「ま、まぁええやんか。そんなら次は私。主様の家に初めて行った時の話な」  
  ヨーコは小鬼が天囀をさんざんからかい、真っ赤になって反論する天囀に向かって行った。  
「うるさい外野は気にするな、どうぞ始めてくれ。」  
  盃を煽りながら竜が言った。  
 
「うぃ〜ただいまぁ」  
「お邪魔します」  
  ヨーコは着物姿で大工の棟梁、小林 孝の家へと上がった。  
  棟梁とは言っても妻帯はしておらず、平屋の一人暮らしだ。  
小林 孝、(36)独身。男やもめに蛆がわき…とはよく言ったものだ。これでもかと言うほど、  
散らかっている。  
「あ…主様は大工と兼業してゴミ量産の内職してるんですか?」  
「そんな内職あるか!失礼なやっちゃなぁ……ここが俺ん家じゃ」  
  脱ぎ捨てられたシャツやら雑誌やら、ラーメン袋やら…水場には山のように食器が突っ込まれているし、部屋中から野生の狐の巣でもしないような異臭が漂っている。  
  ヨーコは脱ぎ捨てられたシャツを拾って、クンクンと鼻で嗅いでみた。  
その途端に嗅覚が破壊されかねない程の強烈な臭気が脳を直撃する。  
「これが人間の巣?私の御社より酷いですね、さっさと片づけましょう。」  
「え、ええ…面倒やな…」  
  大工の棟梁は買い物袋と道具箱を置き、やれやれと草履を脱いだ。  
  そして2時間後、ようやく人並みになった平屋に上がったヨーコ。  
「改めて、御社の新築ありがとうございました。この御恩は忘れません。」  
「そんなんええって。あの古い御社、気になっとたんや。役場に修復許可の申請出したら  
『勝手にやれ』言うてたしな。それやったらって…なかなか精巧な作りやったし、  
若い衆の経験にもなったわ。そしたら、狐が住んどるとはなぁ…」  
「コンコン、本当に感謝してます。主様。」  
「んで、俺ん家に来たんは何で?恩返しって何かしてくれるんか?」  
   買い物袋からペットボトルのウーロン茶を取り出し、ぐびぐびと煽る棟梁。  
 
「は………?」  
  ヨーコは眼が点になった。古来より日本では鶴やら狐の恩返しなるものといえば  
決まっているではないか。と思った。  
もっとも世間一般に知られている『動物の恩返し』類の話は、生々しいので部分的に  
割愛されたり、改変されているのだが…そんな事、ヨーコは知ろうよしもない。  
そしてヨーコはそこでしばし考えた。  
いや、この大工の棟梁はヨーコが九尾の狐だと聞いても『ああ、尾っぽが九本ある狐か。  
こりゃどうも。』と言って、人語を話そうが人間になろうが一向に気にしなかった。  
  そういう人間もいるのだ。と割り切り、ヨーコは言った。  
「あのー主様さえよかったら…私と交尾してくれません?」  
「んー交尾って何なん?」  
  孝はウーロン茶を片手に古代日本建築物なる写真集をめくりながら、生返事を返した。  
  この人間はワザと言ってるんじゃないのか?実に羞恥プレイだと思いつつ、ヨーコは言った。  
「あのね……私とHしてくれませんかって言ってるんです!」  
「ぶはっ!?」  
  孝はヨーコの言葉にぶはっと盛大にウーロン茶を吹き出した。  
「何やってるんですか、汚いなぁもう…」  
「ゲホッゲホッ……な、何やねんそれは…」  
「そういう習慣があるんですよ。私は嫌じゃないし、御社を新築してくれた恩は返さなきゃ。  
主様は嫌ですか?」  
「い、いや…嫌ちゃうけど…。いきなりやろ、びっくりしたわ…  
それに……お、お前みたいな和服美人と…何や、その…してええんかな?って思うて……」  
「ふふふ、いいんですよ。好きにして、主様」  
  そう言ってヨーコは孝の唇に己の唇を重ねた。  
 
「はぁ…はぁ…ん、あっ…ええで。そ、そこ…あ、あはっ」  
  ヨーコは孝によって柱に押しつけられるようにして、着物の間から手を突っ込まれ  
濡れそぼった股に愛撫を受けていた。  
「もう濡れて…手に絡みつくみたいや」  
「あ、主様…ソコばかり触らないで…胸も…」  
  孝はゴクリと生唾を飲み込み、ヨーコの襟を一気に押し開いた。  
  反動で、お椀方の美乳がぷるんと、零れ落ちてきた。  
更に襟を開くと白いうなじに生肩が顕わになった。  
「き、綺麗や……めっちゃ綺麗やで……あ、あー…えーと九尾の狐さん」  
「ヨーコって呼んでくれます?」  
「あ、す、すまんヨーコ。もう我慢できへん」  
  孝はそのごつごつした手でヨーコの白い乳房を揉みし抱き、乳首に食らいついた。  
手の中で淫らに歪む乳房は、つきたての餅のように柔らかくその先端の桜色の突起は  
硬く、勃起し始めていた。  
「あっ…あふん…はああっ」  
「はあはあっヨーコ、ヨーコッ」  
  貪るように乳房を吸い、舐め、揉みしだく。そして腕を一方ずつ抜いて、襟を完全に帯びまで  
引き下ろすと、今度は股間に頭を埋め、ヨーコの秘所を愛撫し出した。  
両腕でがっちりと尻を掴み、腰を引くヨーコを固定する。  
「あっあああっダメ、そこはまだ…主様っ」  
「和服やから下着つけてないんはそそるな…」。  
 
「あんっ…ああっあっ…ダメ、ダメです…ってそこ…舌入れ…ん、んんんんっ」    
狐色の長い髪が乱れ、白い喉が仰け反った。孝の頭部を両手で押さえつけヨーコは達した。  
「はああ…ああ……んっ…」  
  くたぁと脱力したヨーコはそのままズルズルと腰を下ろし、孝と対面座位の格好になる。  
「何か悔しいわ…先にイってまうなんて」  
「俺かて久しぶりやで…押さえがきかへん、勘弁してや。」  
「えっ?あっ…ちょっと」  
それからヨーコは対面座位、正常位、駅弁…と様々な体位で孝に尽くした。  
何度も何度も精を膣内に、口に、顔に受け止め、今は後ろから突かれていた。  
「はっはあっ…あ、主様…も、もぉ…限か…私…ちょっと休ませ…」  
  着物を捲り上げられ、小振りな尻を掴まれ激しい剣突を受けながらヨーコは弱々しく言った。  
「はっ…ん…あかん…まだや…ん、んんっ」  
  背後から抱きつかれ、うなじにしゃぶりつかれ、背後から揺れ踊る乳房を揉みくちゃにされる。  
  何百年ぶりの交尾は何ともいえないほど甘美で、淫らで、獣のような性交だった。  
  途端にピクンとヨーコの背が跳ね上がる、快感に侵され、  
身体に掛けている変化の術の効果が切れたのだ。  
「はあああ!ああっ…ダメ、出ちゃう!」  
「あっ…ヨ、ヨーコ?」  
  ヨーコが一際大きく鳴くと、ぴょこと頭髪の間から狐色の耳が飛び出た。  
  続いて、ぽんと尻から生える九本の尻尾。  
「あっはああ……我慢してたのに…出ちゃった」  
「何や…隠さんでもええのに…可愛ええで…ヨーコ」  
「や、やあっ!み、耳は…耳はダメです!」  
  毛に覆われた耳を甘噛みする孝にヨーコは叫んだ。  
「何や、耳弱いんか?そんならコッチは?」  
孝はゆらゆらと揺れる尻尾の根元をきゅっと抓った。  
「ひゃん…し、尻尾も…やっやめて!」  
  涙目になるヨーコに孝の『雄』はますます高ぶった。  
「ヨーコ、ヨーコ…あ、あかん…押さえがきかんわ!おおおッ!」  
孝が再び尻を掴み、ズンッズンと前より強く腰を打ち付ける。  
尻尾がゆらゆらと踊り、耳が弱々しく揺られる。  
「あっんあんっあっ、主様ぁ…くはっ…わ、私…も…あっ」  
既に体力の限界を超えていたヨーコだが、孝はヨーコの腰を掴み、尻を高く突き出させる。  
「よ…妖狐より…体力があるんなんて…あ、主様…本当にに、にんげ…あんっ!」  
「大工の棟梁を舐めたらアカンで、最後のスパート、きばりや」  
  ズン、ズン、ズンと突きあげられる度に、背が仰け反り、嬌声と共に乳房が乱れ踊る。  
瑞々しい汗が飛び散り、ヨーコの脳に霞が掛かってきた。  
「あんっはっ…奥が…奥がコンコン突かれて…ああっ…」  
  床に突っ伏し、頭を擦りつけるようにして快感に身悶えるヨーコ。  
「うっうう…出るで、出るで…ヨーコ、はああっ、んっ…んうううう」  
  ヨーコの背に折り重なり、両手で乳房を鷲掴んだ途端、ヨーコの最奥で孝の分身が爆ぜた。  
「かは…ん、んんんっ…あ、熱い熱いのが…中に広がって…あ、主様ぁ…」  
「ん…くうう…おおお……さ、最高や…んんん」  
  未だにヨーコの背に折り重なり、盛り上がった尻肉を鍛え上げられた下腹部で  
ぐにゅっと押しつぶし、挿入したまま離れない孝。  
尻尾は逆流した精液によってべたべたに汚れ、下腹部のしたでよたよたとうねっている。  
「あ…主様…お、重いんですけど…どいてくれませんか?」  
「はぁ…はぁ……何言っとるんじゃ…コレから第7ラウンドやで…」  
「え、ええっ!?」  
  ヨーコはその言葉に絶句した。散々やって、次は第7ラウンドだというのだ。  
「今夜は寝かせへんからなヨーコ…」  
「あ、主様ぁ…もう…もうやめて」  
  この言葉が第7ラウンド開始のゴングになった。  
その夜を境に小林宅からは狐の甘い鳴き声が聞こえるようになったという  
 

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