目が醒める。吐息が白い。
枕元の時計は二時を回っている。この時間に目を覚ますのが、少年の日課となっていた。
少年は布団から抜け出し、足音を忍ばせて暗い廊下を渡る。
廊下の突き当たりに障子の空いた部屋を見つけ、彼は喉を強張らせた。
そして月の光を遮らぬよう、身をそっと障子の暗がりに潜めるのだ。
『なぜ今日も門限を破ったのか……そう聞いているんだ』
押し殺したような父の声。
部屋の中には、一糸纏わぬ全裸の娘が前傾の姿勢で屈んでいた。
手首は背中側に戒められており、ほとんど身動きの叶わない状況である。
その清流のような黒髪は背中まで艶を流し、胸は巨峰のごとく豊かに張りだし、畳に膝をつく脚は伸びやかに引き締まっている。
大人の色香を十分すぎるほど纏った瑞々しい肢体。
月に照らされるその身体は、ほんらい思春期の少年を鼻柱が熱くなるほど煽情するものだ。
それが、実の姉でさえなければ。
『誰に似たか、強情なことだ』
娘の背後に立つ父が、脇に置いた洗面器をたぐり寄せる。
洗面器には泡立つ液体が満たされ、娘の細腕ほどもあるずっしりとした浣腸器が月光をうけて威容を輝かせていた。見るだけで、少年にはその冷たさが理解できる。
『…や……もう嫌ぁ……っ!…』
娘はさっと顔色を変え身を捩るが、すぐに歯を喰いしばり背を伸ばした。
娘の前には父親と挟むようにして義母が腰を据え、娘の股座へと指を差し入れている。娘の泣き出しそうな相貌から察するに、長いこと陰核を苛んでいるようだ。
包皮を剥いての陰核責めは拷問にも取り入れられるほど辛く、その自白率は100%だとも伝えられる。娘と血の繋がらぬ義母は、同性ゆえの的確さでそこを執拗に責めさいなみ、娘の抵抗を巧みに殺していた。
陰核を捻られた娘が思わず浮かせた菊座に、浣腸器の嘴管がずずりと突き刺さる。
腹圧が強いためか、あるいは遊んでいるのか、父親は僅かずつ浣腸液を娘の紅い直腸へと染み込ませていく。姉のすっきりとした腰つきがやや平らになり、鳴動する。
『ああ、やだ…苦し、くるしいよぉ!今日は友達の家に寄っただけなのっ!!』
『そんな筈はない、お前と懇意な学友にはすでに連絡を済ませてある。
お前という奴は、親を欺いてまで男と逢引きか!』
義母の忌み者である彼女には、惹かれあった異性とひと時会う事さえ許されない。
素直に男に会ったなどと言おうものなら、女に生まれた事を三日三晩後悔することになる。
幾本目とも分からぬ浣腸を体内に受けつつ陰核を激しく揉みしだかれ、娘は声にならない悲鳴を溢して身を屈めるしかない。すでに何時間耐え忍んでいるのか、娘は水を浴びたような汗にまみれていた。
断続的な息遣いに合いの手を打つように、彼女の潤みに屹立した粒はぎち、ぐちゃと濡れた音を立てる。指先で転がす義母の肘の先にまで、透明な筋がつたっては落ちていた。
『ふふ、クリトリスを杏の実みたいにビンビンに硬くしちゃってさ。
浣腸されては排泄するのが嬉しいんだろ?薄汚い尻を犯されるのが愉しみなんだろ?
なにせあの女の子供だからねぇ!』
二親の罵詈雑言には俯いて耐える娘も、生理的な欲求にはついに敵わない。
『あぅうっっ!!』
短い叫びと共に娘の目がきつく閉じると、義母がわめきはじめる。
『ほら待ちな、出すんじゃないよ!仕置きだからね、出したらまた朝まで酷いよ!』
少年は、いつもここで耳をふさぐ。姉の悲痛なうめき、渦巻く水音。
それらが静まって再び覗くころ、姉はより深く這い蹲り、背後から父親にのしかかられているものだった。杭を打ち込むように、長さばかりは並のものでない父親の逸物が亀頭から根元まで深々と突き刺さり、娘が大きく口をあける。
その段になるともはや義母の役目はなく、ただ割られた娘の両脚にしたたる蜜を掬いもって、肛姦に涙や涎を垂らす顔を口汚くなじるだけだ。
情に薄い親による「仕置き」という名の虐待は、娘がやがて結婚し籍を外れるまで毎晩のように続いた。
少年は、それをただ見守るだけだ。
彼はヒーローに憧れていた。悪の基地に単身乗り込み、弱きを助ける怪傑に。
なぜ彼は止めなかった?
悪者が実父だったから、産みの母だったから?
姉が気丈そうにしていたから?
背後から組み敷かれた姉の瞳が、少年の瞼の裏にはいまでも張り付いている。
「………吾さん、健吾さん……大丈夫ですか」
少し焦りの混じった声で、私は再び目を覚ます。
耳につたう変に冷たい涙で、こちらが現実なのだとわかる。
「ああ…悪い、寝てたのか。少し疲れが溜ってるのかな」
目頭を拭うふりをしながら、私は自省した。
目の前の少女は全裸で、その所々に赤いキスマークがついている。
つまり私は、少女へのクンニリングスの最中に眠りに落ちたことになる。
「すみません…私ばかり心地よくて、健吾さんは退屈でしたよね」
少女はしおれた様子で静かに水割りを作ってくれる。
そろそろ3年来の付き合いだが、硬い喋りは相変わらず直る様子がない。
彼女の名は紗妥(さや)。今年で17になる。
私が彼女とはじめて面識を持ったとき、その華奢な身体は餓えに瀕していた。
私にはやや想像もつかない事だが、現代の日本においても捨てられ飢えた子供というのは存在するらしい。
事実、彼女とその妹たちは雨露だけを頼りに浮浪者暮らしを続けていた。
私は偶然それを目の当たりした縁で、彼女らの資金面での援助を続けている。どうせ一人暮らしで溜る一方の金だからだ。
そこには断じてやましい心など無かった。
社会生活で枯れ果てたと思っていた慈善の心が、たまたま向いたに過ぎない。
「あの、気のせいなら申し訳ないんですが…健吾さんは私とのH、お嫌いですか?」
紗妥は気まずそうに私に問いかけた。
「そんな事は思ったことないけど」
「でも…なんだか最近は、あまり楽しそうではないと言うか……
私ではそろそろ、物足りなくなってきたのかな…と思うようになって」
私は水割りの氷を見守りつつ、話に耳を傾けた。
「私は、健吾さんに本当に感謝してるんです。私や妹たちが生きていけるのは、
暖かい布団や食事に囲まれて暮らせるのは、健吾さんのお陰ですから。
だからそのために、何でもしたい。私の器量ではご不満だと思います、でも、
どんな事でもしますから!」
紗妥はずいぶん必死に見える。まるで捨て犬が物悲しく吼えるようだ。
彼女はいくつか大きな勘違いをしている。
まず彼女は、けして器量が悪くなどない。栄養失調だった以前ならいざ知らず、いまや髪質も、胸の形も、脚線にも胸を打つ色気がある。モデルのように洗練されきった輝きというわけではないが、一緒に歩いていて誇らしくなるだけのルックスを持っている。
そして今の話ではまるで私の方が高位であるようだが、そんな事はない。
私は彼女らの前でこそ大人ぶるものの、所詮は社会をかじった程度の若造にすぎない。
幼い頃から苦労し続け、妹たちの母代わりをしてきた彼女は、私などに抱かれるのが不釣り合いなほど徳が高い。
なにより、私は彼女に依存している。
捨てられるとすれば、それは私の方だ。
いつしか、一回りほども違う紗妥に母性を求める自分がいた。
ただの愛撫がスキンシップとなり、私は生まれてはじめての温もりを感じはじめていた。
しかし、私が彼女に求めている役割は「母」ではない。
水割りの氷はホテルの蜂蜜色のライトの中で、なお冷たく輝いている。
「ねえ…健吾さん……っ!」
近づく紗妥の肢体がベッドを弾ませた時、グラスに乾いた音を立て、氷は脆く崩れた。
私は彼女とのセックスが嫌いなわけではない。むしろ、彼女と肌を重ねるのは大好きだ。
ただ、趣向が普通とは違うだけだ。
「さや、聞いてくれ」
私は女性に対して初めて、自分の本当の性癖を晒そうとしている。
あの頃見た狂宴の残滓を。
華奢な少女の肩に手を置き、私は深呼吸する。
シャンプーの香りに混じり、甘く蕩けそうな女の匂いが鼻腔をくすぐる。
いい女に育ったものだ。
紗妥はあの頃の姉と変わらぬ歳、同じぐらい美しい娘へと成長してしまった。
私は紗妥に全てを語った。
幼い頃の姉の記憶、それがトラウマとなって普通の性交に興味を持てなくなったこと。
彼女にその頃の姉を映して見てしまうこと。
紗妥は言った。
「それなら、普通じゃない事をしましょう。健吾さんが、本当にしたい事……」
その言葉は尻切れになっていた。
彼女は言い終わる前に顔を覆い、泣き出したからだ。
しゃくりあげながら、彼女は私が愛想を尽かしたのではなくて良かった、と語った。
自分が何か粗相をしでかしたのではないか、つまらないのだろうかと随分思い悩んでいたのだそうだ。
紗妥が泣くのを見たのは、これが初めてだった。
いつでもしっかりしていて、聖母のように優しい瞳と物腰で私を癒してくれる女性。
私の中で、彼女はそう評価されていた。
事実、ほとんどの場合において彼女はそのような女性だろう。
しかし本当に困窮したとき、彼女はやはり17歳の少女に過ぎないのだ。
どれほど大人びていようとも。
私は愛しくてたまらなくなり、紗妥を抱きしめた。暖かく、とても柔らかい。
すべらかな腰に手を伸ばして真っ白い尻肉を割る。指先で蕾をなぞると、くすぐったそうに笑った。
「健吾さんにだけなら見せていいですよ。私の、恥ずかしいところ…」
麦穂のように香ばしい髪を私にすりつけ、彼女は囁く。
「膝をついて、お尻を上げて」
私が命じると、紗妥はやや恥ずかしげに乳白色の尻を持ち上げる。
私は息を呑んだ。まろみがありながら引き締まったその臀部にしばし見惚れた。
中心にある濃い肌色の蕾もまた、綺麗に皺が並んでいる。
「これを、お、おしりに…ですか!?」
イチジクの容器を手に、今度は紗妥が唾を飲んだ。
「先に出すものは出しておかないと、どうなるかわかるだろ?」
彼女は分かりやすいぐらい頬を赤らめ、頷く。
「…う、うぐ、っく……」
ぶちゅうっと音を立てて容器を潰しながら、彼女は自らの尻穴へとグリセリン溶液を流し込んでいく。
腸内に水が逆流するおぞましさか、足の指がシーツに皺を作っていた。
「あまり多用すると渋り腹になるぞ」
大量に入れるべきだと思ったのか、私は4袋目を開けようとする彼女を制す。
「あ、はい……んんっ!!」
さっそく効いてきたのか、紗妥がぱっちりした目をさらに見開いた。
「すぐに出さないで、すこし我慢するんだ」
私がそういいながら下着を下げると、紗妥はすぐに理解した。
苦しげに眉をしかめながら萎びたそれをくわえ込む。
腹がなるほど便意を催しながら、しかし彼女の口戯は巧みだった。
身体を重ねるたびに私の気に入るやり方を学んでいく彼女だ。
玉袋を口に含み、裏筋を歯でなぞり、カリを舌でくすぐる。
たちまち私の逸物は活力を取り戻し、彼女の口腔粘膜を圧し始める。
私は情けない喘ぎ声を出し、腰が引けてしまう。
しかし、
「うぅふっ!」
最近にしては珍しく、先に降参したのは彼女の方だった。
「ひゃえ、ねちゃう!!」
肉茎から糸を引いて口を離し、太腿をぶるぶると震わせている。
「どうした、もう限界か」
私の言葉に何度か素早く頷き、唇をかんで腰を突っ張っている。
今まで浣腸を施した相手よりずいぶん早いが、最初では我慢も利かないのかもしれない。
「わかった、トイレに行っていいぞ」
私の言葉でようやく便座に座れ、ほっとした様子の彼女。
だが、まさか私が見ている前で、とは思わなかったのだろう。
「あっ!あ、だめ、恥ずかしい……あ、、もう…だめ……―ぇ…!」
最初、掌で目を覆っていた紗妥は、すぐに脱力したように腕を下ろした。
私を眩しそうに見上げて白い前歯を見せながら唇を噛み、んっと息を吐く。
その直後、女性にとって最も恥ずかしい音とともに、彼女は絶頂時と同じ表情をした。
「んっ、ふっ…ン」
視線を宙に投げ唇を開き、息を弾ませる。
気持ちいいのかと聞くと恥ずかしげに俯くのも同じだ。
肛門から異物が放出される開放感は、紗妥にとって絶頂と似ているらしい。
排泄の反応がいい相手は、菊門の神経が敏感でアナルの素質がある。
愛らしく窄まった肛門をウェットティッシュで清めてやりながら、
頬を染めた彼女をみて私は微笑みを隠せなかった。
紗妥の菊座は慎ましやかに息づいている。
そこに舌を這わせることに、何の抵抗も感じないほど。
「ひぁっ」
私の舌がざらざらした皺をなぞるのと、紗妥の声は同時だった。
その初々しさに煽られ、私は舌で菊門をこじ開ける。
舌を左右にくゆらせ、真ん中の硬い部分をぴっちりと閉じた隙間に潜り込ませる。
「あ、ぅあっん…」
少しずつ舌が中へと滑り込むたび、彼女の声がそれを知らせてくれる。
無理をするばかりでなく、少し沈めると舌を引いて皺をひとつずつ舐め取っていく。
「あの、健吾さん…そんなところ、あの…くさく、ありませんか?」
足の間から不安げな表情が覗く。
「いや。むしろそそられる」
私は正直に応えた。
綺麗な蕾ではあるが、彼女とて他人のものと変わるわけではないだろう。
潤みからのつんとした匂い、やや酸味と甘みのある肉の匂いが鼻腔を満たすだけだ。
しかし相手が可憐な少女である事実が、それを本場の鴨肉のように滋味のある、
筋繊維の奥に滲む肉汁まですすりたくなるほどの味に変えてしまう。
私は紗妥の腸からの入口を唾液でふやかしながら、硬くなっている彼女の身体をほぐしにかかった。顔は尻肉の間に埋めたまま、手を回して彼女の性感帯を弄る。
左手は暖かく軟らかな乳房をつつみ、右手は薄い茂みの奥へ。
「ふあ!」
虚を突かれ、紗妥の腰がわずかに落ちる。
豊かな胸はいくぶん固くしこりはじめており、房の下をなぞると露の様に細かい水分が指を濡らす。
10代ならではの、吸い付くような肌の張りだ。
秘裂には前儀のときの湿り気がそのまま残っており、指の腹をとろ火で炙られるかのように暖かい。
私のような偏屈者でなければ、すぐにでも蜜を交わしたくなる名器なのだろう。
「あ、ああっ……」
しばらくお預けを喰らっていた局所への愛撫に、紗妥が色めいた声をあげる。
潤みの中で指をくつろげると、8の字で繋がった肛門にも蠢きが現れた。
膣の快楽と関連付けてアナルを開発するのはとても重要だ。
舌を追いやるかのようにきっちりと閉じていた菊輪がほぐれ、舌を中ほどまで迎え入れる。
舌を離すと、紗妥の蕾は私の唾液で濡れひかり、小指の先ほどの喘ぎを見せる。
試しに中指を添えてみると、思ったよりも簡単に沈み込んだ。
「ひっ」
紗妥は小さく叫んで身を竦める。
しかし私の指が前後の穴をほぐしはじめると、ベッドに身体を横たえてされるがままの姿勢を示した。
私はそれをいい事に、少女の直腸と膣を両側から弄りまわす。
8の字筋を伸ばすようにほぐされ、紗妥は目をとじて顎を反らせた。
「おしり、どんどんひろがってます。ああ、気持ちいいかも……」
曲げた脚を片手で抱え、括約筋の形を変えて喘いでいる。
普段の彼女からは想像もつかないだろう。
涼しげな表情、気品ある振る舞い、丁寧な言葉遣い。
大和撫子に例えられる彼女は私の前では存在せず、ただの少女に戻る。
ふと、彼女が私を見て笑っていることに気がついた。
「健吾さん、楽しそう…。」
くすくすと笑う彼女は本当に私と不釣合いで、でも私たちが笑う理由は良く似ていた。
「そろそろいいかな、さや」
開発する方もされる方も息を切らせたあたりで、私は問いかけた。
「ええ…大丈夫です」
紗妥はやや意気を失った私の逸物を咥えて扱き立たせてくれる。
私のそれは、これまでで最も逞しく滾っていた。
顔と顔を見合わせ、向かい合わせで肌を重ねる。
硬さは十分ながら、膣の時とは比にならない抵抗。
しかしその抵抗を越えると、私のものは紗妥の腸の深くへと沈み込んだ。
「い、ぃ…」
紗妥が一瞬顔をしかめたが、入ってしまえば平気そうだ。
海綿体が収縮するような根元の圧迫、先端に触れる暖かくてやわらかい紗妥の中。
「…………っ」
私は言葉を失くした。
今まで私が触れてきた暖かいものを、そのとき初めて実感できた。
紗妥の中に入った私の一部を通して、彼女が脈打ってくる。
私は彼女の名をよび、その胸に顔を埋めた。
甘い香り、少し香ばしい大人の香り、髪をなでる優しい手。
遠い、遠い昔、姉が家を去ったあの日と同じ。
『健吾、あったかい家庭を作るのよ』
目が醒める。
暗い、暗い部屋。私は布団から抜け出し、廊下を渡る。
廊下の突き当たり、障子の空いた部屋…。
なぜだろう、灯が漏れている。
私は障子に手をかける。
部屋の中には……
「あー!お姉ちゃーん、お父さんやっと起きたよー?」
私の袖を引っ張りながら、元気な次女が姉の元へ駆けていく。
三女は相変わらず、一人で静かに遊んでいるようだ。
そして、台所の長女がお腹をさすりながら振り返る。
「おはよう、健吾さん。良く眠れたみたいね」
私が目を閉じると、彼女の笑顔が浮かぶ。
もう、寒さは感じない。
END