「んっ」  
いけない、声が出てしまった。  
私は、慌てて向かいの席に座っている新人君の方をうかがう。  
すでに社内に残っているのは新人君と私だけだ。  
私は、今年で2X歳になるOL。この新人君の教育係で、今日も残業中だ。  
新人君は、真面目ないい子だけど。入社するまでずっと女子校育ちだった私は男の子に免疫が無くて、変に意識してしまう。  
ちょっと子供ぽい顔つきに反して、大学では、野球をやっていたという新人君は中々に逞しい体つきだ。  
もし無理矢理、襲われたら……抵抗できないだろう。  
泣き叫ぶ私を新人君が、組み伏せ。まだキスをしたことも無い口に、男の物を――って、いけない、いけない。  
気分転換に覗いた、エッチなスレの影響で変なことを考えてしまう。  
そこに載っていたのは、お嬢様な先輩OLを逆恨みした後輩が襲う話。  
こんな後輩と一緒にしたら、新人君が可哀想だ。  
大体、私なんて、お話の中の先輩OLみたいにお嬢様と言うわけでもないし、美人というわけでもない。  
ありふれたOLにすぎない。  
唯一、変わった点があるとすれば、この性癖ぐらいだろうか。  
小学生の頃。  
帰り道に落ちていた大人の雑誌。  
一緒にいた皆と、いやぁねぇと話し合いながらも興奮して、好奇心を押さえきれずに家に帰るや、すぐさま引き返して拾いにいったのだ。  
ドキドキしながら、服の中に隠して持ちかえり。部屋の中で夢中でページをめくったその雑誌には、フェラチオ特集と書かれていた。  
女教師が、ナースが、女子校生が……そしてOLが、男の人の物を舐めて、口に含んで、しゃぶる写真が満載されていた雑誌。  
肝心の、男の人の部分はモザイクがかけられていたものの、小学生の私には、あまりにも衝撃的で。  
いつしか、手はスカートの中に入りこんで。私は初めての自慰行為にふけった。  
それ以来、私は定期的に男の人の物を自らの口に含む妄想で自慰をするようになったのだ。  
そんな知識を先に身につけてしまった為か、実際の男性とは、全然縁が無いのだけれども。  
何せ初めて、まともに緊張せず話せた男性が新人君なんだから、自分の初心さ加減が嫌になってしまう。  
……新人君もあんな雑誌見たりするのかな。  
ふと浮かんできたそんな言葉を頭を振って振り払う。何を考えているんだ私は?  
……新人君もあんな雑誌を見て、オチンチンをしごいているのかな。  
だけど、振り払えば振り払うほど、言葉はからみついて湧きあがってくる。  
……もしかして、新人君。私の口にオチンチンを突っ込む想像をして、白いの出してるのかな。  
 
「そんなわけないじゃい。馬鹿!」  
真面目で好青年の新人君が、私なんかに興味あるはず無い。きっと彼女がいるだろうし、私なんか教育係として色々と注意しているし、む  
しろ煙たがられているはずだ。  
「す、すみません。何所か間違っていましたか!?」  
気が付いたら、向かいで仕事をしていたはずの新人君が、すぐ側に立っていた。  
書類を持って、途方にくれている。どうやら出来あがった書類を見せに来たらしい。  
「ご、ごめんなさい。違うのよ、こっちの事でっ」  
慌てて、書類を受け取ろうとしたら。肘が湯呑に当って、倒してしまった。  
中に入っていたお茶が、新人君のズボンの中央にシミをつくる。  
「きゃっ、ごめんなさい!」  
私は、さらに慌てて、ハンカチを取り出すと新人君のズボンをふき取る。  
「「あっ」」  
私の手の中、ハンカチとズボンと下着越しに、新人君の物が見る間に硬く、大きくなっていくのが感じ取れる。  
「……すみません」  
一瞬、呆然としてしまったけれど、顔を真っ赤にして謝る新人君の声に、私は我に帰った。  
「わ、私が悪いんだから、気にしないで。ほら、おと、男の人は、そういうのしょうがないっていうしっ!」  
自分でも何を言っているのか分からない慰めの言葉が、止めとなったようだ。  
新人君は、涙を浮かべると、  
「乾かして来ます!」  
と言い残して、部屋から走り去っていった。  
一人になった私は、無意識のうちにまだ感触の残っている手を口元に近づけ――ミシっという音が、その時、どこからか響いた。  
周囲を見渡すが、誰もいない。会社に残っているのは新人君と私だけなんだから当たり前だ。  
同僚OLから聞いた怖い話を思い出してしまい。先ほどまでとは、違ったドキドキが私を包む。  
心細くなった私の足は、新人君を求めて歩き出していた。  
 
新人君が、何所にいるかはすぐにわかった。給湯室の明かりがついている。  
そういえば、あそこには旧式のストーブが置いてあったはずだ。今更だけど、ドライヤーを貸したほうがいいだろうか。  
そんなことを考えながら、近づいていくと。  
「……! ――先輩っ!」  
新人君が、私の名前を呼んでいた。  
苦しそうな、切羽詰った声。もしかして助けを求めている?  
私は急いで給湯室に駆け込んだ。  
「どうしたのっ! 何かあったの! 大丈夫!」  
扉を開けた、私の目の前。下半身を丸裸にして、一生懸命、手でオチンチンを擦っている新人君が居た。  
私がはじめて見る(幼い時、父の物を見たかもしれないが、あやふやな記憶の彼方にいってしまっている)、モザイク無しの男性器。  
「すみません! すみません! 俺、ずっと、先輩のこといいなって思って、憧れてて、それでっ、さっきのでたまん無くなって! スケ  
ベな妄想で、頭の中一杯になっちゃって! すみません! すみません!」  
私に気づいた新人君は、下半身裸のまま、土下座して謝り続ける。  
嘘、でしょ?  
私で、私なんかで?  
もし、新人君が女慣れした「男」だったら、私は嫌悪や恐怖を感じていたかもしれない。  
でも、今の私は(完全に主導権を握っている安心感もあっただろうが)、新人君がとってもいじらしく、可愛らしく感じられた。  
私は、泣きながら謝り続ける新人君のそばにいくと。手を伸ばした。  
「ごめんなさいね。私が……刺激しちゃったのね」  
手に熱い感触。  
「せ、先輩!?」  
新人君が、慌てている。だけど、私はもう止まらなかった。私は普段の自分では絶対に出来ないような事をして、絶対に言わないような事  
を言う。  
「私の所為だから。責任、とらないとね」  
すでに新人君のオチンチンは、臨戦体勢に入っていた。  
身を起こして、目を白黒させている新人君のオチンチンに顔を近づける。  
むわぁ、と青臭い匂いが鼻孔を陵辱する。  
鈴口から、濃い先走りが漏れ出ている。その場所へ、私はゆっくりと伸ばした舌を近づけ。  
 
クチュリ、ドピュッ、ピュピュッ  
 
舌先が触れた瞬間。新人君の体が激しく振動し、勢い良く飛び出した精液が、私の口の周りと床に飛び散った。  
「うっ、あっ、ああ、せ、先輩ぃ」  
だけど、新人君の物は、まるで劣えず。むしろより、大きくなったように見える。  
私は、あの、昔拾った雑誌に書いてあったように舌を這わせて、新人君の精液を拭い取ると、亀頭の全てを口の中に含んだ。  
歯が当らないように注意をしながら、舌先で亀頭の裏側を刺激しつつ、唇に力をこめ、締めつけながら、頭を前後に動かして、竿を唇で摩  
擦する。  
口の中で、新人君が喜んでいるのがわかる。  
ブジュッ、ンプッ、ングング、ブチョッ、ングゥ、チュバッ、チュボッ。  
獣は、服従の印にお腹を見せるというけど、男の子の急所を握っている実感。  
私の舌先一つで、男の子を手玉に取っている実感がして、ゾクゾクする。  
私は、上目遣いに新人君の様子を伺いながら、オチンチンをしゃぶり続ける。新人君と目が合い。  
その時、ひときわ激しく、新人君のオチンチンが口の中でひくつき、喉の奥へと精液が叩き付けられる。  
思わず、私は口を離して、咳き込んでしまった。  
「ンクッ、ケホッ、ごめんね。飲んであげられなくて、これで満足できた?」  
新人君がとろけた顔から、怒った顔になった。  
「先輩・・・・・・俺・・・・・・!」  
それを見て私は、正気に戻った。  
なんてことを、こんなのセクハラですら無い。淫乱な変態女、丸っきりの恥女だ。  
もう新人君と顔を合わせられない。辞表を出そう。  
私は、無言で逃げ出そうとして、新人君に腕を掴まれた。  
もしかして・・・・・・私を?  
そうされても仕方が無い。むしろ私の方が挑発したのだ。  
「俺、先輩の事好きです! 付き合っている奴が居ても奪い取りたい! 相応しい男になりたいです!」  
そういうと、新人君は私の唇に顔を――  
「だ、駄目。私、さっき! き、汚いからっ!」  
私は、夢想だにしなかった事態に、慌てて新人君を止めようとするけど、新人君は止まらなくて。  
「汚くありません。先輩は全部綺麗です!」  
そんな、照れる。じゃなくって、ついさっき新人君のをお口に含んだばかりっ!  
 
あっ。  
 
これが、私のファーストキス。  
 

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