盛大な溜め息のような呼吸と、衣擦れの音に我に返る。
閉じた携帯を胸に置き、緊張感に満ちた鼓動を感じながら、
ポリポリと頭をかき、寝返りのあとに続くイビキを確認する。
しばらくしてから、私は小さな溜め息をついた。
なにやってるんだろうと自己嫌悪に陥りながらも、
少し落ち着くと、先ほどまで読んでいた文章が頭を巡り始める。
“左手の指で開き、右手の指の腹でやさしく…”
旦那のイビキが規則正しいのを冷静に確かめながら、
急激に追い上げられる衝動を言い訳にして、
暗闇に慣れ始めた目を閉じて、
自分の両手の熱さを下腹部に感じる。
だいぶ慣らされてはいるけれど、相変わらず高ぶるのが早い。
濡れてもいない小さな主張を、優しくなでつける。
じわじわと高ぶる感情に任せて、指をうごかす。
あっという間に体がほてって、寸止めしたつもりなのに、奥がキュンとなって、胸が勝手にビクビクする。
しばらく放心するとやっぱり物足りなくなって、
薄れた罪悪感を払い除けた私はまた、冷静な現実ととろけた欲求の波をさまよう。