「んにゅふ〜………」  
 ボクはゆっくりと寝返りをうった。自分のニオイが染みついた、あ  
たたかくてやわらかい寝床。あ〜、シアワセ〜。  
 ん〜、もう、お昼過ぎくらいかな? でも、昨日は遅くまでアイツ  
と遊んでたから、もうちょっと寝てたいな……  
「とえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いっ!!」  
 ドスン!  
「ぐえぼぉっ!」  
 突然おなかに大きな何かが落ちてきた。  
「げぇほ、げほっ………」  
 激しくむせ返る。く、口からおなかの中身が飛び出すかと思ったぞ。  
「きゃはははは〜っ、そんなカッコで寝てるからだよぉ〜っ!」  
 ボクのおなかに乗っかってコロコロと響く声で笑う。わわわ、笑っ  
てる場合じゃねーだろ〜っ!  
「オマエな〜っ! あそこから飛び降りたのか!? ものには限度っ  
てもんがあるだろーが!」  
 思わず逆上したボクは、コンニャロを振り落としてキバを剥く。  
「やあ〜っ、ゴメン! ゴメン! ゴメンってばあ!」  
 
 噛み付こうとして相手を押さえつけようとするが、相手も必死で振  
りほどく。手足もシッポも振り回し、上になり下になり、どったんば  
ったん大暴れ。  
「ゴメン、もうしないから、許してぇ〜……ふえぇぇぇん」  
 とうとう泣き出してしまった。ボクの動きが止まる。……ううっ、  
コイツの涙には弱いんだよなぁ。  
「ゴメン、おにぃちゃん、ゴメン……えぐっ……」  
 ………。  
「あー。わかったわかった、もうあんなことすんなよ」  
 コイツが顔を上げた。涙を浮かべたまま、笑顔になった。  
「うんっ、わかった! もうしない!」  
 そう言って、コイツがにっこり笑った。それを見て、ボクはムネが  
「きゅん」となった。―――最近、よくこの感覚に襲われる。何だろ  
う、この感じ。  
 
 
 ボクは「ネズミ」というらしい。もちろんコイツも「ネズミ」だ。  
ボクはコイツとふたりで暮らしている。物心ついたときには、ボクた  
ちはふたりだった。ボクは覚えていないけど、コイツが言うには、ボ  
クらは「キョウダイ」らしい。だからコイツはボクを「おにぃちゃん」  
と呼ぶんだ、と。ボクはというと、コイツの事は「オマエ」とか「コ  
ンニャロ」とか、適当に呼んでる。どう呼んだって、ここにはボクと  
コイツしかいないんだし。  
 
 
「ねぇ、おにぃちゃん、遊ぼ遊ぼ!」  
「昨日あんなに遊んだばっかじゃないか」  
「オニゴッコしようよ! あたしがオニだよ! え〜〜いっ!」  
 どっすん!  
 コイツがいきなり飛びかかって抱きつく。そのままふたりとも倒れ  
込んだ。  
「つっかまえたぁ〜っ!」  
 抱きついたまま、勝利宣言。そのとき、コイツのニオイが鼻をくす  
ぐった。いつもと何かが違う感じ。何だろう。ムネがムズムズするよ  
うな。  
「こんどはおにぃちゃんがオニだよっ!」  
 たッ、と駆け出す。  
「あ、待てコラっ!」  
 あわてて追いかける。コイツはちょっとこっちを振り返ると、また、  
一目散に逃げ出した。ボクはその後ろ姿を追う。躍動する腰。揺れる  
シッポ。そして、あのニオイ。何だろう。ドキドキしてきた。無性に  
コイツに抱きつきたい。  
 コイツが方向を変えようとしたとき、ボクは思いっきり地面を蹴っ  
た。体当たりしてコイツに抱きつく。ふたりは絡まったままコロコロ  
と地面を転がった。止まったときには、ボクはコイツの上に乗っかっ  
てコイツの腰に抱きついていた。  
 
「あははははっ、つかまったぁ!」  
 ボクの足の間で、コロコロと笑い声。笑い声でおなかが震えるのが  
合わさったボクのおなかにも伝わる。ボクの目の前には、コイツの股  
間。そして、あのニオイ。ニオイは、コイツの股からニオってるんだ。  
喉を灼くような、胸を焦がすようなニオイ。  
 スーーーーーーーーーっ  
 ボクは、ムネいっぱいに、そのニオイを吸い込んだ。  
 どくん どくん どくん どくん………  
 ムネの鼓動が大きくる。  
 ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……  
 息が苦しくなった。  
「どうしたの? こんどは、またあたしがオニだよ?」  
 ―――ダメ。離さない。腕をぎゅっと強く抱きしめて、顔を股間に  
押しつける。鼻先に当たるそこは、ほんのりと熱かった。  
「ひゃああ、な、何? ……新しい遊び?」  
「う……うん………」  
 声を絞り出すようにして答えた。コイツは、遊びと聞いて、黙って  
ボクが何かするのを待ってるようだ。  
 スーーーー、ハーーーー、スーーーー、ハーーーー……  
 息をするたびに、ムネが熱くなる。体の中に渦巻く衝動がどんどん  
大きくなる。ボクはその衝動の赴くままに、コイツの股間の茂みをか  
き分け、そこにひっそり息づくスリットに舌を当てた。熱い。  
「やだ……おにぃちゃん、くすぐったい」  
 
 どうしたんだろう。コイツのココが気になって仕方がない。広げて  
みたり、なめてみたり。あれこれするうち、スリットの中がちょっと  
湿ってきた。あのニオイもどんどん強くなってきた気がする。  
 じっと黙っていたコイツが口を開いた。  
「おにぃちゃん、何かヘンだよ。……そこ、アツいの。それに、おに  
ぃちゃんのここからいいニオイがして、頭がぽわぽわする。……ねぇ、  
あたしも、ここ、なめていい?」  
 ボクが答えるより先に、あたたかい舌がボクのオチンチンに触れた。  
「………んッ」  
 思わず声が出た。しびれが腰まで突き抜けた。ひくん、と、オチン  
チンが跳ねた。  
「ひゃっ……。ねぇ、おにぃちゃんのここ、前からこんなに大きかっ  
たっけ? 前からこんなに熱かったっけ?」  
「え……? あ、ホントだ。大きくなってる……」  
「大丈夫? 痛くない?」  
 そう言って、コイツは、今度は口に含むようにしてオチンチンをな  
めた。  
「あうッ……」  
 また、しびれが走った。今度はシッポの付け根までしびれた。  
「あっ、ごめん、痛かった?」  
「……ううん、キモチイイ」  
「なんだぁ、よかった。……ねぇ、あたしのもなめて。あたしも、こ  
こ、キモチイイ」  
「うん」  
 
 ボクはまたコイツのスリットをなめる。コイツはボクのオチンチン  
をなめる。しみ出てくるスリットの味で、アタマの奥がじんじんとし  
びれてくる。ボクのオチンチンを、アツくてやわらかいコイツの舌が  
這う。たまに、さきっぽがあたたかい口に包まれる。オチンチン、キ  
モチイイ。なんだか、モーローとしてきた。  
「おにぃちゃん、キモチイイ? あたし、ここがすごくキモチイイよ」  
 コイツがスリットを指して言う。  
「うん、ボクもオチンチンが、すっごくキモチイイ」  
 ボクは、おなかの奥に、熱いものがたまってきてるような感じがし  
ていた。  
「ねぇ、あたしのここと、おにぃちゃんのここ、くっつけてみようよ。  
きっと、もっとキモチイイよ」  
「うん」  
 ボクも、そうするコトがとてもキモチ良さそうに思えた。体の向き  
を変えて、コイツに覆いかぶさる。そして、おなかとおなかを、ゆっ  
くりと合わせた。オチンチンがコイツのおなかの毛皮にこすれた。あ  
あっ、キモチイイ。  
「おにぃちゃん、キモチイイのはそこじゃないよ、もっと下だよ」  
 え? もっと下? こ、こうかな? ボクは腰をずらした。オチン  
チンがコイツのおなかをなぞる。  
「あっ、もっと、もう少し下……そこ、ああんッ!」  
「うあッ!」  
 
 オチンチンのさきっぽが、毛皮を割って、アツくて湿ったところに  
触れた。アツさがきゅ〜っと、オチンチンからシッポの先まで走り抜  
けた。すごい、すごい、キモチイイ。もっと、もっと。ボクは腰を振  
って、オチンチンをコイツのアツいところにこすり付ける。さきっぽ  
が、ぬるぬるとアツいところを滑る。  
「ひゃっ、ああっ、きっ、キモチイイよぉ、おにぃちゃぁん……」  
 コイツが鼻にかかった声で鳴く。  
「ボクも……ッ、す、すごい……キモチイイッ!」  
 ダメ、もっと、もっと……! いつしかボクは、腰をコイツに打ち  
付けるように動かしていた。  
 
 にゅるんッ!  
「あはあッ!!」  
「んくッ!?」  
 
 ものすごい感覚に、ボクの動きが止まった。突然、オチンチンぜん  
ぶが、アツくてせまくてやわらかい何かに包み込まれた。  
「んああああああああ〜〜〜っ!!」  
 コイツが大きな声で鳴いた。さ、刺さっちゃった! オチンチンが  
コイツに刺さっちゃった!  
 
「わわわわっ、ごめん! 痛いっ!? だいじょうぶっ!?」  
 あわてて腰を引こうとする。  
 がしっ!  
 コイツが両足でしがみつくようにして、それを阻んだ。  
「ダメっ! このまま――――あああ〜っ」  
 さらに、両腕でボクにしがみつく。ぶるぶる震えてる。  
「すごいッ――――キモチイイっ、すごいッ!!」  
 コイツが叫んだ。そうか、キモチイイんだ。ほっとして、ボクもコ  
イツを抱き返す。  
 あったかい華奢な体が、ボクにしがみついて震えてる。コイツのニ  
オイが心地いい。コイツの中にボクのオチンチンが入ってる。コイツ  
にオチンチンが包み込まれてる。  
「ンっ、ン―――っ」  
 きゅうう〜っと、オチンチンの根元が締め上げられた。  
「うあっ」  
 コイツが腰を動かす。ゆっくりと引き、また押しつける。オチンチ  
ンが出入りする。さきっぽが、コイツのやわらかい肉を押し割る。締  
め上げられた根元がしごかれる。  
「あ、くあぁっ―――んくッ」  
 おなかの奥にたまったアツい何かが、どんどんふくれ上がる。何か  
が、爆発しそう。それに突き動かされるように、ボクも腰を打ち付け  
る。  
 
 じゅぷっ、ぐちゅっ、にちゅっ―――  
 腰を動かすたびに濡れた音が響く。コイツのそこが、ボクのオチン  
チンに吸い付く。  
「ああン……ンはあっ、はあぁッ……」  
「うンッ……くうッ、くあぁッ………」  
 ふたりの声が重なる。ボクのおなかのアツいものが、だんだん下に  
降りてくる。オチンチンの根元へ集まってくる。  
「ああっ、何か……出る、出るよぉッ」  
「あたし……も……いく……どっか、いっちゃうぅッ!」  
 限界までふくれ上がった何かが爆発すると同時に、ボクは大きく腰  
を打ち付け、さらに突き上げた。オチンチンが、コイツを押し割り、  
奥深くめり込む。その奥の奥で、オチンチンが爆発した。  
「くううっ! 〜〜ッ!! 〜〜〜ッ!!!」  
 びゅくっ! びゅるるっ! びゅるるっ!!  
 アツい何かが、おなかから、オチンチンを通って、コイツの奥に注  
ぎ込まれる。  
「かはぁ―――――――――――――――――ッ!!!」  
 コイツが、弓なりにのけぞる。暴れるオチンチンから、アツいもの  
を絞り取るように、根元からさきっぽへと締め上げる。オチンチンは  
それでも暴れるのをやめず、アツい何かを注ぎ込み続ける。  
 
 びゅるるッ、びゅっ、びくん、びくッ………  
 きゅっ、にゅきゅッ、にちゅっ、ちゅッ……  
 お互いに強く抱きしめ合ったまま、息を止めて、痙攣するお互いの  
腰を押しつけ合う。だんだん、お互いのびくびくが弱くなっていく。  
 
 ―――――――――――――――。  
 
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」  
 ボクは大きく息をはいて、コイツの隣に横になった。コイツは、目  
だけでボクを追う。  
「…………………………………………」  
 トロンとした表情で、コイツが顔をこっちに向けた。  
「……………ねぇ、おにぃちゃん」  
「ん?」  
 満面の笑顔が広がる。  
「………だぁいすき」  
 ボクも、嬉しくなった。黙ってコイツを抱き寄せる。お互いのぬく  
もりを感じながら、目を閉じた。まどろんでいく。  
 ―――あ〜、シアワセ〜。  
 
 
 
「ねぇ、これまだ食べちゃだめニャ?」  
 猫耳少女が、ケージに掛けられた覆いの布をめくり、中でスヤスヤ  
眠っているネズミのつがいを覗き込んで聞く。  
「ダメダメ、それはやっと交尾したばっかなんだから、もうちょっと  
置いときなさい。そしたら、すぐに増えるからね。今日のゴハンは、  
そっちじゃなくて、こっちのネズミよ」  
 飼い主は、そう言いながら、別のケージから、まるまる太ったネズ  
ミを一匹、シッポをつまんで引き上げる。ネズミは宙吊りでじだばた  
暴れるが、どうする事も出来ない。  
「ニャア〜、ごはんごはん!」  
「いくぞ、それっ!」  
 ネズミを宙に放り投げる。ネズミが空中でもがく。猫耳少女は、体  
を丸め、目を輝かせてその動きを追う。投げ上げられたネズミが、落  
下へと移ろうとする、その瞬間。猫耳少女の体がしなやかに伸び上が  
り、宙に舞った。  
 
 ガブッ!  
 
                             -END-  
 

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