人通りの少ない路地に、その店はあった。  
 なぜかその店の前だけは行列ができていて、雁首を揃えて並んでいるのはほとんど成人  
男性だ。いかにもオタクという風貌をした男も見受けられる。  
 ブルマ喫茶。そう銘打ってある看板には大きく「濃紺広場」と書かれていた。  
 編集長も無理を言う。  
「最近 話題のメイド喫茶はもう古い。ウチは先を行かなければならない。何か新感覚の  
喫茶店を見つけてこい」  
 事前調査で色々調べたところ、「ツンデレ喫茶」や「妹喫茶」なるものだあるそうだが、  
ツンデレ喫茶の方は概要を眺めただけで一般受けはしないと分かった。まともな接客しね  
えじゃん。  
 妹喫茶には先ほど訪れた。「お帰りなさい、お兄ちゃん」とハーとマークでも付きそう  
な美少女声で出迎えられ、法外な料金のコーヒーを飲まされ、最後は「いってらっしゃい、  
お兄ちゃん」とこれまたアニメ声で見送られた。好きな人には堪らない、の常套句でかわ  
しておくか。  
 ツンデレを敬遠し妹を打ち取り、ブルマの打順となった。  
 ブルマ好きでなくとも、俺の世代にとっては感慨深いものがある。好きなコのブルマ姿  
に心をときめかせていたのはいつの日か。  
 息子はブルマを知らなかった。あとで妻に訊かないか心配だ。釘を刺しておこう。  
 階段を降りてくる二人組とすれ違った。なんだか知らないが頬を緩ませて、店を大賛辞  
していた。きっと財布の紐も緩んだんだろうね。  
 五分ほど経って、ようやく俺まで回ってきた。回転率が悪いんじゃないか?  
「こんにちはー、先輩!」  
 くっ、この攻撃は効いたぞ! なぜ俺に後輩属性があると分かった!  
「お席にご案内しますね」  
 白い体操服が眩しい。案内係のコは黒髪ショートカット。好感が持てる。無論、爪には  
手を加えていないし、化粧も濃過ぎないように配慮されている。徹底されているんだな。  
 そして彼女の臀部に目をやったとき、懐かしいあの記憶が甦った。  
 ふんわりとしたお尻を包むのは、濃紺のブルマ。急過ぎず緩過ぎず、絶妙な角度で太も  
もを露出している。むちむちの太ももはミニスカートのときのそれとは全く違う趣向のよ  
さがあり、総評を述べると――感動した。  
 今の妻とは、中学時代の同級生だ。同窓会で燃え上がったというエピソードは披露宴で  
しか語る場面がないくらいどうでもいい話だ。  
 妻と同じクラスになり、必然的に体育の時間も同じになった。男女は別れて授業をする  
ことが多かったが、遠目から眺めているだけでも眼福だった。当時 同級生が大胆に太も  
もを露出している姿は圧巻だった。もちろんオカズにもした。  
 妻への恋心は卒業すると同時になくなったし、ブルマへの恋心も然りだった。  
 
 そして今、同窓会で妻を見たときのような衝撃が、俺を襲った!  
 うん、今日は妻とブルマセックスする。決定だ。クロッチ部分をずらして穿いたまま挿  
入します。  
 だが、俺は店の雰囲気がおかしいことに気付いた。気付かないほうがおかしい。  
 店内には十数名という、喫茶店にしては多い人数の女の子がいる。その女の子は一人の  
男の前にひざまずき、手でどうこう口でどうこうしているじゃないか。  
「当店の後輩たちは、先輩方を気持ちよくさせるのが大好きなんですよー」  
 喫茶店のレベルを超えている。これじゃ風俗店だ。  
 中にはブルマを穿いたまま本番行為にまで発展しているペアもいる。椅子に座る客……  
いや、先輩にまたがり、いやらしく腰を動かしている。  
 これはすごい所に来てしまった。  
 メニューを開くと、ドリンクは小さく角の方に明記されていて、メインは性的サービス  
なのだと考えられる。この状況を見れば一発で分かるけどね。  
 手…一万円(ブルマで包むのは+一万円)   
 口…二万円(ごっくんは+一万円。許可制)  
 本番…五万円(許可制。生禁止)  
 お触りは基本的にOKです  
 あとは玩具の種類がいくつか書いてあり、ブルマの持ち帰りは一万円ですと追記されて  
あった。高い。どうやら指名制度はないようだ。  
「先輩、あたしが相手しますっ」  
 案内係のコとは違う、ポニーテールの女の子が俺の担当らしい。体操服を突き上げる胸  
の豊かさがエロいね。ロリっぽいときた。このロリで巨乳ってのは定番だけど、定番にな  
るものには確かな力がある。  
 胸の辺りに名前の刺繍があるのもポイントが高い。なるほど、カオリちゃんか。  
「じゃあカオリちゃん、口でしてもらおうか。飲むのってできる?」  
「できますよ。それじゃあ、ズボンを脱いでくださーい」  
 さて、俺の男根は既にできあがっていた。今からカオリちゃんのお口がこいつに悪戯す  
るのかと思うと、欲情を禁じえない。  
「いきますね」  
 ぼくはカオリちゃんに咥えられてしまった。小さな口を精一杯大きく開けている様子は  
官能的で、いけないことをさせている罪悪感が快感を強める。  
「ん……先輩のおっきい……んっ、んっ……」  
 顔を前後に動かすと、それに連れてポニーテールも小さく跳ねる。  
 カオリちゃんのおしゃぶりは強烈で、初めて一分も立たないうちに男根は張り詰めてい  
た。口淫の技術がすばらしいだけでなく、ブルマを穿いた女の子にしゃぶられているとい  
う状況が、ぼくの射精を早めているようだ。  
「ああっ、上手だよカオリちゃん。すごい、もう出そうだ」  
 彼女は完全に本気モードになっているようで、夢中でぼくの愚息にしゃぶり付いている。  
 身体の奥が熱くなり、しびれるような感覚に襲われる。  
「だめだ、出ちゃう!」  
 ぼくはカオリちゃんの口の中で果てた。  
 
 三万円の出費はどうだったのだろう。痛いような、でも惜しくないような。  
 ちゃっかり一万円を追加して、彼女のブルマを持って帰った。うーん、なんだがいい匂い。それも女性特有のものだ。  
 それ以来、ぼくは常連になった。  
 

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