俺に残った力全てを載せた光の刃の投擲が、彼女の身体を貫いた。
優しく、美しく……尊敬していた、愛していた――かつて姉と呼んだ人を。
力を出し尽くした俺はそのままうつぶせに倒れ伏した。
もう動く力も声を出す力も無い。ただ、涙だけは止めどなく溢れてきた。
――ずるり、ずるり。
ふと聞こえてきた音に顔を上げ――凍りついた。
彼女が、這ってくる。
残された僅かな命を燃やして、血を吐きながら向かってくる。
自らの死を確信し、しかし何故だろうか、恐怖はあまり無かった。
彼女がすぐ近くまで寄ってきた。がくがくと震える手を俺に伸ばす。
そして――血に濡れた指先で目尻を拭いてくれた。
そうだ。昔、俺が泣いているといつも彼女は大急ぎで駆けてきて、今みたいに優しく涙を拭いてくれた。
「あ…………」
彼女の表情を見れば、過ぎ去った日々と何ら変わり無い笑顔がそこにあった。
赤く濡れた唇が動く。もはや彼女に声を出す力は無いのだろう。
だが、その口が俺の名を紡いだことだけは確かにわかった。
「姉……さん」
いかなる力によるものか、俺はいつの間にかそう言っていた。
彼女はそれを聞くと、満足そうに笑みを深くして――
ゆっくりと、瞼を閉じた……
「という夢を見た」
「配役代えて、だったら実際やってあげてもいいけど?(ゴゴゴゴゴ)」