私は魔導師だ。  
属性は闇、主な系統は時空間関係のもの。  
名前は……まぁ、『私』で構わないだろうか?  
性別は男、種族は人間……知り合いに人間以外の魔術師がいるから詳しくはそいつを訪ねてくれ。  
趣味は次元巡り。次元に孔をあけ、その世界に入り込む。  
暫く異世界を満喫出来るわけだ。  
…そうそう、さっきの話。  
私のいるこの次元では、別に人間でなくても魔法使いのスキルを得ることができる。  
吸血鬼だったり、ホムンクルスだったり。  
 
……さて、今回は何処に行こうか。  
 
 
 
「よっ、と」  
無事に到着したみたいだ。  
 
現在地は竹林。魔術で空間を把握してみる。  
……近くに住居があるな。行ってみるか。  
 
 
薬屋のようだ。「……あ、いらっしゃいませー」  
店員さんが言葉をかける。…目を反らしながら。  
 
「…ここは薬屋ですか?」試しに聞いてみた。  
「はい、そうですよー」……やはり目を反らす。  
 
………第一印象が悪かったのだろうか?  
 
なんか土産に買ってくか。そういえば切れてたな……  
「…増血剤と喘息の薬、それから…薬の元になる材料は売って貰えますかね…?」  
「…あー、それ次第かと……ししょー!!」  
奥に引っ込んでく。「あ、ちょっと」「はい?」  
反応でこちらを向く彼女。その眼を見てみた。  
 
…あぁ、なるほど。  
 
「……あ、いえ。その『師匠』さんが薬を作っているんですか?」  
「はい。そうですよー……あ、師匠!」  
「お客さん?……男…珍しいわね」  
銀髪の女性。みつあみ。  
「…薬を貰いたいんですが……その他に材料自体は売ってませんか?」  
「あら、貴方も薬を作るの?」  
「薬というか……まぁ、薬には違いないんですが」  
「何を御所望で?」  
「えっと……」  
 
・マンドレイク  
・月兎の涙  
・不死の心臓の血  
 
「うーん……マンドラゴラはあるけど…他は今は無いわね……今すぐでなくてもいいならあるけど」  
「あ、ならお願いします。時間はいつくらいで……」  
「ん、昼くらいになら薬も作っておけるから。その時にまた」  
「ではまた。ありがとうございます」  
 
 
 
店を出て暫くすると。  
女性の悲鳴が聞こえた。  
 
 
 
さて、次は何処に行こうか……  
 
……竹林を抜けてみたら、そこは人里だった。  
 
「……おー、最近見ないやつらが並んでますなー」  
 
ビンラムネ。(→缶・ペットボトル)  
野菜直売所。(→スーパー・通販)  
茶屋。(→カフェ・自販機)  
 
せっかくなのでラムネでも買ってみる。  
 
 
 
ビー玉。……あぁホント懐かしい……  
 
「…あのー……」「はいっ!?」びっくりした。  
「隣、よろしいですか?」「…えぇ……」  
 
 
「珍しい恰好ですね?神事でも?」「…あ、はい。巫女のようなものです」  
「……巫女………って風に見ても珍しい恰好ですよ?」  
「そうですか?でも貴方もここじゃ変な恰好ですよ?」  
「……Tシャツにジーンズで?……マントにローブで杖でも持ちましょうか?」  
「……あは、そっちの方がおかしいです。でも、そっちの方がいいかな?」  
「ついでに白梟を飼ってて額に傷が」  
「……秘密の部屋以降はちょっと……」  
 
……そうか、この娘は………  
 
「杖は持ってたり」  
「…魔法使いなんですか?」  
「『種族は人間、スキルは魔導師、職業はニートです』……あ、最後のは冗談ですよ?」  
 
 
次元に孔を空ける。  
 
「………!!?」  
「…ちょっと待ってて。……あ、あった」  
がさがさ、ごそごそ。  
「全七巻、計十一冊。プレゼントの代わりに、案内してくれないかな?」  
……そりゃびっくりだわな。  
「あの、でも」「………いいんだ、読み終わったから。数年もすれば町の図書館に置いてあるだろうし」「…はぁ……」  
 
  案内役げとー  
 
 
 
「ここは学校ですね。塾なのかもしれませんけど」「学校ですか」  
 
 
 
「おや、あなたは神社の……そちらは?」  
「…あ、いや…警戒する程度の能力は持ち合わせちゃいませんよ。先生ですか?」  
「そうだ。…失礼だが、貴方は?」  
「『次元を旅して暇を潰す魔導師』とでも思って貰えば。ここは楽しいところですね」  
「……そうでもないさ」  
「…というと?」  
「里の人間を喰わない条約があるはずなんだが……この頃行方不明者が多いんだ」  
「……………。」  
「……異世界の民だというならば、どうか外にも幻想にもないなにかで助けては貰えないだろうか」  
 
………やっぱ警戒解いてねぇ……  
 
「…………風さん、これを」  
「(……かぜさん?)あ、はい」  
「先生、一発」「…え?」「すまない」「……え」  
 
ばしっ  
 
「……………あれ、無事……?」  
「…掠り傷レベルとはいえ……強いのも大丈夫か?」「ああ」「なら本気で」「え!?」  
 
バシッ  
 
「……魔導師さん〜……」  
「そんな訳で強い攻撃一発分は無効化してくれます。せっかくですから皆にあげますよ」  
「いいのか!?私の弾を無効化するようなモノを!?」  
「いいですよ、ただし授業料として」  
「……いい歳してまだ教わり足りないのか?」  
「こっちのこと、色々と知りたいので」  
 
(……やっと笑った)  
 
 
 
 記憶開始、っと  
 
 
 
「…なるほど、だいたいわかりました」  
「そうか、」……先生さんはそう言うと大きく伸びをした。  
「…もう昼か……よかったら食べていきますか?」「いえ、そんなにお世話になる訳にはいきません。……あ、」  
 
 ……そういや薬屋に用事があったんだ。  
 
「すみません、ちょっと薬屋に材料を買いに行ってたんでした!また機会があれば立ち寄ります。」「あぁ、その時は子供たちにもよろしくしてくれ」  
 
 
 …風……なんだっけ? その彼女とは既に別れている。歩いて行けるか?  
 
しゃーねー、能力使うか。  
次元を歪ませ、イメージする。そして  
 
 
 
「……よし、着いた」…我ながらかなり便利だ。  
「って竹林全焼!!??」  
 
……向こうで何やらぎゃー、とかなんのぉ、とか聞こえる。行ってみたいが後悔以外に何も期待できそうにない。  
 
「薬屋も向こう側だし、諦めるか。」  
 
 
仕方なしにそちらへ歩いていくことにした。  
なんかぱちぱちいってるし。  
 
 
 
 
さて、例の薬屋。  
 
 
半壊していた。  
 
 
 
 
「……あ、朝のお客様で?」  
「………どうも、『ししょー』さん」  
「…凄いでしょう」「…えぇ、まぁ、色々と」  
 
白髪の彼女は火の羽を生やし辺りを焼き尽くしていた。  
黒髪の彼女はなんやら光るモノで周りを薙払っていた。  
 
「いつもこうなんですよ」「……さいですか」  
目の前の命が次々に消費されていく。ただし死者は出ず。  
 
「オラ死ねェェェ!!!」「死ねねぇよクソがァァァ!!!」  
 
全く、女の子が使うセリフじゃない。  
 
「……頼んだ奴は?」「はい、これ」  
光る液体、動く血液、その他。…少し多い。  
「確かに」「お代は……アレを止めて貰えるかしら?」  
……前払いした分より多めに貰ったからな。ま、いいか。  
 
「よいせっと」  
魔力で造り出した闇の結晶を放り投げる。  
被弾、瞬間に闇が二人を覆う。  
 
「うきゃーっ!!」「暗、暗ーい!!」  
「寒い、寒いーっ!」「なっ、炎が続かない!?」  
「ちょっと!火ィ使うな!酸欠に」  
 
 
 
「もういいですか?」「……私、不死って言ってないわよね…?」  
 
死んだ二人は無酸素空間で再生と再死を繰り返していた。  
 
そして肉体の蘇生が止まった頃。  
 
 
「蘇生する度に脳の酸欠でまた死にますね。蘇生時にひと呼吸するはずなので…まぁ、しばらくしたら復活するでしょう」  
「…なんというか……なんていうのかしら…?」  
 
「では。」立ち去る。……悪い方法でいいことをすると気分がスッキリするなぁ。  
ツッコミは基本的に受け付けない。  
 
 
 
しばらく歩いてみた。  
…迷った。  
  …困った、能力が通じない。  
「あれ、迷い人かな?」  
あぁ、助かった。ありがとう、狐さん――  
 
「狐さん!!?」「うぉぅ、どうした?」「あ、いや」  
狐の妖怪?か。九尾ということで、  
「鬼火とかって出せます?」「……はい?」  
 
 
「――成る程、旅人でしたか」「はい。魔術をかじってまして」  
 
暫し談笑。…このひと、なかなか常識人みたいだ  
    「……らんさま、お客さま?」  
 
 
 
 ――――前言撤回。ペd…親バカだ。  
 
「…猫又の君、地図を貸して戴けるとありがたいのですが」「…む、…わ、わかりまひた……よいせっ!!!」  
 
  おお、背負い投げ。  
 
 
彼女が地図を持って来てくれるまで、私は九尾の方を泣き止ませる事に専念することになる。  
 
 
「さてと、行きますか」  
 
そもそも、ここに来た目的は判っていた。たった今思い出しただけのことだ。  
 
……あの娘、グレたか。ご愁傷様。狐さん。  
 
地図と能力を照らし合わせて、目的地へ。  
目的地、白―――  
 
 
…の前に湖行くか。確か妖精がいるんだっけ?  
 
 
気まぐれで来たこの世界、目的のもののうちのひとつだったらしい。  
 中々、面白い。  
 
 
   この旅にオチが付くかどうかが心配だが。  
 
 
 
私は暇人だ。自他共に認める。  
 
あまりにも暇で暇でしょうがないので、たまーに次元の孔から適当な世界へ出掛け、満喫する。  
 
そんな事を繰り返していると、淋しくなってくる。虚しいぜ。  
そうして私の『仲間』集めが始まった……  
 
 
 
 
「……あなたは食べてもいい人類?」  
  ……当然ながら、その次元から存在が『消滅せずに』いなくなるなんてのは論外だ。  
  …だから、なるべくその世界を旅している最後の方に神隠しされてもらう。バレたくないし。  
「…いただきます?」「喰うな喰うな」  
「…食べてもいい、人類?」  
「食べると後悔する人類」「…何それ?」  
「………ならかじってみ、ホレ。」  
腕を差し出す。「いただきます」…がぶり。痛ぇ。  
「!!???!!!??!!」  
彼女は口を押さえてしゃがみこんだ。  
「…大丈夫か?」「……くち、が…?」  
「俺は魔法使いやってるんだ。ちなみに魔法の媒介は血液。つまり、」  
「………血が、呪われてる……?」「正解」  
 
しばらくは何も口にすんなよ、と言い残し。  
私は湖へ向かう。伝説の馬鹿を拝む為に。  
 
 
ついでに屋敷にも行くか。暇だし。  
 
「あた」「ごめんなさいごめんなさい」  
 
…大妖精ってかわいいなぁ。5ボスで出ればいいのに。  
 
 
「えーと。」貰った地図には門番の名前が強く刻印されていた。  
 
「…えー……くれないメイリンさん?」  
「狂おしい程に惜しいっっっ!!!!!!」  
だって紅って読めねーもん。  
 
「……えーと、何の御用でしょか…」  
「…ああ、そうだ。こいつと手合わせ出来ますか?」  
空間魔法、『フレンドコール』。次元を越えて会話出来るのだ!  
『痛いことやってんじゃねぇ。とっとと繋げろ』…痛いって言われた…  
 
時空が歪み、一人の赤い男が出てくる。  
「名前はLord、性別は雄、職業は暇人、種族は吸血鬼、趣味は日光浴だ。よろ」  
「……吸血鬼………で……日光浴?」「別名ひなたぼっこともいう」  
………。  
………。  
「…御手合わせ、願います」  
 
さ、ドンパチやってる間に入りますか。  
こっちの吸血鬼はどんな奴だろうか。  
 
 
 
「………ん?」…時間が停まった?  
「……驚いたわ、貴方も時間の狭間に居られるのね」  
「…ん、『ルール違反をする程度の能力』…ってのじゃ駄目…?」  
「駄目ね。」「あちゃ」「用が無いなら出ていきなさい」  
「いや、幻想卿の吸血鬼とはいかなるものかを教えて頂きたいのですが」  
「……いるの?吸血鬼」「居ますよ、吸血鬼」  
ドアの外、紅い門番が気を溜めながら構える。  
それに赤い吸血鬼が両手から闇の光を出しながら襲いかかる。  
……それが、瞬間。  
 
「………変な人ね」「…幻想ですから」  
 
………………。  
 
……………このペドメイドめが。  
 
 
 
「……さて、次は地下ですわ」「さいですか」  
 
地下へ行く。ホコリが舞っているが時間が止まっているので呼吸が平気なかわりに色々とぶつかる。痛い。  
 
「……ではごゆっくりしていってくださいね」  
 
がちゃり。ガチリ。……扉が閉ざされそして時は動き出す。  
 
「……貴方はだぁれ?」……この子が…  
「…まぁいいや。遊んで?」「…なにでさ」  
「弾幕ごっこ!」「む」「わーい」  
いきなり魔杖らしきモノを振り回す。危ねぇ。  
「…『弾』『幕』じゃねーし…」「わーい壊れろー」「壊れるかっ!」  
 
瞬時に術式発令、存在転換…「クランベリートラップ!」  
 
 
 
「……なんで壊れないのー?」「…その無茶苦茶なパワーから『物質破壊』、息苦しいから『存在破壊』と読んだ」  
「えーと…………つまり?」…解ってない。  
「『存在破壊』なら、『存在しなければ』破壊されない。自分を非存在物質に変換したのさ」  
「……なぁにそれ?」  
 
いくらチートキャラでも、改造したゲームソフトを砕かれたら終いだ。  
だからそもそも機体ごと存在しなければ壊されない、という、一種の矛盾。  
 
「そういった意味の解らないモノは存在しない。だから破壊されない。」「…意味わかんない」「意味わかんないな」  
 
解っちゃいけない。解れない。  
こんな馬鹿馬鹿しいの解ったらきっと社会的に死ぬ。  
 
……さて、そろそろ時間か。  
 
「…あれ、帰っちゃうの?」「ん。…こいつはやるよ」  
トランプを放り投げる。キャッチ成功。  
「そいつも破壊されないからさ。メイドでも誘って遊べばいいさ」  
「わーい」  
「じゃな」「バイバイ(^-^)/~~」  
 
 
 
 
さてと、目的地目的地…  
 
 
 
 
「……誰だ!!?………気のせいか…」  
…ふう、危ない。  
日本刀少女に気付かれるも気のせいになったらしい。…俺は何もしていない。  
 
妖怪桜。近付くだけで命を奪う妖樹。  
「……………」  
適当に次元を歪める。…すると、『ずるり』と樹から何かが出てきて。  
……「何か」は少女の形をしていた。  
 
「うんしょっと……アンタ誰さ?………まぁ誰でもいいけどね〜」  
「…今の内に名前と経歴考えとけ、逃げる」  
「あたしの本体は大丈夫なの?」  
「ちっと弱まるな。…まぁその分ここの姫も多くの『死』を必要としないだろうけど。」  
「………少しは食わなくなるってことね。いいことだ」  
 
 
次元の孔を開く。彼女と俺はそのまま何処かへ行く。  
 
 
 
………あれ、何か忘れてるような  
 
 
 
 
 
 
「……はぁ、はぁ。…なかなか…やりますね…」  
「…一発も喰らってねぇ癖によく言うぜ…ったく」  
「……避けるの、辛いんです…貴方も…はぁ、……そんなに血だらけで…ちょっと、不気味、ですよ」  
「俺の魔術やらドーピングやらは血を媒介にしてるんだ。気付いて攻撃してるだろ?」  
「…最初に指に傷を付けてましたし。その後に気が膨れ上がりましたから」  
「最初っからかよ………んじゃこっからは本気……で………」  
「…どうかしましたか?」  
「………アイツ置いてきやがった……もう結界内に居ねぇ……」  
「……泊まりますか?寒いですけど」「…ありがと」  
 

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