ねーねー郁乃はー?  
  今日は早退だってさ  
  そーなのかー  
  最近具合悪いとかなんとか…  
  そーいやそんなこと言ってたような…  
  んしょ…早く行こ? 遅れたらクロール2本追加だよー  
  んだなー  
キィ…バタン…ガチャ…  
 
…  
……  
………行った、かな?  
ガチャ  
「ふう…」  
 
あたしは進道郁乃。ここ、秩志雄高校の二年生だ  
水泳部に所属してるんだけど、最近はちょっと休みがち  
…え? 早退したんじゃないのかって?  
ワケあって、昼過ぎからここに隠れてたんだ  
「そう、こいつを楽しむためにね!」  
バッ、とカバンから引き抜かれた郁乃の手には、バイブの箱が握られていた  
ネット通販でなんでも買える時代に生まれて良かったー♪  
「よーし、早速スイッチON!」  
カチッ  
「…あれ?」  
動かない…なんで?  
「っかしーな?」  
カチッカチッカチッカチッ  
本体の裏に付いている電源のオンオフを繰り返すが、バイブはチン黙…もとい、沈黙している  
「家で試運転しておけばよかったかなー?」  
せっかく休日に我慢したのに…  
「うーん…」  
動かないバイブを手にウロウロすること数十分…  
「しょーがない、自分でするしかないか…」  
郁乃は付属のローションを適当に取り、バイブに塗りたくった  
「こんなもんかな? では早速…」  
 
  タッ、タッ、タッ、タッ…  
「と、ヤバっ!」  
ガチャッ!バタン!  
郁乃は慌てて自分のロッカーへと身を隠した  
  タッ、タッ、タッ…  
リノリウムの床に響いた足音が、部室に近づいてくる  
(ああもう、じれったいなあ…)  
  タッ、タッ  
足音は、部室の前で止まった  
(って、よく考えたらここって鍵かかってるじゃん)  
この時間に水泳部員が来るわけでもないし、足音アリで"した"方が興奮したなー  
なんて、郁乃が思った矢先  
ガチャ  
(えっ!?)  
鍵が開いた  
(遅刻者? 何をやっているのよこの部員は…)  
今自分のしている事を考えると、人の事をどうこう言える立場では無いのだが、郁乃は気にしなかった  
キィ、バタン  
  タッ、タッ、タッ…  
近づく足音は  
  タッ、タッ  
郁乃の入っているロッカーの前で、止まった  
(ちょ、なんでピンポイントに!?)  
驚く郁乃を更に驚かせたのは、足音の主の言葉であった  
「郁乃せんぱ〜い、中にいるんでしょ?」  
(え? な、なんでわかるの!?)  
「いやいや、出てこなくっても誰が中にいるかくらいわかりますって」  
郁乃の考えていることを見透かしているのか、的確に言葉を続ける声の主  
「いやだって、カバン置きっぱなしですし」  
「あ…」  
思わず、声が漏れた  
そういえば、長イスにカバンを置いたまんまだったっけ…  
ガチャ  
「はあ…」  
観念してロッカーを開け、言葉を続ける  
「で、なんであんたがここにいるのよ。汐」  
「いやー、はははー」  
古江 汐。あたしの家の隣に住む後輩だ。もとい、  
 
───  
 
「せんぱーい、待ってくださいよー!」 ←  
「あはは、早くしないと遅刻するよー」  
 
───  
 
こいつのことだ(自転車改造事件・最後を参照)  
 
「笑ってないでさっさと答える」  
「いやいや先輩、わたしが先輩を追っかけ回すのは、いつものことじゃないですかー♪」  
「そうじゃなくてさ…」  
品行方正、成績優秀…なんて秀才キャラのテンプレートに加え、  
こぢんまりとした体に似合う可愛らしい顔、それとは裏腹に大きい胸…  
そんな女に追いかけられるなんて夢のようだ! と思う人もいるかもしれない  
「ふふー、お答えしましょう」  
しかし神様は、どこかで人間の"バランス調整"を行っているらしい  
「我々天狗が、いつも先輩のことを見ているからですよー♪」  
汐は、世間一般でいうとこの"オタク"らしい  
「天狗ってあんた…」  
「あややややー♪」  
しかも重度。黙ってれば良い子なのに…  
「それで、何しに来たのよ?」  
「先輩にちょっと聞きたいことがありましてー」  
「…なによ?」  
「──手に持ってるそれ、なんなんです?」  
手に…?  
「っ!?」  
しまったー!  
「いや、これは、その…」  
慌てて本体を隠すが、汐が取り上げたのはカバンの隣に転がっていた箱だった  
「なになに、『オク衝く ナカ衝く そしてイく 絶頂達すと 潮を吹く』ですか…」  
アニメみたいなキャッチフレーズですねー、と汐はにこやかに微笑む  
「うぅ〜…」  
「あや、先輩のその表情、とっても可愛いですよ〜♪」  
手カメラでフレームを切る仕草。本物のカメラでないだけマシだが、郁乃にとっては堪らなかった  
「朝からご機嫌だったのは、これがあったからですねー」  
「な、何が…」  
「え?」  
「何が目的なの、よ…」  
「あ、なんだかエロ漫画っぽい台詞ですね♪  
 しかし目的、と言われましても…我々天狗は、ただ先輩のことを見守るだけですし…」  
また天狗。もうやだこの後輩…  
 
「でしたら、それ使ってみて下さい」  
「…え?」  
今、なんと?  
「ええ、今ここでバイブを使って下さい」  
「ここでってあんた…」  
「わたしのことは気にしなくてもいいですよ♪」  
どうぞいつものように、と汐は付け加えた  
「でも…そんな…」  
「あ、それでしたら、こういうのはどうでしょう?」  
まごまごしている郁乃の前に、汐がしゃがみこむ  
失礼しまーす、と言いながら郁乃のスカートをめくりあげ  
「ちょっ!!」  
…ようとしたが、チョップに制止された  
「な、なにするんですかぁ…」  
「それはあたしのセリフよ!」  
「わたしが代わりにしちゃおっかなー、なんて…」  
こう見えて結構すごいんですよ、と汐は続ける  
「嫌よそんなの! 一人でするわ!」  
「先輩、利根川先生みたいでかっこいいですー」  
「誰よトネガワって…んっ…」  
つつ、とパンツをずらし、動かないバイブを挿入する  
「んっ…」  
「あや、動かさないんですか?」  
「それなんだけど、実はこれ動かなくて…」  
「ってことは先輩、使用済みの不良品を返品するんですね?」  
「う…まあ、その」  
「ちょっと見せてもらっていいですか?」  
屈み込みながら近づく汐に  
「どさくさに紛れて近づくなっ!」  
「あ゙や゙っ!」  
再び郁乃チョップが炸裂した  
「いたぁ…」  
「いいからそこで見てなさい!」  
「先輩、見せる気マンマンですね…」  
「じ、自分から言ったくせに…」  
「わかりました、おとなしくしてますよ」  
「それでいいのよ…んっ…」  
ぬちゅ…じゅぽっ…  
「はあっ…はっ…んっ…」  
じゅ…じゅぽっ…  
「あやー……」  
後輩の前でこんなこと…。あたし、なにやってんだろ…  
「あっ…」  
「あや、どうしました?」  
「えっと、その…ちょっとトイレっ」  
昼食べてからずっとトイレ行ってないや…  
「個室までお供しますよー」  
「せんでいいっ!」  
 
  ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ  
   あははー、んでんでー?  
   そしたらさー…  
「「あっ」」  
水泳部員!? 部活が終わるには早すぎる!  
「隠れるわよっ!」  
カバンをロッカーに投げ入れ、汐を押し込む形で郁乃もロッカーに入った  
(ふぅ…)  
(あやや、先輩大胆ですね♪)  
(静かに!)  
  雨とか最悪ー  
  中止になったからいーじゃんかー♪  
ガチャ  
  あれ? 鍵開いてるよ  
  っかしーな、閉めたと思ったんだけど  
  閉め忘れじゃないかしら?  
  天狗だ! 天狗の仕業だ!  
(すごいですよ先輩、一人言い当ててる人がいます!)  
(天狗違いでしょ…ところであんた、どうやってここに入ったの?  
 部員が出て行ったときに鍵は閉められたはずだけど…)  
(ちょっと部室の鍵をお借りしまして、作っちゃいました♪)  
(はあ?)  
(河童には造作も無いことです♪)  
(河童、ねえ)  
天狗の次は河童…汐、確か泳げないよね?  
  みんな、念のため盗品が無いか確かめて  
  わかりましたー  
水泳部員は侵入者(と欠席した部員)に気付かず、持ち物検査を始めていた  
 
水泳部の部室にあるロッカーは、そこまで大きくない  
電話ボックス程度か、それよりやや小さいだろう  
そんな中、二人は息を潜めていた  
(先輩先輩)  
(何よ、あまり喋ると気付かれるわよ)  
(先輩って下の毛薄いんですね)  
(なっ…)  
(さっきバイブを出し入れしたときに、じっくり観察させていただきました♪)  
(あんた…後で沈めるわ)  
(無事に出られたらなんでもどうぞ♪)  
  みんな、無くなったものはない?  
  大丈夫でーす  
  ありませーん  
  よーし、それじゃ各自着替えてー  
(ロッカーの中に隠れて着替えを覗く。男のロマンですよね♪)  
(あんた女でしょ…)  
(気にしない気にしない♪ それともうひとつ…)  
(ん? っ!)  
つん、と汐は郁乃の膨らみをつつく  
(こうやって、声を出せない状況でするのもまた、男のロマンですよね♪)  
狭いロッカーの中、足場はカバンで埋まっている  
押し込まれる形で入った汐はともかく、郁乃の足場はカバンに取られており、身動きが取れなかった  
(ばかっ、やめなさい!)  
(大丈夫ですよ♪)  
  おー、お前また胸でっかくなったなー!  
  ちょっと、触らないでよっ  
  はは、あんたはぺったんこだね  
  な、なにをー!  
(少しくらい声が漏れてもバレませんって)  
(そういう問題じゃ…んっ…)  
(それそれ♪)  
(ちょっと、やめ…っ…)  
手のひらに丁度良く収まる郁乃の胸を触り、揉み、つついて楽しむ汐  
(先輩って胸弱いんですねえ、知りませんでした♪)  
 
(んっ!)  
執拗に胸を責められた郁乃は、思わず腰を落とす  
腰を落とした先には汐の足  
慌ててロッカーに入った二人は、ちょうど足が交互になるように立っていた  
(先輩、人の足に座っちゃダメですよ♪)  
(そんな、つもりじゃ…んっ…)  
どうにか立とうとする郁乃と、胸を揉む汐  
(やめなさっ…んっ…!)  
がくっ、と郁乃は再び腰を落とした  
(んっ…本、当に…や、め)  
太腿で汐の足を締め付ける  
(先輩、えっちですねー♪)  
汐は揉む力を強める  
(漏、れ…!)  
(ふふっ♪)  
汐が胸の突起をぴんと弾いた、その時  
(んんっ…だ、め…!)  
じょ、じょ、じょ…  
(あっ…んっ…)  
(先輩はしたな…え、おしっこですか!?)  
(誰の、せいよ…んっ)  
ちょろ、と最後の一滴が垂れ落ちる  
二人の足場は、郁乃からこぼれた液体でびしょびしょだ  
 
 
(はあ…はあ…)  
(……………)  
(な、なによ…)  
(せんぱい、もっとせめてみてもいいですか?)  
(は? ちょ、ちょっと、な…!)  
(やっ、やめっ…)  
突然、汐が足を押し上げる  
ぐっ、ぐっ、ぐっ  
(はっ、んっ、やっ)  
(せんぱいかわいいです…)  
汐の足の動きにシンクロするように、郁乃の口から声が漏れる  
(やっ、気付かっ、れるっ)  
  商店街に美味しいケーキ屋があるんだけど、みんなで行ってみない?  
  さんせー!  
  まま、待ってー!  
  ちょっとー、着替えるの遅いよー?  
  ゆっくりした結果がそれだよ!  
  もう、誰のせいよー…  
(そとはさわがしいからだいじょうぶです)  
ぐっ、ぐっ、ぐっ  
(ふっ、んっ、あっ)  
郁乃の息遣いが徐々に荒くなる  
ぐっ、ぐっ  
(んっ、あっ、はあっ…)  
あと一押しで声が漏れる、というところで汐の足は止まった  
 
(はあ…はあ…)  
(せんぱい、バイブうごかしますね)  
(だから、壊れて、動か、ない、って…)  
(でんちのところにあるかみ、ぬいてませんよね?)  
(あ、そういえば抜いてな…)  
"抜いてない"と言いかけた郁乃は、はっとした  
(ぬぬぬ抜いた抜いた! 抜いたのに動かないのよ!)  
(うそはだめですよせんぱい、まだはさまってるじゃないですか)  
汐は手探りで、スイッチの近くに挟まったままの絶縁紙を素早く見つけた  
(ダメ! それだけはダメ!)  
  着替え終わったよー♪  
  よーし、それじゃ行くぞー!  
外では最後の一人が着替え終えたのか、部室から出て行くところだった  
しゃっ  
ヴィヴィヴィヴィ!!  
(ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙!!)  
汐が絶縁紙を引き抜くと同時に、バイブが思い切り動き出す  
  なんだ今の声、やっぱり中に天狗がいるぞ!  
声を殺す郁乃だが、部員の一人が気付く  
(ん゙ん゙っ、ん゙ん゙っ!!)  
  なーに言ってるのよ、さっさと行くわよぺったんこ  
  誰がぺったんこかー! ってこら、引っ張るなー…  
幸い他の部員は気付いておらず、その一人を引っ張って部室から出て行く  
(せんぱい、もうだいじょうぶですよ)  
(ん゙ん゙ん゙ん゙っ!!)  
ジュジュ、ジュジュッ!  
「はああああああんっ!!」  
汐の膝の上で、郁乃は絶頂を迎えた  
 
「…ん」  
郁乃はいつの間にか、長イスの上で寝ていた  
「あや、起きましたか」  
汐はロッカーの中を雑巾がけしていた  
「いやほら、色々とかかっちゃいましたし」  
郁乃に問われる前に汐は答える  
「それにしても驚きましたよー、先輩がまた漏らしちゃうなんて」  
「また…?」  
「ほら、こないだ先輩の自転車を改造したじゃないですか」  
「あれ、あんたがやったんだ」  
「ええそうです。良い出来でしたでしょう? その時も公園のトイレ前で…」  
「へえ、なんで知ってるのかな?」  
「そりゃ先輩の後をこっそりつけていましたからね! 天狗はいつでも見えないところから先輩を見守ってますよ♪」  
「…つまり、あたしが漏らしたのも潮吹いたのもみーんな知ってるのね」  
「そりゃもう! 心のカメラにきちんと収めましたよ!  
 家の前で放心しちゃった先輩を運ぶのは大変でしたけど、とっても可愛かったですよ♪」  
「それじゃ、この後何をされてもいいって覚悟は出来てるんだ?」  
「はいは…はっ!?」  
「ふーん…」  
「せ、先輩。もしかしてあたし、なにか喋ってましたか?」  
「全部」  
「…えーと」  
「………」  
「うわーもうこんな時間、そろそろ帰らなk」  
がしっ  
「待ちなさいって」  
「ひ、ひえぇ」  
「なんて言ったかな、あんたの好きなアニメキャラの台詞」  
「あやー! 勘弁してくださいー!」  
「ああそうだ、思い出した」  
 
少し、頭冷やそうか  
 
 
その日、水泳部の部室から「アヤーッ!!」とかいう変な断末魔が聞こえたとか聞こえないとか  
 
 
おまけ  
 
「ふう…」  
一仕事終えた郁乃の表情は輝いていた  
「ん? これは…」  
「あやー、酷い目にあいました…」  
「…汐、これって」  
なんですかあ、とふらふらした足取りで郁乃に近づく汐  
「ええと、『何勘違いしている? まだ郁乃のバトルフェイズは終了してないぜ!』」  
「『(性的な意味で)』…だそうよ?」  
「…えーと」  
「「………」」  
「また近々、ね?」  
「なんですかそれー!?」  
 
 
進藤郁乃──高校二年生。バイブに夢中。胸が弱い  
古江 汐──高校一年生。天狗兼河童でカナヅチ。郁乃になんかされる、かも  
←To be continued…?  
 

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