昼の少し前、日曜は休診なので、アランはゆっくりと村の中を歩いていた。  
行き交う獣たちの中、アランは白い毛並みを押さえつける白衣に袖を通したまま、陽光を浴びる村を眺める。  
「よぉ、偶然じゃないか」  
 後ろからいきなり肩に手を回されて、アランは驚きのあまり毛を逆立ててしまった。  
「なんだ、ラナさんか」  
 逆立った毛並みをなでつけて、アランは自分に肩を回しているワータイガーに目をやった。  
今日は膝上の短いズボンに、タンクトップという大変ラフな格好をしているため、  
ちらちらと胸元が視界に入り、アランは落ち着かなかった。  
「で、何をしてたんだい」  
 肩に回していた手を元に戻して、ラナは隣のワーウルフへと問いかける。  
「散歩ですよ。今日、休診ですから」  
「そっか、じゃ、暇なのか」  
「暇って言えば暇になりますね」  
 なら…と、思案する振りをして、  
「ウチに寄ってかないか」  
 と切り出した。  
「ラナさんの家にですか? でも僕が行くのも」  
「いいから、色々ご馳走してやるからさ」  
 無理矢理アランの腕を掴んで、ラナは引っ張っていこうとする。あまりにラナが張り切りすぎるので、  
振り回されるように、アランはラナについていった。  
 そして、ある程度その調子で引っ張れていると、目の前に一人のワーカウが現れた。アセリアである。  
その豊かな胸は白のブラウスで隠され、長めのスカートをはいた彼女は、アランへと微笑んだ後、ラナへ冷ややかな視線を送った。  
 
「あ、アセリアさん」  
 声をあげたアランに、誰かと聞いたラナへ患者さんですと言った。  
「何をしているんだ。お前は」  
 アセリアはラナを睨んだ。思わずラナも睨み返す。  
「ただの患者には関係ないよ」  
「乱暴しているように見えたが」  
 アセリアとラナの視線が激突した。辺りの空気が、張りつめたものに変わった。  
「どうしてそんな風に見えるんだい」  
 目の前にいるワーカウが、アランに好意を抱いており、尚かつ自分に嫉妬している事に気付いたラナは、  
アランを自らの胸元に抱き寄せて見せた。  
「……アラン、悪い事は言わない。さっさとその痴女から離れるんだ」  
「誰が痴女だって?」  
「勘違いしてアランに発情でもしたんじゃないのか」  
 音を立ててアセリアはラナの目の前に来ると、その胸に埋まっているアランを自らの胸へと移動させた。  
明らかにアセリアの方が、大きさで言えば勝利している。  
「胸がないワータイガーは不憫だな」  
「乳しかない女に言われたくないね」  
 鼻先が当たるほどの距離で、アセリアとラナは視線を交差させた。  
「あのぅ」  
 痛いほどの雰囲気の中で、アランがおずおずと声をあげた。  
「こんな所で喧嘩は…」  
 辺りを見回すと周りの者たちが恐れおののき、三人を中心にして人垣を作っていた。  
「喫茶店がある。そこで話をつけよう」  
「わかった。ちょうど良いじゃないか」  
 二人に挟まれ、アランは喫茶店へと入った。  
 
 アセリアとラナはテーブル席に向かい合って座った。アランの立場としてはどちらかに座る事は無理なので、  
カウンターの椅子を拝借して、中間に座る事にした。  
「で」  
「で?」  
「お前はアランにとって何なんだ」  
 アセリアが苛立った調子で、ラナへと問いかけた。  
「あたし? あたしは…」  
 一瞬思案して、ラナは自分がアランに治療してもらった時の事を思い出した。  
「アランの強姦の被害者」  
 胸を張って自信満々にラナは答えた。アランは否定しようにも否定できずに、おろおろと小さくなるばかりだ。  
アセリアは、少しばかり驚いていた様子だったが、やがて鼻から息を吹き出した。  
「私もアランに抱いてもらったが」  
 と前置きした。その前置きだけでラナは目を見開いた。  
「アランはいつも私の母乳を吸っているぞ」  
 う、とアランが唸った。ひどく痛いところを突かれた気がする。確かに吸っていると言えば吸っているが、  
直接吸うのは稀で、勿体ないという理由で沸騰させたものを飲んでいるだけだ。  
「あんた、何やってんだ!」  
 ラナがアランに向き直って叫んだ。  
「別にアランはお前の夫でも何でもないだろう。何をしようと勝手だ」  
「それはあんたにも言えるんじゃないのか」  
「私は善良な村人として、一人の医師を痴女から救っただけだ」  
「ぬけぬけと、この女」  
 またも嫌な空気になってきた事に、うろたえ始めたアランをよそに、ラナは腰を上げた。  
「あたしはね、アランに隅々までを観察されて、尻の穴にまで挿れてもらったんだ」  
 思わずアセリアも対抗して、腰を上げた。  
「私は、下半身だけじゃなくて、胸と舌を使ってアランに奉公した」  
「そんなの」  
 あああ、と古傷をえぐられるような気分になって、アランは頭を押さえた。  
 
「や、やめてください」  
 アランが堪らず声を出した瞬間、アセリアとラナの咆吼が、アランへと向けられた。  
「アラン、もとはと言えば君が痴女なんかにほだされるから」  
「あたしにあんな事しておいて、他の女にまで手を出してたのかい」  
 追いつめられて、アランは少しばかりその威圧に、腰を引いてしまった。だが、すぐさま座り直す。  
「あの、こんな事言うのはなんですけど…」  
 頭に血が上っているアセリアとラナに押しつぶされそうになりながら、アランは口を開いた。  
「僕は…その、時々性欲に負けてしまいますけど、えと、お二人とも拒まなかった、っていうか、求めてたじゃないですか」  
 う、とアセリアとラナが唸ったが、そういう問題ではないとさらに詰め寄った。  
「いや、その確かに悪いのは僕です。でも、僕は…なんだかな。あの、もう後悔したくないんです」  
 彼女らは、よくわからないと言う顔をして、アランの続きを待った。  
「別にえっちな事を見逃す事じゃなくて、えと、僕が都会の大学にいた頃……」  
 
 巨大な煉瓦造りの病院の一角に、彼女の病室はあった。  
 医者になりたてのアランは、同じワーウルフの少女に、一つの花束を持ってその病室を訪れた。  
 個室で、アランと同じ白い毛並みを持つ彼女は、その名前をリオと言い、アランの恋人だった。  
「お仕事……もういいの?」  
 ベッドに横になったまま、リオは入ってきたアランに言った。半身を上げないのは、その力さえ残っていないからだ。  
「うん。無理言って、時間作らせてもらった」  
 リオに無理矢理作った満面の笑みを見せる。  
「そうだ、これ。……僕、花ってどんなのかわかんなかったから、とりあえず色で選んできた」  
 リオの横にまわったアランは、そう言って彼女の背中に手を回して、ゆっくりと半身を起こしてやった。  
もう何ヶ月も続けている事なので、アランはもうその動作になれてしまった。  
だが、いつまでもリオはその動作を行うたびに、悲しい顔をする。  
「ほら、最近調子良さそうだから、もっと元気出るようにさ」  
 綺麗な花ね、と言ってリオはその香りを嗅いだ。嗅いだあとで、素敵、と呟く。  
素直な感想を述べるリオを前に、彼女の前で嘘をつく事しかできない自分が、とても惨めで空しく思えた。  
 治らないだろうと言われた。そしてその上で一年の余命だろうとも言われた。  
異例の若さで医師となった天才の彼でさえ、手の施しようがないほどだった。  
「ねぇ」  
 だから努めて彼女の前では、その背負っている大きな不幸を見ないようにした。  
「ん?」  
「私、死ぬよね」  
 平然と言ったリオに驚きながらも、アランはしどろもどろになってそれを否定した。  
「バレバレだよ。そんな言い方じゃ」  
 くすりと笑った。見た事もない優しい笑顔で、彼女はじっとアランを見つめる。  
「ね、もう一度、前みたいに抱いて」  
「……それはえっちの事言ってるの? 抱っこじゃなくて?」  
「うん」  
 切実に訴える彼女は確かに魅力的で、やせ細った今でもその愛らしさは損なわれていなかった。  
だが、医者としてアランはそれに頷く事は出来なかった。  
 
「今は……一番大事な時だから、元気になってから…ね」  
 その言葉を聞いてリオは開いた窓の、景色へと視線をやった。  
「もう、ね……わかってるのよ。自分が死ぬ事くらい」  
「駄目だ!」  
 だから、と続けるリオの言葉を遮って、アランは叫んだ。  
「僕の手で君を殺す事なんて、できないよ!」  
 例えいつ死んでしまうかわからなくてもだ。  
 そう言ってアランは病室を飛び出した。泣きながら自分の器の小ささを感じて、自室へと籠もってしまった。  
 結局彼女は最後、アランに抱かれる事なく、あちらへ行ってしまった。せめて自分が医者としての自分ではなく、  
リオの恋人としてあり続け、腕の中で看取ってやれば良かったと、激しい後悔と自己嫌悪の末、  
傷心のままアランはこの田舎の診療所で、医者としていく事を選択した。  
 
「だから、求めた人にはいっぱい愛してあげようと思ったんです。誰が一番とかじゃなくて、  
その、全員に。……女の人からみれば、最低の男ですけど」  
 二人は黙り込んでしまった。話の途中で出されたリオの写真のせいかもしれない。  
幸せそうな彼女は、アセリアとラナのボルテージを下げるには充分だった。  
「………その、少し驚いたが」  
 流れていた沈黙を、アセリアが撃ち破った。座り直してテーブルへと視線を落とす。  
「騒いでた自分が嫌になったな」  
 ポツリと呟いた。あたしも、とラナもそれには同意した。  
「いや、あの……もうただの言い訳にすぎませんから」  
 先ほどとは違った意味で重くなった空気を、アランは笑って誤魔化そうとした。  
だが、二人とも積極的に口を開こうとはしない。  
「今日は、帰るよ」  
 ラナがそう言って席を立った。アセリアも無言のまま立ち上がる。  
そのまま店を出ようとする二人を、待ってください、とアランが制止した。  
「お昼、まだですよね。……いっしょに食べませんか。三人で」  
 呼び止められたアセリアとラナは互いに顔を見合わせた。  
 
「アランが作る料理か……初めて食べるような気がする」  
「あたしは……あたしは少しあるか」  
 アセリアとラナはベッドに腰をかけたまま、調理をしているアランを待っていた。  
「知らなかったなー。アランにそんな人がいたなんて」  
 ベッドへとラナは背中から倒れ込む。それに目もくれず、アセリアはずっと彼の机を眺めているだけだ。  
「“いっぱい愛する”か……」  
 彼の机には伏せられた写真立てがあった。伏せられたその写真の内容は、大体予想が付く。  
「医者って……大変なんだな」  
 仰向けの状態から横向きになり、ラナは彼のタオルケットを引き寄せた。  
タオルケットには彼の匂いが染みついている。  
「私達はすごいワーウルフに抱かれてしまったな」  
「………うん」  
 静かに呟き合って、それから一時の間、部屋に沈黙が流れた。やがてアセリアもラナと同じようにベッドへと倒れ込んだ。  
 そしてラナとは背中を向け合うようにして、  
「さっきは……すまなかった。少し、言い過ぎた」  
 と言葉を放つ。  
「あたしも。……ごめん」  
「お待たせしましたー」  
 同じようにラナがアセリアに返すと、タイミング良くアランが入ってくる。  
二人は飛び上がり、お行儀良く背筋を伸ばして座り直した。  
 皿一杯に盛られたパスタを、ある程度明るさを取り戻した三人は、談笑しながら食べ終えた。  
 
「あ」  
 一息ついていたアセリアが声をあげた。ラナとアランの視線がアセリアへと止まった。  
「アラン、ちょっと目をつぶって、ベッドの前に立ってくれないか」  
「えっ…あ、はい」  
 訝しがりながらも、言われたとおりにアランはベッドに背中を向け、まぶたを閉じて立った。ラナは一応ベッドから離れているアセリアの、隣へと移動した。  
 すると、目を閉じたアランの前で、アセリアがブラウスを脱ぎ捨てた。豊満なその胸と、乳頭がラナの前に晒されたと思うと、すぐさま下半身の衣服も同じように脱いでしまった。  
「ちょ、あんた、なにやって…」  
「お前もすぐに脱ぐんだな。……他の女だけが愛されるのは嫌だろう」  
 言われてラナもタンクトップとズボンに手をかけた。その間にアセリアは彼の身体をベッドに倒して、抵抗する彼の衣服をゆるめ始める。  
「ア、アセリアさんっ?」  
「求める女には、いっぱい愛してくれると言っただろのは、君だろう」  
 ベルトをゆるめ、彼のまだ勃起状態ではない男根が現れる。そしてアセリアがそれをくわえると、アランのそれは即座に充血して硬さを帯びる。  
「あたしも……」  
 遅れてやってきたラナが、アランのその口へ舌をいれてきた。やがてラナの唾液がアランのそれと混じり、  
両者の舌先がうねりながら絡み合う。  
 そしてアセリアの舌先も、赤みを持った肉棒をぺろぺろと刺激する。ペニスの根本から亀頭の裏側までゆっくりと舐め上げ、  
頂点へと達するとゆっくりと口内に飲み込んだ。  
 
 亀頭を口内で弄ばれ、充分に先走りがその先端から分泌されると、アセリアはラナに目配りをして、アランを四つん這いにさせた。ラナはアランの口先で股を開いて陰部を見せつける。  
 おそるおそるとだが、彼がそれをざらついた舌で舐め始めた。舐めながらも、後ろではアセリアが股の下から手を伸ばして、アランの肉棒をしごいている。  
「んふっ……ん、ん」  
 愛らしくラナは喘ぎ声を上げ始め、アランは鼻を押しつけるようにして、彼女の肉壁へと舌を伸ばす。  
「アセリアさん……くっ」  
 しごかれているうちに、一度目の射精が襲った。白濁色の粘液がシーツの上へと落ちる。  
「今日はイクのが早いな。アランは」  
 だが、アランの肉棒は硬さを失っていなかった。彼の陰からそれが見えたラナは微笑んだ。  
「性欲だけはワーウルフなんだな」  
「そんな……ち、ちょ」  
 今度は二人から乱暴に仰向けにされた。反り立った男根が二人の前に晒される。  
 そして唾液と精液で濡れたその男根を、彼女たちは左右から舐め始める。二人とも直接くわえるのではなく、舌を出し入れして、その浮き出た血管やかさの裏を、音を立てて舐め続ける。  
「んっ…んぷ…ちゅぷ」  
 尿道内に残った精液と二人の唾液が混じり、そしてそれを啜るように飲み込む度に、二人の股間から液体が流れ出す。  
 やがてアセリアが彼の顔を跨ぎ、ラナが股間を跨いだ。彼女たちは身体を向き合わせながら、その身を沈める。  
「はぅ…んっあっ…はっ、あ」  
 じゅぶじゅぶと音を立てて彼のものがラナの中に挿入された。下半身に力を込めて、肉壁で肉棒を挟んで自ら腰を動かす。  
 
「ふっ、あ…っん、は、は」  
 目の前にあるアセリアの肛門を眺めながら、ワーウルフは下を伸ばして彼女の秘部を舐め回す。そのたびに気持ちよさとくすぐったさが、彼女を同時に襲ってその喘ぎ声を引き出す。  
「ん、んっ……あっあ、あっ」  
 湿ったラナの陰部が、いやらしい愛液を分泌するたびに、その滑りによって上下の腰の振り方が激しくなり、  
亀頭が彼女の肉壁を叩く。そして二度目の射精へと至った。ラナの股間は白濁色の精液でまみれてしまう。  
「二人とも……ベッドに横になって折り重なってくれませんか」  
 ワーウルフがワーカウの陰部を充分に唾液で濡らしたあと、顔をそらして声をあげた。すると指示通りにアセリアが下になり、  
ラナが上となる。  
 豊満な胸同士が形を変形させ、直線上に並んだ割れ目からは、透明な愛液で溢れている。  
「もっと身体を寄せ合って……そう。じゃ行きますよ」  
 アセリアがラナの腰を抱いて、ラナが体重をアセリアに預けた。ピッタリと密接した秘部の間を、  
アランの肉棒が走った。  
「ん、ぁ…ぁ」  
「あっ、あ……んっ」  
 突起したクリトリスを直接刺激するように、男根が走る。ラナから流れてくる愛液と精液、  
アセリアにたまっている唾液と愛液が、彼のピストン運動をなめらかにする。  
「は、は……んん…」  
「あっ…あ、あ…あ」  
 乙女たちの喘ぎ声が重なって、アランの鼓膜を叩いた。射精を行ったためか、ゆっくりだったピストン運動は、  
その速度を増して、彼女らの陰部を刺激する。  
「すごく、いいですよ。二人とも」  
 ワーウルフはラナとアセリアの尻尾を握って、無理矢理引っ張る形でピストン運動をする。  
それすらも刺激となってそれぞれに快感を与えて、更なる興奮状態へと導いていく。  
 
「っん……あ、ああっ…あっあっ」  
 先ほど挿入していたためか、ラナが刺激に耐えきれず、絶頂を迎える。  
「ラナさん、アセリアさんのお乳を揉んであげて下さい。アセリアさんもイカせてあげましょう」  
 指示通りにラナがアセリアの身体から離れ、彼に挿入されているアセリアのその乳頭を、擦るようにして、横から刺激する。  
「ふっ……はっ、あっ……ぅんっ」  
 二度も射精したためか、次の射精までに至るその時間は長い。亀頭の笠が彼女の中に溢れる愛液をかき出し、代わりと言っては先走りを肉壁にこすりつけていく。  
「ん、あ…ああっ」  
 そしてちゅぷちゅぷと音を立てながら、アセリアの胸に口を当てて、乳汁を吸い出すラナがいた。アランよりも豪快なその舌使いは、アセリアを興奮させる。  
「アセリアさん、ラストスパートです」  
 アランのピストン運動が激しいものになる。何度も何度もアセリアの奥をその硬直して反り返った肉棒で、ぬちゃぬちゃと音を立てながら叩く。  
「ふぁっ……あ、あっああっ……ん、ん」  
 彼女の喘ぎ声が部屋中に響き渡る。そして同時に彼女もラナと同じように絶頂を迎え、アランはラナと平等に、彼女にも中へとその白濁色の粘液を放出した。  
 
「医者としては間違ってなかった」  
 右脇でアランの腕を枕にして眠るアセリアが、静かに寝息を立てていた。肘を曲げてその毛並みを撫でてやると、かすかに微笑む。  
「でも、男としては間違ってた」  
 同じように、左脇には腕を枕にしたラナが、んん、と可愛らしくうなった。そっと頬ずりしてあげると、彼女はまた寝入ってしまう。  
「…………二人や他の人が、お前と同じようになったら、今度こそ、僕は」  
 すがるようにして眠る彼女たちは、魅力的で、そして充分に愛らしかった。  
「ごめん。リオ。僕はもう少し……早く気付くべきだった」  
 伏せられた写真立てだけが、アランの目線にあった。  
 
 

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