0.
『もったいない』
奈緒は自分の美貌について思う。
運動などせずともアイドル顔負けに整った肢体。
大和撫子を髣髴とさせる長い黒髪。ソックスの似合う美脚。
顔のつくりは中身よりずっと清楚に見える。
ダイエットなど考えた事もなく、さらには失恋の経験も無い。
冗談で運動部のエースを誘えば簡単にOKが来る。
器量を才能で表すなら、奈緒は紛れもなく天才といえた。
それゆえか、彼女は被虐願望が強い。
借り物のような恐ろしく恵まれた容姿を穢したい、と。
そしてそれを後押しする悪魔のひと言は、友人から語られた。
「でね、あいつったらお尻でしようなんて言い出すの。」
衝撃だった。
排泄の穴を性的な行為に使用する、という事実。
それは奈緒の被虐願望と見事に一致した。
以来、奈緒の自慰は肛門に集中している。
指やペンに始まり、やがて様々な道具を使って。
ぞくぞくした。
18歳の奈緒は高校生活ももう終わりである。
「女子高生」という至高のブランドの記念に相応しい。
1.
両親が外出したのを見計らい、奈緒はまず高校の制服に着替える。
ブラウスに紐タイ、未成年の象徴といえる格好に。
スカートは通学時よりさらに超ミニに折り返しておく。
臀部の半分ほどしか隠れない短さ。
スカートを穿いたままするため、汚れないようにである。
ショーツは邪魔になるため、布団の中にしまっておく。
「お尻の準備しなきゃ…」
奈緒はベッドの下からずっしり重い紙袋を引きずりだした。
バイブにローター、ローションが詰まった道具袋だ。
その中からイチジク浣腸を取り出す。
「よ…っと」
奈緒はベッドに登り、倒立の姿勢を取った。
すらりとした脚が真上に伸びた美しいフォルムだ。
そのまま脚を曲げ、イチジクを肛門に突き立てる。
「ひっ」
奈緒は小さく声を漏らした。
冷たい薬液が腸の奥へ流れ込んでいくのが分かる。
わざわざ倒立したのは、薬液を奥へ浸透させるためだ。
座っての注入では完全に汚物を出しきるのは難しい。
慣れない頃の、アナルをいじるたび薄茶色い恥液がもれる事態だけは
避けたかった。
奈緒は息を荒げながら、部屋の隅にある鏡に目をやった。
美しい少女が小鼻から汗を流して苦しんでいる。
それを見て奈緒はせせら笑い、また腹を押さえた。
何度しても浣腸には慣れない。
いまだ歯磨きをする程度の時間すら耐えられない。
――だ、だめ!もう限界!!
脚が笑うのを感じて奈緒は立ち上がった。
トイレまでの道のりが遠い。
足が震え、括約筋を締めても雫が漏れて足跡をつける。
「あぁ……」
便座に腰掛けて奈緒は息をついた。
最初に迸る水のような排泄は楽だが、次は力が要る。
ここできちんと清めなければ、後で恥ずかしい目に遭う。
「ん、んーん、っぅ、んんん……っ!!」
手を握り締めて奈緒は気を張った。
どろっと暖かいものが無事に肛門を流れ出ていく。
2.
「はぁ、はぁ…」
排泄で頬を染めた奈緒は、前髪を払って息を整える。
いよいよ肛虐の始まりである。
奈緒は横臥し、片脚を掲げて鮮やかな秘部を露出した。
そして瓶からローションを掬ってたっぷりと指に絡ませ、
薄桃色をした菊の輪へと中指をあてがう。
「ふぅー…。」
奈緒は緊迫した息を吐いた。
今まで尻穴に咥え込んだ玩具には男根を超えたサイズの物もある。
しかし一週間もすれば、奈緒のアナルは指一本さえきつい狭さにまで収縮した。
人体の柔軟さというものを感じる瞬間である。
ついに2本指が皺の中心へ沈み込んだ。
くちゃっ くちゃっ
静かに、ゆっくりと少女の指が可憐な蕾をくつろげる。
ただほぐしているだけではない。
腸内至る所にある窪みや曲がり角に触れ、知らせているのだ。
硬い玩具に埋め尽くされても驚かぬよう。
少女の苦痛を和らげる為の粘液を滲ませるよう。
横臥での片脚上げが疲れたのか、奈緒は仰向けに体勢を変えた。
同時に脚の横から回していた手を正面へ移す。
指に纏いついた粘糸が桜色の腿を冷たく撫でた。
くちゅっくちゅっとさらに指で攪拌を続ける。
「………。」
奈緒は恥ずかしそうに視線を横に逸らした。
何かに見られてでもいるように。
――いつか、指だけでいけるようになるのかな。
奈緒は息を吐きながら考えた。
自分の指での弄くりは何とも曖昧な感覚だ。
こそばゆく、心地よく、もどかしい。
幼い頃、母親にしてもらった耳掻きを思わせる。
色々と尻の穴を弄くり回したが、一番濡れる感覚を呼ぶのは指だ。
正確には、まず指で愛でなければ感じることがありえない。
女唇も直腸も、丹念に準備をするほど深く感じられる。
だから奈緒は焦らす。
すぐに指を抜いて太い物でかき回したい気持ちを抑え、
少しずつ、少しずつ快感の淵をなぞってゆく。
3.
くちぁ――。
存分に尻穴をなぶった指は、実に淫靡な音で引き抜かれた。
指と肛門を未練がましく繋ぐ銀色の糸。
自分に憧れる異性たちの顔が脳裏に浮かぶ。
――傍にいたら、好きなだけ嗅いだり舐めさせてあげるのに。
続いて黒いディルドウが取り出された。
カリ首といい裏筋といい、見事に男根を模した本格派だ。
直径4p長さ25cm、日本人の平均よりやや大きい。
今やそのサイズが奈緒の標準となっていた。
もしも将来、結婚相手の生の怒張を直腸に迎え入れたとして、
果たして満足できるのだろうか。
たまに少女は不安になる。
少女は長く太いそれを床に据え、ローションを塗りたくった。
そして正座するような姿勢で少しずつ腰を下ろしてゆく。
最初はいつもぬるっと蕾から亀頭が逃げる。
手で押さえて腰を沈めると、菊輪を圧迫が襲う。
「あ……っつ」
苦しさに耐えてさらに腰を落とすと、一気に突き破るようにして
つるんと亀頭が入り込んだ。
――お尻が裂けるかと思った。
少女はその瞬間をいつもそう感じてしまう。
奈緒は腰を沈め、亀頭を奥へ奥へと導いていく。
「ん、んん!!」
腸奥のすぼまった部分を亀頭が擦ったとき、少女の背が反った。
じわあっと気のような心地よさが腸の奥から滲み出す。
少女は目を閉じた。
この感覚をより多く、より深く感じていたい。
その陶然とした表情は、どんな悦楽の言葉よりも雄弁だった。
奈緒は正座からゆっくりと脚を開いていく。
「あ、ああああぁ…」
愛らしい口から喘ぎが漏れた。
脚が開くにつれ、より深く亀頭が潜り込む。
直腸の筋肉も締まり、はっきりと張形の威容を伝えてくる。
白い脚は大きく開いた。
少女は腰を浮かせると、一気に沈み込ませていった。
4.
「……っ!…っっ!!……ぅく、あぁあ………っッ!!!」
声と共に快感を押し込めているのだろうか。
奈緒は髪を振り乱し、声を殺したまま歓喜していた。
支えの手と膝を屈伸させながら黒い怒張を尻穴へ叩き込む。
ずん、ずんっと休み無く腸を突く。
真上からのしかかり、手で尻肉をかきよせながら迎え入れる。
斜め前にえぐるようにして腰をつかう。
――おしり、おしり、おしり…私のおしりがあぁぁ……!!
とても耐えられない。
叫びたいほどの底知れぬ快感にあって声が出せない。
奈緒は頭が霞むほどの快感に大きく首を振った。
この快感は一体なんだろう。
排泄より、むしろ浣腸の我慢が限界のあの時に近い。
排泄したい!と腹の奥が叫んでいるような切ない痺れ。
けれども腰を止めることなど出来はしない。
鏡の中の少女は声もなく叫んでいた。
操られるように腰を繰り、黒い剛直を後孔に叩き込まれて。
見惚れるほどに美しく、哀れなほどに乱れている。
その少女は奈緒が床へと腰を叩きつけるたびに顔を歪める。
――つらいの?ねぇ苦しいの?
奈緒は鏡の少女に呼びかけた。
少女は腰を大きく反らされ、剛直にねじり込むように沈む。
太腿が震えるほどの快感が駆け上った。
「うわ、すごい、コレすごいいぃ!!子宮に、あたって…!!!」
奈緒は見つけたその角度を反復するように腰を振る。
子宮を裏側から擦り上げられ、筋のとおった尿意が突き抜ける。
身体を反った浮遊感で考えが拡散してゆく。
彼女は自分が輪姦されているように感じた。
男の腹の上で貫かれ、いつ果てるともしれない突き込みを延々と受けているような。
「だめ、もう、もうやめて、あ、お尻、腰がたたな、だめ…ぇ!!」
少女はいつしかディルドウを支える手にさらさらとした液が当たるのを感じていた。
腸液だ。
美しい少女の直腸は、硬い剛直に突き続けられてとうとう蜜をこぼし始めたのだ。
「あっ、あっ、ああっああああっうあああああ!!!」
奈緒は本当に男に貫かれているのではないかと思えるほど、
根元まで引き抜いては一気に叩きつけるという激しい腰使いを続けていた。
何度も、何度も自身の腸奥を突き上げる。
と、その震える脚が力を失い、腰が深く落ちた。
ゴリッ
少女はその音を脳裏で確かに聞いた。
腸の奥の奥、今までどうしても届かなかった窪みを亀頭が突き抜けたのである。
「あ!ああ、あ、あ………。た、たすけて……!」
奈緒は誰にともなく哀願していた。
内腿に暖かい物を感じる。
ほんの僅かながら、彼女は快感のあまり失禁したらしい。
胃まで突き抜けるかというようなじんじんと来る痛み。
奈緒はそれをそのままに、慎重に腰を起こした。
その亀頭が窪みから抜ければ再び嵌めるのは困難だ。
そしてそのまま腰を使えば、凄まじい快感は疑うべくもない。
奈緒はへたりこむように座り、腰を張形に擦り付けた。
自分の手で腰をひねり、わずかでも奥へ奥へとねじりこむ。
下半身に襲う激しい反発がたまらなかった。
腰を浮かせ、本当の奥を貫く。
ぶりぃっと尻の奥から気泡のような腸液の飛沫が上がる。
今度こそ本当の限界だ。
膣が震えるように激しく疼いている。
背中が陸に上がった魚のように跳ね返りのたうっている。
「おおおおおお、あおおおお、くあああぅああああお!!!!」
少女は腹の底から湧き出るうめきをぶちまけた。
もはや気品も清楚さもありはしない。
脳の皺という皺から悦楽という汁が滲み出ているようだった。
腹の最奥まで硬い硬い怒張に貫かれたまま、小刻みに腰が震える。
ごんごんごんごんと、身体の芯へと純粋な排泄欲が叩きつけられる。
少女の白く美しい足は痙攣し、慎ましい蕾はぐじゅぐじゅと断続的に灼熱の雫を噴き続けていた。
「あ、いくっいくいくううう!おしりの穴でいくううううううあ!!!!」
奈緒は最後に最後にそう叫ぶと、後孔からはっきりと白い液を噴きこぼして天を仰いだ。
桜色の割れ目から透明な愛液を壊れた蛇口のように垂れ流して。
5.
「あ、れ…」
奈緒は座ったまま、自分が意識を飛ばしていた事を悟った。
立ちくらみのような感覚だ。
直腸の奥に鈍い痛みを感じ、彼女は急いでディルドウを抜いた。
腸との隙間を始末に困るほど大量の熱い液が流れていく。
手に取ると、ディルドウ自体も缶コーヒーのように熱い。
それが今日の凄まじさを物語っていた。
――1週間分くらい、一気にいっちゃった気がするな…
少女はぼうっとそう考えた。
紙袋にはさらに二周りほど大きいディルドウもあるが、必要ない。
あまり大きいと、あのように腸奥にはまって突き上げることもできまい。
大事なのは大きさではない。
奈緒はそう、はっきりと確信した。
不意に、奈緒は鏡と逆の方向を振り向いた。
そしてその先に向かって語りかける。
「本物のおちんちんなら、どんな感じがするんだろうね?」
そこには床に据えられたビデオカメラが、じっと少女の身体を捉えていた。
おそらくは、始めからずっと。
やがてネットに配信されるその名前は、『清純JKアナルパラノイア』。
学生の小遣いでは苦しいほどの高視聴料を課したにも関わらず、
日に6000人以上が視聴している話題の動画である。
それで得られた収入を使い、また素晴らしい道具を買おう。
ひょっとしたら身近な人間が視聴者で、近いうち本当に
お尻の処女を捧げる事になるかもしれない。
それもいい。
奈緒はそんな風に考えながら、満足げに晴れた笑顔で配信を終了した。
了