序章
新学期を迎える一日前。
長年にわたって対立を続けている、西小と東小に向かいあった形の国境地帯
そこでとある話があった。
「来たな…八坂・岸・谷川・大西」
国境地帯の喫茶店で少年と少女達をみて少年は声をかけた。
その少年は髪を刈り込んでおり、眉もとても太く
眼光は鷹を思わせた。
またその少年の脇に丸坊主の少年とロングヘアーの少女が控えており
その少年に負けない位の覇気を出していた。
丸坊主の少年は陽気な笑みに、猛禽のような闘志を隠し、少年少女らを見つめ
ロングヘアーのお淑やかそうな少女はただ微笑むだけだ
だがその少女は何かしらで鍛えているのか長身に見合った琢磨しい体躯
そしてたわわな果実の様に張り詰め、かつ柔らかそうな豊満な乳房が目を引く
だが八坂と呼ばれた少年もそのリーダー格と思われる少年に負けないほどの覇気を放ち
活発そうな顔に負けないほどの髪の毛をし精力を感じさせる
そして谷川と呼ばれた少女も瞳は大きく精気に満ちながらも可愛らしくもあり
見る人が見れば一目で只者ではないと断言できるものであった。
ただ春先で肌寒いのか…この場にいるメンバーで唯一一人だけ長袖のパーカーを身に付けていた
また岸と呼ばれた少年はスポーツグラスを付け、高い知性と才気を感じさせた
たとえて言えば副官というポジションがしっくりくる感じだが
実力のほども八坂少年に引けを取らないのは皆知っている
最後に猛獣の様な野生を犬歯と一緒に覗かせながら、呼び掛けた少年らを睨んでいたのは
東小でも獰猛さでよく知られ、西小の猛獣“鬼マリ”と称されている大西真理その人である
ただし少女然した美貌も共に逞しくも女性としてロングヘアーの少女に負けないほど
たわわな膨らみを帯びた胸も一緒に語られるべきだろう
そして八坂と呼ばれた少年から声をかけた少年らに対して
「おうよ。シバケン・ゴトー…そして神楽坂」
呼び掛けた少年…芝浦健太ことシバケン・後藤祐平ことゴトー
そして神楽坂沙織に対して八坂と呼ばれた少年は声をかけた。
続いて寄り添うように谷川と呼ばれた少女も八坂の隣に座る。
そして岸・大西も同様に座る
東小の魔王シバケン・その副官ゴトー・そして東小影のリーダーと目される沙織の三名と
西小6年最強メンバーに当たるリーダーの八坂明・副リーダーの谷川千晶
ブレーン役の岸武史・そして八坂明・谷川千晶と張り合っている大西真理の四人である
彼らが集まったのは抗争のルール決めであった。
だが…大西真理は立ち上がり
「さあ!かかってきなよ!私一人でみんなぶっ倒してやる!!
西小最強のこの私に殴られたい奴は前に出やがれ!
と話しあう前にいきなり拳と拳を混じり合わそうとしてきたが、岸が真理の固めた拳を下ろし
「待て待て真理。お前が先に初めてどうするよ?
ここではじめたら周りのお客さんに迷惑だろうが!
と警戒するシバケンらの先を取って場を収めた、その冷静な判断こそ岸が副官と呼ばれる所以である。
そんな真理を見て沙織がくすくすと笑う
「何よあんた…それともあんた私とヤル気なの?
とそんな神楽坂を真理は侮辱と受け取り敵意を向けるも、それをいなす様に沙織は手をあげて
「失礼大西さん。
どこの世界にも貴女の様な跳ねっ返りがいるものだなと思いまして…一人貴女の様な気性の娘と知り合いなのでつい…
ああ別に他意はございませんのでお気になさらず」
と優雅なたち振る舞いで紅茶を飲みだす。
そんな沙織に真理は毒気を抜かれたのか呆然としていたのが、すぐに岸が彼女を座らせる。
最も真理は納得していない様子で沙織を睨んでいたが沙織はまったく意に関しなかった
そんな様子だったがシバケンからこほんと声が入り
「それじゃあ。さっさと抗争可能個所とか決めようぜ」
と今回敵対関係にある明達を呼び出した理由
それはお互い抗争とは無関係な生徒を巻き込まないようにする処置であり
その為抗争とは無関係な神楽坂沙織も自分がキャプテンを務めている
ソフトボールサークルリリアムに来ているメンバーを巻き込ませないようにと
強く沙織から念押しされ、シバケンらも仕方なく同行させたのだった。
話はときどき真理の怒鳴り声が響くが、みな淡々と流しながら進めて
一通りの決着を見るのだった
「これだったら関係ないやつを巻き込まないな」
と明がみんなの意見をまとめる形になり、それぞれ
「それじゃあくれぐれも関係ない奴は巻き込まないようにしてと…
今年最後だからな…今年こそ決着をつけるぜ明!!
とシバケンが言えば
明も
「ああそうだな…お前とは中坊になる前にぜひともどっちが強いかケリを付けたいぜ!!
と返し
ゴトーも
「俺とシバケンがお前らを倒すと宣言しておくぜ!! 明・武史」
とリーダーと参謀格に激しく闘志を燃やすが
千晶も
「ボクの事も忘れないでよね!
明とボクのコンビネーション知らないわけじゃないでしょ??
それと岸君がいればボク達負けないんだからね!
と言うが、そうしたら真理も入って
「待て待て!東小と西小の中でも私こそ最強だってわからしてやるから!
この大西真理の名前を聞いただけでお漏らしするくらいに叩きのめしてやる」
と無駄に熱く闘志を燃やすのだった。
そんな彼らをクールダウンさせようと岸は
「それじゃあまた明日…と言っても今度俺は国東と二人で
シバケン…あんたと神楽坂で打ち合わせ…だろ?
と話題を変える。
そんな岸に合わせる様に沙織は
「助かりますわ。岸君
私が持ちかけた“ヌワザに明日を”に協力してくださるのですね」
と礼を言う。
そんな沙織に岸は照れながらも
「話をほとんど纏めていたのは神楽坂だろ?
それにこういう事に関してはどちらが上とか言い様ないし、俺達も素直に協力できるからさ!
と爽やかに沙織に返す。
そんな岸に対しても沙織は笑顔で
「それでは細かい話はまた明日。
国東さんにも宜しく伝えといてくださいね」
と岸に感謝を伝えるが、そんな折に千晶に近づく。
千晶はどうしたんだろうと首を傾げるが、沙織はお構いなく近寄って
「谷川さん…胸が苦しそうですね。
何か寒そうにしてらっしゃるようですし…風邪にはお気を付けくださいね」
と優しげに声をかけた
が千晶はその言葉を聞いた途端一瞬だけだが
「……!」
どこか狼狽した様子を見せた
(神楽坂さん…もしかしてボクの胸…気がついたの??)
千晶は沙織やみんなに気取られぬよう顔は笑みを浮かべ平静を装うも、どこか固くぎこちなくなっていた。
そんな様子に沙織は内心
(うふふ…谷川さん。いつ胸が成長したかは知りませんけど
余程発育した胸を八坂君達やシバケン達に見せたくない様ですね
となるとパーカーに隠した胸は張りがあってこれからもっと大きくなりそう?)
とほくそ笑み、少しだけ意地悪な笑みを千晶に返しながら
「それと女の子の体ってあっと言うに成熟して戸惑いますからね…
お体にはくれぐれもご用心を…ああもちろん大西さんも言うまでもないと思いますが」
と千晶が隠したがっている事を周りにばれない程度に指摘してみる。
そんな会話に周囲のメンバーは特に千晶に対して気がつかなかったが
真理がまた話に割って入って
「ホントよね〜
私だって胸が大きくて戦いずらいったらありゃしない!今でもぺったんこなあんたがうらやましいわ」
と自分の育ったバストを自分の手で掴んで心から憎たらしそうな表情を浮かべた。
沙織と真理の巨乳を見ながら千晶は心が重くなる
本当は彼女達に負けないほど可憐で豊かな乳房に成長した事…
だが今の千晶にとっては急激に肉体が変化していく恐怖の方が勝ち
自分からさらす事が出来ずにただ抱え込むしか出来なかったのだ。
そんな暗い表情の千晶だったが明から声がかかり
「まあ気にスンナよ千晶。おれは巨乳が好き……だけどさ
お前はそんな暗い顔するな。ずっと俺は千晶の…相棒だろ?
神楽坂や鬼マリと千晶は違うんだから」
とまだ千晶の変化には気が付いていないが、きっちりフォローに入る。
そんな明の励ましに
「うん…ありがと明」
と珍しく元気無くだが、ちゃんと礼を言ってくれる。
そんなこんなで皆解散し、それぞれ別れるのだが
「!」
ふと沙織は気がついた…元々リリアム内でも自分が高い人気を誇るという事は自分も自覚しており
外部のおっかけも男女問わず多々いる事も分かっていたからこそ気がついた。
(誰かがカメラを焚いたようですね)
だがかすかに聞こえたシャッター音付近に駆け寄るが誰もいない…というか急いで姿を消したと言うべきか
そして今回場所やシャッター音から推測する限りターゲットが自分ではなく
谷川千晶目当てで誰かカメラを焚いたとしか思えなかった。
そしてシャッター音の聞こえた付近から
女の子と言い切れる甘い匂いと女の子と思える髪の毛が一本だけ落ちていた。
それを感じながら、落ちていた髪を見て沙織はほくそ笑む
(ふふふ…いつか面白い事になりそうですね)
沙織は一人千晶の写真を撮ったアンノウンがどんな事をするんだろうと期待するのだった。
そんな事を考えていた沙織だったが
すぐ脇には…間一髪という表情で…
だが嬉しそうにデジカメで取った自分の写真の出来栄えに惚れぼれしていた少女がいた
(何で沙織さんが…
…でもいいや…流石に私だってばれてないみたいだし……ああ…千晶くん!)
その少女は低めの体躯としては圧倒的に豊満な乳房を弾ませながら一息つく
その少女の名は佐倉歩美
去年クラスメートから、いじめられていた所を千晶に助けられて以来
当初は千晶を少年と誤解したまま一目ぼれ、自分の花芯を貫いてほしいと願い
千晶が女の子と気がついた時は、自分と千晶の秘貝を擦り合せていつまでも登りつめたいと心の底から願う少女であった。
その思いは暴走し、ある事件と歩美自身の成長を促す事となるがそれはまた別の話
そして
千晶個人の悩みなど今後色々と解決する事になるのはほかならぬ相棒の明だという事を千晶はまだ知らないのだった
話は夕立へと向かう