一緒に、大衆の眼の前で、着衣失禁?  
 
そんなことを考えていた矢先。  
「あっ!?」  
肩を貸していた妹が、また突然の声を上げた。  
「ど、どうしたの?」  
嫌な予感がしつつも、尋ねざるをえない。  
「う、動いたっ!後ろへっ!」  
「え?後ろ?」  
スライムは膀胱の中で行き場を失っているはず。  
後ろへ動いた、とはどういう意味か?  
「そ、外に残ってたのが、後ろへ・・・・ああああああっ!?」  
妹は姉の肩から手を離して膝を着く。  
「ひぃっ!!そ、そんなぁ!!そっちまでぇ!?いやっ!!入ってくるぅー!!」  
両手をお尻の側に回して悶絶する。  
妹の顔が恐怖に染まるのを見て、姉の顔もみるみるうちに青ざめていく。  
「ま、まさか・・・まさか・・・・・・・・・お、おしり?」  
尋ねられた妹は、目尻から涙をボロボロと流しながら何度も頷いた。  
 
「そ、そんな・・・そんな・・・・・・」  
大切な妹が、得体の知れない魔物に肛門まで穿たれている。  
姉は大慌てで妹を胸に抱きかかえ、両手をその後ろへ回し、菊座を押さえつける。  
「あううっ!」  
妹が驚きの声をあげる。  
姉妹とはいえ自分以外の人に肛門を触られたのだ。  
驚くのも無理は無い。  
「ドロシー!お願い、我慢してっ!」  
デイジーは妹の菊座を必死に塞ごうとする。  
その余り、中指の先がドロシーの菊座へズッポリと入り込んでしまった。  
「ひぃっ!?いやぁーっ!!お姉ちゃぁーーーーん!!」  
スライムとははっきりと異なる感触に、妹も非難の声を上げる。  
「ご、ごめん!ごめんねドロシー!でもっ!でも今抜いたら・・・」  
ドロシーの菊座がデイジーの指先をグイグイと締め付ける。  
本来ならば一滴の液体も通れないほどの圧力のはず。  
にもかかわらず、スライムは指と肉壁の間を強引に押し広げながら乱入していった。  
「ダメェ・・・入ってきてる・・・ちょっとずつ入ってきちゃってるぅ・・・」  
「そんな・・・そんな・・・・ひいっ!?」  
絶望に打ち拉がれる姉。  
その股間にヘバリついていたスライムが、妹のものと同じ動きを開始していた。  
股の間を後ろへ向かってズルズルと這いずり始めたのである。  
 
「いっ!?いやっ!いやぁっ!!」  
両手は妹を守るために塞がっている。  
自らの直腸への道程は完全に無防備だ。  
魔物の侵攻を防ぐ術が何一つ無い。  
両脚をピッタリ閉じて進軍を阻もうとするも、焼け石に水。  
「来ないでっ!来ないでぇっ!!」  
そして。  
無常にも。  
 
――ズニュッ!ニュルッ!ニュルルルルルルルルルルルルッ!!  
 
「ひぃぃいいいっ!!!」  
 
菊座に触れるや否や、スライムはデイジーの中へと潜り込み始めた。  
障害物のある妹の側とは異なり、こちらには何の邪魔者もなかった。  
スライムは初手から最大流速で押し入ってきたのである。  
衝撃のあまり悲鳴を発する。  
姉の声に驚いた妹がビクリと大きく震える。  
そのせいで、菊座に差し込んでいた姉の指先が抜け出てしまった。  
 
途端に。  
 
――ニュルルルルルルルルルルルルルルルルッ!!!  
 
「いやぁぁああっ!!!」  
「ド、ドロシー!」  
 
一瞬のスキを突くように、スライムはドロシーの直腸へも一気に潜りこんで行った。  
妹の絶叫で姉も気付いたが、既に遅かった。  
「あっ!ああっ!ああん!ああぁぁぁ・・・・」  
「ひぃっ!ひっ!いやっ!いやぁぁぁ・・・・」  
スライムの勢いは、尿道口の時の比ではなかった。  
まるで風呂釜の栓を抜いた時のような勢いだ。  
本来の排泄物が抜け落ちていくのよりもずっと早い速度で、かつ逆向きに抉られる。  
スライムの脈動に合わせて窄まりが開いたり閉じたりされる。  
本人の意思を無視して行われる開閉運動に、少女らの心はズタズタに引き裂かれる。  
「ふぐぃ・・・・いぎぃ・・・・・ぐぅぅ・・・・」  
「うあぁ・・・・ううぅ・・・・・うぅぅ・・・・」  
もう姉妹はお互いを気遣う余裕も無くなっていた。  
ひたすら菊座を締め、少しでも侵入者を押し返そうと踏ん張る。  
例えそれが全く意味を成さない無駄な抵抗であると分かっていてもである。  
いやそれどころか、締めようとすればそれ以上の力で押し広げられてしまう。  
強制アナル拡張。  
尿道の時と全く同じだ。  
十代少々の乙女には耐え難い悪夢だった。  
 
・・・。  
 
 
いつまでもいつまでも続くと思われていたそれも、やはり限界付近で勢いが弱まる。  
それでも、直腸のヒダを一本一本引き伸ばしながら『まだ入るだろう?』と押し入ってくる。  
お腹がポッコリと膨れてくる。  
まるで妊婦のように。  
異なるのはその中に詰まってる物。  
新しい生命の息吹などではなく、異形のモンスターである。  
いや、何かしらの「命」が宿っているという意味では近しいかもしれない。  
そんなこと、犯される少女らにしてみれば何の慰めにもならないことであるが。  
 
やがて、全てが直腸内へと吸い込まれたところでスライムの蠢きも止まった。  
気のせいだろうか、外に見えていた残りの分量よりも、体積が増えてる気がする。  
「はぁ・・・、はぁ・・・、お、終わった・・・の?・・・・・・・・んぐぅっ!」  
菊座を抉られる感触が無くなったところで、ようやっと姉が身を起こす。  
一瞬、悪い夢でも見ていたのではないか、と思いたくなる。  
だが下腹部に感じる酷い圧迫感が、現実逃避を許してくれない。  
そして、膀胱を封印された時の恐怖が蘇る。  
(ま、まさか、こっちも出させてくれないの?)  
恐る恐るお腹に力を入れる。  
そして、恐れていた通り、何も出てきてくれない。  
「そ、そんなぁ・・・」  
直腸は言うことを聞いてくれている。  
締め付ける度に、その中に収まった異物を食い締めるのが分かるからだ。  
直腸の異物はやや固めの手ごたえがある。  
膀胱の中のスライムが殆ど液体同然のような感触なのとは様子を異にしている。  
環境によって硬さを自在に変化させているのだろうか。  
「ううぅ・・・・どうしよう・・・・・どうしたらいいの・・・・」  
まだ夢うつつな様子の妹を目に、姉は困惑の声を隠せない。  
 
そこへ、男の声が聞こえる。  
 
  「おおい、どうしたんだい?」  
 
「えっ!?」  
驚いて声の方へ目を向ける。  
「あ、神父さまっ!?」  
デイジーは捲くれていたスカートを慌てて元に戻す。  
草むらの中へ腰を落としていたため、神父の方からは見えなかったはず。  
近くで倒れていた妹のスカートも元に戻し、その下のツルツルの丘を隠してやる。  
程なくして神父が二人の間近までやってくる。  
「どうしたんだい?何か悲鳴のような声が聞こえたのだが。」  
「え?ええっと、その・・・・」  
答えあぐねる姉。  
その目線が、倒れている妹の方へと泳ぐ。  
「む、ドロシー君!?どうしたんだね?」  
神父はドロシーの方へ駆け寄り、身を引き起こす。  
「あ・・・神父さまぁ・・・」  
目を覚ました妹は、神父の顔を見て安堵の表情を浮かべる。  
 
しかしすぐに、自身の身に起こった惨事を思い出す。  
「あぅ・・・・あぅぅぅ・・・・神父さまぁ・・・・助けて・・・・助けてぇ・・・・・・」  
神父の胸に顔を埋めて、小さく嗚咽を漏らす。  
「とりあえず、教会へ運ぼう。デイジー君、君は歩けるかね?」  
「は、はい、・・・んっ!」  
重いお腹に苦しめられつつも、なんとか立ち上がる。  
(ああぁ・・・おしっこ出そう・・・うんちも出そう・・・)  
それが擬似的な排泄要求であると分かっていても辛かった。  
神父はドロシーを抱え上げて先に歩き始めている。  
デイジーも小走りで後を追いかけていく。  
一歩踏み出す度に、膀胱は水を満たした風船のようにダプンダプンと波動する。  
肛門の奥の異物感も、歩き始めるとより強く感じられる。  
得体の知れない化け物に犯されるという嫌悪感。  
排泄器官を弄られるという屈辱感。  
そしてなにより、排泄行為を封印されたという絶望感。  
(おしっこぉ・・・うんちぃ・・・おしっこぉぉ・・・・あうぅぅ・・・)  
デイジーは泣きたくなる思いだった。  
だが、不安がるドロシーの前で涙を流すわけにはいかない。  
べちゃべちゃに汚れたスカートを握り締めて声を押し殺す。  
懸命な思いで涙を堪え、一歩一歩を踏みしめる。  
そして神父の背中へ声をかける。  
「助けてぇ・・・・お願い、神父さまぁ・・・助けてぇ・・・・」  
デイジーは排泄要求に苦しめられながら、神父の後ろをヨロヨロと歩く。  
ドロシーは神父の胸に顔を埋めたまま、目を強く閉じて下腹部の違和感に耐えている。  
 
 
 ――故に、姉妹は気付かなかった。  
       神父の口端が、ニヤリといやらしく捻じ曲がったことに――  
 
 
 

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