天童美紅(てんどう・みく)の朝は、祖父と二人っきりの朝食で始まる。三十メートル  
はあろうかという長大なテーブルに並べられた数々の料理。専属料理長がサフォーク(羊)  
やフォアグラ、オマールなど厳選された一流の食材を使い、腕によりをかけて作った代物  
だ。優雅にフォークを操り、一口。絶品といっていい味わいに彼女は至福のため息を漏ら  
した。  
 テーブルに均等に並んだ高価な銀製燭台が美紅の姿を淡く照らし出す。  
 流れるようなストレートの黒髪を背中まで伸ばした美しい少女だった。知性的な光を灯  
した大きな瞳。十七歳という年齢に似合わない豊かな胸は、高校の制服に包まれていても  
はっきりと見て取れる。  
 祖父と歓談しながら朝食を終え、美紅は席から立ち上がった。  
「行ってまいりますわね、おじいさま」  
「うむ、気をつけてな」  
鷹揚にうなずく祖父に一礼し、美紅はダイニングを出ていく。  
「いってらっしゃいませ」  
 玄関まで続く通路の両端に数十人の使用人が並び、美紅に向かっていっせいに頭を下げ  
る。まるで王族の姫君に対するような最敬礼。その中心を、美紅は気品漂う笑顔のまま歩  
いていく。  
 美紅は私立聖カトレア学院に通う二年生だ。登下校には、天童家お抱えの運転手がリム  
ジンで送迎していた。リムジンの後部座席はまるでホテルの一室を思わせる豪華な内装だ  
った。  
「あら、今日は三上(みかみ)さんじゃありませんのね」  
 いつもと違う運転手の顔に美紅は怪訝な顔をした。三上とはこの車の専属運転手の名前  
だ。もう十年近く彼女の登下校の送迎役を務めている。  
 
「三上は風邪をこじらせまして、代わりに私が」  
 中年の運転手がぼそぼそとした声で言った。  
「まあ、風邪を……心配ですわね」  
 美紅は形のよい眉をひそめた。  
 リムジンが走り出す。車内を流れているのは、彼女のお気に入りのクラシック音楽『ブ  
ラームスの交響曲・第一番』だ。複雑で奥の深い味わいを持った旋律が耳に心地よい。  
 と、美紅は外の景色を見ていて違和感を覚えた。  
「どこを走っていますのかしら。いつもと道が違いますわよ」  
「実はこちらのほうが近道でして」  
 こともなげに話す中年運転手。  
「近道なんてあるのですか? ……まあ、お任せしますわ」  
 運転手が違えば、運転ルートもそれぞれ違うのだろうか、と美紅は深く考えなかった。  
だがリムジンは学校とは逆方向へと走っていく。やがて人気のない林の前で停車した。美  
紅はさすがに様子がおかしいことに気づき、声を荒げた。  
「どういうつもりですの。こんなところで車を止めるなんて」  
 中年の運転手は無言だ。運転席から出ると、外からドアを開けて後部座席に乗り込んで  
きた。美紅の表情が恐怖に引きつった。あわてて携帯電話を取り出し、屋敷に連絡を取ろ  
うとする。  
「だ、誰か、来て……んっ!」  
 中年男がすばやい動作で美紅の携帯電話を叩き落とした。そのまま彼女にのしかかり、  
両腕を抑え込んで抵抗を封じる。  
「騒ぐなよ。騒ぐと、せっかくのきれいな顔が一生台なしになるぜ」  
 右手で彼女の動きを封じ込めつつ、左手でナイフを抜く。彼女は恐怖で身動きができな  
かった。心臓が早鐘のように波打っている。  
「悪いな、お嬢様。これも仕事でね」  
「し、仕事……?」  
 
「天童家みたいな巨大財閥ともなると、敵も多いんだよ。どちらがより多くの利益を上げ  
るか……金儲けってのは戦争と同じでね。相手の上に立つためならどんな手だって使う。  
 で、彼らが天童財閥に攻勢をかけるときに、一番狙い目となるのが──」  
「わ、わたくしだというのですか」  
「一人娘のあんたを滅茶苦茶にして、その写真を屋敷に送りつける。財閥同士の闘争にゃ  
よくあることさ」  
「ひ、ひどい……」  
「苦労したんだぜ。三上ってジジイの運転手なら、いまごろ東京湾の底に沈んでる。あん  
たの家は身元の確かな運転手しか雇わないからな。俺の依頼主が偽造の身分証から、三上  
の拉致までいろいろと手を尽くしてくれたんだ」  
 男の話の内容に美紅は眼前が真っ暗になるような恐怖を覚えていた。目的のためには手  
段を選ばない──きっと、目の前の男はそんな裏の世界の住人なのだろう。今までの人生  
で触れたことのない、社会の『闇』の匂い……。  
「俺も金が要るんでね。ま、貧乏人の気持ちなんてお嬢様には分からないかもしれないが  
ね」  
「で、では、わたくしが代わりに払いますわ。あなたのような下賎な男には一生かかって  
も拝めないような大金を用意いたします。だから離しなさい!」  
「下賎な男、ねえ。──あんまり舐めるなよ」  
 男の手が美紅の制服に伸び、上衣を乱暴に引き裂いた。  
「きゃあっ」  
 たわわなバストが露出し、淫らに揺れた。  
「お、お金なら払いますから、乱暴なことはしないで……」  
「わかってねえなあ。金なら依頼主から前金で貰っちまったんだよ。いまさら契約違反は  
できねえ」  
「そ、そんな……」  
 美紅は全身から血の気が引いていくのを感じた。何を言ってもこの男は収まらない。助  
けを呼ぶこともできない。このまま犯されてしまう……  
 
「男は初めてだな?」  
 男がにやりと笑ってたずねた。美紅は悔しげに唇をかんだ。  
「聞いてんだから答えろよ。バージンなんだろ?」  
「バ……バージン、ですわ」  
「やっぱりな。箱入り娘だから処女に間違いないとは思ってたけどよ」  
 男は大喜びで彼女の服を剥ぎとり始めた。美紅は絶望的な気持ちのまま抵抗もできない。  
あっというまに全裸にされてしまった。  
 豊かな乳房に滑らかなカーブを描く腰。十七歳という年齢とは裏腹に、すでに成熟した  
女体だった。それでいて抜けるように白い肌が、まだどんな男にも触れさせていない処女  
性を感じさせる。  
「お、お願い、許してください……」  
 なぜ、こんな下賎な男に許しをこわななければならないのだろう。理不尽な怒りに胸を  
焦がしながらも、美紅は懇願した。彼女は一般庶民とは違う。日本でも有数の財閥に生ま  
れた一人娘なのだ。その辺りの女子高生のように、軽々しく純潔を捨てることなどできは  
しない。  
 美紅の処女性へのこだわりは、同世代の少女の比ではなかった。  
「駄目駄目。俺も仕事だっていっただろ。さ、記念すべきロストバージンといくか」  
「嫌あ。それだけはやめてくださいっ……」  
 美紅は後部座席の隅まで後ずさり、処女を守ろうと必死で抵抗する。男はあっさりと間  
合いを詰めると、彼女を力づくで押さえ付けた。強引に両脚を開かされ、男の腰が割り込  
んでくる。張り詰めた怒張が肉の中心を捕らえ、ねち、と先端が触れた。  
「お嬢様のアソコに生でブチこんでやる。いくぜ」  
 たくましい男根が膣の入り口を押し広げ、ずぶっと侵入してきた。  
「あう……!」  
 美紅は上品な眉をひそめ、全身をこわばらせた。  
「お、おやめなさい……それ以上は許しませんよ!」  
 体の最奥に向けて、熱く硬い肉刀がぐいっ、ぐいっ、とねじ込まれていく。  
 
「あっ、駄目ぇ!」  
 生まれて初めて味わう鋭い刺激だった。汚らしい肉の楔が、まだどんな男の侵入も許し  
ていない膣にジリジリと潜りこんでいく。みち、と体の奥にある膜が乱暴に突き破られた。  
男の分身が根元まで彼女の肉孔に埋め込まれたのだ。  
「あぁぁっ……」  
「どうだい、男を受け入れた感触は」  
「あなたのような下賎な男が、わたくしの初めての相手だなんて……!」  
 股間の異物感は強烈なものだった。美紅はしばらくの間身じろぎひとつせず、自分の胎  
内に埋め込まれたものの感触を味わっていた。まるで悪夢を見ているようだった。  
 高貴な血筋である自分が、こんな男に純潔を奪われてしまうなんて……  
「そろそろ動くぜ。そらっ」  
 男は猛然と上下運動を開始した。  
「くっ……うっ……」  
 膣の中のヒダヒダをこすりあげられる強烈な摩擦感に、美紅は目を閉じてうめく。男は  
グラインドで膣をかきまわしながら、美紅の豊かなバストを鷲掴みにした。張りのある乳  
房に指が食い込み、みっちりと中身がつまった肉球をこね回す。  
 男は少しずつ体を持ち上げ、座位の態勢を取った。美紅をきつく抱き締めると、花のよ  
うな唇をむさぼるように吸う。  
「んぐっ……」  
 抵抗はしたが、しょせん男の力には抗えない。じきに唇から力を抜き、相手のなすがま  
まになった。唇を上下に割られ、ぬめぬめとした舌が美紅の口内に侵入した。  
 男は白い女体をがっしりと抱きしめたまま、がくんがくんと膣を突き上げた。激しい動  
きに合わせ、ボリュームのある双丘が揺れ動く。  
 いつしか、その部分は淫らな音を立てていた。自分がまるでポルノ小説のヒロインのよ  
うに、犯されながら感じていることを悟り、美紅は愕然となった。  
 
「すげえ、グチョグチョだぜ。感じてきたのか? こうなると一般庶民もお嬢様も違いは  
ねえな。男に突っ込まれて喘ぐ、ただの牝豚だ」  
「そ、そんな、違いますわ……ああっ、あうっ!」  
 だが現実に、処女を貫かれたばかりの肉孔からはとめどなく愛液が分泌されている。  
 じゅく、じゅく、とリズミカルで正確な往復が、確実に美紅の官能を刺激していく。  
「だ、駄目……イク。イッてしまいます……!  
 あなたのような貧乏人にこのわたくしがイカされてしまうなんて……!」  
 唇から甘い声が漏れるのを止められない。美紅は湧き上がる快楽を否定するように、長  
い黒髪をふりたくった。  
「くっ、俺ももうイキそうだぜ、お嬢様よ。濃いのをぶちまけてやるから、上品なオマ○  
コでしっかりと受け止めろよ」  
 男は根元まで押し込むと、美紅の胎内におびただしい量の精液を放出した。  
「あ、熱っ……イクうぅぅぅぅぅっ!」  
 美紅はエクスタシーの叫びを上げて、彼の体の上に倒れかかった。胎内におさまりきら  
なかった精液が逆流し、膣の縁からドロリとこぼれ落ちる。生まれて初めての絶頂間にわ  
ななきながら、美紅は意識が遠のいていくのを感じた。  
 
 
 

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