(どうしてこうなっちまったんだろう)  
ひりひりする頬と、鼻をくすぐる甘い匂い。  
奇妙な現実感のある温もり。  
(なんでだろう)  
なんで、俺の腕の中に義姉さんがいるんだろう。  
 
 
俺は方波見 淳(かたばみ じゅん)  
なんてことのない、普通の中学生だ。  
いや…普通の中学生だった、が正しいかな。  
静かな生活が乱れていったのには、ちょっとしたことだった。それから、少しずつ歯車が乱れていった。  
 
4月。俺に新しい兄と姉ができた。  
お姉ちゃんが結婚したんだ。俺はまだ14のガキ。  
お姉ちゃんだって、まだ19。  
我が家の結婚はみんな早い。親父やお袋だって20前に結婚している。  
でもまぁ、お姉ちゃんの結婚はショックが大きかった。  
俺と一緒にバカばっかりやってるような人だったから、友達が結婚したような気分になる。  
…負け犬感を14にして味わうとは思わなかった。  
「よろしく、淳君」  
「よろしく、兄貴、義姉さん」  
さすがに19の二人に家を建てる余裕はない。  
アパートで生活を始める事になったのだが、俺や義姉さんも一緒だった。  
理由を聞くと「大勢のほうが楽しいじゃん。それに、兄弟みんなでの生活って憧れてたんだよね」  
……巻き込まれるほうの身にもなってください、お姉ちゃん達。  
ちなみに両親は双方共に何も言わなかった。なんでも年老いる前に二人っきりの時間が欲しいとか…。  
40超えたバカップル…。まぁそんなこんなで、この生活は始まった。  
 
俺と義姉さん…坂本 天音は初めから馬があった。  
というより、ラブラブモード全開の新婚バカップルに付き合わされる者同士、話と苦労はよく合う。  
「でさぁ、お姉ちゃんが何かする度付き合わされるわけですよ…荷物持ちとかメシとか」  
「あー、あたしもそんな感じかな。とはいえ、男の子と比べると頼まれる事は違うかもね。  
もっと雑用が多いよ。とはいえ、力仕事はないけどね」  
「でも、結局」  
「わがままな兄や姉を持つと苦労するよね…」  
「「はぁ……」」  
色々喋っているうちに、なんだかわけのわからない感情に襲われる事が多くなった。  
心が躍る、というわけではない。  
(………)  
なんだか、もやもやする。  
経験がない感情。なんなんだろうか…?  
 
 
みんな未成年な上、けれんみのない性格が揃っているだけあって、なじむのは滅茶苦茶速い。  
次の日も、また次の日も、当たり前のように日々は過ぎていった。  
もう気の置けない友達みたいになっている。  
なんというか、いい奴らばっかりだよ。  
 
 
毎朝毎朝俺は大変だ。  
「淳〜…」  
「ん、起きたか」  
お姉ちゃんがのっそり起きだす頃には、俺があらかたの準備をしておく。  
お湯を沸かして、食材を準備する。  
なぜかって?勿論、お姉ちゃんの花嫁修業ですよ。  
…もう結婚してるけどね。  
お姉ちゃんの家事能力はかなり絶望的だったりする。  
手先が不器用っていうのもあるし、一個の事しかできない。  
料理の場合。例えば、お新香を切る。味噌汁を作る。これはどっちかなら問題なくできる。  
でも、お新香を切りながら、味噌汁用のお湯の番なんてできない。  
「コラ!お姉ちゃん、お湯が沸いちゃってる。  
沸騰したお湯に味噌を入れると旨味が逃げるから、さっさと火を止める!」  
「う、うん」  
「手を休めない。香物はまな板に臭いが移るから手早くやれ」  
「うぅ…」  
とまぁ、こんな感じである。ちなみに兄貴と義姉さんはぼーっと眺めているだけ。どうにも朝には弱いらしい。  
「ほら、次。盛り付け。ご飯はそろそろ蒸らしが終わるぞ。熱々を食べさせないと。  
焼き鮭もいい具合だ。焦げる前にとっとと取り出しなさい」  
「………はぁ」  
料理に関しては俺も容赦しない。お姉ちゃんに報復できる、数少ないチャンスなのだ。  
で、完全に蚊帳の外の二人は、まだボケっとしていた。  
「ぁー…いい匂いだぁ…」  
「兄貴、義姉さん、いい加減目を覚まして飯を食って。遅刻するよ」  
「おー……」  
よくこれで遅刻しないもんだな…。  
 
「いってきまーす」  
「いってらっしゃい」  
二人を送り出す。送り出すなどと言っても自分も学校に行くからほぼ一緒のタイミングだけど。  
義姉さんは同じ学校(エスカレーターの私学)だけど、タイミングをずらしている。  
なぜ全く一緒じゃないかって?  
それはお姉ちゃんに宿題を出すためですよ。  
「今日の宿題は掃除ね。フローリングも和室もきれいにしといてよ。  
ちゃんとチェックするかんな。サボったらコンクリで足固めて利根川に漬けるぞ」  
「淳、怖いよ…」  
「心配しないで。きちっとやればそんなことはしないから。サボったら…まぁ、ね?」  
「…目が笑ってないね」  
「本気だもん。じゃ、行ってきます」  
家を出て学校へ。電車までの時間にあんまり余裕がない。移動はダッシュだ!  
柔道部を舐めてはいけない。スプリンターのような見た目でも結構持久力があるんだ。  
スポーツの基本は走ることだし、嫌になるほど走らせれたもんな。  
 
「か〜た〜ば〜み〜〜…」  
昼休み。さてメシでも食うか、と思っていたら…。  
負のオーラを纏いながら話しかけてきたのは、クラスメイトであり同じ柔道部員の宮坂。  
隠れ系のいい男なのに、軽口叩く性格のせいかびっくりするほど女っけがない男でもある。  
「宮坂…どうしたよ?」  
「方波見…俺は…俺はお前を信じていたのに…」  
物凄い落ち込みっぷり。俺…何をしたというんだ…?  
「ずっと柔道一本で過ごしていたと思っていたのに…。高等部のお姉さまを捕まえるとは…」  
高等部のお姉さま…?ああ、義姉さんか。  
「淳く〜ん!」  
手を振ってこっちに近づいてくる。…なるほどね。昼休みに高等部校舎からこっちまで遊びに来るからか。弁当持って。  
そりゃ、妙な噂も流れるわな。他のクラスメイトも俺に殺気立った視線を投げかけてるよ。  
このとき、ふと悪戯心が芽生えた。どうせ後で実は義理の姉弟ですってバラすし、恋人と思われようかな。  
 
「や、坂本さん。昼飯かい?」  
「ちょっと〜、坂本さんって何?あたしたちはそんな他人行儀な関係じゃないでしょ?」  
教室が一瞬だけ静まり返った。  
すぐにざわめきを取り戻したけど、なんだか場の空気が変わったような気がする。  
「いや、でもここ学校だし。分別って大事じゃない?」  
「うーん…そうかも。ところでさ、ご飯一緒に食べない?今日は淳くんの特製でしょ?」  
宮坂が席を立って、教室から出ていった。ついでに数人の男も。  
「今日は、っていうかいつもじゃん。全く料理できないんだからさ」  
「へへ、ごめんね」  
可愛く舌を出すけど、全く悪びれてない。その様子を見ていた他の男も5人ほどいなくなった。  
もう女子の比率のほうが高い。  
いなくなった宮坂の席を借りて、弁当箱を開ける。  
そんなに気を配って作ったようなものじゃないけどね。冷凍食品も使ってるし。  
それでも義姉さんは本当に美味しそうに食べてる。  
「これ、美味しい〜。ただの煮玉子なのに、なんだかすっごく美味しい〜〜!」  
煮る出汁にこだわったからな。でもそんなに美味いのか?実はまだ味みてないんだよね。  
「スキあり!」  
今まさに口に入れようとした瞬間、義姉さんの右手が俺に伸びてきて、箸は方向を変えて義姉さんの口の中へ。  
「お…俺の煮玉子が…」  
がっくり…なんでこうなるの…?  
「ん?なんだか教室が静かになったねぇ」  
「え?」  
確かに回りを見渡すと、さっきまでたくさんいた人間がずい分減っている。  
もう10人もいない。なんだ、もう皆メシ食い終わったのか。  
 
「ごちそうさま〜!明日もよろしくね」  
「はいはい。腕によりをかけて作るよ」  
ひらひらと手を振って、帰っていった。  
宮坂とか他の男たちも帰ってくる。みんな一様に死にそうな顔をしているのはなぜだろうか。  
部活でもあんまり元気がなかった。でも、俺と組み手をする時だけはケダモノの目になっている。  
得意の内股に込める気合が違う。内股どころか股間を狙うぐらいの勢いで。  
こっちは大外刈りで対応したけど、結局一勝もできなかった。  
 
打ちひしがれた帰り道。隣には義姉さん。  
義姉さんは剣道部にいる。剣道場は柔道場の2階にあるから、会う気ならすぐに会えた。  
俺の柔道はそれほどでもないけど、義姉さんは滅茶苦茶強い。  
なにせ全中に出て、その実力を買われてこの学校に特待生として来たぐらいだから。  
義姉さんの実力のおかげか、それとも単に剣道の名門校だったからかはわからないけど、  
去年、一昨年と高校総体で見事メダルを得ている。  
「勝負なんだからしょうがないって。そんなに落ち込まないの」  
竹刀を構えた凛々しさとは違って、からからと明るく笑う。  
後輩(俺からすれば先輩だが)曰く剣道場では鬼のようになっているらしいけど、とても信じられない。  
「むー…でも悔しいよ」  
「これをバネにして頑張ればいいの。ほらほら、元気だして」  
ちゅっ。  
「!!?…ね、義姉さん!?」  
頬に柔らかい感触。言われずとも唇なのはわかった。  
「へっへー。びっくりした顔は結構可愛いね。普段は見れない顔、見ちゃった」  
ちょっと顔が赤くなってるけど、悪びれていない。  
先行っちゃうよー、と駆けだしていく。可愛らしい仕草を見て、心の中に声が響いた。  
おまえは、義姉が好きなんだろう?  
禁忌の愛を抱いたのだろう?  
抱いてみたいのだろう?  
(違う…違うんだ…)  
「おーい、ほんとにおいてっちゃうよ?」  
彼方から聞こえた声で、我に返った。義姉さんが待つところまで、走る。  
走りながら、何度も止まろうと思った。一緒に帰りたくないと思ったのは、初めてだ。  
今は、気持ちの整理をしたい。  
 
それから十日が経った。心の中に響く声は、どんどん大きくなっていく。  
義姉さんが好き…気づかなかった。違うな。気づきたくなかった。  
気づけば、どうなってしまうのかわからない。俺はそんなに意思の強い男じゃない。  
愛する人は同じ家に住み、そして俺の義姉だ。壊れてしまいそうだった。  
忘れたい。しかし、気持ちは止まらない。全てがいとおしかった。  
少し荒れた手先も、屈託なく笑う顔も、わずかに見せる憂いの表情も。全てが。  
そんな気持ちを止めたかった。そして、俺がとった方法は、全てに情熱と力を傾けるということ。  
全力で勉強し、全力で柔道に打ち込み、全力で遊ぶ。  
ほんとうに集中しているその時は、義姉さんの顔が浮かぶことはない。それだけを求めて、全てを本気でやった。  
初めの頃は義姉さんの顔が浮かばない負荷でも、すぐに余裕が出てきて、さまざまなことを考えるようになる。  
そのたびにもっときつい負荷をかけ続ける。先生に体がもたなくなると言われても、やめなかった。  
それに、義姉さんより遅くまで練習し続ければ、一緒に帰ることがなくなって、二人きりになる時間が減る。  
二人きりになるのが、何よりつらかった。心が張り裂けそうになるから。  
それでも二人きりになる時間はゼロにはならず、どうしてもいっしょになる時がある。  
そういう時、俺は心を置かずに話をした。これは夢だと言い聞かせて、上の空で会話を続ける。  
義姉さんは気づいてはいないみたいで、関係が悪化することはない。  
それが嬉しいような、悲しいような、複雑な気分になった。  
やがて、中の下ぐらいだった成績はめきめきと上がり、柔道の腕前もどんどん上がっていく。  
筋肉と同時についていた脂肪は減り続け、一時期より10キロ近くやせた。それに伴って、告白されることも多くなっていく。  
告白されたら、必ず受け入れた。義姉さんを忘れさせてくれるかもしれないという淡い希望を抱いて。  
でも、だめだった。彼女と遊んでも、どうしても熱くなれない。  
いくら情熱的になっても、何人もの女の子とセックスしても、結局義姉さんの顔が浮かぶ。  
どうせ女なんてこんなもんだろう、と思っていても、義姉さんだけは違うんじゃないかと思ってしまう。  
身もだえする夜が続き、情熱を傾ける日々が続く。  
 
そして、夏。  
俺は全中の切符を手にし、義姉さんもまた高校総体への切符を手にした。  
我が家から二人も全国選手が生まれるなんて感動、と両親は喜び、親戚一同集まっての大宴会。  
オヤジ達は飲み、食い、踊り、お袋達はそれを眺めて井戸端会議。バカ騒ぎの夜は過ぎていった。  
そして宴がハネた後、俺と義姉さんは二人だけになった。お姉ちゃんも兄貴も慣れない酒に潰れている。  
「義姉さん」  
「んー?」  
全中の切符を手にした時、決めたことがあった。  
「聞いて欲しいことと、お願いがあるんだ」  
「どうしたのよ?」  
思いっきり派手に振られようって。このままだとダメになってしまいそうだから。  
溜めこんだ想いを全部ぶつけて、ぶん殴られて、そして俺はこの家を去ればいい。  
そうすれば、こんな苦しみを味わう必要はなくなる。  
「俺…義姉さんの事が好きだ。この世の誰より、愛している。もう気持ちを抑えられない。  
間違っているのはわかってる。だから、俺をぶん殴ってくれないか?そしたら俺は止まれると思うんだ」  
心の中は不思議なくらい穏やかだった。言ってしまった。心地いい。  
義姉さんはきょとんとした顔をしている。すぐに顔を赤くして、平手を振り上げた。  
痛みに耐えるため、歯をくいしばって目を閉じる。  
 
乾いた音が響き、鋭い痛みが走る。その後、なぜか温もりを感じた。  
ゆっくりと目を開けると、俺の胸の中に、見なれた黒髪。  
 
 
(どうしてこうなっちまったんだろう)  
ひりひりする頬と、鼻をくすぐる甘い匂い。  
奇妙な現実感のある温もり。  
(なんでだろう)  
なんで、俺の腕の中に義姉さんがいるんだろう。  
 
 
「バカ…」  
「え?」  
「もっと早く、言いなさいよ。本当に、バカなんだから」  
義姉さんは少しだけ泣いていた。肩が小さく震えている。  
小柄な体を抱きしめた。柔らかな骨格。義姉さんが見上げてくる。  
「ん…」  
キス。唇の感触。そのまま、舌を絡ませる。義姉さんは初めてみたいだけど、俺は何度も何度もしたことがある。  
でも、こんなに大きな快感を得たことはない。ただキスしているだけなのに、身体が熱くなってくる。血がたぎってくる。  
ケダモノのように舌で口内を犯す。歯列をなぞり、舌を絡ませ、欲望の唾液を飲ませる。  
義姉さんは息も絶え絶えといった感じで、こくこくと喉を鳴らして唾液を飲み続けた。  
「ちょ、っと。淳くん、手慣れすぎて…もっと手加減してよ」  
酸欠のせいか、あるいは違うか、顔を赤くして唇を尖らせる。  
ごめん、と言って、今度は優しく攻めた。  
(義姉さんの舌…気持ちいい)  
あったかくて、ぬるぬるして、とにかく気持ちよかった。  
また我を忘れそうになるのをなんとかこらえて、義姉さんの服を剥いだ。一緒に俺も服を脱ぐ。  
嫌がられるかと思ったけど、義姉さんから否定の声が上がることはなかった。  
恥ずかしさに耐えられないみたいで、一生懸命俺を抱きしめてくる。体を見られたくないって。  
「こ…こんなに貧相な体じゃ、嫌だよね?」  
「そんなことない。すごくキレイだ」  
本心だ。確かに女性的な体つきじゃないけど、健康的な色気があって、すごくキレイだった。  
義姉さんはまた恥ずかしそうにしている。顔を両手で隠して、でも眼だけは出して。  
身体を見られることへの抵抗は減ったらしく、ぎゅうぎゅうに抱きしめてくることはなくなった。  
少しだけ体を離し、胸へと手を伸ばす。  
「あ…ん」  
切なそうな声が上がった。手のひらに収まるサイズの乳房を揉み、頂点の桜色をつまむ。  
そのたびに声が上がる。他の女などとは比べるまでもないほどの色気があった。  
「ひぁ、んんッ!?や、だぁ…」  
ぺろぺろと乳首を舐める。ちゅうちゅうと吸う。すぐに固くしこってきた。  
「固くなってきてるね。気持ちいい?」  
「え…と。うん、なんだかわからないけど…気持ち、んッ!いいよ…」  
嘘はなさそう。声は甘く、か細く、すごく扇情的。  
そろそろいいか、と胸のみの愛撫から、秘所へと手を向けた。  
「―――!!?そ、そんなとこ…」  
「いいから。黙って俺に任せてよ」  
年下にいいようにされるのが気に食わないらしく、また唇を尖らせた。  
すごく可愛い表情で、思わず笑ってしまった。それが不服なのか、もっと怒る。  
額にキスをして謝罪。まだ何か言いたげだけど、とりあえず機嫌は直ったらしい。  
「んぁ…ひぅ、!」  
指を入れたりはしないで、周りをゆっくりとなぞる。少しずつ、指先がぬるぬるしてきた。  
それを確認して、指先を激しくしていく。女芯の包皮をむいて、軽くつまむ。同時に右手の指をさしこむ。  
左手と口を使って、両胸への愛撫も。  
 
「んんッ!あ、あ〜〜〜!!?」  
義姉さんの体が一瞬けいれんして、すぐに弛緩した。恐らく人生初の絶頂。  
「も、っと…はー、手加減…して」  
「ごめん」  
落ち着くまで抱きしめた。安心したように、頬をこすりつけてくる。  
こっちからも、いろんなところにキス。ただ触れるだけのものだけど。  
10分が経ったぐらいで、義姉さんに聞いた。いい?って。  
それの意味は解っているはず。いいよ、と大きく頷いた。  
涎を垂らす俺の一物を宛てがった。義姉さんはやっぱり、少しだけ怯えている。  
心が痛んだけど、腰を進めた。すでにトロトロに溶けきっていたそこに大きな抵抗はない。  
「んぅ……あれ?思ったほど痛くない」  
悲鳴は上がらず、きょとんとしている。俺も…なんというか肩すかしをくらったような感じになった。  
「…幼いころから激しい運動をしていると、処女膜の隙間が拡がって痛くなくなるとかなんとか聞いたことがあるけど」  
実話だったのか、あれ…。絶対嘘だと思ってたのに。  
「そ、そうなの?確かにあたしは子供のころからずっと剣道してたけど…」  
「なんにせよいいじゃん。痛くないならそれに越したことはないって」  
「それもそ…ひゃあ!?」  
言い終わる前に腰を動かした。痛くないんなら、そこまで手加減をする必要はない。  
こっちの快楽を求めて、少しずつ激しくしていく。  
「や、だぁ!はげしく…ああッ!?しない、でぇ…」  
声は大きくなっていく。なんだかんだで、気持ちいいみたいだ。  
俺の腰はもう止まらない。ひたすらに、快楽を求めて動く。  
「ひゃ、ひゃあ!だ…め、ダメぇぇぇ!?」  
義姉さんの体が跳ねる。逃がさないようにきつく抱きしめて、動きを速める。  
「ま…ずい。出そう…」  
中に出したい。でも、ダメだ。もし子供でもできたらどうするんだ。  
「いぃ…う、あああああ!!」  
「ぐっ!」  
ギリギリのところで引き抜いて、外に出した。ほんのり桜色に染まった肌を、白濁が汚す。  
そのままばったりと倒れこんで、折り重なるようにして眠った。  
 
 
 
「ん…」  
目が覚めると、義姉さんはいない。時計は午前5時20分。まだ兄貴もお姉ちゃんも起きていないはずだ。  
気だるい体に鞭を打ち、服を着た。そのまま、顔を洗いに洗面所へ。  
「義姉さん…」  
「おはよう、淳くん」  
義姉さんはなんだかさっぱりした表情で、顔を拭いていた。どうやらほとんど同時に目覚めたらしい。  
「あ、そうそう、淳くん。お願いがあるの」  
「?」  
お願い…なんだろう。やっぱり、内緒にしといてくれってことかな。  
「2人っきりの時はさ…あたしの事、名前で呼んでくれないかな?」  
「…わかったよ、天音さん」  
二人で顔を見合せて、くすくす笑った。  
色々問題ありそうだけど、二人一緒ならきっと乗り越えられるよ、天音さん。  
 

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