「ブルマ・ルネサンス 〜ブルマ再興計画〜」
2015年・・・ここ日本の学校からは「ブルマ」と言うかつて
女子生徒の代名詞でもあった、体操着が姿を消しつつあった・・・。
そして、そのブルマが採用されている学校は、もはや
ここ「北浜小学校」を残すのみとなった。
「もう、我慢できませんわ!! このままこの日本からブルマという
素晴らしいフィット感を持つ体操着が無くなってしまうなんて・・・!!
冗談じゃありませんわ!!」
彼女はこの北浜小学校の6年生の生徒会長、「勅使河原 香織」である。
片田舎のこの北浜小学校校長の孫娘でもあり、大金持ちの令嬢でもある。
香織は数年前から、いよいよ本格的にブルマ撤廃の動きへと向かう
学校の現状に憤りを感じていた。
と言うのも、ここ北浜小学校は校長の必死の嘆願もあって
日本で唯一、ブルマを採用しているたった一つの学校なのである。
そして、祖父からもその昔日本がブルマ大国であり「ブルセラ」などの
如何わしいものも培いながらも、東京五輪ではブルマ姿の「東洋の魔女」の
大活躍で、ブルマこそは女子生徒の代名詞でもあり、また
男性から萌えの尊敬を受けていたことを日頃から教えられていた。
「こんな事が許されていい訳がありませんわ!!そうでしょ?皆さん!!」
香織は教室の真ん中で、まるで選挙か何かの演説の様に大声で
盛んに周囲の女生徒に訴えていた。
「そうよ!私たちが慣れ親しんできたブルマが・・・今年の運動会をもって
撤廃されてしまうなんて・・・・」
残されていく在校生にブルマの素晴らしさを伝えていかなければ!!」
周囲の女生徒は香織を囲んで腕を振り上げて賛成していた。
男子生徒も、別の意味でもう二度とこの地域でブルマ姿の
女子小学生が見られなくなると思うと、何かモノ悲しい気持ちで
一杯になり、やはり香織の意見に賛成を示したのである。
そして感極まった香織はとうとうとんでもない事を言い出した。
「こうなったら・・・もう容赦はしませんわ!!
他校の女子生徒の皆さんにもブルマの素晴らしさを・・・
力ずくでもわからせてさしあげましょう!!」
「おおーーっ!!」
香織の決心に満ちた大宣言にクラス中が、いや学年中が拍手喝采を
送り、大きな革命的行動への第一歩が、今刻まれようとしていた。
一方、ここは北浜小学校から少し離れた隣町にある
南浜小学校。すでにブルマから短パン以降への流れにいち早く乗り
2000年ちょうどに、全女子生徒の短パン化が完了していた。
よって、ここ南浜小ではブルマ等という体操着はテレビや漫画などで
見ただけで、実際には見たことも無い生徒たちばかりであった。
しかも皆、特に女子生徒はブルマのあの独特な下着と変わらない様な
形に、何ともいえない恥辱感と嫌悪感すら持っていたのだった。
だから、隣町の北浜小が未だに頑なにブルマを採用していることに
軽蔑、蔑み、哀れみの感情すら抱いていた。
「なあ?北浜小ってさぁ、確か今年でブルマの採用が終わりなんだよな?」
「え?あ・・・うん・・・そうだった思うけど・・・・」
北浜小で一番運動神経のいい、6年生の「梶尾勇樹」は隣の席に座っている
「山本陽子」に尋ねた。
陽子は病弱で、色白、おまけに口数も少なく本読みのときも人見知りの
癖がたたってか、ほとんど声も聞こえない様な大人しい女子であった。
しかし、容姿は中々可愛らしく、実は男子生徒の間では陰のアイドル的存在
として見られていた。しかし普段は男子からも敬遠されると言う微妙な
立場の女子であった。
勇樹は陽子とは家が隣近所で幼馴染でもあり、そして密かに陽子に対して
淡い恋心を抱いていたのだった。
「ふぅ・・・それにしても長かったよなぁ? やっと北浜小も短パンになって
オシャレの仲間入りってってかぁ? あはははは!!」
「あっ・・・! うふふふふ・・・・!!」
勇樹がそう語りかけると、陽子も片手で口を隠してクスクス愛想笑いをした。
しかし、陽子はどこか晴れない表情を見せていた。
「ん?どうしたんだ?陽子? お前嬉しくないのか?
やっと俺たちの地元から、頑固一徹を貫いていた学校から
ブルマがなくなるんだぜ?」
「え?ううん・・・何ていうか・・・その・・・・あの・・・・」
陽子はモジモジしながら、長い黒髪をポニーテールで纏め肩から
垂れ下がったその髪を手でクリクリ弄りながら煮え切らない様子を見せた。
「おいおい・・・言いたい事があるなら言ってみろよ・・・」
「う・・・うん・・・でも・・・・」
「おまえさぁ・・・そんなだから・・・・俺ぐらいしかまともに相手してくれないんだぞ?」
「う・・・うん・・・」
顔を真っ赤にして照れている陽子を横からまた照れくさそうに見つめながら
勇樹は言った。
「ひゅーひゅー!! よっ! お二人さん今日も暑いねーーww」
「う!うるせーよ ばかぁ!!」
「照れんなって!!ww 」
「だからそんなんじゃないって!!」
いつもの様に、勇樹と陽子をクラスの男子が茶化しに来た。
「もう、告白はしたのかぁ 梶尾ー?ww」
「あ!あほかぁ!! 誰がこんなやつに!! ・・・・はっ!!!」
勇樹はしまったと思いながらも陽子の方を見ると、
陽子はじっと下を向いたまま俯いていた。
「あ・・す・・すまない・・・陽子・・・今のは別に本気で言ったわけじゃ・・・」
「う・・うん・・・いいよ・・・」
陽子は机の中から教科書とノートを取り出し授業の用意をして
机に顔を突っ伏した。
「あ・・・あの・・・陽子・・・」
「あーあーあーあー!! 泣ーかした! 泣ーかした!!」
そう、陽子は泣いていたのである。
だがこれは何時もの事であり、何時ものパターンでもあった。
「お前らが悪いんだろうが!!」
こうして南浜小学校の日常は流れて行った。
一週間後・・・。
「準備はいいかしら?皆さん!!」
「おおおーーーーっ!!!」
北浜小学校の校門前に、6年生の女子生徒が全員終結していた。
その光景は異様極まりないものであったが、校長の孫の香織の権力で
何とでもなった。
そして全員、輝かしいまでの体操着で出陣を飾ろうとしていた。
女子の下半身には麗しいまでに、今にも香ばしい香りが漂ってきそうな
洗い立ての新調された紺色生地に脇に白いライン入りのブルマを皆、
着用していたのだった。
「これから!南浜小学校に乗りこんで・・・あそこの女子をみーんな
片っ端からブルマの虜にしに行きます!! 皆さん、心してかかるように!!」
「はいっ!!」
香織は自らも白い体操着に、胸に「勅使河原」の名前が入った
ゼッケンを照りかえる日光に晒し、そして下には紺色の
ブルマがピッタリとお尻、股間、太ももに密着フィットしていた。
そして、足元にある大きなバッグを持ち上げて言った。
「この中にあるのは、南浜小の女子の皆さんに差し上げる
素晴らしいプレゼントですの! うふふふ・・・これさえあれば
南浜小を陥落・・・いえ!歓楽させることなどたやすいですわ!!
これは、わが勅使河原グループの開発研究社に作らせたブルマ・・・
名づけて【洗脳ブルマ】すわ!! これさえ穿かせれば・・・たちまち
身も心もこのブルマの虜になってしまい、もう二度とこのブルマを
手放せなくなってしまうのですわ!! おーほっほっほっほ!!」
香織はバッグに大量に入ったブルマを見せながら、まるで勝利を確実に
したかのように、笑い声を上げた。
「では!行きますわよ!! 出陣ですわ!!」
そう言うと、香織の後に続いて数十名の6年生の女子たちが
ぞろぞろと、まるで蟻の行列の様に香織の後に付いて行った。
全員、今は消滅寸前のブルマで体操着姿で来たものだから
南浜小の学区町内は騒然とした。
南浜小は、特に6年生は騒然としていた。
校門前に、実際に見たことも無い姿をした同じ小学生の
女子がたたずんでいたからである。
「お!おい! あれってもしかして・・・北浜小のやつらじゃないのか?」
「ああ・・・しかも何故か全員女子だぞオイ!!」
「オイオイオイ!! あいつらが下に穿いてるのって・・・・まさか・・・」
「うわぁぁーーー!! ブルマじゃねえかよぉーー!!生で見たのは
初めてだぞオイ!」
クラスの男子全員が窓から顔を突き出して、興奮しながら
大声を上げて、野次馬根性丸出しで叫んでいた。
「おい!お前ら落ち着けよ!!」
そこに一括したのは、学年でもリーダー的存在の梶尾勇樹だった。
すると今までざわついていた、クラスは一斉に沈黙した。
「お前ら落ち着け!! とにかく窓を閉めろ!! 早く!!」
「あ・・ああ!わかった!!」
すると男子は全開に開けていた窓を一斉に閉め始めた。
「な・・・!!なんですの!! わたくし達のこの勇士を目の前にして
無視するなんて・・・南浜小の男子は揃いも揃って腰抜けの輩ばかりの
ようですわね!! 許せませんわ!!」
南浜小の男子の様子を伺っていた香織は怒り名ながらそう言うと
バッグからスピーカーを取り出した。
「アーアー・・・!! 南浜小学校6年生の皆さん!!聞こえますかしら?!!
わたくしは、北浜小学校6年生!生徒会会長の勅使河原香織と
申します!! 本日は貴校の女子の皆さんにわたくしから心ばかりの
プレゼントを受け取って戴きたくて参上いたしました!!」
「はあ? プレゼントだぁ!! 何言ってやがんだあいつら・・・」
勇樹はスピーカーから聞こえるやかましい香織の声に耳を嫌々傾けながら
つぶやいた。
「ふふふ・・・!まぁ今回用があるのは貴校の女子の皆さんであって
男子の皆さんには用はありませんの!ですからどうか大人しくなさって
いてほしいのですわ!!」
「女子に用があるだと・・・」
勇樹は香織の意味不明な怪しい発言を聞くと、隣に不安そうな顔をして
座っている陽子を横目で見つめた。
「これから、10分間時間を差し上げますわ!! その間にあなた達
女子の中からどなたか代表一人をこちらに来させてくださいな!!
そして、このプレゼントを受け取り、全員その場でこれに着替えて戴きますわ!」
「プレゼント?!! さっき言ってた奴か・・・」
そう言うと勇樹は香織が持ち上げていたバッグの蓋からチラリと見える物体に
腰を抜かした。
「うわぁ! オイ!あのプレゼントって・・・ブルマじゃねえかよ!!」
「ええーーー!!」
「いやぁーー!!」
「あんなの穿きたくなんか無いわよわたしー!!」
皆、プレゼントの正体がブルマだと分かった瞬間、一斉に
不安と怒りが爆発して、特に女子が叫び始めた。
「うふふふ・・・・あわてているようですわね・・・!!
みなさん・・・10分立っても代表が来ない場合は・・・
私たち全員で、乗り込んでこれを女子全員に穿かせてください!!」
「はい!」
香織は周囲の女子にそう命令した。
そしていよいよ10分が経とうとしていた。
しかし、南浜小からは何の音沙汰も無いままであった。
「ふふふふ・・・・そうですの・・・これがあなた達の答えなのですわね?!!」
香織はスピーカーで怒りを露にして叫んだ!! 分かりましたわ!!
後で後悔しても知りませんことよ!! せっかく平和的に解決するための
チャンスを差し上げたの言うのに・・・覚悟なさい!!」
「お・・・おい! 梶尾!いいのか?あいつらマジで怒ってるみたいだけど・・・」
「ばーか!何で俺たちがあんな奴らの言うこと聞かなきゃなんないんだよ!!
しかもあんな時代遅れのダッサイブルマなんて・・・うちの女子に穿かせられる
わけないだろ!」
そう言うと、またまた勇樹は陽子の方をチラッと見た。
「皆さん!用意はいいですか?!!」
「おおーーーーっ!!!」
香織の合図に従い、周囲の女子は腕を振り上げて叫んだ。
「では!行きますわよ!!」
香織の合図で北浜小の女子が今にも校門を突き破り
校庭に侵入しようとした瞬間だった。
「お前たち・・・一体何をやってるんだ・・・・?」
それは、どうやらここ南浜小の女子と思われる
長い黒髪のポニーテールで背中に竹刀を背負った大人びた
雰囲気を醸し出した少女だった・・・・。
「な・・・!何ですの!!あなたはぁ!! これから総攻めにかかろうとする
瞬間にいきなりしゃしゃり出て来るなんて!!一体どういうつもりですの!!」
「いや・・・あたしはこれから学校に行こうと思ってな・・・・そしたら
お前らが大勢その変な格好で集まっていて、入れなかったから声をかけたまでだ・・」
「な・・何を淡々と利いた風な事を言ってるのかしら・・・ふふふ・・・」
香織は自分たち大勢を目の前にしても微塵だにうろたえないその少女に
少し慌てながらも冷静を装い対応した。
「おい! あれ! 村雨じゃねえか!!??」
「ほんとだ!!6年剣道部部長の村雨楓だ!!」
「あいつ、昨日まで確か試合で遠征に行ってたんだよな?」
「そうか、それで今日からまた登校して来たんだ!!」
「きゃあーー!!村雨さーん!! かっこいー!!
そんなやつら倒しちゃってー!!」
その村雨楓の姿を見るなり、先ほどまで騒然としていた学年が
一気に興奮と戦意に満ち溢れ始めた。