妄想に、AV観賞。道具に頼る事もあれば、あくまでも手淫にかける趣もある。  
それが、自慰というものである。老若男女、性癖に応じて差はあれど、向かう  
所はみな同じ。そう、絶頂である。異論もあろうが、少なくとも矢島美和子は、  
自慰をそんな気持ちでとらえていた。十七歳の恥じらい乙女であり、向かう所  
に敵が無い美和子は、今日も自慰に耽っている──  
 
(あん・・・)  
声は出さずに身悶える。美和子は今、満員電車の中にいた。  
(うふん・・・気持ちよくて、失神しそう・・・)  
腰の辺りに、鈍い微振動が伝わっている。これは、膣内に埋め込んだバイブ  
レーターのモーターが、暴れているためだ。彼女は電車に乗る前、駅のトイレ  
でこれを入れてきた。その上、パンティは穿いていない。すなわち、膣圧だけ  
で、うなりをあげる淫具を落さぬよう、頑張っているのだ。  
(ああ・・・お豆ちゃんをいじめてくれるやつが、たまらないわ)  
バイブレーターは野太い本身以外に、クリトリスを刺激する突起がついている。  
その刺激が、美和子の官能に多大な貢献をしていた。しかし、少女がそれを  
顔に表す事は無く、快楽を粛々と貪っている。  
 
(お・・・おお、お・・・落ちそう・・・)  
美和子の膣穴は愛液でぬるみ、バイブレーターが落ちそうになっている。今は  
必死の締めつけで、何とか落とさずに済んでいるが、電車が揺れでもしたらそれ  
も危うい。立錐の余地も無い朝の満員電車内ではあるが、淫具を落せば誰かが  
気づいてしまうだろう。しかも、その持ち主が有名女学院の制服に身を包んだ、  
見目麗しい少女の美和子であれば、車内は騒然となるに違いない。  
(ヤバイ・・・次で降りなきゃ)  
車内アナウンスが駅への到着を告げると、美和子は静かにホームへ降り立った。  
そして、忍び足で女子トイレへと向かう。  
 
(はっ、はああっ!)  
女子トイレの個室内。美和子はここでも声を殺して身悶えた。趣が異なるのは、  
満員電車内とは違い、膣内に押し込んだバイブレータ−を、好きに操れる事だ。  
(ああ、やばかった・・・ふうッ!で、でも・・・気持ち良かった!)  
逆手に握った淫具をぐいぐいと膣内へ突き上げ、美和子は悶え狂う。それも、空  
いた手の指先で掬った愛液をクリトリスに塗りつけ、押しつぶすようにいじりつつ。  
美和子はこのやり方が、一番、具合がいいのだ。  
 
(あそこでバイブを落としていたら・・・どうなったんだろう)  
和式便器をまたぎ、自慰に耽りながら思う。周りにはくたびれたようなサラリーマン  
が無数にいた。彼らがもし、バイブを股から落とした女子高生を見たら、どんな反  
応をするのだろう──美和子は、そう考えるとたまらなくなる。  
(レイプされてたかも!)  
そう思ったとき、ぐいっとバイブを胎内の奥まで突き込んだ。美和子はここで、よう  
やく本懐に達した。彼女が望んだ、待ちに待った瞬間、そう、絶頂がやってきたの  
である。  
 
 
(ああ・・・誰か、この疼きを止めてくれないかしら・・・)  
トイレットペーパーで股間に溢れた愛液を拭いながら、美和子は心の中で呟いた。  
この過敏で恥知らずな、女の性を止めて欲しい──電車内で下着も穿かず、淫具  
を膣内に飲み込むような恥知らずな性分を、誰かが受け止めてくれたらと、美和子  
は切に願っている。  
(いつかはばれるかもしれない・・・でも、やめる自信はない・・・)  
絶頂を迎えると、幾らかの間、理性が戻ってくる。そして、次の情欲が湧き出すま  
では、己の性癖を恨み、衆人環視の中でこっそりと行う、危険な自慰行為の事を  
悔やむのだった。  
 
 
早熟だった──美和子自身、そう思っている。彼女が自慰を知ったのは、  
今より五年前。まだ、小学生だった頃だ。きっかけは、おませな同級生か  
らの入れ知恵である。  
「美和子ちゃん、オナニーって知ってる?」  
仲の良い同級生が、美和子に向かってそう囁いた。  
 
「オナ・・ニ・・?なあにそれ?」  
「すごく気持ちいいことよ。美和子ちゃんも試してみて」  
「何をすればいいの?」  
「簡単よ。オシッコする穴の上を、やさしく撫でるの。大人はみんなやってる  
んだって。美和子ちゃんもこれをやれば、もう、気分はすっかり大人よ」  
 
気分は大人──背伸びしたい年頃だった彼女に、この言葉は悪魔の囁きに  
等しかった。その日、さっそく美和子は同級生から仕入れた知識を試してみる。  
すると、どうだろう。未知なる世界を知ってしまった──そんな驚きと甘美な快  
楽が、多感な少女を包み込んでしまったのである。  
 
オナニーって気持ちいい・・・・・  
 
まだぴたりと閉じた、二枚貝を撫でる程度だったが、初の自慰は感涙ものの  
衝撃をかもしだしてくれた。それから彼女の自慰行為は、エスカレートする一方  
で、新たな性癖を次々と開発していったのである。  
 
 
(さて、行くかな)  
トイレ内で自慰の後始末をした後、美和子は学校へ向かう事にした。通学のため  
に利用する駅は、まだ遠い。途中下車した分だけ、遅れを取り戻さねばならない。  
しかし──  
 
「ふうっ・・・ん」  
美和子はやはり、淫具を手にしてそれを膣内へと埋めた。いや、今度は  
先ほどよりも厳しい条件をつけるつもりらしく、新たな自慰アイテムをカバ  
ンから取り出して、  
「これは、ヤバイな・・・お尻の穴用のバイブは・・・」  
便器をまたいだまま、先ほどの物とは形の異なるアヌス用のバイブレーター  
を、何の躊躇も無く、小さなすぼまりへと捻じ込んだのである。  
 
「くくッ!・・・はあ・・・あ・・・」  
挿入の際、一瞬、険しい顔になったが、美和子はすぐに蕩けた表情を見せ  
た。アヌス用のバイブは玉がいくつも繋がったような異形だったが、少女の  
尻穴は、それらをすべてすんなりと飲み込んでいく。その後、玉を奮わせる  
スイッチを、恐る恐る入れた。  
「うわあッ!す、すごいな・・・でも、これは・・・落したらダメよ・・落せば、臭っ  
ちゃうからね・・・」  
ここでもやはりといおうか、美和子はパンティを穿かなかった。そして、制服  
のスカートに乱れがないかを確認してから、トイレを出る。  
 
「さて・・・行きますか」  
コンコースに出ると、美和子の姿は人いきれに飲まれ、すぐに見えなくなっ  
た。しかし、彼女は電車に揺られながら、その身に課した淫らな命題と、戦っ  
ているに違いない。  
 
おしまい  
 

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