「キャッ」  
 
何も考えられないまま、明鐘(あかね)をベッドに押し倒した。  
そのまま口と口を重ねる。  
キスの仕方もよく分からないまま、そのまま口を重ね続ける。  
俺の頭の中を一色に染め上げているのは激情で、  
しかしなぜか頭の片隅に今の自分を冷静に見つめる俺が居た。  
 
 
ボクの冷静な部分だけが分かっている。  
この「俺」は明鐘ちゃんの、  
血族の中でも一部のヒトだけが使える能力―――権能―――  
で無理やり爆発させたボクの「怒り」そして「明鐘ちゃんを独り占めしたい欲望」。  
 
「たましいの色」が「赤・橙・赤」である明鐘ちゃんの権能は、  
あえて言葉にするなら「強制引火」とでも呼ぶべき能力。  
 
相手を「怒らせやすい状態」にする能力で、  
ボクはまんまと明鐘ちゃんに引火・爆発させられてしまったわけだ。  
 
明鐘はまったく抵抗しない。  
それどころかむしろしがみ付き、より体を密着させてくる。  
まあ、今の「俺」は明鐘の権能で無理やり発現しているいわば「仮の人格」  
のようなもので、つまり「こうなること」を明鐘自身が望んでいるからなのだが。  
その明鐘の肌は、上気して真っ赤に染まり、触れている部分は火傷どころか  
燃え上がりそうなほど熱くなっていた。  
 
明鐘のむき出しの胸に手をあてる。  
 
「う・・・・・」  
 
重ねたままの口から声が漏れる。  
少し口を離してやった。  
 
「ぷはっ!・・・・・・ん、続けていいよ、ケイム」  
 
いいのかよ。  
ここは学校の保健室で、しかも今は授業中だぜ?  
今この瞬間も誰かが来てもおかしくないし、  
大声でも出せば間違いなく誰かが来るだろう。  
 
そう思ったが、俺のほうが我慢できなくなっている状態だ。  
俺は何も言わずにまた自分の口で明鐘の口を塞いだ。  
 
片手で胸を交互に揉みしだく。  
もう片手は腹から腰へと下ろしていき、パンツの中にもぐりこませる。  
やっぱり明鐘は抵抗もしない。  
 
初めて触れたソコは、肌が燃え上がりそうだとすれば、  
まるで触った俺の指が溶け出すかと錯覚しそうなほど熱くなっていて。  
そして明鐘の体が内側から溶け出し始めてるかのように液体が滲み始めていた。  
 
コートに「守久瀬の役割」を教えられてから、  
いずれ否応なしに「こういうこと」をする  
―――させられることになることは分かっていたつもりだったが、  
まさか中○生ですることになるとは・・・・・・。  
 
中○生とはいえ情報の溢れるこの時代、興味さえ持っていればその手の情報を仕入れる事は  
不可能ではまったくない。  
まあ、その点に関しては普段の俺も健全な青少年だと言えるか。  
 
それでも、知識と実際の経験では大違いだ。  
大まかなソコの位置は分かっても、一向に「入り口」が見つからず  
指を筋にめり込ませるように行ったり来たりさせる。  
と、唐突に指がズルリと滑り込んだ。  
 
「〜〜〜〜〜〜っ!!」  
 
明鐘が声にならない声を上げるが、俺の意識には届かなかった。  
滑り込んだ人差し指がきつく締め上げられるが、中が勝手に擦られるかのようにうごめいた。  
指から脳に電撃を流されたかのように衝撃が走る。  
 
これが、「快感」という感覚なのか・・・・・・。  
指でここまで凄いのなら、俺の股間ですでに準備万全になっているモノを入れたらどうなってしまうのか  
期待を通り越して寒気すら感じるほどだ。  
 
しかし今の俺にそんなことで躊躇するような理性は残っていない。  
おれは指を抜き取ると明鐘から一旦体を離し、ズボンを脱ぎ捨てた。  
 
「け、ケイムっ!ちょと待っ・・・・」  
 
このときになって初めて明鐘が俺を止めようとしたが、もう遅い。  
それにここまで俺の意識そのものすら操られていたわけで、これくらいの意趣返しはしてもいいだろう?  
俺は躊躇わずに明鐘の中へと自分のモノを突き入れた。  
 
「う゛ーーーーーーーーーっ!!」  
 
さっき指が入ったように、ズルリとモノが窮屈なトコロに入っていく。  
勢いをつけたから、明鐘の腹の奥まで入り込むのは一瞬だった。  
 
「あぐっ、あ゛っ!!う゛ぅ・・・・・」  
 
気がつけば、明鐘は自分の顔を両手で覆っていた。  
その頬には透明な液体の筋が走っていて。  
頭に冷水をぶっ掛けられたような感覚に陥った。  
それと同時に、明鐘の権能の効果である激情が収まり、「俺」が元に戻っていく・・・・・・・  
 
「ボク」は、動けなかった。  
分からない。  
自分が何をしたかは、分かる。  
明鐘ちゃんの権能によって無理やり引火させられて、ほとんど明鐘ちゃんに操られるようにして  
明鐘ちゃんを押し倒したんだ。  
ならなんで、明鐘ちゃんは泣いてる?  
 
股間にある、ヌルリとした感覚に、のろのろと視線を下に向ける。  
感覚の元は、液体だった。  
チカラを使っている明鐘ちゃんの髪よりも濃く深い赤色をした液体。  
血だ。  
ボクのモノは、実はナイフだったんじゃないか。  
そんな錯覚をするほどの血が出ていた。  
 
「なんで・・・・・・」  
 
明鐘ちゃんはもう、コー・・・ししょーとしたんじゃなかったのか?  
明鐘ちゃん自身が、そう言ったはずだ。  
 
「「初めて」って・・・・・こんな、にっ・・・・いだ、い・・・もんなのね」  
 
視線を戻したボクと明鐘ちゃんの視線がぶつかって、  
まだ半泣きでグズつきながら、明鐘ちゃんが言った。  
 
「ししょーとしたんじゃ、なかったの・・・・・・?」  
 
「そうでも言わなきゃ、あんたいつまでたってもしてくれなかったんじゃないの?」  
 
疑問で返されたけど、でも、ボクはその疑問には答えられない。  
 
「でもっグス、嘘は言って、ないんだからぁ・・・・・・・」  
 
「・・・・・どーゆーこと?」  
 
「あたしは、「コートさんに色々教えてもらった」って言ったの」  
 
・・・・・・・もしかしなくても、  
 
「「知識」としては確かに色々教わって、今回のことも知恵貸してもらったの」  
 
ししょーに最初のころに教わった、「嘘ではないが、真実のすべてでもない」ってやつか・・・・・・。  
 
「「相当の覚悟がないならやめておけ」って言われてたけど、  
今日みたいなチャンス、そんなにないと思ったし・・・・・・・・」  
 
で、ぶっつけで実行に移したわけね・・・・・・・・。  
 
「それよりもぉ、ここまでシタんだから、最後までしてよぉ・・・・・」  
 
う、明鐘ちゃんの権能の効果が途切れて「ボク」に戻っても、  
明鐘ちゃんの中に入れっぱなしのモノはいきり立ったままで、  
ずっと快感を送り続けていたんだ。  
 
「でも、痛くないの?」  
 
すっごい血が出たし、ボクの知識でも「女の子の「初めて」は痛い」ってある。  
 
「もう慣れた」  
 
・・・・・・・・・・。  
 
「それに、ケイムがイってくれなきゃ、あたしチカラ回復できないでしょ」  
 
そーいえば、それがコレの始まりだったね・・・・・・・・。  
 
「だから、早くぅ」  
 
でも今のボクは、どーしても次の一歩が踏み出せなくて・・・・・・・  
 
「・・・・・・また権能受けたいの?」  
 
明鐘ちゃんの眼が橙色に輝く・・・・・ホンキだよ・・・・・・・・。  
ままよ、とばかりに動かしてみた。  
 
「あ゛う゛、」  
 
やっぱり痛いんじゃないか。  
止めようとしたボクに、  
 
「次、止めたら、権能使って、やるんだからぁ」  
 
正直言って、権能受けた状態じゃ明鐘ちゃん壊しちゃうんじゃないかって、思った。  
余計に止めることができない・・・・・・・・・・。  
 
「ねぇっ、代りに、ギュッてして・・・・」  
 
明鐘ちゃんに言われ、背中に手を回して体ごと動かすようにして続ける。  
限界はすぐだった。  
明鐘ちゃんと話してる間もずっと刺激受けてたせいだけどね・・・・・。  
 
イく瞬間、ししょーに教えられた通りに、ボクは軽く明鐘ちゃんの額に自分の額をぶつける。  
 
「いっ、な、何す・・・・・え?ひゃあっ!!なにこれぇぇぇぇ!!!」  
 
頭突きの形になって、明鐘ちゃんが文句を言おうとしたけど、その声は途中で嬌声に変わっちゃった。  
同時に明鐘ちゃんの中がギュッ、ギュッって締まる。  
 
つ、疲れた・・・・・・。  
ボクは明鐘ちゃんと繋がったまま、  
でも明鐘ちゃんをつぶさないように明鐘ちゃんの隣に体を倒した。  
 
「ね、ねぇ・・・・最後の、何だったの?」  
 
少し息を荒げて、明鐘ちゃんが聞いてくる。  
 
「簡単に言っちゃうと、ボクの感覚を送ってみたんだ」  
 
明鐘ちゃんが迫ってきたようなものだったボクたちの初体験だったけど、  
結局最後まで明鐘ちゃんは痛いだけだったみたいだし、なんとかしたかったから。  
 
「じゃあ、アレは「イク感覚」だったの・・・・・?」  
 
「そー、ゆー、事・・・・・・・・・」  
 
直後、疲れがどっと来たようにボクの意識はブツンと途切れてしまった。  
まあ、「感覚きょうゆう」は「守久瀬」がやるとこーなるって、ししょーに聞いていたんだけどね・・・・・。  
 

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