「絶・対・領・域。ニーソックスっていいね。あの少し覗く素足がたまらないね」
「太股との段差がいいんだよな。こう、ぷにっとして柔らかそうな感じ、つい触りたくなる」
「いかにも女の子で可愛いんだよね。内股気味に歩くところなんて、幼く見えてちょっとドジしても見逃せるよね」
「そりゃ、オマエ、ロリ趣味入ってるだろ。走るなよー」
「君だって触りたいなんて言って危ないと思うよ」
昼休みに腹ごなしの与太話。
「あんた達週番でしょ。早くプリント貰ってきなさいよ」
「まだ時間あるだろ。関係ないくせに口出すな」
「クラス全員が迷惑するんだから。委員長としては当然の指導。ほらっ」
「行って来よう。ね、すぐ済むからね」
「あー、分かったよ。行きゃあいいんだろ」
「自分の義務はちゃんと果たすのよ。犯罪者予備軍」
「んだとぉ」
「ロリコンと痴漢。人の道は踏み外さないようにね。こっちが恥ずかしいわ」
「はは、きついですね委員長」
「オマエに痴漢しようなんて思う奴がいるかよ。バーカ」
罵声と手が飛んでくるのを避けてそそくさと逃げた。
放課後になってもずっと委員長は機嫌が悪い。
昨晩のメールに返事をしなかったのが良くなかったのか?
……少しは彼女らしく扱いなさい、だと? こっちの台詞だ。
毎日送り迎えもしてやってるのに手も出させないのはどこのどいつだ。
委員会の後片付けをするのを横で待ちながら、会話も続かないんで、
要求するならその気にさせろ、と返事をした。
奴はディスプレイを睨み付けながら椅子にもたれて、ふう、とわざとらしく大きなため息を吐く。
「男に媚びてる格好なんて、私はしないわ。お生憎」
は?
「よく見てみなさいよ、ニーソックスなんてX脚とかO脚とか膝が出てたりふくらはぎ太かったり、
単に脚の形が悪いのを誤魔化してるだけなのにデレデレして、みっともないったら」
「偏見だろ。……それとも、オマエ妬いてるのか?」
「バカねっ、ち、違うわよ! 歪んだ意識を正してあげてるのよっ」
図星か、そんなん気にして馬鹿だな。こいつの脚は無駄な肉もなくすらりとして見事なものだ。
黒のハイソックスが良く似合う。颯爽と歩く後ろ姿に惚れた。
「オマエの脚は綺麗だよな」
「今頃言ったって……、ちょ、何触ってるのよ、やっぱり痴漢ねっ!」
「触りたいから触ってるんだよ。俺の彼女に何してもいいだろ」
彼女、と言ったら、さあっと顔が真っ赤になった。ぐいっと脚を持ち上げてふくらはぎに頬ずりする。
「や、やや、やめ、て……っ、そんなとこに、……あ、」
「引き締まってカッコイイこの脚にはハイソが一番だ。ニーソなんか履くなよ」
「言われなくったって、絶対履かないわよ」
反抗する割には泣きそうな表情になってるのが意外でどきりとする。こんなに可愛い顔出来るじゃないか。
もっと見せろ。
「……ぁ、そんなに撫でないで……っ、ん……、……バカっ、キスなんて反則っ!」
「オマエの脚すげー好きなんだよ。キスくらいさせろ」
「――――っ!! そ、そんないきなり、……って……だから、反則だって!」
「俺にキスされんの嫌ってことか」
「バカ。嫌な訳ないじゃないっ、…………する所が、違うでしょう……」
「この丸見えのパンツに?」
「!! エッチ! バカ! チカン! 何見てるの、スケベ!」
散々俺を蹴って叩いて怒鳴りまくった後、目を伏せて真っ赤っかな顔に消え入りそうな声で言った。
「そっちは後から、……でしょ?」
ハイソックスを履かせたままヤッてしまったら、またえらく痴漢呼ばわりをされた。
俺って脚フェチ、つーかハイソフェチだったのか? あーすっきり。