「ふ…ふぅ、はぁっ…ん…」  
 
下半身から湧き上がる感覚が  
ゾクゾクとするものからズキズキするものに変わった  
 
目の前の鏡に写る乱れた巻毛の間から  
あたしの髪よりはるかに明るい毛先を散らせ  
執拗にあたしの首筋に舌を這せる  
 
「セーンセ? 顔上げなよ」  
「…んっ…っ」  
「顔上げなってば、自分の顔ちゃんと見なきゃ…」  
 
少し顔を上げ、霞む視界に意識を傾ければ  
目を背けたくなるような自分の姿と楽しそうに笑う自分の生徒  
 
 
******  
 
 
この夏が勝負…かぁ  
 
大学受験を控えた高校生が、高校最後の夏を嘆く気持ちが少しわかる気がした  
 
高校最後の夏を遊び倒したお陰で教師になれなかったあたしが  
今になって、そんな事を考えるのもおかしなものだ  
 
時計を見れば22時…まったく湿度も温度もさがらない夏の夜  
夜道で考えるには、すこし重い内容  
不快な湿度と汗ばんだ肌から早く解放されたくて  
自分の車が停まる駐車場に向かった  
 
ドアを開け荷物を投げ入れる  
手をかけたままのドアを閉めようとした時  
 
"ガシャン、ガシャン"  
 
耳に突き刺さるような金属音、身体がビクリと硬くなる  
目を凝らせば、駐車場脇の駐輪場に人影が一つ  
 
強盗? いや、駐輪場だし…泥棒?  
 
ここは塾の敷地内  
 
講師の自分も外部の人間には、それなりの権限がある  
あたしは、慌てて車のエンジンをかけると駐輪場に向かってライトを照らした  
 
「ちょっと! アンタなにしてんのっ? 自転車泥棒?!」  
 
人影の正体を確かめる間も無く、あたしは怒鳴った  
 
「ちょ、ちょいまち…まっぶしーなぁ」  
 
聞き覚えのある声に、あたしは顔を歪ませた  
良く見ればライトが照らす人影の主は制服だ  
 
「え…なに…してんの…?」  
「だぁからー、まぶしいってば…センセ」  
 
窓から顔を出し目を凝らせば、自分の受け持つクラスの生徒だった  
大声で怒鳴った事に少し恥ずかしさが湧き上がる  
 
「武田くん?」  
「ピンポーン、正解です」  
「正解です、じゃなくて…なにしてんの君…」  
 
ライトを消すと、おぼつかない足取りの彼は  
あたしの車に近づき、あたしの鼻先まで顔を寄せると  
 
「コンタクト、落としまし…」  
「あーぁ、やっちゃったか」  
 
この子の人懐こさは、とても好きだった  
ピリピリとする季節でもマイペースを崩さない  
かといって誰かの勉強を妨げる程に騒ぐ訳でもない  
 
「そんなに視力悪いの? いくつ?」  
「んっとねぇ…センセのシワが、ここらで見える位かな」  
 
彼は、車から1m程離れながら言う  
シワって…頼むよ、少年…  
 
「あっそ、んじゃ大丈夫だね…気をつけて帰っ…」  
「ちょ、まったァ! すみません…でしたっ!」  
「君さァ…年頃の女性相手にんな事いうと首絞められるよ?」  
「ちょっと、反省した」  
 
理由は暑かったからだ  
この窓から入り込む車体から放出される熱が我慢できなかった  
エアコンを全開にするも、開け放たれた窓のおかげで…まったく意味が無い  
 
「家…どこ?」  
「五丁目の…」  
「んじゃ、いいわ送ってったげるわよ」  
「マジで? ホントに?」  
「気が変わる前にさっさと乗って」  
 
良く考えれば判ったはずだ  
クラスの後方から、一度も不満を漏らす事なく授業を受けていた彼  
夜道に躓く程の視力なのかどうかなど…  
 
「あぁーっ、あっちーよねー」  
「夏だしね」  
「不満そうな声だよね」  
「本日最後のお仕事が自分の生徒の送迎じゃ…ね?」  
 
人の不満など聞き流し、胸元のボタンを外したシャツを  
パタパタと仰がせる彼は鼻歌交じりに外を眺めていた  
 
「あ、そうだセンセ! 送って貰ったお礼にさ…」  
「なによ?」  
「A.シュレィヴの原版貸そうか?」  
「え? 武田君、英語得意だったっけ?」  
「学校と塾では不得意、自宅に帰ると得意になる」  
 
驚いた…別に頭が悪い印象があった訳でもない  
かといって、和訳しながら英書を読むほどに  
長けているという印象もなかった  
そう、まったく特別な素振りがなかった事に驚いた  
 
「なんか驚いたな…英書とか興味あったの?」  
「んー興味がある無いは別として本棚一個全部英書」  
「すっごい!」  
「っても、俺の趣味じゃなく…親父のだけどね」  
「武田君のお父様…何してる人?」  
 
生徒の家庭に興味を持ったのはこれが初めてだった  
 
「半分、海外勤務だから帰国の度…お袋と俺にお土産」  
「あぁ、お母様も読むんだ?」  
 
自分が探していた英書と、意外にも自分の想像を超えた一面を見せた教え子に  
暑さに不快を感じてイラつくいていた、あたしの顔が綻んだ  
 
「ここでいいの?」  
「うん、ここでいい…あ、車ソコに入れて待ってて?」  
「エンジン…切った方がいいかな?」  
「あ〜出来ればそうして貰えると…って、本棚見る?」  
「え?」  
「他にも、探してたのあるかもよ? 俺読みかけのは今無いし…」  
 
教え子宅にお邪魔する時間は、とうに過ぎている  
でも、本棚一杯の英書…そして彼の見せた意外な一面に  
あたしの判断力は半分以下に低下していた  
 
「すっご…」  
 
大きな本棚一面が英書、深夜の教え子宅じゃなければ  
その場に山積みにしながら手に取り騒いだはず  
 
「子供じゃないんだから」  
「いや、凄いよコレ…あたし、お父様と趣味が一緒!」  
 
背表紙を、上から指でなぞりながらタイトルを辿る  
全部持って帰りたいという、バカな衝動を抑えつつ数冊抜き取り  
 
「武田君、これとこれ…貸して貰っても平気?」  
 
振り返ると、間近に迫る彼の顔があった  
 
「うわっ、なっ…びっくりした…」  
「車から部屋に連れ込むの、どうしようか悩んでたんだよねぇ…」  
「えっ、な…なに…? 本っ、決まったから…あたし帰っ」  
 
あたしの髪の毛をくるくると遊びながら微笑む彼  
自分の置かれた状態が、素早く脳に流れ込む…弾かれた答えは"危険"   
 
「なにっ、言ってる…の?」  
「せっかく来たんだしさぁ、そんな急いで帰らなくても…ねぇ?」  
「おっ…親御さん呼ぶわよっ?」  
「残念、親父留守の間って、あの女ほっとんど家に居ないんだよね」  
 
お袋から"あの女"と呼び変えた彼の顔は、もう教え子の顔ではなかった  
ジリジリと迫られる距離に後退すると、踵が本棚にあたる  
 
「本、ここで読めば? センセの和訳聞かせてよ?」  
「ふざけないでっ! 悪ふざけが過ぎるわ!」  
 
迫る彼の胸を押し返し  
あたしは急いで部屋のドアを開け、玄関に繋がるリビングのドアに手をかける  
勢い良く開け放った途端、ドンッと何かにぶつかり景色が遮られた  
 
「ざーんねん、書斎にあるクローゼットのドアは3箇所…先回り成功」  
 
こんな…楽しそうに笑う彼を、あたしは知らない  
正面からウェストに回された腕に半ば引きずられる様  
彼の部屋に引きずりこまれ、身体を投げ出された  
 
「い、た…ぃっ」  
「痛い思いすんのより、気持ちイイ方がいいでしょ?」  
「ふざけ…」  
「ふざけてないってば、あ…痛い方が好みなら暴れれば?」  
 
床に投げ出されたあたしの身体を後ろから抱え込み  
後ろ手に纏められた両手首を片手で押さえながら  
あたしの腰のベルトを外し、器用に手首を拘束する  
投げ出された足に、自分の足を絡ませ力を込め左右に開く  
 
「あー失敗、ストッキング脱いでからにすれば良かったか…  
 邪魔だね…あ、あの女が持ってるし破っても問題無いね」  
 
開かれる事に抵抗する力を込めた、あたしの内腿が小刻みに震える  
ストッキングの継ぎ目、あたしの中心部分を指がなぞり上げた瞬間  
"ビビッ"と、ナイロンの引き千切れる音が部屋に響いた  
 
「何考え…てんのよっ!」  
「んー何も? 年頃じゃん俺、そんな年頃の男の前でさ  
 んな短いスカート履いて、いい香りさせて…センセ無防備過ぎ」  
 
その言葉に首を捻り、睨み上げると顎を掴まれ唇が重なる  
抵抗しながらもがき緩む唇に舌の感触と口の中に流れ込む唾液  
角度を変えながら犯される舌、拒みながら交わす口付けに息が苦しくなった頃  
彼の指が破けたストッキングの感触と肌の感触を比べるように内腿を這い回り出した  
 
「ふうっ、んっ…んっ」  
 
這わされた指の感触に鳥肌がたつ  
重なる唇からくぐもった声が漏れると、彼は掴んだ顎を少し緩めた  
あたしの舌先に彼の唇の感触…思い切り噛み付いてやった  
 
「っつ、いってぇ…」  
「いい加減にしなさいよね…」  
 
口内に血の味が広がる…  
哀しい事に、今あたしが出来る精一杯の抵抗がソレだ  
 
「お互い楽しく…ってワケには、いかないみたいだね」  
 
口元の血を拭った彼は、あたしの背後から離れ  
カーテンを束ねた紐を解くと、あたしの足首に巻きつけ  
その先をベットの足に結ぶ  
 
「あー俺バカだ、またストッキングとかスカート…まぁいいか  
 脱ぐだけしか方法が無いわけじゃないし…ね? セーンセ」  
 
片足ダケが自由でも…何も状況は変わらなかった  
置かれたテーブルなどがガタガタと部屋の壁際に移動されると  
あたしの座る場所の前には大きな引き戸のクローゼット  
 
「俺の部屋はウォークインじゃないんだよ…でもね」  
 
ガラガラと引き戸を開ければ引き戸一枚が大きな鏡  
鏡越しに彼を睨めば、いつも教室で見慣れた笑顔があった  
 
「まずさ、邪魔モンどうにかしようよ」  
 
背後から、あたしの肩に乗せられる手に力が篭った  
横に倒れるあたしのスカートに手を入れ、千切れかけたストッキングを毟っていく  
"ビリビリ"と繊維を引き千切り、スカートの中に残されたのは下着だけ  
…その下着に指がかかる  
 
「イヤァァァ、やめっ、やめてっ!」  
「あのさセンセ…気がついて無いかもだけど…アレわかるかな?」  
 
鏡越しに指された先には、照明を反射した小さな機械  
それが何なのか判るまでに…たいした時間は必要なかった  
 
「デ…ジ…カメ?」  
「別にバラ巻いたりするつもり無いよ、ただの保険」  
「保険…」  
「そんなに防音甘くないけど、流石にずーっと騒がれると困るんだよね」  
 
口元に指をあて、まるで子供を制すような仕草を見せる彼に  
あたしの身体全体の力が抜けていった  
 
繋がれた足首に絡まる丸まった下着  
ウェストまでたくし上げられたスカート  
鏡の前、まるで見てくださいと言わんばかりに足を開くあたし  
背後の彼から伸びた足が太腿を制し身動きが出来ない  
 
「騒ぐのは困るけど、適当に喘いでくんないとツマンナイから頼むわ」  
 
開かれる足の間に指が添えられる  
ぱっくりと口をあけたソコの輪郭をなぞる様に指が動くと  
寒気とは違った何かが背筋に走った  
 
執拗に何度も何度も繰り返される僅かな刺激  
あたしの腰は左右に動き、その指から逃れようともがく  
肩に顎をのせ、行為の一切を眺める彼が薄っすらと笑みを浮かべた瞬間  
ただ輪郭をなぞっていた指が、徐々に体積を増したクリトリスの表面を掠めた  
 
「はあっ…くっ、あぅっ…」  
 
微かに触れているのか、ただの空気の動きなのか  
そんな位置に固定された彼の中指は、ゆっくりゆっくりと円を描く  
ビクリと身体が硬直し、ソコから拡がる刺激に背中が仰け反った  
 
「んんっ…はぁっ、やっ…やぁっ」  
 
左右に揺れる腰の動きが小刻みになると  
うっすらと赤く染まったクリトリスを親指で上下に弾き始める  
 
「はあっ! あっ、あっ、やあっ! んっ…ぁっ」  
 
中心に添えられ開脚を助けていた片手が  
あたしの上半身を力強く抱き込んだ途端  
まるで何かを小削ぎ落とす様に動く親指の速さが増した  
 
「んああっ…あっ、ぁっ…んっん…くっ…」  
 
前屈みになりその刺激から逃れようとするも  
押さえつけられた腕の力で逃れられない  
ビクビクと痙攣を起し、受け止めきれない刺激が絶頂をよぶ  
 
肩で息をつぎながら、肩越しに微笑む彼を睨む  
体内に残る、悔しいほどの快楽に唇を噛み締めると  
視線はあたしを捕らえたまま、首筋を舐め上げ笑った  
 
首筋から甘い刺激が走り、身体の中心が収縮すると  
開いたまま指の添えられる部分から、トロリと艶のある体液が吐き出され  
 
「うっは、今の見た? ねぇ? 溢れた瞬間みちゃった」  
「…っ」  
「ちゃんと見なよ、自分のカッコ」  
 
僅かな痛みを伴う力で、後ろ髪を掴まれ  
グイッと引かれれば、鏡越しに視線がカチ合う  
悔しかった…言葉に出来ない思いが泪になり頬を伝う  
 
「あれ? ナニ泣いてんの? ツーマンナイって…」  
 
耳元で嘲笑う声、その声に表現しがたい怒りが込み上げ  
鏡越しの彼めがけて唾を吐き捨てると  
 
「俺さ、生意気な女だっきらいなんだよね」  
「気が合うわね、あたしも…変態じみたガキは大嫌い」  
「そうやって…イキがってなよ、今にそんな口きけなくなるよ」  
 
冷たく言い放ち、あたしの背後から立ち上がると  
解いた反対側のカーテンから、もう1本の紐を取り  
自由の利く片足を括り、天井から伸びたフリーラックのパイプに結ぶ  
鏡に映る角度では無くなったものの、状況は悪くなっただけだった  
僅かに膝を立てられる遊びがあるだけで開脚は変わらない  
 
開かれた足の間に屈み、あたしの顔を覗き込み  
 
「良いモン持って来くるから…まっててね、センセ」  
 
そう言い残し、部屋から出て行った  
 
 
半ば、放心したあたしの前  
いつの間にか戻ってきた彼は言う  
 
「ねぇセンセ…コレわかる?」  
 
目の前に出されたのは、シート状の錠剤  
あたしは全身の血の気が退いた  
 
「やっ…」  
「大丈夫、常用性とかすっげぇ低いし飲用じゃないから…」  
「やだっ、やめてっ!」  
 
必死に首を振りながら、訴えた時  
彼の机に置かれた携帯が鳴った  
 
「あ、タケシ? 丁度よかった…あの錠剤って何錠までイケる?」  
 
携帯を片手に、プチプチと弾き出される錠剤  
あたしは、ただただ…彼の指で遊ばれたその錠剤を見つめていた  
 
「わかったサンキュ…着いたら連絡頂戴、多分朝までこのままだから」  
 
会話の終わった携帯が放りなげられると  
彼は、あたしの目の前に屈み込む  
 
「1錠だと気持ちが良くて、2錠だと天国だって…」  
 
唇が震えたあたしは、何も言葉に出来ずそれを聞いていた  
 
「3錠で人によってはバカになるらしくてね…  
 それ以上はヤバイみたいだけど…何錠食いたい?」  
「やっ…やだ、ホントにやだっ…」  
「答えないと、強制的に3錠コースね? 3錠食うと…  
 流石に俺一人じゃどーもなんないけど、その内…助っ人くるかもしんないから」  
 
頬を泪が伝う…  
しゃくりあげた嗚咽で言葉にならなくなった  
 
「泣いてたら面白くないってば、センセ泣かないで?」  
「や…っ、くすっ…り、やめて…お願、いっ」  
「だから…3錠食わされたく無いなら何錠がいいかって聞いてんの」  
 
答えは、選択するほどありはしなかった  
 
「い、…ひっ、いちっ、いちじょ…ぅ…」  
「リョーカイ」  
 
内側から膝を左右に開かれると、既に乾きはじめた中心に指が添えられた  
中指が乾いた皮膚を巻き込みながら窪みに埋まってゆく  
軽い痛みが早足で駆け抜けると、僅かに背中が仰け反る  
引きずり出された中指には僅かに絡みつく体液  
疼きの収まったクリトリスにその指を滑らせゆっくり上下に擦りだす  
 
「んっ…ん、あぅっ…ふっあ…」  
「今もっと気持ちよくなるからさ…ね?」  
 
まるでじゃれる子犬と遊んでいるかのように、指先がクリトリスを弾く  
治まった痺れが、再び蘇り身体を熱く昇らせた  
弾かれる度、クチュクチュと水音が響きだす  
彼は「こんなモンでしょ」と呟き、濡れた指に小さな薬をのせ  
 
「わりと即効みたいよ? これ食ってセンセも楽しまないと」  
「やっ…やぁっ、やめっ…やめてっ!」  
 
指に張り付いたソレは、体液の溢れる口に宛がわれ  
あたしの意思とは裏腹に、なんの抵抗も無くその指を飲み込んだ  
2〜3度中で動いた指は、あっさり引き抜かれ  
 
「はい、完了」  
 
そう言った彼は、真正面の壁に背中を預け黙ってあたしをみつめる  
溶け出した錠剤が粘膜を伝い、あたしの身体に効果が現れまで  
差ほど時間はかからなかった  
 
ジワジワと熱くなる下半身  
いや、下半身じゃない…下半身の一部分  
自分で腰を揺らした時の空気が触れるだけで、気が遠くなる  
 
「ぁっ…んっ、くぅっ…ふぁ…」  
「はやっ! ホントに即効…」  
「んっ…んんっ、っ…」  
「センセ…ちょっと見せて?」  
 
だらしなく開いた膝を更に押し開かれ  
彼はあたしの中心を覗き込む  
 
「うっは…コレすごいよ、センセ…」  
「はぁ…ん…やっ、み…みない…でっ…」  
「見られてるダケでも、ヤバそうだもんね…ココにイイモンあげよっか」  
 
覗き込んだ姿勢のまま、上目遣いに笑い  
はちきれそうなクリトリスを摘んだ  
 
「いっ! うぁっ…あ、あ、くっ…」  
 
目の前が真っ白になってゆく  
 
目を閉じ身体を硬くしたままのあたしに、異音が響く  
部屋中の空気の動きすら、過敏になった自分の身体に快楽を与える  
意識の中では拒んでいても、身体に拡がった薬物からの快楽  
自分の意思とは無関係に、刺激を欲しがる腰が揺れた  
 
項垂れたあたしの顎を掴み顔を覗き込む彼  
 
「彼女にさー買ってきたヤツなんだけど、センセのが喜びそうだから」  
「…」  
「ここ…寂しそうだしね」  
 
すっと足の間に差し込まれた指がクリトリスを撫で上げた  
 
「んぁっ、んっ、あっ…やっ、やめっ…」  
「まだまだ余裕ありそうだね? もう1個食ってからにしよっか」  
「やっ、も…やぁっ」  
「これ食ったら、もうヤダとか思わなくなるってば」  
 
新たに飲み込んだ薬が溶け出した頃には  
もう全てがどうでもよくなっていった  
 
「やぁっ…あっ、あつ…いっ」  
「効いてきたみたいね?」  
「あついっ、んっ…身体が…」  
 
微熱に似たダルさが体中を包んだ  
そのダルさでフワフワと宙を彷徨うような感覚の中  
あたしの中心とクリトリスには、ズキズキと甘く疼き  
ほんの僅か内股に力を入れるだけでも  
疼いた中心から拡がる刺激に泪が出そうだった  
 
「セーンセ、我慢出来ないって顔してるよ」  
「あっ、んぁ…、あっぃ…」  
「何処が熱いの?」  
「アソ…コがっ、熱く…て」  
 
先程から異音を放っていたモノが、あたしの目の前に突きつけられた  
それが何かわかった瞬間、きっとあたしの顔は飢えた雌の様だったに違いない  
 
「これ…わかるよね? これで楽しませて欲しいでしょ?」  
 
ブルブルと震えたローターは、短いコードを摘み  
答える事の出来ないあたしの前にぶら下げられた  
 
「ちゃんと、欲しがりなよ?」  
 
そう言った瞬間、あたしの中心に指が埋まった  
入り口を遊ぶように、浅く浅く挿入された指が  
確実に刺激が与えられる場所を避けながら出し入れされる  
 
「あっ、ぁっ、あぁ…」  
「奥まで、欲しいんじゃないの? このままヤッてるとおかしくなるよ?」  
「はあっ、んっ…んんっ」  
「このローター使ってイかせて下さい。って、言ってみな」  
「やっ、だ…やぁっ」  
 
身体を震わせ、頭を振りながら拒むと  
埋められた指はゆっくりと引き抜かれた  
彼は、あたしの足の間に腰を下ろし  
片足であたしの太腿を押し開いた  
 
体中のどの部分に触れられても…意識が飛びそうになる  
力なく投げ出されたままの足を掴み、同様に押し開かれると  
だらしなく口を開けた中心が空気に晒され、小さく身震いした  
 
時折ビクッと身体が収縮し僅かに中が痙攣を起すと  
クチュっと小さな音が聞こえる  
何度目かの痙攣を感じた瞬間、あたしは耐え切れなくなる  
 
「…武田く…ん」  
「なぁに、センセ?」  
「おね…っがい…」  
 
太腿を制す足に力が篭る、次に紡がれる言葉の予想は  
彼にもついていたはず  
 
「おね…がいっ…身体がっ、熱くて…」  
 
「だったらちゃんと強請りなって? さっき教えた通りに  
 『ローターで、あたしのクリトリスを可愛がって下さい』って言えばイイだけじゃん?」  
 
僅かに残った羞恥心が、言葉を紡ごうとする自分をとめ  
堪える目尻から、泪が零れた  
 
太腿を押さえつける手足に力が増した  
限界まで押し拡がった中心から、体液が押し出された瞬間  
背筋を這い上がった感覚に、僅かに残っていた羞恥心が飛んだ  
 
「そっ、その…ローターでっ…」  
「…コレで?」  
「…あた、しの…クリ…トリスを…かわいが…ってくださ…」  
 
「良く出来ました」と言った彼の声と同時に  
耳鳴りのような異音が、体内から伝い響いた  
 
「あっ、ぁっ…ん、んんっ…ああ…あ、あっ」  
「気持ちいいんだ?」  
「はっ、うぁ…んっ…」  
「なに? 気持ちよくないの?」  
 
問いかけられる言葉に、まったく思考が追いつかなかった  
ただただ声をあげるだけしか出来ず  
一点に集中された刺激に、湧き上がった欲の全てを預けた  
 
「セーンセ、気持ちよくないの? 良くないなら…やめちゃうよ?」  
「ひゃっ、ゃぁ…や、めっ…やめないでっ!」  
「だったら、ちゃんと言ってみなよ?」  
「きも…っ、き、も…ちい…いですっ」  
 
観察するような視線が、満足そうなに変わると  
軽く宛てられたローターが、強く押し付けられ  
痛いほどの刺激が全身を包んだ  
耐え切れずに身体が仰け反り、絶頂を迎える寸前  
その押し付けられたローターが僅かに離される  
 
「あ…っ、やっ、なん…で…」  
 
そんなあたしを、ニヤニヤと笑い  
離したローターを触れるか触れないかのギリギリまで戻すと  
 
「え…な、なに…」  
「腰、自分で振ればいいじゃん…届くでしょ?ここなら」  
 
僅かに腰を突き出せば、クリトリスに振動が伝わった  
昇り切れなかった身体は、その刺激を欲し  
この痴態じみた行為を、目の前で生徒が見ていることすら忘れさせ  
切なさに身もだえながら、腰を浮かし振動から生まれる刺激を貪った  
 
「センセ…キマりすぎだってば、すっげぇ腰振って……」  
「あっ、んん…あん、んんっ…くっ」  
「どんだけスキモノなんだよ…っ」  
 
呆れたような溜息と同時、左右に擦られ押し付けられた刺激  
ビクビクと痙攣し、あたしはイッた  
 
耳に響くローターの音  
ビクビクと中心に残った余韻に目を閉じて堪えていた時  
玄関のチャイムが鳴った  
 
「あ、タケシ来たみたい」  
「えっ…な、なに…?」  
 
立ち上がり、玄関に向かおうとする彼が  
驚きで目を見開くあたしを見下ろし  
 
「センセ、良かったね…もっと遊べそうだよ?」  
 
"朝までこのままだから"  
携帯で交わされた会話を思い出した時、あたしの中がキュッと収縮した  
 
 

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