さてと…西浦小学校にその人ありと言われた二人の少女がいる。
その少女らはお互いのプライドをかけ、そして長年の因縁を断ち切るため決闘を挑む事となった。
その結果。予想外の乱入者や不確定要素も入った事によりうやむやのまま勝負なしとなった
しかし…もしも極力介入者が現れずこのまま決闘が続いていたらどうなったか誰にもその結果を予測しきれるものなどいないが、そうなったかもしれない可能性ならあげられる
それはその可能性の物語
決闘少女空間 version:A
「あはぁっ!」
ショートカットの少女が満面の笑みとともに、ストレートヘアの少女に対し俊敏に身を削るかのような蹴りを見舞っていく
その少女は憤怒と苦悶に満ちた表情でショートカットの少女に対し果敢に反撃をするも、主導権を完全に取られ、自分の攻撃はいなされ続けてしまう。
「ちくしょぉぉ!ちょこまかちょこまか逃げながら攻撃するんじゃねぇ千晶!!」
そんな様子にそのストレートヘアの少女はその美貌を顰めながらも絶叫する。
そして千晶と呼ばれた少女は、自分の名を叫んだ少女に対し
「そんなの真理が遅いだけじゃんっ!!それにねぇボクまだまだ速く出来るよぉぉ。それそれぇぇ!!」
ストレートヘアの少女…真理に減らず口を叩きながら千晶は、攻防ともギアを一段上げ、まさに疾風怒濤の四文字熟語を表現したが如くのスピードで真理に襲いかかる。
そんな激しい少女たちの戦いを、一人の少年はみていた。
彼の名は八坂明。千晶と真理の幼馴染でこの決闘の見届け人である。
少女達の激烈な攻防。だがよくよく見れば千晶も真理もかなりの美少女の上
少女と思えないほどたわわな胸を激しく揺らしながらの格闘戦
普通の少年なら、それだけで生理的に男根が大きくなってしまう所だが、明は真面目に…淡々と彼女たちの戦いを見守っていた。
ちょうどその頃
二人の少年は校舎で少女らの決闘を思いながら校舎を見ていたが、糸が切れて安堵しきった様子で
「ふぁぁ…やっと終わったぁぁ。色々あったが何とかなったな!!」
少年が大きく身体を伸ばしながら高らかに声を上げるも、話しかけられた少年はまだまだとばかりに緊張感を強めていた。
ここまで持っていくのに時間がかかったものの、今の所担任教諭である藤原通子や他の教諭。または第三者の介入等はない。
しかしながら千晶と真理の決闘がどれだけ続くか彼らにも分からないのだ。
もし長引いて介入されたら…色々と面倒な事になるのは明明白白。
少年はそんな事を考えていたが、もう一人の少年はもずもずしながら
「……なあ。岸ぃ……わりいけどよぉ…」
岸と呼ばれた少年は、もう一人の少年を黙って見ていたが、もう抑えるのが無理とばかりに
「いい加減今までキンチョーしっぱなしでションベンでそうなんだわ。お前も付いてきてくれね」
連れションの誘いをかけてくる。
岸はもう一人の少年に対してため息をつきながらも、仕方ないとばかりに
「仕方ねぇなぁカンチ。なんかお前を見てると不安だから俺も付き合ってやるよ」
もう一人の少年…カンチこと高橋貫一とともにトイレへと向かう事を決めた。
それを聞いたカンチは
「へへっ!わりいね岸。じゃあ行こうぜ」
満足げな表情でトイレに向かう。
トイレに向かう途中カンチは岸にぺらぺらと
「いやぁぁ…今ごろあいつら凄いんだろうぜ!!」
少女達の決闘を想像し、その様子を思い浮かべて浮ついていた。
岸は最初そんなカンチに苦笑していたが、ふとカンチに対し即座に真顔で向き、大急ぎで携帯電話を打ったメモを見せた。
内容は以下の通り。
(誰か俺らを付けている。決闘の事はしゃべるな。そして悟られてもまずいから周囲を覗うな)
とのことだ
カンチは思わず周囲を見てしまいたくなるが、岸から凝視された事もありぎこちないが彼の言われた通りアドリブで
「岸ぃ…お前は今お笑い界でどの芸人が来てると思う??」
ごまかすのだった。
岸は苦笑しそうになったが、カンチに合わせ
「そうだな…俺は……」
話を続けて、男子トイレに入るのだった。
そして…カンチは流石にここならと慌てて周りをきょろきょろし
「誰??誰が俺らを付けてたんだ??」
慌てた様子で岸に尋ねるも、岸本人も流石に誰とは分からず、また相手もこれ以上近寄れば気取られると察して距離を置いた模様で分からずじまいだったので。
「分からねえが…もう一度言うぜカンチ。
あいつらの事は全部が終わるまで黙っているほかねえぜ」
改めて口止めする事がやっとだった。その様子にカンチも真顔で頷くほかなかったのだった。
二人の少年が何とかなぞの追跡者から逃げおおせたその頃
「ちぇぇぇいい!!!」
ますます激しさを増す千晶の連激に真理は何とか反撃をするのがやっとの様子だった
最もそのやっとの反撃は並み大抵の反撃ではなく
もしもまともに食らえばあっという間に大勢がひっくり返るほど鋭く、激しいものだったのは言うまでも無い。
流石に鬼マリと言われるだけの事はある、彼女らの決闘を見守る明は改めてそう思った。
勿論千晶はそんな彼女を理解しているとばかりに、自分が終始優勢だと言うが一糸の油断も挟まず徹底的に真理を攻めまくる。
「あははっ!!遅いよ真理っ!!」
そういいながら真理の鋭いストレートをいなしつつ、彼女にボディブローを叩きこみ即座に射程内から離れる
無論千晶のボディーブローを直撃で貰った真理はよろけるも、それでさえまだまだ勢いは止めずに、首が飛びそうなほどの回し蹴りさえ即座にやってのけてくる
だがさすがにから振りを繰り返したために体力が限界に来たのか隙が目立ち始め、真理はいい加減辛そうな様子だった
「くそっ!!一発でも当たれば!!!」
ますます悔しさをにじませる真理!そのいら立ちと疲れのピークから、思わず隙の大きい踵落としを千晶に食らわそうとするも
「あはっ!!真理大ぶりぃ!!」当然そんな雑の攻撃は千晶に当たる訳がなく、逆に
「とどめだよ!真理っ!!!」千晶は隙だらけの真理に対し、神速を思わす速度で突撃をし、急激に飛び上がりそのまま蹴り飛ばす。
その蹴りの名は千晶・人間酸素魚雷
まさにその名の通り魚雷を思わせるステルス・破壊力を帯びたとび蹴りであり
谷川千晶が使う最強の切り札である
それを直撃で貰えばさしもの真理でさえ…
「ぐ…まだだ…まだだぜ千晶……まだ………………だ…」
苦しさと闘争心は健在ながら、そのまま倒れるほかなかったのであった。
千晶はそんな倒れた真理を見下ろしひとことだけ呟いた
「ボクの勝ちだよ真理」と
勝敗を見届けた明は千晶に駆け寄り「勝ったな!千晶」彼女の勝利を祝い
千晶も明の言葉に対して嬉しそうに、「うんっ!」答え微笑み返す。
ただし気絶した真理をほっておく事も出来ず、明は彼女を背負い
「それじゃあ帰ろうぜ…そろそろ撤収しないと岸らに迷惑が掛かっちまう」
千晶とともに校舎から立ち去ろうと言葉をかけ、千晶もそれに頷く。
「むふふ……」
二人…正確に言えば三人なのだが真理を背負いながらの明は、背中で真理の発展途上の巨乳の感触を楽しみ、ついへんな言葉が出てしまう
千晶は少し変な表情で明を見ながらも、これで完全に真理との勝負が付いた事に安堵し、校舎前で岸らと合流したのち。
岸らに事後報告を済ませ、明は真理を律儀に…いや楽しくてしょうがなかったのか彼女の家まで背負ったまま送り届け、彼女の弟らから変な顔をされながらも感謝されたのだった。
その夜
西小付近からオオカミのような遠吠えが聞こえた事は言うまでもなかった。 FIN