「――そういうのに、興味あるんだ?」  
 
「おかえりなさい」  
 ドアの前に立つと鍵の開く音の後、ちいさな声が届く。薄く開いた扉から漂う味噌汁と  
焼き魚のにおいと、セーラー服の上に男物のエプロンをつけている少女の恥ずかしげな顔。  
 定時ぴったりに仕事を終えても、帰宅まで1時間かかるベッドタウンの駅近くの  
独身者用アパートにつく頃には夕方六時を回ってしまう。以前は残業浸けだった僕が  
しゃかりきになって仕事を片づけて帰宅するのを見て同僚は彼女が出来ただの上司は  
仲人は任せろだのと微笑ましく言ってくれるが、彼女を見れば恐らく困惑するだろう。  
少し小柄で華奢で声同様大人しくて可愛らしいこの子の年齢は十五歳。若妻にするには  
早過ぎる。  
 隣人に気づかれない様に、でも彼女に失礼にならない様にするりと玄関に入って後ろ手に  
鍵を締める。かちりと音がなり、密室の出来上がり。  
「お風呂…沸いてるから」  
 まるで理想の新妻そのものの言葉を聞きながら、僕は少し身を屈めて彼女のちいさな  
お尻をセーラー服の上から撫でる。今時絶滅種の膝丈の、糊の利いた黒い上質な  
プリーツスカートの上から、ゆっくりと、掌全体で撫で回す。  
 びくんと身体を震わせる彼女の背中の中央まで伸びた漆黒の髪はハンカチで  
束ねられていて、耳まで真っ赤に染まっているのが見える。うなじ越しに見える、セーラー服の  
胸元に隠れた白い乳房と、清楚なブラジャー。  
「風呂と食事の後だと時間ないけど、いいのかい?」  
 彼女の門限は七時。ここから走って十五分の自宅だから、逢瀬は最大四十五分。  
ぶるぶるっと小刻みに震える彼女の視線が廊下を彷徨う。この逢瀬は結構重ねられているのに、  
未だに割り切れない彼女が僕には可愛い。  
「ほら、おねだりの時間だろう? 『お尻を可愛がってください』、ほら」  
「お……おしりを…可愛いがってください……」  
 更に身を屈めて、僕は彼女のお尻の谷間に指を押し込む…いや押し込むまでもなく、  
数回お尻を指で開かせると、華奢な踵がスリッパから浮き、そして手が潜り込み易い様に  
脚が拡げられた。淫乱な牝犬の様な素直な反応なのに、いつも彼女は恥ずかしそうに  
俯いたまま震えている。  
「美也の…美也のいやらしいお尻を……苛めてください……」  
 屈辱と羞恥と欲情で、はっとする程深くて印象的な大きな瞳が廊下の安い照明の光に  
濡れていた。  
 
 
 コンビニのアダルト雑誌のコーナーはえげつないタイトルの雑誌が結構並んでいる。  
婦人誌、青年誌、アダルトコーナーと並んでいるその婦人誌コーナーで奇妙な動作を  
している彼女に気づいたのは偶然だった。  
 万引きとは違う、アダルト雑誌の方をちらちらと意識しては俯いて女性誌に視線を戻す  
セーラー服の少女が目立たないワケがない。こっそり観察していると、彼女が意識しているのは  
アナルセックスの一冊だと判った。地元民でなかった僕でも知っているそのセーラー服は  
中高短大と一貫校の有名なお嬢様学校のものである。後で聞けばコンビニに寄る事すら  
校則で禁じられているというから徹底している…そしてそんなお嬢様が卑猥な雑誌に興味を  
持ってる事に気づいて、悪戯してみたい衝動と同時にいけないものを見てしまった奇妙な  
罪悪感に僕は搦め取られてしまった。  
「――そういうのに、興味あるんだ?」  
 そう話しかけた声は、多分上擦っていた。  
 ただ表紙を盗み見ていただけ、それなのにまるで万引きが見つかった様な怯えた表情で  
凍りついてしまった彼女に、その後どう話しかけたのかは憶えていない。ただ、コンビニの  
裏手の駐車場で待たせた彼女に、紙袋に入れたその雑誌を渡してからは、憶えている。  
 数週間後、コンビニの外で偶然再開した途端、彼女はいきなり僕に深々と頭を下げた。  
「その節はありがとうございました」とちいさく震える声に、どう答えたのかはこれまた記憶が  
ぐちゃぐちゃになっている。  
 そして、駐車場の裏のゴミ置き場の影で、隠れて、彼女のお尻を初めて撫でた。キスは  
していない。制服の上から撫でた小振りなお尻の柔らかさをほんの少し堪能して、その谷間の  
奥へと指を進ませた瞬間、彼女は泣いて謝って逃げ出した。  
 もう会えないだろうなと考えながらコンビニに毎日寄る様になった僕がまた彼女に会ったのは、  
その五日後だった。  
 
 少しずつ彼女との距離が近くなっていく。  
 アナルセックスにさして興味が無かった僕は帰宅してから毎晩インターネットで  
検索しては読みふけり、画像を眺めて、徐々にアナルセックスの興味が増していった。  
彼女との逢瀬も徐々に頻度が増していく。人気のない小さなな公園のベンチの両端に  
座って、缶コーヒーとミルクティを少しずつ飲みながら、ぽつりぽつりと会話をする。  
異常な行為に興味のある自分を恥じる彼女を慰めながら、こっそりと、彼女がどんな事を  
知っていて、恥ずかしがっているのかを聞き出す。  
 目立つセーラー服と、喫茶店などに入れない彼女との逢瀬は人目を忍んでいて、  
そして短い。最初から名残惜しいのは僕ばかりで、だが、ふと気づくと彼女もそんな瞳を  
していた。  
 初雪の日、雪の積もったベンチを言い訳に、僕は彼女を家に招き入れた。  
 どうしても靴を脱ぐ事が出来ずに玄関から先に進めない彼女に、背後から僕はお尻を  
撫でる。コートの上からのもどかしい感覚に、ズボンの中で僕のものがぎちぎちに  
硬くなる。コートの上からなんてよりもっと卑猥に苛められたがっている筈の知識過多な  
彼女の華奢な肢体がぶるぶると震えながら、僕の手を受けいれる。ただし、コートの上から。  
襲いたくなるのは当然で、でも臆病な彼女がそれを受け入れられる筈がないのも判っている。  
「お尻の穴、疼いてる?」  
 彼女の遠まわしで赤裸々な告白を何度も聞いている僕は、彼女の白い手がドアの表面で  
頼りなく開いては握り締められる繰り返しを見ながら耳元で問いかけた。  
 普通なら女性器が疼くとかになりそうなのに、お尻が疼く。そんな彼女は、僕の問いに  
全身を震わせる。まるで出会った時の様な怯えた表情。だが身体が逃げない。  
 ずっと繰り返し撫で回す。服を破いて目茶苦茶にしたい欲求と同じだけの、じわじわと  
獲物を嬲り者にしたい欲求。寒さで鳥肌立っていたうなじがほんのりと桜色に染まり、  
甘いにおいの汗が滲んできていた。  
 六時半、不意に彼女の腕時計のアラームが鳴った。  
 翌日、昼休みに食事を抜いた僕は彼女にアナログ式の腕時計をプレゼントした。  
 

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