「朝―――――――――――!!!  
 起きろー!! おーきーろぉ―――――――――――――!!!」  
 けたたましく朝を告げる声が階下から飛んできて、耕一は目を覚ました。もそもそと布団から出て廊下に出ると、朝飯のいい匂いが鼻腔をくすぐる。  
「ふぁぁぁぁぁぁ……おはよ」  
 あくびを手で押さえつつ耕一が言うと、妹のあんずが台所からきっと睨みつけてきた。  
「遅いっ! もっと早く起きてっていつもいってるでしょっ!!」  
「俺が早起きなんて、家が火事になってもしねーよ」  
 とぼけた耕一の台詞に、あんずは噴出した。  
「ちょっと止めてよ。想像しちゃったじゃない。  
 家が火に巻かれてるのに、私が『起きろー』って叫んでたりして」  
「はははっ。ありえそうで怖いな」  
 と、耕一も噴出した。  
「よし、完成。食べよ食べよ」  
 とん。と山盛りの野菜炒めが入った皿をテーブルに置いて、あんずも席に付いた。  
   
 耕一たちの両親は用事で泊りがけで出ていた。夏休み中で、時間的に余裕がある耕一たちはそれほど気にしてなかった。あんずは部活があるので、朝はいつも忙しそうなのだが、今朝は様子が違っていた。  
いつもは制服の上からエプロンを着ているのだが、今日は寝巻きのままだった。表情にもどことなく余裕が見られる。  
「今日は部活休みなのか?」  
 と、耕一が問いかけると、案の定あんずは「うん」と頷いた。  
 耕一とあんずは二人兄妹。耕一が十七歳であんずは一つ下の十六歳だ。  
 あんずは髪こそボーイッシュなショートカットだが、くりっとした目に小さな鼻と口、いつも笑顔の愛嬌のある表情からは、容易に柔和な女性を感じさせる。身長は155cmと平均的で、等身が優れているのか、すらっとした体型で、綺麗に伸びた脚が特徴的だ。  
 女性の肉は、特に発育が良いという訳ではないが、平均的には十分に身につけていた。  
 陸上部のホープで、いつも健康的に日焼けしているあんずは、化粧っ気は皆無だが、代りに輝く陽光のようなシンプルな美しさと、エネルギッシュな魅力に満ち溢れていた。  
 加えて、家庭的な面があり、料理は勉強中なものの上手い方だろう。世話焼きで、何だかんだと言いながらも進んで家事をこなすタイプだった。  
 そんな妹を耕一はいやらしい意味ではなく、純粋な好意を持っていた。「あいつと付き合う奴は絶対得だよな」と、よく考えたりした。  
 ちなみに耕一は容姿も学力もスポーツも、全て平均的。趣味は読書、ゲームとやや引き篭もりがちな人間である。  
 
 
--------------  
 
 
 朝食を終え、部屋に戻った耕一は、何をするともなくごろりと床に寝転がった。  
(あぁ、至福だ。一生夏休みが続けばいいのに……)  
 と、自堕落な生活に浸りきってるそこ、コンコンとドアをノックする音に耕一は身を起こした。  
「お兄ちゃん、入るよ」  
「ああ、いいよ」  
 耕一が答えると、遠慮がちにあんずは入室した。ずけずけと他人の距離に割り込んでくるタイプのあんずでも、さすがに年頃になると兄の部屋に入るには確認を取るようになった。  
 実際、今まで何度も着替えの場面に遭遇したりとかもあったのだが。  
 あんずは白地にワンポイントが付いたTシャツとショートパンツという格好だった。小麦色の手足が綺麗にすらっと伸びていて、思わず耕一は目を細める。  
 あんずは無言で耕一の隣に触れそうなほど近く座った。甘くもあるが、日焼けして陽光を吸収したかのような、健康的な女性の香気が耕一の鼻腔をくすぐった。  
(何かあったのかな?)  
 と、耕一はちらりとあんずの横顔を盗み見る。あんずがこうして耕一に接近してくるのは、相談事がある時と相場が決まっている。  
「お兄ちゃんってさ、エッチした事ある?」  
「な、何言ってんだよ!!」  
「ある訳ないか。お兄ちゃん、彼女どころか女友達もいないもんね」  
「う、うるさいな……お前だって似たようなもんだろ?」  
「私は彼氏いないけど、友達くらいいますよーだ。告られた事だって何度もあるし」  
「へ……そ、そうか。よかったな」  
 と、平気なふりをする耕一に、あんずはくすくすとあんずは笑う。  
「別にどうでもいいんだけどね。私の彼氏は陸上だし。  
 でもねぇ、皆彼氏作って遊んでるのに、私だけストイックに部活やってるのも馬鹿らしいって思う事もあるよ。美紀とか、しょっちゅう部活サボってるし」  
「あはは。あの子はサボってそうだよな。  
 そんな事気にするなよ。何といっても、お前は選手に選ばれたどころか、女子のエースなんだしさ。頑張ってる分、結果だしてるだろ」  
「そーなの! 美紀もサボらなければ結構いい線行くと思うのに。他にもそういう子一杯いるよ」  
 耕一はうんうんと頷きつつ、熱っぽく語る妹に目を細めた。真っ直ぐで、ガッツのあるあんずは輝いていると、いつも耕一は思っていた。  
「でも、ちょっと羨ましいかな……」  
「まぁ、好きな奴が出来てから考えればいいんじゃないか? 好きでもない奴と付き合って、後になって後悔するってよく聞くだろ。何でこんな奴と付き合ってたんだろって」  
「だから、私は恋愛より部活なの。それに、好きな男の子はお兄ちゃんだし――」  
「へ?」  
 間の抜けた声を上げる耕一の手を、あんずはぎゅっと握った。その手は全力疾走した後のように熱を帯びていた。  
 
「言っとくけど、別にお兄ちゃんに惚れてるって意味じゃないから。  
 お兄ちゃんって、優しいし、ホッとできるっていうか、安心するんだよね」  
「んん? 言ってる意味がよく分からないぞ。兄として好いてくれるのは嬉しいけど、それと恋人は別だろう?」  
「だから、私はまだ恋愛する気はないの。ただ、そういう男女の……エッチとかに興味があって、そういう相手にならお兄ちゃんがいいなって」  
(つまり、手ごろな相手って訳か……)  
 心の中で憮然と呟く耕一。確かに兄妹で恋愛感情なんて持てないけど、異性として意識するには格好の相手ではあるな、と続ける。  
「お兄ちゃんなら口は堅いし、優しくしてくれそうだし、裸になってもあまり恥かしくないしね」  
 あっけらかんと言うあんずに、耕一は苦笑した。  
(要するに安牌って訳だ。セックスフレンドとして)  
「お兄ちゃん♪」  
 と、あんずは甘えた声を出して耕一の膝の上に乗ってきた。と言っても、さすがに十六歳となると重くて辛いので、実際は耕一の股の間にあんずのお尻がすっぽり嵌ったような状態なのだが。  
 あんずの後ろ髪が耕一の鼻に触れた。女性のいい匂いが鼻腔をくすぐると、耕一の股間は一気に充血し、棒が硬直して上を向いた。  
「んっ……」  
 切ない声を上げるあんず。勃起した肉棒が、あんずの尻に密着し、圧迫した。  
 耕一は後ろから手を回し、ぎゅっと抱きしめる。あんずの身体はもう熱く火照っていた。  
「もう熱くなってる……知らないうちに、Hな身体になってたんだな……」  
「やだ。私はもう十六なんだからね。  
 それに、お兄ちゃんなんて、たまに私が脱いだ下着、漁ってるじゃない。お兄ちゃんの方がエッチですっ」  
 と、いたずらっぽく言うあんずに、耕一は顔を真っ赤にする。  
「い、いや、たまにだぞ。そんないつもいつもじゃないからな!」  
「どっちでもいいよ。これからは、私とエッチすればいいんだしね」  
 言って後ろにもたれかかるあんず。首筋に顔を埋めつつ胸元を見ると、だぶついたTシャツの隙間から、白いブラに包まれた乳房が見える。シャツの中は、日に焼けた腕と違って真っ白だった。  
 耕一はシャツ越しに胸を掴んで揉み始めた。  
「うんっ」  
 甘い声を上げるあんず。  
 妹の甘い喘ぎに耕一は、おっぱいを揉む手に力を込めた。どこまでも柔らかく、かつ弾力のある感触が官能的に欲情をそそる。あんずも顔を桜色に染め、兄の愛撫を享受していた。  
 が、不意にあんずは耕一の手を振り解き立ち上がった。  
 ぽかんと見上げる耕一に、あんずは蕩けきった顔を向けて、  
「ねえ、もう我慢できないよ――しよっ」  
 言うとあんずは服を脱いで、あっという間に一糸纏わぬ姿になった。  
 
ぼーっと眺めていた耕一だったが、ぱさりと投げ捨てられたパンティに濡れたしみを見つけると、勃起しているはずの肉棒が、さらにぎゅっと充血するのを感じた。  
「ふふっ」  
 享楽的に笑って布団に潜り込むあんずに、耕一も無邪気に笑いつつ続いた。  
 それは、エロティックでありながらも、幼い兄妹がはしゃぎながら同じ布団に入る時の表情に似ていた。  
 そして、耕一はあんずを下に組み敷き、身体を密着させた刹那、全身で感じる女体の感触に喜悦した。  
それは、心で感じるものではなく、身体で感じる喜びで、妹の滑らかな肌触り、柔らかい女肉に官能的にくすぐる産毛、硬くしこった乳首――  
 そういった感触全てに耕一の肉体から喜びが沸きあがってきた。  
 それはあんずも同じだった。  
 圧倒的な触感に、兄妹という意識は吹っ飛んでいた。ただ、欲情した雄と雌がそこに居た。  
 ことに、あんずの肉欲は凄まじいものがあった。鍛えられた身体は溢れんばかりのエネルギーを生み出し、それはスポーツのみで昇華しきれるものではない。  
 しきれないが部のホープという意識が恋愛等を拒み、ずっとわだかまり堆積してきた。それが、兄というはけ口を得たのである。  
「お兄ちゃんっ――好き、好き、好きいっ。私をめちゃくちゃにしてぇっ」  
 蕩けきった顔で言うと、あんずは兄の顔を掴み、唇を重ねた。強く唇を押し付けるだけのキスだった。  
 耕一は上手く頭を移動させて隙間を作ると、さっと舌をあんずの口腔に侵入させる。すると、あんずはすかさず自分の舌を絡めてきた。  
 ヌルヌルの唾液とザラついた舌の感触が官能を引き起こす。火がついたあんずは逆に耕一の口腔へ思い切り深く舌を突っ込み、激しい舌使いで掻き回した。  
 唾液が口の端から零れ、くぐもった声が漏れるのもかまわず、兄の口腔を思い切り犯し、すっぽんのように吸い付いて甘い唾液を啜った。  
 面食らったのは耕一だった。あんずのエネルギッシュなのは知っていたつもりだが、家庭的で世話焼きな普段の女性像から、こんな淫乱な姿はとても想像が付かなかった。  
 あんずにしてみれば、この痴態は兄にだから出来るものだった。仲が良く、幼い頃から良い所も悪い所もさらけ出してきた兄妹の信頼感があんずにそうさせていた。  
 ――ふと、耕一は反撃と手をあんずの股間に持っていき、熱く湿った秘穴に指を挿入した。  
 ある程度の所で抵抗を感じると、あんずはびくんと身体を大きく震わせ、口を離して呻いた。  
 耕一は指で入り口付近の膣壁をなぞり、秘豆を指の腹で転がすと、あんずはすぐ蕩けた顔に戻り、甘い喘ぎを上げる。  
「ああん――気持ちいいよ。お兄ちゃん気持ちいいよぉ……」  
 あんずは四肢を投げ出してただ兄の愛撫を感じていた。トロトロの愛液が溢れ、耕一の手を濡らす。  
 ベトベトになった股間が弄られるたび淫靡なBGMを奏でるようになったとき、ヒクッと陰唇が蠢いたかと思うと、秘穴の入り口が広がった。  
 瞬間、耕一の獣性に火が付いた。耕一は急いた様子で妹の上に被さると、太ももを開いて股の間に侵入した。  
「――入れるぞ」  
「うん――」  
 小さくあんずは答えると、虚ろな表情で天井を見上げた。  
 耕一は肉棒を秘穴にあてがい、ぐっと腰に力を入れる。  
「――っ!!」  
 刹那、あんずは声にならない叫びを上げ、ぎゅっと顔を歪める。  
 
「大丈夫か?」  
「うん。平気」  
 小さく言って笑うあんず。どこか寂しげなのは、純潔を失った喪失感からだった。  
 しかし、抽送が始まると、甘酸っぱい感傷は頭の中から綺麗に吹っ飛び、代わりに女性の喜びがあんずを満たした。  
 初めて男を迎え入れる膣内を、内側からぐいぐいと擦られ、破られたばかりでまだ神経が残っている処女膜の残骸が抽送の度に痛みを発するが、それを上回る肉欲の喜びが奔流のように押し寄せてくる。  
「あっ。はっ。はっ。はっ――  
 お兄ちゃんが入ってる……私の中におちんちん入れてるぅ――」  
「うんっ。あんずの中に入れてる――あんずの中、ヌルヌルでぎゅうぎゅうで気持ちいいっ」  
「私も気持ちいいよ。お兄ちゃんのおちんちん、気持ちいいの」  
 甘く切なく言うあんずの台詞に、耕一の肉棒がさらにぎゅっと充血する。と、あんずは「はっ」と息を切らした。  
(あんずが感じてる……俺のを入れられて感じてるっ)  
 耕一は抽送の速度を上げた。悪友と見たアダルトビデオの男優のように、激しく腰を打ち付けていた。ビデオを見ていた時には、「あんなに早く腰を動かせるものなのか?」と思っていた耕一だったが、  
 それに負けない速度で、自然な形で腰をグラインドさせていた。  
 パンパンパンパンと腰を打つ衝撃音が、あんずの、ハッハッハッと打ち付ける度に押し出される吐息と相まって、淫靡なBGMを形成していた。  
 それは、兄が妹に欲情の杭を打ち込み、妹は兄の棒を涎を垂らして迎え入れているという事に他ならない。  
 耕一とあんずは、兄妹でありながらセックスに喜んでいた。  
 やがて、耕一は熱い塊を精通管に感じたかと思うと、思い切りあんずの中に込み上げた精を放出していた。  
 
   *   *   *  
 
「あんず……ごめん……」  
 精を最後の一滴まであんずの中に搾り出した後、ぐったりと耕一は崩れ落ちて言った。  
「ん? なにが?」  
「止められなかった。やっちゃった」  
「私がしよって言ったんじゃん」  
「そうだけどさ」  
 言いつつ耕一はごろりとあんずの横に寝転がった。  
「うふっ」  
 無邪気な笑顔で耕一に寄りそうあんず。耕一は優しくあんずの髪を撫でた。  
「あんずと寝るのって、小学生の時以来だよな」  
「うん。確かお兄ちゃんが中学生になってから止めたんだったよね」  
「あんずが『お兄ちゃんと一緒に寝る』って言ってたんだよな」  
「なによぉ」  
 からかい気味に言う耕一に、あんずが口を尖らせる。  
「あははっ」  
 と、耕一はあんずの頭を抱きかかえると、あんずは耕一の胸に顔を埋めた。  
 ――そうして小一時間が過ぎた。  
 ふと、身体を起こしかける耕一に、あんずがすかさず飛びつく。  
「もうちょっと――ていうか、もう一回、しよ」  
 甘い声で言って身体を擦り付けてくるあんず。  
 耕一は苦笑して、「何が?」ととぼけようとしたそこ、あんずの唇が耕一の口を塞いだ。  
 
 
 
 

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