ため息を、つく。  
 
視線の先には数人の、ボクと同じくらいの歳の子供たち。  
どの子もどの子もみんな、お日様の光の下、キラキラ輝いて見える。  
 
それなのにボクは大きな木の下、木陰に居る。  
 
と、赤い光が瞬いた。  
 
一度、二度、三度・・・・・  
 
光が瞬くのに少しズレて、爆竹が破裂したような音がする。  
 
「わわっ、馬っ鹿!あぶねぇって!!」  
 
「うるさい!!・・・このスケベ!アホォ!ド変態っ!!」  
 
パパンパンパンパパン  
 
器用なことに「!」の数に合わせて爆発を起こしている。  
 
そう、『爆発』。  
 
セカイに存在する6つの力。  
よく似た性質をもつその力。  
一つの説によれば、『方向性のみが違う根本的にはまったく同質の力』ともされるその力は  
太古の昔からこのセカイに存在した、らしい。  
 
全部大人の人、あとししょーが言ってた事なんだ。  
 
むつかしー事もいっぱい話してたけど、ボクにわかったのはそれくらい。  
 
 
ボクの名前は、守久瀬 啓武(かみくぜけいむ)。  
 
「赤」の血族(けつぞく)『緋霊(ひのかみ)』家の傍系の家に生まれ、  
生まれる前から「守久瀬」だということが分かってた「6番目の守久瀬」。  
 
よくわからないけど、他のけつぞくの人に会ったときはそう言いなさい、  
っておとー・・・・・・敏弘さんによく言われてた。  
 
爆発を起こしてた女の子は露霧 明鐘(つゆきり あかね)ちゃん。  
明鐘ちゃんのおとーさんと敏弘さんは兄弟だからボクと明鐘ちゃんはイコト同士だって  
ししょーが言ってたけど、よく分からない。  
 
明鐘ちゃんが怒ったのは、水をかけられてずぶ濡れ  
しかもワンピースが水で透けてしまったかららしい。  
 
ちなみに犯人は明鐘ちゃんが足元に向けて爆発を連打した所為で変な踊りを踊っていた。  
 
「赤」の血を引いてる明鐘ちゃんは好んでよく「赤」のチカラをつかう。  
 
『赤のチカラ』は『爆熱』。  
これもししょーが言ってたんだけど、  
「それぞれれいがいてきようそを持つチカラだが、  
「赤」はとくに『爆発』というげんしょうをともなったチカラで、  
いっけんするととくいてきとも言える。  
しかし「赤」じたいのエネルギーは「熱」であり、  
「爆発」とはじゅんエネルギーが「熱」に変化する時に発生するふくじてきよういん、  
「ぼうちょう」をいとてきにきょくだいかしたものであると仮定すれば――――」  
・・・・・・そのあともなんかむつかしー事をはなしてたけど、  
覚えてるのはここまで。  
・・・・・・・そもそも「れいがいてき」ってなんだろう?  
 
そんなことを考えていたら、明鐘ちゃんがこっちにやってきた。  
 
「ケイムー、タオルとか持ってない?」  
 
「あるけど・・・・チカラで乾かせばいいんじゃないの?」  
 
明後日のほうを見ながら(声に反応してちょっと向いちゃったけど、み、見えてないから)  
聞いてみると、  
 
「あー前にやったことあるんだけど〜」  
 
弱すぎると全然乾かないし、強すぎると焦げたり燃えたりして、  
乾くギリギリに調整してもていおんやけどするかもしれないんだって。  
 
・・・・なんかクラクラしてきた。  
 
「だいじょぶー?」  
 
「ちょっとちえ熱出ただけだから・・・・・・それよりもこっち来ていいの?」  
 
「なにが〜?」  
 
言おうとする前にむこうから声が来た。  
 
なんか言ってるけどよく聞こえない。  
でも明鐘ちゃんは聞こえたらしく、ポイっと石を向こうの方に投げた。  
 
さすがにチカラもあそこまでは届かないのかなーと思ったけど、  
その石に狙いを定め、明鐘ちゃんの指に赤い光が集まっていく。  
 
「・・・愚風(ぐふう)」  
 
言うと同時に赤い光は指から離れ、ビームとなった。  
 
ヅドォォォォォン  
 
空中にあった石に着弾、大爆発する。  
 
それを見たほかの子達は校舎のほうへ逃げていってしまった。  
 
 
キーンコーンカーンコーン  
 
あちゃー、逃げてったのはお昼休みが終わる時間だったのもあったのか〜。  
 
お昼休みが終わって5時間目が始まってる時間、ボクと明鐘ちゃんは保健室に居た。  
 
保健の先生は居ない。  
たしかどこかのクラスで保健体育の授業があったはずだし。  
 
・・・・・なんで保健室に来たかといえば、  
結局ボクの持ってた「手拭きタオル」じゃ全然足りなかったから。  
 
「それにしても・・・・・・・」  
 
「どうしたの?」  
 
保健室のベッドは病院のベッドとかと同じようにカーテンで仕切れるようになってる。  
その仕切ったカーテンの中で明鐘ちゃんは濡れた体を拭いてるわけだけど、  
そのカーテン越しにさっきのことを聞いておく。  
 
「さっきのはやりすぎじゃない?」  
 
「あー・・・まーちょっとやりすぎたかもね」  
 
ゴシゴシという音と共にあははという乾いた笑い声がした。  
 
「コートさんに聞いてて、使ってみたかったって言うのもあるんだけどね〜」  
 
ししょー・・・・あなた、中○生になんてもの教えてるんですか。  
絶対アレそのものが当たったら火傷じゃすまない。  
 
「「絶対人に向けて撃たない」って約束はしてたんだけど、  
まさかあそこまでの威力とは思ってなかった・・・・」  
 
「赤の2乗」って時点で普通は分かると思うんだけどね」  
 
「風」はただ血を引いているだけでは使えなくて、  
同じ「色」を2つ以上持っている必要があるって聞いてるし。  
 
・・・・・・そーいえば。  
 
「・・・・大丈夫なの?」  
 
「・・・・・・・・・。」  
 
なにが?とは聞かれない。たぶん意味が分かってるから。  
でも返事がないよ・・・・。  
 
「ち、ちょっと大丈夫なの?」  
 
仕切ってあるカーテンに近寄る。  
と、いきなりカーテンの隙間から手が伸びてきて、ガシっと掴まれてしまった。  
 
「心配してくれるの?」  
 
ギリギリギリ  
握る力が強くなってきてるんですけど・・・・・・・・・  
 
「当たり前でしょ、明鐘ちゃん友達だし」  
 
「それだけ?」  
 
ギリギリギリ  
痛い痛い痛い  
 
ど、どー言えって言うのさ!?  
 
・・・・・ししょーに「こんなときどう答えるか」って教えてもらったことあるけどあれは・・・・・・・・・。  
 
でもこのままじゃ握りつぶされちゃうんじゃ・・・・・・・・  
 
「好きだよ。」  
 
ビクッと肩を握る手が震え、けんこーこつ(って言うんだっけ?)を握り潰しそうだった握力が消える。  
 
「・・・・・・・・・・ホントに?」  
 
「ほ、ホントだよっ!!」  
 
て言わないとまた握られそうだし・・・・・・・  
 
「だったら」  
 
しかし次の瞬間、グイッと  
 
「『協力』してよね」  
 
カーテンの内側に引き込まれてしまった。  
 
ヒトのたましいは、「7つの「色」の内、ふくじゅうを含む3色の色で表すことができる」。  
「ふくじゅう」だか「じゅうふく」だか忘れたけど。  
 
赤・青・黒・白・橙・緑、そして銀。  
 
その色によってそのヒトの性格に影響が出るけど、血液型性格判断みたいに「絶対と言うことはない」。  
ただ「赤」だと普通のヒトより怒りっぽかったり、「銀」だと他の人に対して嫉妬しやすかったり  
って言うのは他のヒトたちを見てれば分かる。  
 
そして「たましいの色」は「使えるチカラの色」にも呼応してて、  
たとえば「たましいの色」が「赤・緑・橙」のヒトはその3色の色のチカラを使うことが出来るけど、  
「赤・橙・赤」なんかだと「赤」と「橙」のチカラしか使えないかわりに  
「赤」と「赤」を掛け合わせることによって、普通の2じょうばいのチカラが出せるし  
チカラをただ出すだけじゃなく「風」や『槍』なんて使い方が出来るようになる。  
「たましいの色」のうちの1色、「第一色・けっとう色」はおとーさんかおかーさんの持つ  
「けっとう色」になり、「緋霊」や「銀月(しらつき)」の「血族本家」のヒトたちの  
色は子供に受けつがれやすく、しかもなぜか他のいろまでその色に染まりやすいらしい。  
それは傍系「分家」も同じで、「緋霊」の分家である「露霧」の子供である明鐘ちゃんもやっぱり「赤」を持ってて。  
あああ、そういえば「露霧」っていうのはその昔、「赤」の『槍』で雨雲を絶ち切ったヒトがいて、  
それでその年の梅雨が終わったから「梅雨切り」が別の字を当てられるように当てられるようになtt  
 
・・・・・・・・・じゃなくて!!!!  
 
他の人ついてこれなくなってるオーラが出てる気がする・・・・・・・・。  
 
 
「あ、あう・・・・・・・」  
 
声が出ない・・・・・・・・。  
 
協力?明鐘ちゃん、協力って言った?もしかしなくてもあの『協力』?  
 
明鐘ちゃんのいつもは黒い髪が今は赤く、ガラスのように輝いていて、  
緋晶髪――――  
血族が「色のチカラ」を使う時、「たましいの色」の場所によって  
眼や髪の色が「たましいの色」に染まる。  
そのことを『晶髪』、『晶眼』っていうんだけど――――  
そーいえばさっき校庭で見たときよりも光が弱くなってる気がする。  
 
「風」を撃つ前もチカラを乱発してたし、やっぱりかなりチカラが減ってるんだ。  
 
 
「色のチカラ」は「たましいの色」から発生したチカラで、使うと「たましい」が疲れるらしい。  
でも体力とかと同じで少し使うくらいなら疲れたりしないし時間がたてば回復する。  
 
でもチカラの扱いに慣れてないヒトが「風」なんか使って平気で居られるわけはない。  
・・・・・・・まったくチカラを使ったことのないボクが言っても説得力ないと思うけど。  
 
「・・・・・どこ向いてるのよ」  
 
「・・・・ちゃんと向いて欲しかったら服着て・・・・・・」  
 
「なんで?」  
 
「露霧さんだって顔真っ赤にしてるくせにうひゃっ!」  
 
「あたしの裸見てココこんなにしてるのに?・・・・あとちゃんと「明鐘」って呼んで」  
 
ボクだって男なんだよ!  
そう、明鐘ちゃんは腕でその、胸は隠してるけど服を脱いだままで、  
しかももう片方の腕でボクの肩掴んでるから逃げれないし・・・・・  
 
「明日香お姉さんが言ってたんだけどね、」  
 
掴んだボクの肩を引き寄せながら、明鐘ちゃんが言う。  
 
「『守久瀬』って美味しいんだって」  
 
耳元で、囁くように言われた。  
 
「ねぇ、あたしの眼を見て・・・・・・」  
 
明鐘ちゃんの、眼、橙晶眼(とうしょうがん)を見た瞬間、  
何も、考えら、れ、なく  
 
「『あたしは』コートさんに色々教えてもらったけど、ケイムはまだ『した』事ないのよね?」  
 
ししょいや、コウト・・・・・あんた、ボ・・・俺の明鐘に何をしたっ!!  
 
後になって冷静に考えれば、ししょーが明鐘ちゃんに何かしているハズはなかったんだ。  
ししょーこと守久瀬 亘人(こうと)さんもまた、  
『血族』の充電池たる『守久瀬』だったんだから。  
 
『血族』がチカラを回復するにはいくつか方法がある。  
 
1.休む。  
これはそのまんま、時間によって回復するのを待つだけ。  
 
2.ドーピング。  
この名称が正しいのか分からないけど、  
とにかくチカラの結晶を取り込むことによって強引に回復させる。  
 
そしてこの2つ以外は違いはあるけどある一つの事にかんしては同じ。  
 
3.『感情』を、喰う。  
「喰う」と言っても喰われた人に影響はなく、喰われた感情も消えるわけじゃない。  
ただ、ヒトが「ある感情」を持っているとき、そのヒトはまわりに一種のエネルギーを出してる。  
放っておけば消えていくそのエネルギーを『血族』は自分のチカラにするんだ。  
血族のヒトも、感情を持っているときはその感情と「たましいの色」を持ったエネルギーを出す。  
そのエネルギーもまたチカラなんだって。  
 
でも、ヒトの感情を喜怒哀楽に区分するなら喜と楽は「正の感情」となり、  
怒と哀は「負の感情」になる。  
「負」にはさらに恐怖・苦痛・不安・絶望なんかが含まれる。  
血族が自分のチカラにできるのは正の感情だけ。  
それも「たましいの色」によって好みが別れる。  
それにただ大量の「感情のチカラ」があればいいってものでもない。  
大勢のヒトが感情をもつ場所、たとえば映画館などでは食べようとすると  
酔ってしまうかいろいろな感情がぶつかり合って全然チカラが回復しないらしい。  
 
でも、いつのころからか、7つの血族のうちから  
「7つの「色」のうち、どれにも当てはまらない「色」」を持つヒトが生まれるようになった。  
その「色」を持つものを、「守久瀬」って呼ぶんだ。  
守久瀬はホントに変わっていて、「正の感情」ならどんなものでも自分のチカラにできるし、  
その力を溜め込むことが出来る。  
そして、守久瀬のチカラは「他のどのチカラ」にでも変えることができる。  
だから、「守久瀬」は「外」で生活し、他の血族にチカラを分けたりする。  
ただ、ただの血族がそうほいほい守久瀬にチカラを貰うわけにはいかない。  
守久瀬にも一応意思はあるし、守久瀬に命令できるのは「本家」でもほんの一握りのヒトだけ。  
 
 
あと、これは最近になってししょーに教えられた。  
 
ヒトがもっとも濃厚で大量の、しかもたった一つの感情に乗せてエネルギーを出す瞬間。  
それはその・・・・エッチでイク瞬間。  
 

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