うねうね、うねうね。  
うねうねうね、うねうねうねと。  
うねうねうねうね、うねうねうねうねうねうね、うねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねと。  
 
眼前を埋め尽くすのは、大量の触手達。  
 
「ち、ローパーがこんなに大量にでてくるとは・・・」  
 
そう、忌々しそうに唾を吐くのはエルフの剣士。  
迷宮での探索の果て、仲間達は次々と倒れ、今は屈辱の敗走中である。  
敵に追われての逃走、その際に道を誤り、この魔物の巣窟へと踏み込んでしまった。  
 
彼女が踏み込んだ場所、そこは、地下の迷宮の一室を埋め尽くすローパーたちのコロニーのようだ。  
 
「しかたがない、少し引き返すか・・・」  
 
追跡者との遭遇、その危険性は確かに恐ろしい。  
だが、このままこの場に留まっていても、この触手達に捕らわれるだけだ。  
 
今の時期、ローパーは繁殖期を迎える。  
そしておぞましいことに、奴らはその孵化の仮床に、人間やエルフの女達の子宮を使う。  
 
まかり間違って、今の奴らに捕らえられようものなら、その子宮を異形の生物に犯され、子を植え付けられてしまうのだ。  
 
 
そのおぞましさに比べれば、自分を追いかけてくる狂戦士達に殺される方がまだましというもの。  
エルフの剣士は、その触手達に気付かれぬよう後じさり、まんまと逃走を果たしたのだ。  
 
 
 
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「・・てね、命からがら逃げ延びたって訳」  
 
ようやく追っ手を撒いた剣士は、迷宮出口付近の辻ヒーラーに手当を受けていた。  
この場所は入り口付近という割に、外には出たがらない訳有りたちを、時折見かける。  
ほかにも、大量の荷物を持った「あああああ」や「AAAAA」みたいな名前の連中が寂しく佇んでいるのである。  
 
「とくにさぁ、あのローパーの群を見たときのトリハダったら、凄かったんだから」  
 
剣士が、さもおぞましそうにその光景を思い出す。  
 
「へぇ、ローパーですか」  
 
剣士の手当をしていた少女、どうやら彼女もエルフのようだ、その癒しの手を休めることなく、剣士の愚痴に付き合ってやる。  
 
「そう。そりゃあもう、うねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねうねとッ!!  
 あのたくさんの触手のうねり具合ったら、おぞましいったりゃありゃしない!!」  
 
両肩を狭めて怖気震える剣士。  
そんな彼女に、その癒し手のエルフは、やや苦笑を伴った同情の視線を向けた。  
 
「ホント、大変な目にあったんですねぇ」  
 
そんな癒し手の笑みに、剣士もまた苦笑で返す。  
 
「うん、もう触手はコリゴリよ〜」  
 
 
そして、その剣士に、エルフの癒し手が言った。  
 
 
 
「その触手って、こんなだった?」  
 
 
 
いつの間にか、周りにいた凡庸な男達が倒れていた。  
 
 
 
そこに残されたのは、両足の間から何本もの触手を生やしたエルフの癒し手と、  
 
触手の毒針に犯され、身体の自由を奪われたエルフの剣士だけだった。  
 
 
 
「最近の触手はね、女を孕ませるだけじゃなくて、同化もするんだよ?」  
 
 
 
 
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