国語の時間。
先生に当てられ、美琴は席から立って教科書を読む。
制服を着た生徒たちの中で、美琴ひとりが裸だった。
横や後ろからのたくさんの視線が、教科書を持って音読する美琴にそそがれる。
はい、そこまで、と先生が告げると、美琴はほっと息を吐いて席につく。
美琴は机に身体を寄せて少しでも肌を隠そうとしつつ、授業に集中しようとする。
数学の時間。
他の数名の生徒とともに指名され、美琴は白い背中をさらして前へ出て行く。
美琴の肌の色が黒板によく映える。
小さく腰をかがめて、黒板の下の方に美琴はチョークで数式を書きつける。
形のいいおしりが突き出され、間近に座る男子生徒は唾を飲み込んで見入る。
やがて書き終え、席に戻る美琴の身体にやはり視線がからみつく。
美琴は顔を赤らめ、慌しく席につく。
体育の時間。
体育館でバスケットボールをする。
チーム分けをし、色違いのゼッケンを身に着けて試合を行う。
美琴はゼッケンだけを身に着け、体育館を駆け回る。
ボールを受け、ドリブルし、跳び上がってシュートを放つ。
胸の揺れがゼッケンの上からも見てとれる。
美琴は活躍した。
皆の注目を集めながら、フリースローを2本とも入れてみせる。
同じチームの女の子たちと、歓声をあげながら手を取り合いピョンピョン跳ねる。
ゼッケンが美琴のおなかでひらひら揺れた。
家庭科の時間。
班にわかれ、家庭科室で調理実習をする。
皆と同じように、美琴もエプロンを着けた。
腰の後ろで紐を蝶結びにすると、おしりを紐がくすぐる。
美琴は忙しく立ち働いた。
野菜を切り、調味料を用意し、流しで洗いものをする。
きれいなおしりが、調理台のまわりを動き回る。
料理が終わり、つくったものを皆でいただく。
後片付けをし、エプロンを脱ぎ、ふたたび裸になると教室に戻る。
昼休み。
美琴は廊下で友人とおしゃべりする。
今日は男子生徒の通行が特に多い。
美琴は壁を背にし、身体を隠せないまま、とりとめのない話を続ける。
美琴の肌を余さず見ていく通行人たち。
中には廊下にとどまって、ちらちら見続けている上級生の一群もいる。
美琴は視線を合わせられない。
見られているのはわかっているから。
全てをさらしたまま、ただただ友人とのおしゃべりをするほかない。
「ミコ! 1日長かったでしょ」
背中をパンッと叩かれ、美琴はひゃっと情けない悲鳴をあげる。
「お疲れさま〜。ホント災難だったねえ」
「きょ、京ちゃん。いきなり出て来ないで……」
そこは昇降口の下駄箱の前。
美琴は紙袋から取り出したショーツをちょうど穿いているところだった。
「あれ〜、もう終わりかよ。あ、最後にそのままでいいからこっち向いて」
と、これは男子生徒の声。
「――っ、見ないでっ!」
ブラを紙袋から探り出し、慌てて身に着ける。
「そーだよー。着替えは見ないのが異性に対するエチケットでしょー。
わたしはミコちんの裸をしっかり目に焼きつけたからもういーけどねー」
「奈々っ、そんな恥ずかしいこと言わないでっ」
昇降口に下りてくる生徒がしだいに増えてきた。
美琴は急いでスカートを穿き、セーラー服の袖に腕を通す。
そしてほっと一息つく。
「いっやー、久しぶりに堪能したよな、女子の身体」
「俺はあの裸エプロンがいちばん興奮したな〜」
「次いつあるかわからんから、なるべくはっきり憶えときたいな」
「さっそく使うんだろおまえ、今日帰ったらすぐ」
それらの声から逃れるように、美琴は友人たちと昇降口を出る。
そこへ突風が吹きつけた。
「きゃあっ!」
美琴たちはそろってスカートを押さえる。
しかしぶわっと持ち上がったスカートの中を、後ろにいる人たちに見られてしまったことは、
確認するまでもなく明らかだった。
「ミコ、顔真っ赤だよ」
「ホントだ、ミコちん、今の恥ずかしかったー?」
美琴はこくりとうなずくと、制服の温もりを確かめようとするかのように我が身を抱いた。