医者なら此処にいるぞ、非合法な医者ならな。
私の名前は抗弁上Rとでも名乗っておこうか
一応、独逸第三帝国の出身だ。
私が若い頃の話でもしようか、当時はベルリンでとある研究をしていてね。
なに、染料を眼球に注射なんてことには携ってないよ
あっちはヒムラーの独壇場だしね。
新薬、自白剤なんかの研究を行っていてね。 効能を知るには直接人体へ投与したほうが
より詳細なDATAが獲られる。
私は今では非人道的と言われる研究の主任を任されていたんだ。
ガラス一枚隔て隔絶された部屋に被験者を居れ、薬液を散布する
そんな研究だ。
効能が早ければポックリ行き、遅ければもがき苦しむ
このボタンを押せば、そんな液体が牙をむく。
人権なんか考えちゃいない、そんな時代だ
某作品の言葉を拝借するならば
「一人殺せば、犯罪者だが百人殺せば英雄だ。」
もはや、呼吸するがごとく習慣化していた
この作業、,,,,そう思い込みたかったんだ。私は。.
この頃から、若い男だけだったのが老若男女問わなくなってきた。
時期てきには、ニュールンベルク法が施行されたあたりだろうか。
此方は非常にたちが悪い、言ってることが解るのだ。
外来種ならば、雑音にしか聞こえない罵詈雑言、これが
直接精神を蝕む、
目を閉じれば怒気の目の晒される幻影を見、耳には奴らの声が木霊する。
そして、家では良き夫を演じなければならない。
何かがずれて来ていた。予定調和をすぎた歯車は元には戻らないただ迷走ス。
私自体、壊れかけていた。
精神をすり減らして
そんな時だよ.......魔が差したのは
歳も行かない女に意味もなく興味を持ったのさ。
主任という立場を利用して、ガス室ではなく
自室へと連れ込んだ。否、兵士に両脇を持たれて強制的に連行したのである。
小柄で、背はその歳にしては低く抱え上げられた身体の端下は、
脇を取る兵の腰位か、私は椅子に縛り付けるように言うと
彼らを追い出した。
暫くの間、壁へと寄りかかって観察する。
この時、私には個人的な課題が存在した。
人格の崩壊と心の崩壊は同種たりえるのか
三日ほど、適度に栄養を取らせながら
終始、同じ音楽をかけ続ける。
適度に閃光を少女の顔へと
眠らせることなどしない、精神的苦痛を与え続ける。
呂律は多少回らなくなって来たが、こちらの言うことは解るようだ。
この時点ではどちらが起因するのかは解らない
たとえ起因が解らなくても実験は先へと進めなければならない
これが探求者の義務であり本質であるからだ。
わたしは、机の引き出しから数種類のアンプルを取り出した。
この中には個人的に調合した薬が入っている。
材料には事を欠かないしね。
女の項へ注射針を突きたてた
ただそれだけのことだ。なのに、コイツと来たら 物凄い暴れる。
椅子に足を二回は踏まれた。
だが、逃げることさえ適わない今、
それは、薬液の流入を増加させることにしかならない。無意味な抵抗だ。
効能が現れるまで私は音楽を聴くことにした。
そして、少女は何を奏でるかを楽しみにしながら。
暫くの間、息遣いを耳で堪能しながら考察した。
彼女は股をモジモジさせていた。溜まっているのだろう、あそこは衆人監視の中その行為に及ぶ事など不可能に近い。見つかれば警備のものどもの慰み物である。
私の視線に気がつくたびに必死に必死になって止めようとするのは滑稽で。
先のアンプルに入っていたのは媚薬などでは無く、発情薬なのだから。
この行為は人格によるものだろう。何時まで、本能に耐えられるかは見ものでも有る。
じれったくて仕方が無いのか、我慢しているさきから上気してしている。
何をしたのか聞かれたよ。
だがね、ちゃんと答えるほど正直者でも、嘘をつくほどの愚か者でもない
その、睨みつける顔へ手を添え、息を吹きかけただけだ。
それだけで、顔が真っ赤になる。