対触手生物戦に特化した戦闘組織TACOSの訓練場では、今日も複数の嬌声が反響していた。
「どうした! 誰一人として反撃もできんのか、この牝豚どもめ!」
訓練場の中心で声を張り上げているのは、背中から無数の触手を生やした1人の男だ。
彼の背から海の如く広がる触手の中に、半ば埋没する形で十数人の女たちが喘いでいる。
「で、ですが、教官……手も足も動きません!」
女の1人が、快感に上ずる声で必死に弁明する。
実際、人間の筋力をはるかに凌駕する触手で手足を絡めとられれば、もう反撃など夢のまた夢だった。
そして、そんなことは彼自身が誰よりもよくわかっている。
それでも、彼は拘束を緩めるようなことはしなかった。
今日の訓練のテーマは『捕らえられてからの反撃』。
だが、それはあくまでも表向きだった。
「口答えする暇があったら、状況を打開する手段を考えろ!
罰として全員媚薬1リットルを追加する!」
実際には、捕まってしまえばもう絶望的だということを体で覚えさせるのが、今日の訓練の本当の目的なのだ。
「そ、そんな――あぷぅ!?」
全員の口に野太い触手がねじ込まれる。
必死に口を閉じて抵抗しようとするものもいるにはいたが、全身から送り込まれる限界を超えた快感の前では口を閉じ続けることなど不可能だった。
予め膣内と腸に潜り込んでいた2本も合わせ、3本の触手の先端から一斉に媚薬が流し込まれる。
そのあまりの勢いに幾分かはあふれ出したが、大半はすぐさま女達の体に吸収され効果を発揮し始めた。
「こ、こんな、ひああ、むりですぅ!!」
口から触手が抜かれると、一段と女達の声が高くなる。
目からは涙が零れ落ち、口の端からは媚薬と唾液の混じったものをだらだらと垂らしながら狂乱する十数人の女達。
と、その時だった。
「きょ、教官!」
突然ドアが開き、一人の少女が訓練場に飛び込んでくる。
触手に絡めとられている者達より幾分年若い彼女は、着ているものからして今年入隊したばかりの訓練生の1人だろう。
「なんだ! 今は訓練中だぞ!」
反射的に少女にも向かおうとした触手を押しとどめながら叱責する。
「も、申し訳ありません……で、ですが、ミハルが……」
ここまで全力で走ってきたのだろう、膝に手をつき肩を激しく上下させながら少女が口にした名前。
その名前に彼は心当たりがあった。
彼自身はまだ新人の訓練を担当してはいないが、そのミハルという名前の新人は史上最年少で入隊試験を突破したとマスコミでも騒がれていたのだ。
「ミ、ミハルが、教官の媚薬を5本も――」
「なんだと!?」
少女の言葉に彼は耳を疑った。
新人の訓練の中に、彼から採取した媚薬を摂取することで耐性をつけるというものがある。
もちろん使われるのは何十倍にも薄められたものではあるが、それでも5本という量は新人がいきなり耐えられるものではなかった。
「ちっ、仕方ない、こちらの訓練は一旦終了させる!」
「は、はいぃぃ! おねがいしますぅぅ!」
彼の宣言に対する女達の反応は2つに分かれた。
すでに快楽に浸りきっている者は歓喜の笑みを、まだかろうじて理性を残しているものは恐怖と期待の入り混じった表情を浮かべたのだ。
なぜならこの訓練の終了、それは彼の射精によってもたらされるからだった。
彼の媚薬を吸収した女は、彼の精液を受けることで最も深い絶頂を得る。
彼から伸びる触手が一段と太くなり、直後、訓練場を埋め尽くすその全てから濃厚な白濁液が噴射された。
「ひああああああああ!!」
体の内と外、余すところなく精液塗れにされた女達の大合唱が1人蚊帳の外にある少女の鼓膜を震わせたのだった。