「ユウ、どこの部屋にするの?あたし疲れてるんだから早くしてよ!」
「あ、うん・・じゃあ・・・えっと・・・」
ラブホテルの部屋を決めるディスプレイが赤色のライトに輝く。
「じゃあ・・・ここかな」
僕が指差したのはSMルーム。
ミキがハァ?とした顔で僕を睨む。
「あのね、言っておくけどあたし、SMなんて絶対しないからね」
「うん・・・わかってるよ」
ミキが僕を置いて先に部屋へ向かった。
その後ろ姿を見つめる僕の顔は・・・微笑んでいた。
気持ち悪いくらいに。
このけだるい惰性の関係に、刺激を与えられる。
もう少し、もう少しで・・・。
「クッ・・・ククッ・・・」
こらえきれずに笑いがこぼれる僕を、
部屋から出て来たカップルが気味が悪そうに見ていた。
「ユウ、コーヒー入れて。砂糖はいつも通り多めにね」
ミキが寝転がりながら命令した。
僕は重い腰を上げて、コーヒーを作り始めた。
当のミキは煙草を吸いながら、ファッション雑誌をだるそうに読んでいる。
「はい、どうぞ」
「・・・」
ミキは無言でコーヒーを受け取り、ずず・・と音を立てて飲む。
いつもの事だ、何をしても「ありがとう」なんて言われた事が無い。
まあ、いい。
今日という日が訪れてくれただけでも十分だ。
ウトウトとしだしたミキを見ながら、
僕はまた口元が緩みだした。
素晴らしい。
この気の強い女が、このような格好をするなんて。
僕の目の前には、全裸のミキが四つんばいになっている。
両腕は背中に回されて手錠をかけられており、
両足はベッドにロープでくくりつけてある。
あとはミキを起こすだけ。
この状況を見て、どんな反応を示すだろう。
それを考えるだけで、僕の体は歓喜に震えた。
「ミキ、もう時間だよ・・・起きて」
僕はミキの体を揺らした。
「う・・・ん・・・!?」
ミキの目がぱっと開いた。
自分の置かれている状況に、少し混乱しているようだ。
「さ、時間だよ、ミキ・・・」
「ちょ・・・バカ!ユウ、何考えてるんだよ!」
ミキは必死に体を動かしている。
クモの巣にかかった蝶とは、この事を言うんだろう。
「くそっ!ほどけよ、ほどけよっ!」
「だ〜め」
僕はミキの目にアイマスクを被せた。
視界を遮られた蝶は、聴覚だけを頼りに僕に叫びかける。
「こんな事して、後でどうなるか分かってんのか!ユウ!」
「うるさいな」
僕はミキのお尻を平手打ちした。
パーンと威勢のいい音が部屋に響き渡った。
「聞き分けの悪い子は、こうしないとね」
僕はミキのお尻を叩き続けた。
だんだんと白い肌が赤く染まっていくのが分かる。
「痛い痛いっ!やめてっ!」
僕は手を止めた。
「ごめんなさい・・・は?」
「なっ・・・だ、誰が言うかっ!!」
「そう・・・まだそんな態度とるんだ・・・」
僕はゆっくりと立ちあがり、壁に歩きだした。
そして壁に掛けてある、黒光りする革の鞭を手に取った。
鞭を大きく一振り。
さっきの平手打ちとは比べものにならない程の音が響いた。
「きゃあああぁっ!!?」
あまりの痛みにミキは体を仰け反った。
お尻にはミミズ腫れのような赤い線が4、5本できている。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃ・・・」
ミキが念仏のように「ごめんなさい」と言い続ける。
今まで僕に一言も「ごめんなさい」と言った事が無いミキが・・・。
「あ・・はは・・・あはははは!!」
僕はとうとう堪えきれなくなり、大笑いした。
こんなに、こんなに楽しい事は久しぶりだ。
生意気な女を従わせるのがこんなに楽しいとは。
「ううぅ・・・」
ミキの口から嗚咽がこぼれる。
アイマスクがほんのり湿りだした。
「ミキ、泣いてるの?可哀想にねぇ・・・」
「あ、あんたが・・・・・ひっ!?」
僕は可哀想なミキの為、体中を愛撫してやる事にした。
まずは、背中。
舌で背骨を沿うように舐めて行く・・・。
そして次は脇腹をくすぐるように舐め始めた。
「ひいっ・・・あっ・・・んぅっ・・・」
僕は一心不乱にミキの体を舐め続けた。
「もぉ・・・やだぁぁっ・・・」
一時間は経っただろうか。
僕が舐め続けたミキの体は涎まみれ。
でも口と秘部だけは舐めていない。
なのに・・・口と秘部は既に涎まみれ。
「どれどれ」
僕はミキのアイマスクを外した。
さっきまでの強気な目つきは変わっており、トロンとした虚ろな目つきだ。
「ユウ・・・」
子犬のような瞳が僕を見上げる。
僕はとびっきりの笑顔をミキに見せてあげた。
でもミキにはそれが余計に恐いみたいだった。
「犬・・・」
「え?」
「ミキ、君は僕の犬だよ・・・」
ミキの顔がかっと赤くなる。
「違うっ!あたしはあんたの犬なんかじゃない!それに、あんたとはもう別れる!」
僕はミキの脇腹を軽く蹴った。
ミキの体はコロンと転がり、仰向けの形になる。
手は後ろに回されて手錠を掛けられているので、大きな胸が余計に目だつ。
僕は右手でテーブルに置いてあるミキのライターを持った。
そして、左手には・・・蝋燭。