絶頂を迎える寸前の私に男達が優しく問いかける。  
「大分気持ちよくなってきたみたいだねアヤちゃん?」  
「そろそろ本物のおちんちんに可愛がってもらいたいんじゃないかい?」  
そういって、ズボンの中の物をとりだす男達。  
それはすでに天を貫くほどに勃起し、肉汁がしたたり落ちていた。  
だが今の私にはとって、  
それは醜悪なモノどころか  
ギリシア彫刻の造形物のように美しいモノに見えていた。  
「は…………はいぃぃぃ。  
 おちんちんつかわせてくだしゃい。  
 おまんこにいれて、かきまわしてくだしゃい!  
 あやを、あやのからだを…もっとめちゃくちゃにしてぇ!」  
涙混じりに叫ぶ。  
もう待てないという風に  
男達に向かって秘所を震わせアピールをする。  
 
思考は完全に性感だけを求めるものへと変わっていた。  
 
早く入れて、この股間のうずきをなんとかしたい。  
それは男達にとっても同じ考えだ。  
そこをあえて焦らす。  
「でも僕達ゴムもってきてないよ」  
「ひゃ…ひゃいぃぃ!な、なまでいれてくだしゃい」  
「中にドクドク出しちゃうよ?それでもいいのかい?」  
「なかにいっぱいだしてくだしゃぁい。  
 おなかパンパンになるまでだしてぇ。  
 あやは、みんなのおちんちんの奴隷ですぅ」  
「ハハハ…こやつめ」  
 
陵辱につぐ陵辱。  
一時も休むことなく続けられてきた淫乱の宴も  
ついに私の絶頂という形で最高潮を迎えようとしていた。  
 
そんな中、マヤは一つの決意を固めていた。  
 
(お姉ちゃん!今助ける!)  
ガブリッ!  
マヤは自分を掴んでいた男の腕に噛み付いた。  
「いっ!いってェーーーー!!!」  
マヤの体を持ち上げていた腕は反射的離され、  
マヤの体が自由になる。  
タッ!っと地面に着地するマヤ。  
「よ、よしっ。次は」  
ガシッ!  
「あ!」  
マヤにとって予想外の出来事。  
走ろうとした瞬間に後ろから襟元をつかまれたのだ。  
「やああっ!」  
ジタバタと走る仕草を繰り返しても、前には一向に進めない。  
足は地面についていないのだから。  
「おいおい。マヤちゃん。  
 ドサクサに紛れて何逃げようとしてるんだい?  
 だめだよ。お姉ちゃんがイッたら次はキミの番なんだから」  
「ひ………や…やっぱり初めからそうゆうつもりだったんだナ!」  
「そうゆうことだ。  
 どっちにしても逃げられないんだから、覚悟を決めろッ!  
 覚悟は『幸福』だぞッ!マヤ」  
言葉尻と同時に、加減無しの力で思いっきり引っ張った。  
 
マヤの小さな体に男の力を跳ね除けるだけの力はないだろう。  
だが、それは力に力で対抗したときの話。  
スルッ!  
「なっ!!」  
ドシンッ!  
男の体が勢いよくひっくりかえった。  
「………?  
 な、なんだこれ…?掴んでた服だけじゃねーか……?  
 あ、あのアマっ!!!」  
形相が必死になる。  
もし、ここでマヤを逃がしてしまえば、  
マヤの監視をまかされていた男の命はないのだろう。  
出口に視線をやる。  
だが、そこにマヤの姿はない。  
マヤの体は反対側だ。  
「??  
 おいおい。マヤちゃん。出口は反対だぜ。  
 ククク。あせって間違えちゃったんだね。  
 でも、そんなドジッ子なトコロも萌えというかなんというか」  
無論マヤの目指していたのは元々出口ではなかった。  
もとより姉である私を見捨てていくような子ではない。  
目的としていたのは光源を作り出しているライトを  
コントロールする為のリモコンだった。  
 
若干のアクシデントは起こったが、  
なんとかその目的地まで達したマヤ。  
「よしっ…!」  
バチンっ!  
「じゃあアヤちゃん。まずは僕からいれてあげ………あれっ」  
挿入寸前。  
ライトの光が消えて、部屋は暗闇に包まれた。  
「あっ?なんだ?今が一番いいところなのによ」  
「おいおいっ!誰だ勝手に照明落としたアホはっ!」  
激昂する男達。  
マヤが叫ぶ。  
「やいっ!このヘンタイ共っ!  
 それ以上お姉ちゃんにヘンなことをするのは許さないぞ!」  
「お ま え か ぁ ! !」  
「マヤァァァーー!そいつをよこせぇぇぇーー!! 」  
マヤの声にその場にいた男達全員が殺意をもって振り返る。  
その瞬間。  
「正義の光を受けてみろっ!!!」  
カッ!  
「う!」  
「えっ?」  
「うおおおっ!!」  
「ぎゃあああ!!!」  
「ま、まぶしいい!!!」  
巨大な白い光が男達を襲った。  
 
放たれたのは、この部屋全体を白く塗り替えてしまうほどに強力な光だ。  
最大光量にまで調節されたライトの光は、  
男達にとって完全な不意打ちだったようだ。  
まともに直視。  
その場に倒れ、目の痛みを訴える。  
それはヒゲの男とて例外ではない。  
「ちっ…ちくしょおおお!いてぇええ!目がいてぇえ!!」  
「目がぁ〜目がぁ〜」  
「い、今だっ!」  
白い部屋の中を駆け抜けるマヤ。  
私を救い出すために。  
 
「だ、大丈夫!お姉ちゃん!!」  
私を抱き上げるマヤ。  
私の目は空ろだ。  
「エっ…エヘヘ………まや、がイかせてくれるのぉ?」  
「何言ってんのよぉ!もう、しっかりしてよお姉ちゃん!!」  
私の意識を戻そうとバチンバチンと、情け容赦ない往復ビンタが実行される。  
「あン。ああン?」  
「う…ううぅ…全然効果ない………どうすればいいの…?」  
 
ハッ、と何かを閃いたマヤ。  
「は…そ…そうか…お姉ちゃんがヘンなのはきっとこのスライムのせいだな…  
 ビヤクがどーとかいってたし…」  
マヤは一瞬素手で触っていいものか考えるが、時間もないので平手で落とす。  
私の体にねばりついていたスライムは、ペチッっと意外と簡単に地面に落ちた。  
私の呼吸がちょっとだけ穏やかになった。  
「たしか。もう一匹いたナ……えっと。下か?」  
マヤは私の秘所に固体となって突き刺さっているもう一匹のスライムを  
握り締めて力いっぱいに引いた。  
「ーーーーあっ!!ひ………ひゃあああ」  
とたんに張り裂けるような声を上げる私。  
「ダメェェェ!そ、そんなに乱暴にひっぱったらダメェエエエ!!」  
このスライムは…入るときはすんなり入っておきながら  
出るときはやたらと抵抗して摩擦を生み出し、簡単にはぬけないようになっていた。  
それに加えて、今のスライムは興奮して私の秘裂が裂ける限界にまで膨張している。  
それを力ずくでムリヤリひっぱるのだから性体感がたまらない。  
「あああン!マヤ…や…もっと優しくし……おまんこが、はっ………こわれちゃう!!っ…はっ…あんっ!!」  
「がっ…ガマンしてよ…お姉ちゃん……ひっぱりだすんだからっ!」  
「いやあああ!やあああ!!…」  
あそこがムリヤリひっぱられて盛り上がっていく。  
急激な変化に股間が耐えられない。  
それでも運動会の綱引きのように全体重をかけるマヤと、引き抜く快感を全力で受ける私。  
 
ずぶずぶずぶぅ  
「ーーーーあ、…くっ…ひゃああーーーーーあ、  
 あっ……あン………あああ、……ーーーーあーーーああーーーー!」  
私の声はまるで産卵時の母親のようだ。  
スライムはゆっくりと引き抜かれていって  
ずぶずぶずぶぅ。  
すっぽん!  
「ひゃああああ!」  
コルクが飛ぶような音をだしてようやく引っこ抜けたスライム。  
蓋がなくなったことで、今までせき止められていた愛液が一気に流れ出す。  
ドクドクドクドクドクドクドク  
「はふぅぅぅぅ…」  
自分でも嘘みたいに信じられない量だった。  
「あっ……あふぅ…なんかいっぱいでて……止まんないよぉ…」  
股間からひたすら熱い液を出しながら、はふはふと呼吸を繰り返す。  
それは完全に果てた私の姿だった。  
「お姉ちゃん」  
「ハァハァ………ハァハァ………。  
 …………………ふぅ………。  
 ………。  
 ………。  
 あ…ありがと……マヤ…助かったわ…」  
もちろん心のそこからそんなことは思っていない。  
ムリヤリ抜いた激痛が体中を駆け巡り、  
秘所は真っ赤に腫れ上がって、痙攣を繰り返していた。  
 
「………ほっ…お姉ちゃんが元に戻ってよかった」  
胸をなでおろすマヤ。  
「ムウ。殺したい」  
「??」  
 
私の秘所から床に広がるものを不思議そうな目でみるマヤ。  
そして失笑。  
「…お姉ちゃん…おしっこ漏らしすぎだよぉ……」  
「………なっ!  
 お、おしっこじゃないわよっ!失礼ねっ!!」  
顔を真っ赤にさせての反論。  
「うそだいっ!どうみてもおしっこじゃん。  
 やぁい。お姉ちゃん、その年にもなってお漏らしだぁっ」  
「…な………。  
 こんのぉ!!お、お姉ちゃんをバカにするなぁああ!!」  
グリグリとマヤのコメカミをグーで圧力をかける。  
「誰のせいでこんな目にあったとっ!!」  
「いやああ!ゴメンなさいお姉ちゃん!」  
「………て、こんなことして遊んでる場合じゃないわっ!ここからでるわよマヤ!」  
「うん、お漏らしお姉ちゃん!」  
「ま、まだいうかーーーっ!!」  
怒り心頭の私。  
さきほどまでの性体感は完全に無くなった。  
 
マヤとの口論の最中、  
そろりそろりと私の後ろからゆっくりと忍び寄ってくる手があった。そして  
ムニュ  
「ひゃあっ!」  
突然後ろから回ってきた手に………私の胸を掴まれた。  
「や…………ぁ…やぁああ!!」  
「お姉ちゃん!」  
「えへぇ!つーかまーえたぁ!!」  
「やぁぁぁあ!ど…どこさわったんのよぉ、やめてっぇえ!あっ…やめっ、あふっ  
 だ………ダメェ……力がぁ………」  
むにゅむにゅと…ブラの上から乱暴に揉みしだかれる。  
「ヘヘヘ…俺はあの瞬間とっさに目をつぶって直撃をさけられたんだよ」  
「あ………いやああン…」  
「感じてるんだねアヤちゃん。  
 アヤちゃんのおっぱい。とっても柔らかくて気持ちいいよぉ」  
もみもみ  
「あっ…あんっ…ああん…あン」  
「それじゃあ後ろから挿れてあげるよ」  
取り出された一物が  
ずぶぅ。  
「ひゃあああああ!」  
「お、お姉ちゃん!」  
「ヘヘヘ。身をよじらせろっ。この雌がぁ!」  
ガクガクッ!  
男は激しく腰を振わせた。  
 
ずぶっ…ずずず。ずぶぶぶ。  
「ひゃははは!どうだ俺のチンポの味は!!」  
「………?」  
「エヘヘ。アヤちゃんの中って思ったよりもガバガバなんだね」  
「………それ…私じゃないわよ」  
「えっ?」  
私の秘所と男の間には、なんといつの間にかスライムが割り込んでいた。  
「げっ。ス、スライム君!?」  
怒ったスライムにものすごい勢いで男の性を貪りとる。  
「アヤちゃんに挿れてるとおもったのに………  
 挿れていたのはスライムでしたぁ!  
 びぎゃああ!」  
男はペニスの先からあっという間に体液を奪われ、  
干からびた状態で地面に倒れた。  
「お、お姉ちゃん大丈夫?」  
「ううぅ、ぐすっ。私の胸…誰にも触られたことなかったのに」  
ピョンピョンと私の前で跳ねているスライム。  
「あ…………ありがとうキミ。助かったわ」  
言葉が通じる相手ではないのだろうが、  
助けられたからにはとりあえずお礼をいうのがスジだった。  
「お姉ちゃん。早く行こうよぉ」  
「う…うん」  
私達は出口に走った。  
 
「くそっ……まだ、目の痛みがおさまらねェ………」  
ヒゲの男はまだ視界もおぼつかない状態だった。  
だが、その力は健在だ。  
「おいっ…そうやすやすとこの俺が逃がすと思ってんのかよっ!!」  
声が轟く。  
眼光が赤く光った。  
 
「出口までもう少しだわっ!急いでマヤ!」  
「うん!」  
バキッ!ベキベキベキっ!  
「エっ!」  
突然目の前のドアの取っ手が壊れた。  
「あ、ああっ!!」  
ここは引き戸。  
ドアからの脱出はこれで不可能だ。  
ベキッ!メキャメキャ!!  
驚いた瞬間、次に壊れたのは電話だった。  
メチャメチャに潰れた電話。  
外との通信もこれで不可能。  
「あっ…ああっ!」  
私達の逃げ道は完全に塞がれたのだ。  
 
「ど、どうしようお姉ちゃん!」  
「そ…そんなこと…私に言われても…」  
「さぁ今度はテメェらが潰れる番だぜ!おらあああっ!!!」  
襲い掛かってくるヒゲの男の力。  
「………!!  
 マ、マヤっ!横に飛ぶわよ!!」  
ダッ  
ズシンッ!!  
ほんの一瞬前までいた空間が超重力の檻に囲まれた。  
「ひ、ひぃ…」  
「カス共がっ!!ちょろちょろしてんじゃねェぞ!!!」  
ズシンッ!!  
 ズシンッ!!  
「やああああ」  
「いやああ」  
とにかく走る。  
足を止めたらそれで最後。  
逃げる私達の後を追うように次々とクレータが出来上がっていく。  
「あああっ!くそっ!…狙いがうまくできねぇ…!!」  
ズシンっ!  
 ズシンッ!  
「いやああああ」  
私達は叫びながら部屋中をかけ続けた。  
 
逃げている間にヒゲの男の能力(ちから)がだいたい理解できてきた。  
あいつの持つ不思議な能力は、  
狙いをつけた部分から半径1メートルほどの空間に超重力を作り出す能力なのだ。  
まぁ、私達には理解しがたい力なのだが、  
目の前で実際現実に起こっているのだから、  
そういう能力なのだと思うしかなかった………。  
 
私達の考察では  
一度に超重力空間を作り出せる場所はせいぜい5ヶ所ほどが限界で、  
そして一回力を使ってからもう一度、力を使うまでには少し時間がかかるようだ。  
ならば、そこにつけこむスキがあるはずだ。  
 
(な、なんとかしてチャンスをみつけないと…)  
逃げながら思考を回転させる。この状況を打破するアイディアを………。  
だが、敵はヒゲの男だけではない、  
バッ!!  
一人の男が私達に飛び掛ってきた。  
「きゃあっ!!」  
「へへ。捕まえたぜ」  
押し倒されたのはマヤ。  
そいつはマヤの腰にがっしりとしがみついていた。  
「や…やだぁっ…放せぇヘンタイ…」  
必死に男を引き剥がそうとするマヤ。男の手は放れない。  
「ヘイッ!ボス!女はここですぜっ!!」  
「そこかあああ!!!」  
ヒゲの男の能力がマヤを襲う。  
「いやああああ!」  
「マ、マヤァァッ!」  
ズシーーーーンッ!!  
 
押しつぶされた空間。  
マヤは…?  
「ぎゃああああああ!!!ボス…そっちは…おれ………」  
幸運。なんという幸運。  
狙いの中心はマヤを掴んでいた男にいったようだ。  
バキボキと骨を鳴らしながら、潰れていく男。  
しかし、マヤの腰下も超重力の範囲内に入っていた。  
「いやあああ!下半身だけ重いよぉっ!」  
「マヤッ!今助けるから」  
マヤの手をとって全力でひっぱる。  
「うっ…こんんおぉおお!」  
びくともしない…。  
マヤだけならともかく…  
重くなった男がマヤに乗っかっているのだから私の力ではどうしようもない。  
早くしないと次の攻撃で私達の体は確実に潰されてしまうというのに。  
じゅるるるる  
「エ?スライム?」  
スライムがマヤの体の下にもぐりこんでいく。  
それが潤滑油、もしくは滑車の役割になってマヤの体が滑った。  
スポンッっとマヤの体が超重力空間から抜けた。  
「マヤ!大丈夫!?」  
「うん。ぜっんぜん平気だヨぉ。お姉ちゃん」  
用が済んだかのようにぬるぬると床を這いずっていくスライム。  
(またスライムが助けてくれた?………まさかね…)  
 
ズシーーーン!  
次の超重力が来るころには私達は先ほどまでいた位置にはいなかった。  
私達はヒゲの男の前から身を隠す。  
「おらぁああ!ドコに隠れやがった」  
ズシンッ!  
 ズシンッ!  
  ズシンッ!  
「ぼ…ボス!やめてくださいっ!!このままじゃ俺達まで巻き込まれていまいますっ」  
「うるせぇええ!!だったら端っこで小さくしくなってろぉ!!」  
ズシンッ!!  
 ズシンッ!!  
  ズシンッ!!  
   ズシンッ!!  
グシャ!  
 ズシャ!  
  バリンッ  
ライトが壊れる。  
テーブルが割れる。  
椅子の破片が飛び散る。  
高そうなビデオが粉々に砕ける。  
モノというモノ全てが破壊し尽くされていく。  
それは私達の未来の姿を彷彿させるようでもあった。  
 
私とマヤは倒れたテーブルを盾にして隠れていた。  
(むちゃくちゃだぁ…)  
(あいつ。私達を見失ったものだから闇雲に攻撃してるんだわ)  
(まだ、目が回復していないんだね)  
(でも、そろそろこの明るさにも馴れてくるとおもう)  
(どうしよう…お姉ちゃん)  
(マヤ…こうなった以上もう逃げられないわ……)  
(………)  
(戦うしかない………。  
 なんとかしてあの男達を倒すしかない)  
(………)  
(怖い…?マヤ?)  
(ううん!私…大暴れするの大好きだヨ)  
(よしっ!それでこそ私の妹よっ!)  
 
 
場は静まり返っていた。  
ヒゲの男が闇雲に攻撃するのをやめたのだ。  
「ひひひ。やっとこの明るさに目が慣れてきたぜ。さ〜て、どこに隠れてるんだ?」  
バッ!  
私はテーブルから身を乗り出して、あらかじめ拾っておいたビデオカメラを投げつけた。  
ガシャアアアン!  
残された最後のライト。  
マヤが最大光量にしていたライトを破壊した。  
光は完全に途絶え、白かった部屋に再び暗い闇が訪れた。  
「うをぉぉ!!ウン十万円もするライトがぁっ!!!!」  
「ボスッ!そんなことより、やつらっあのテーブルの下に隠れてますぜっ」  
「うるせぇ!今度は暗くて何も見えねぇよ!!」  
もっとも、そのテーブルの下にもう私達はいない。  
敵の位置の記憶だけを頼りに、すでに動いているのだから。  
 
「ええぃ!!」  
テーブルで端っこにいる男二人を押しつぶす。  
「ぎゃあ!」  
「げふっ!」  
ヒゲの男を挑発する。  
「何やってんだ!へったくそ!  
 私はここだ!ここにいるぞっ!悔しかったらあててみろ!バカッ!!」  
ブチッっと!ヒゲの男の血管が何本か切れた。  
「テンメェエエエエ!なめやがってぇえぇぇっ!」  
「うわああ!ま、まってボスっ!!やめ…やめっ!!あああ」  
ズシーーーン!!  
「ぎゃあああっ」  
重くなったテーブルが男達を押しつぶした。  
 
もちろん私は先に避けていた。  
「あははー!ザマーミロ。能力を逆に利用してやったゾ!」  
本気で嬉しくて高笑いする私。  
ゴンッ!  
それが敵に位置を知らせることになろうとは…。  
「あうっ」  
突然の不意打ちに目から星が飛び散った。  
「調子にのんなこのアマがぁっ!!」  
後ろには鉄パイプらしきものをもった男が立っている。  
「あぎぎぎ!」  
頭は割れるように痛い。  
その痛みに必死にこらえる。  
てゆうか、頭のてっぺんからなんかドクドク流れてるし…。  
「うーーーー。よ、よくもこの私のスペシャルな頭に………」  
脅すつもりが、泣きが入ったその声では威厳はまったくなかった。  
そんなこと言ってる間に、  
先ほど私を後頭部から襲った凶器がもう一度振り下ろされてくる。  
「い、いやぁ!これ以上コブ増やさないでぇ!」  
コブどころか、私の頭をカチ割らんと襲ってくる一撃。  
よけられない。  
ずるっッ!  
「なっ………うわっ…!」  
しかし、その凶器が私の頭に届くことはなかった。  
男が突然倒れたのだ。  
「な、なんだかしらないけど!いまだ!!」  
私は男の落とした鉄パイプを拾い上げ、迷いもなく男の頭に打ち付けた!!!  
ゴンッ!  
「がっ!」  
会心の一撃。男を遠い世界へ追いやった。  
 
「ふぅ…助かった……あ…」  
足元にはスライムがうねうねと動いていた。  
(そうか、こいつを踏んで転んだんだナ!)  
それをすくい上げる私。  
なんだか、この、ぬるぬるの単細胞生物が愛らしいものに思えてきた。  
「またキミに助けられちゃったね…」  
 
さて…  
 
これで倒したのは  
始めに胸を揉んできた男。  
マヤを捕まえて、ヒゲの男の力で潰された男。  
テーブルを使って押しつぶした男が二人。  
そして今倒した男。  
 
男の数は全部で6人だから、  
これで残るはヒゲの男一人のみっ!  
 
 
「はっ!」  
背中がゾクリと冷える。  
危険を感じて、その場から全力で飛びのいた。  
そして、その予感は正解だった。  
ブチブチブチィ!  
先ほどまで立っていた位置は、空間ごと捻じ曲がって潰れていった。  
その押しつぶす力は今までの力の比ではない。  
私はすぐさま体制を整え、  
目の前の敵と対峙する。  
闇の向こうが歪んで見える。  
見えなくても肌にビリビリと伝わってくる殺意。  
戸惑い、手加減といったものは微塵も無い。  
目の前の男は、私を殺すためのキラーマシンと化していた。  
 
「テメェらっ!…こんなことしてどうなるかわかってんだろうなぁ…」  
 
空気が張り詰めていく。  
私達の最後の戦いが始まる。  
 

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